I Wish~洋楽歌詞和訳&解説

80年代の洋楽ロック・ポップス&ビートルズを中心に、歌詞の和訳と詳しい解説でお届けします♪

「ボート・オン・ザ・リバー」スティクス

2016.11.11

category : Styx

Styx - Boat On The River1 Styx - Boat On The River2


Styx - Boat On The River (1980年)



~想定外の出あい~

今回は、久しぶりにニュース関連ではない自由な選曲です。
…ところで、あなたが洋楽曲を知るきっかけは何だったでしょうか?
私にとって大抵、それはラジオでした。

そして、私と「Boat On The River」との出あいを取り持ってくれたのもまさにラジオでした。
インターネット検索は既知のものを詳しく調べるには非常に便利なツールですが、ラジオは全く未知なるものと“想定外の出あい”をもたらしてくれるのが魅力です。
あなたにも、そんな素敵な出あいがあることを願って…。



~概要~

スティクス (Styx) はアメリカのロック・バンドで、「Babe」や「Mr. Roboto」などソングライター/ヴォーカルとしてバンドに大ヒットをもたらしたデニス・デ・ヤングと、ソングライター/ギタリスト/ヴォーカルを担当しかわいいルックスで女の子のファンを引き寄せたトミー・ショウの二枚看板がウリでした。
バンドは1970年代前半からそこそこヒットは出していたものの中々それがアルバム・セールスには繋がらず不完全燃焼が続いていましたが、70年代後半にはTop10入り、そして1979年の9thアルバム『コーナーストーン(Cornerstone)』で遂にシングル1位/アルバム2位を獲得、名実共にトップ・バンドの仲間入りを果たしました。

このアルバムでのスティクスの充実ぶりは「Babe」や「Why Me」といったデニスのヒット・シングルを聴いても窺い知るに十分といえますが、シングル・カットされなかった作品にこそレベルの高さを実感させられます。
「ボート・オン・ザ・リバー」はその最たるものであり、アメリカではシングル・カットされなかった(ドイツで5位を記録)ものの日本のファンの間では“隠れた名曲”として絶大な人気があり、オールタイムでも「Babe」に劣らないスティクスの代表曲と評価してよいのでしょう。

「Boat On The River」の作詞・作曲/ヴォーカルは、トミー・ショウ
デニスのみならず、バンド内にトミーのようなもう一人の優れたソングライターが存在することこそ、スティクスが一時代を築くビッグ・バンドに成り得た大きな要因です。
但し、やがて最新のシンセサイザーを駆使したサウンド「Mr. Roboto」へと向かいゆくバンドの潮流に反し、ここではトミーがマンドリン、デニスがアコーディオン、チャック・パノッツォがコントラバス、ジェイムス・ヤングがアコースティック・ギター、ジョン・パノッツォがバスドラ&タンバリンという“アンプラグド”な編成で、どちらかというと仰々しい部類に入る彼らにしては一風変わったサウンドといえます。

 



~Lyrics~

Take me back to my boat on the river
川に漂う、あの小舟へと連れ戻しておくれ
I need to go down, I need to come down
行かなくちゃ…行かなきゃならないんだ

back to my boat...

彼は何故ボートへと戻る必要があるのでしょう…。
この【Take back】は“元の場所へ連れ戻す”という意味もありますが、“過去に連れ戻す”というニュアンスを含めることも可能な言葉です。
彼が戻りたいのは、どっち…?


Time stands still as I gaze In her waters
時を忘れさせるその水の流れは
She eases me down, touching me gently
撫でるようにこの胸を鎮め

gaze In her waters...

ここに登場する【her】とか【She】が謎めいています。
このストーリーで主人公以外に登場する人物は【She】だけであり、だからこそ重要な存在であるはずなのにこのフレーズにしか登場しない…。
【She】って、一体何者?


And all roads lead to Tranquillity Base
その流れは、この顔から苦しみを消し去り
Where the frown on my face disappears
“静かの基地”へと導く

【Tranquillity Base(静かの基地)】は、1969年7月20日にアポロ11号の月着陸船が人類初の月面着陸した地点のことで、この地は月の海の一つ“静かの海”にあり、日本でいう“餅をつく兎”の顔の部分に当たります。
人類の月面着陸は、1961年に就任したジョン・F・ケネディ大統領(1963年に死去)が5月25日に議会で表明した施政方針で“1960年代の終わりまでに人類を月面に到達させ、かつ安全に地球に帰還させる”と掲げた悲願を実現させた瞬間でもありました。
主人公にとって、【boat on the river】とは…?

…月といえば、今夜は今年最大のスーパームーン!
早速動画がUpされていました。




~Epilogue~

「Boat On The River」の詞はシンプルな構成なのに、意外と多くの疑問が浮かびます。

【the river】と主人公の因縁?

作者トミー・ショウの故郷は、アメリカ南部アラバマ州モンゴメリー。
アラバマ州は南端のごく一部をメキシコ湾と面するだけですが(モービル港)、これに流入するモービル川やアラバマ川が主要な河川体系を形成する幾つもの河川港と内陸水路が発展しており、その水路総延長は1,300マイル (2,100 km/国内2位)に及ぶそうです。
そんな彼の生い立ちは、作品に影響を及ぼしているのでしょうか…。


【my boat/ her waters】の意味するもの?

もしもここに登場する【she=the river/waters】と仮定するなら、主人公がその川を女性扱いするほど強い愛着を持っていることが窺え、作者のトミーが内陸水路の発展したアラバマ州出身であることからも、「故郷へ帰りたい」のような郷愁をイメージさせます。
また、【she=女性】とするなら、主人公にとって彼女は心を癒やす特別な存在であることになり、彼がどうしてこんなに切実に“戻りたがる”のかも腑に落ちます。
さらに、【she=the river/waters=女性】とするなら、“my boat on the river(彼女という川に浮かんだ僕という小舟)”という解釈も可能であり、彼にとって彼女がどんな存在かより鮮明になってきます。


主人公が戻りたいのは“場所”? それとも“過去”?

スティクスに似つかわしくない“アンプラグド”なサウンド…
シンセサイザーなど最新電子機材をいち早く取り入れた彼らが、わざわざ時流を逆行するように“古い時代の楽器”を用いてこの作品を表現した理由とは…?


Take me back to my boat on the river
川に漂う、小舟へと連れ戻しておくれ
And I won't cry out any more
…もう泣いたり、叫んだりしない

川という、定まった水の流れに浮かぶ小舟…
“何か”と似ているような気もします。
“それ”は川に浮かんだ小舟のように僅か一瞬にさえ留まることが許されず、流れのままその先へと進まなければなりません。
戻りたいのが場所であれ、人であれ、時であれ…

でも人間の心は、機械のようにon-offで割り切れるものではないのです。
そのせつなさなんて永遠に、デジタルにはわかり得ないだろう…。



「ボート・オン・ザ・リバー」

“Lyrics&歌詞和訳”は下の“続きはこちら>>”をクリックして表示させてくださいね♪


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tags : 音楽 Lyrics 和訳 洋楽 

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「デザート・ムーン」デニス・デ・ヤング

2013.09.17

category : Styx

Dennis DeYoung - Desert Moon1 Dennis DeYoung - Desert Moon2


Dennis DeYoung - Desert Moon(1984年)


~9月19日は“十五夜”~

もうすぐ、十五夜。
十五夜のことを“中秋の名月”とも呼びますが、これは中秋(旧暦8月)の十五夜(15日の夜)前後が満月になるということに由来し、2013年は9月19日がそれに当たります。
…ということで、今回はお月さまを見上げたくなるような、そんな素敵な“月の歌”です♪


~概要~

デニス・デ・ヤングはアメリカのプログレッシブ・ロックの系譜に属するバンド“スティクス(Styx)のヴォーカリスト(&key)でした。
得意の“泣き節”「ベイブ」に加え、特に日本では“ドモ アリガト…”の日本語を用いた「ミスター・ロボット」が有名で、近年も日本の映画『ロボジー』の主題歌としてミッキー・カーチスらが歌って話題となりました。
この1983年はシングル・アルバム共に好調だったにも関わらず、同時にメンバーの亀裂によりバンドは立ち行かなくなってしまいます。

それでは…ということでリリースされたのが1984年のデニス初のソロ・アルバム『Desert Moon』でした。
タイトル曲でもあった「デザート・ムーン」は1stシングルとしてカットされ、Billboard Hot 100で10位を記録しています。
「ベイブ」に連なるサスガの泣き節で、こうしたしっとりした作品の方がデニスには佳曲が多いし彼の声質に合っているといえるでしょう…。


~Story~

「Desert Moon」は直訳すると“砂漠の月”で、これはアメリカの人気SF小説シリーズ『デューン/砂の惑星(Dune)』にヒントを得ているといわれ、スティングが俳優として出演した映画化作品が公開され話題となったのも、ちょうどこの年(1984年)でした。

ただしデニス自身によると“Desert Moon”は現実の場所や月を指すのではなく、“心の中にある何処か”を意図しているようです。
そのストーリーに、少し触れてみることにいたしましょう…。

まず、物語は列車で一人の女性(少女?)に出逢うことから始まります。
それをきっかけに、主人公の男性は初恋や若い(幼い?)頃を振り返る…という展開。
二人がお茶を飲みながら語り合うクダリは現実か想像なのかは私には断定できませんが、ミステリアスな“Desert Moonへの旅の入り口”と想定するとちょっとワクワクしませんか…?
間奏を挟んで、男はDesert Moonへの旅を振り返りますが、彼は一体この旅で何を得たのでしょうネ…。


~私たちにとっての“Desert Moon”~

子どもは生まれついた瞬間から、大人を目指して日々成長します。
大人のすることを何でもマネしながら、時に“大人って正しいの?”と葛藤したりして。
そう、大人って必ずしも正しくないですよねっ!
ある意味、大人とは“妥協の産物”であり、その蓄積が現在の自分であるワケですが…。

子どもって、ただ大人に劣るだけの存在なのでしょうか?
彼らは、自分の中にある“子ども”を否定する事で大人へと成長を遂げるものです。
そのせいか、大人になってからも“子どもは大人の未熟形”と認識する人も多いでしょう。

でも、子どもは大人に劣った存在ではありません。
大人には無い、優れた能力を持ち合わせています。
何故なら、多くの人は大人への成長と引き換えに“大切なそれ”を失ってしまうから。
それを極力損わず成長した大人の例がたぶんスティーヴン・スピルバーグや宮崎駿らで、彼らは“子どもの心”で“大人の技術”を巧みに操り作品を創作してきました。

しかしこれはクリエイターではない私たち一般人の、より良い人生にも大切な要素であり、デニスはそれを“Desert Moonに置き去りにしてしまった”と歌っています。
そして、こう付け加えました。

All the words we meant to say
互いに伝えたかった全ての言葉や
All the chances swept away
押し流された全てのチャンスは
Still remain on the road to the dune
まだ、砂丘への途にある…


19日は、満月の十五夜…
あなたもDesert Moon行きの列車で、出掛けてみませんか?
忘れていた、大切な何かを取り戻すために…。

よいお月見日和を願っております♪



「デザート・ムーン」




Writer(s):Dennis DeYoung /訳:Beat Wolf

~Lyricsはこちら~


“ねぇ、この列車はデザート・ムーン行き?”
女の子の言葉はそれだけだった
でも、見知らぬ彼女のその声には
聴き覚えがあった
振り返って確かめようとしたけれど
その姿はもう、そこにはなかった
すると、彼女は雨の中に立っていて
懸命に僕の名前を呼ぼうとしていた
人はいう…“初恋は、忘れ得ない想い出”なのだと

ウェイターは、小さなカップに二人の想い出を注ぐ
僕らはずっと尋ねたかった言葉が上手く言えず
叶わなかった夢について語り合った
突然、出発を告げるホイッスルが夜の静寂を支配し
二人の夢の時間を振り払うように
時を置かず、最終列車は月へ向かって走り出した…


あの夏の夜
あの頃…僕らはまだ若く
何でも叶うと信じてた
結局、果たせず
夢みていただけの
夢追い人
でも、焦っていたんだ
はやく大人になりたくて…
だから、純粋な心を置き去りにしてしまった
デザート・ムーンに
夢みていただけなんだ
ただ、夢追い人として

On Desert Moon…
Desert Moon

あの夏の夜のささやきは、今も耳に残り
まだ心の片隅に、こだまし続けている
あの夜、二人は砂漠への列車を待っていた
互いに伝えたかった全ての言葉や
押し流された全てのチャンスは
まだ、砂丘への途にある…

*

あの一瞬は過ぎ去り
時は移り変われど
夢が消え去ることはない
それを強く望んでいる限り
そこに夢追い人がある限り
夢を追う、すべての人よ

On Desert Moon…
Desert Moon


過去の“月”作品…
「ニューヨーク・シティ・セレナーデ」クリストファー・クロス

最後までお読みいただき、ありがとうございました♪

tags : 音楽 洋楽 和訳  訳詞 Lyrics 

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