I Wish~洋楽歌詞和訳&解説

80年代の洋楽ロック・ポップス&ビートルズを中心に、歌詞の和訳と詳しい解説でお届けします♪

「プライベート・アイズ」ダリル・ホール&ジョン・オーツ

2017.06.16

category : Daryl Hall & John Oates

Daryl Hall John Oates - Private Eyes1 Daryl Hall John Oates - Private Eyes2


Daryl Hall & John Oates - Private Eyes (1981年)



~“Private Eyes”しないことが長続きの秘訣?~

どんなに美しいハーモニーを奏でても、サイ○ン&○ーファンクルみたいに“顔も見たくない”二人はいます。
また、それと同じくらい素敵なハーモニーを50年近く重ねたホール&オーツでさえ、バラバラで活動した時期がありました。
でもダリルとジョンを見ていると、90年代に最盛期を過ぎて以降はH&Oに縛られることを第一とせず、それぞれが音楽を楽しむことに重点を置いて活動を続けてきたものの、“結果としてその長い歳月の大半はH&Oだった”…というような歴史だったのではと想像しています。

二人は私生活で必ずしもベッタリではないとも聞くし、あまりお互い“Private Eyes”しないことが長続きの秘訣なのかもしれませんね?



~概要~

「プライベート・アイズ」は1981年の10thアルバム『Private Eyes』のタイトル曲で、1stシングルとしてBillboard Hot 100の2週連続No.1(1982年の年間44位)に輝きました。
前作『Voices』からのNo.1「Kiss on My List」(過去ログ)を彷彿とさせるポップ性は当時のH&Oの音楽性を象徴するテイストであり、それに加えてイントロからのギター(G.E.スミス)&キーボードはインパクト抜群で、そういう系統の楽曲・サウンドの中では最も完成度の高い作品と言ってよいかもしれません。
日本では2001年にSONYのデジタル・カメラ CyberShot DSC-P5のテレビCMに起用されてリバイバル・ヒット、ご記憶の方も多いでしょう。

クレジットには[Daryl Hall, Sara Allen, Janna Allen and Warren Pash]とあり、ダリル・ホールによるとダリルとその恋人サラ・アレンが歌詞、ダリルがコードに関与していますが大半はサラの妹ジャナとロサンゼルスのミュージシャンのウォーレン・パッシュの貢献だそうです。
元々はウォーレン・パッシュが自身のバンドのために書き始めた作品で、その後ジャナのソロ用にと模索をしていたところダリルが気に入って彼らが歌うこととなりました。

しかし作品は当初「I Need You To Need Me」というタイトルで創作が試みられていたものの、ウォーレン・パッシュ自身中々満足できずにいたようです。
アイデアが煮詰まった時は気分転換が有効であるように、彼にインスピレーションを与えてくれたのはロサンゼルスの通り[Ventura Boulevard]で見掛けた映画の看板でした。
その映画こそ1980年の『The Private Eyes』であり、タイトルが示すようにシャーロック・ホームズをネタにしたパロディー作品のようです…。

 
 
 2つ目のライブ映像では、桑田佳祐が“乱入”しています!



~Lyrics~

I see you, you see me
君を見る僕、僕を見る君…
Watch you blowin' the lines
でも僕は、君のしくじりを見届けようとしているのさ
When you're making a scene
…醜態を演じるのをね

恐らく元々のタイトル「I Need You To Need Me」は、ここに入っていたのでしょう。
何だか主人公はイジワルな感じがしますが、ここの【lines(台詞)】は彼女の【lies(嘘)】と深く関わりがありそうです。

【watch】は、“(対象に何が起こるかわからないと連想されるため)じっと見る”概念。
彼を【Private Eyes】にさせたのは…?


The senses will show to my heart
二つの目が心に伝えようと
When it's watching for lies
その嘘に目を光らせていることを

ここの【sense】は“感覚”ですが、「Private Eyes」なのでテーマに沿った表現にしてみました。
【Private(私的な/人目に付かない)】な【Eyes】なので、主人公が“何を/どんな風に”じっと見ているか、想像つくでしょ? 

一方、【private eye】には“私立探偵”という意味もあります。
これは19世紀、エイブラハム・リンカーンの暗殺計画を未然に防いで名を挙げたアラン・ピンカートンという人が設立した『ピンカートン探偵社』のロゴに描かれた【the eye(誰もピンカートンの目から逃れられないという意味)】に由来しているそうです。
Daryl Hall John Oates - Private Eyes3


Slip on into any disguise
どんな姿に身を窶(やつ)してでも
I'll still know you
君のこと、知りたい

彼は“イジワル”なんかじゃなく、実は…?

楽しいPVは、メンバーが【Private Eyes】に早変わり♪
でも彼らのファッションはといえばロング・トレンチコートに中折れ帽、オマケにその手にはルーペって…
イマドキこんな探偵っているの? 

そのせいかダリル本人もこの映像を“俺たちまるでアホな操り人形みたい”と評しており、その経緯についてジョンは“ツアーのリハーサルを終えた朝4時、ツアー・バスを外に待たせて撮影したんだ。[そういう顔]して映っているだろう?”とフォローしています。
でも巷では[そういう顔]がウケて(?)PVはMTVでヘビー・ローテーションとなり、本曲の大ヒットに貢献しました。



~Epilogue~

6月15日、ついに【改正組織犯罪処罰法(テロ等準備罪/共謀罪)】が成立しました。

共謀罪の対象となる“[277の罪]を審査するための参院での審議時間は僅か18時間弱(1つの罪あたり4分弱)”、これで国民が理解できるはずなどないことは、提案主体である金田勝年法務大臣自身が満足に答弁できない現実からも明白です(加えて、“大事な審議の殆んどを放送しない公共放送”NHKもどうかしてる)。
それにしても議会の2/3を持ち会期末は目前で黙っていても成立させることができるのに、わざわざ“特に緊急を要する案件に限り(本件の何が緊急?)”国会での委員会審査を省略できる(国会法56条)【中間報告】という非常手段を用いて法案を成立させるやり方は、目的を果たすためなら手段を選ばず、保身のためなら躊躇なく非道も実行する安倍政権の本質を象徴しています。


法律が成立してしまった以上、重要なのは“共謀罪がどれほど私たちの生活に関与してくるか”です。

共謀罪の対象は懲役4年以上の犯罪(窃盗、 収賄、傷害、詐欺、恐喝など)ですが、日弁連は“共謀罪が成立しない犯罪の方がごく限られたものであると言っても過言ではない”と指摘しています。
また、普通の法律は[既遂]で処罰するのに対し“共謀罪は2人以上の者が[行為]を行わなくても犯罪を話し合って[合意]するだけで処罰するもの”であり、この[合意]を立証するのはかなり難しいため捜査機関による日常的な通信傍受や会話の傍受が拡大し、著しい監視社会へ繋がると懸念されています。
これらの“通信傍受には裁判所の令状が必要”ですが…

現実は、私たちが想像する遥か先まで監視社会が既に進んでいます。

2013年にアメリカ政府による大量無差別監視の方法と実態を暴露したことで話題を呼んだアメリカ国家安全保障局(NSA)及びCIAの元局員、エドワード・スノーデン氏。
その彼が持ち出したNSAの機密文書について、今年4月にアメリカのインターネットメディア『The Intercept』は“2013年の段階でNSAのネット監視ツール【XKEYSCORE】が、日本政府(第二次安倍政権)に提供されていた”と報じました。

XKEYSCORE(Xキースコア)】はインターネット利用者が使うほぼすべての情報を監視・収集できる極秘高性能検索エンジンで、このプログラムを使うと“個人が何を検索し、どんなニュースを読み、どの政党を支持しているか、愛する人の名前や、明かしたくない性癖までをも個人を特定して容易く把握でき”、更には“個人のパソコンやスマートフォンにアクセスし、遠隔操作でカメラを起動し、盗撮や盗聴をすることも可能”だといいます。
アメリカでは自国内でこうしたシステムを使ってテロとは関係ない一般市民を大量無差別に監視してきた事が大きな社会問題に発展しましたが、安倍政権が現在このシステムを運用しているとしたら(※その証拠は不明であり決してその存在を認めることはない)、それは“裁判所の令状を取らず通信傍受している可能性”を意味します。


共謀罪で本当にテロは防げるのか?

安倍政権は共謀罪の大義名分として“テロ対策”を第一に挙げていますが、本当でしょうか…
【愛国者法 (Patriot Act)】の名の下に一般市民への情報監視を無制限に拡大してきたアメリカNSAの監視効果について、大統領と上院によって選ばれた専門家による検証委員会は2014年1月、“盗聴プログラムが対テロ捜査の成果に具体的に役立ったケースは一件もなかった”新たなテロ計画の発見やテロ攻撃の阻止に直接役立ったケースも発見できなかった”と報告しています。

既に共謀罪(凶徒の結社罪)が整備されているフランスは市民のインターネット動向を分析するソフトウエアのインストールをインターネット会社に義務づけ、個人所有のコンピュータのリアルタイム監視のために警察が家宅侵入することまで合法化しましたが、その後も数々のテロを防ぐことはできませんでした


テロを止めることができないのに、監視プログラムはなぜ存続するのか?

…その問いに対し、NSAの当事者だったエドワード・スノーデン氏は次のように答えています。
“それは、テロ対策以外のことに役立つから。”
外交スパイ、経済スパイ、世論・社会心理操作、調査報道ジャーナリスト・内部告発の妨害、私的濫用…
“監視は最終的に、権力に抗する声を押しつぶすために使われていく。”


   

安倍政権は共謀罪で“一般人が対象になることはありえない”とか“恣意的乱用はありえない”と説明しますが、私は全く信用していません。
これまで安倍氏は、自身に掛けられた“数々の権力の恣意的乱用疑惑”について国民に誠実に説明するどころか、[中間報告]のような更に強い権力で封じ込める手法で問題の収束を図ってきた実績があるし、今回新たに【共謀罪の運用】について強い懸念を覚えざるを得ない事実が判明したからです。

2015年1月に発生した[ISILによる日本人拘束事件]で、ジャーナリストの後藤健二氏ら2人の日本人がISILに拘束されている最中でありながら、安倍首相がエジプトで“ISILと戦う国に2億ドルの支援を約束する”と演説し、その後2人は殺害されました。
これについて『報道ステーション』でコメンテーターを務めていた古賀茂明氏が“安倍氏の言動が誘拐犯を刺激し2人の殺害に繋がった”という非難と、“多くの日本人はイスラムを敵視していない”というメッセージを伝えるべきとして[I am not ABE]のプラカードを掲げ、それがきっかけで彼が報ステを含む全てのテレビ(地上波)から干された騒ぎをご記憶の方もあるでしょう。
古賀氏降板の背景には彼の発言に激怒した“官邸によるテレビ局への圧力があったため”と囁かれていましたが、その実行者は菅義偉官房長官の当時の秘書官だったN氏であったことが、古賀氏の近著で明かされています。

また、安倍首相と非常に近しい間柄の元TBS記者が2015年4月に起こした準強姦事件で、“所轄署が逮捕状まで取った案件であるにも拘らず本庁の警視庁刑事部長が介入しそれを取り下げさせたという異例の処置”が先月一部で報じられましたが、この警視庁刑事部長も菅官房長官の秘書官から転身したばかりのN氏でした。

…そして、国民にとって決定的に残念なことは、共謀罪というパンドラの箱を預かり実際に運用を任される部局の最高責任者(警察庁組織犯罪対策部長)こそ、“数々の権力の恣意的乱用疑惑”を抱えたN氏(2016年8月~)であるということ!


   

共謀罪を整備し、高度なシステムを駆使して市民を大量無差別に監視しても、テロを防ぐことはできません。
何故なら、組織的犯罪集団は盗聴されているとわかっている電話で犯行を共謀しないし、自分の命と引き換えの自爆テロ犯なら尚更、そして単独犯(ローンウルフ)はそもそも共謀しないからです。
その[網]に引っ掛かる殆んどは、テロなど考えもしない無防備な普通の市民ではないでしょうか…。

でも、テロ対策へ採るべき手段は監視だけではありません。
そもそも“テロとは何らかの不満や憎しみによって引き起こされる暴力”であり、その原因を緩和することこそ有効なテロ対策だと私は考えます。
理不尽・不公正に起因する貧困や差別、えこひいき、抑圧…をできるだけ取り除くこと”です。

しかし残念ながら、安倍政権は“その逆”ばかり行い、憎しみを煽るような政権運営を重ねているように見えます。
弱者を侮り、これを力で無理やりねじ伏せると一時的に支配することは可能ですが、その憎しみは蓄積し、いつか思わぬ牙をむく…それがテロです。

ささやかな市民の平和な私生活を“疑いの目”で監視するより
差別や憎しみを育まない公正な政治を実行することこそ、最大のテロ対策ではないでしょうか?




「プライベート・アイズ」

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「キッス・オン・マイ・リスト」ダリル・ホール&ジョン・オーツ

2016.07.22

category : Daryl Hall & John Oates

Daryl Hall John Oates - Kiss On My List1 Daryl Hall John Oates - Kiss On My List2


Daryl Hall & John Oates - Kiss On My List (1981年)



~ホール&オーツは遅咲きの華?~

80年代を代表するヒット・メイカーのイメージのあるホール&オーツですが、その黄金期を迎えるまでデビューから8年ほどもタイム・ラグがあったのをご存知でしょうか?
もちろん70年代半ばに「Sara Smile」や「Rich Girl」などの大ヒットはあったものの、イマイチそれが安定的な成功には繋がりませんでした。
しかしそれを掴むきっかけとなったのが本作品であり、二人はここから栄光への階段を駆け上がっていったのです。

その経緯を振り返ると浮かぶのが日本のポップ・デュオCHAGE and ASKA(チャゲ&飛鳥)で、デビュー当初少し話題を呼んだもののその後10年ほどパッとせず「SAY YES」の大ヒット以降90年代を代表するヒット・メイカーとなったことを思い起こします。
そういえば、THE ALFEEも花が咲くまで時間がかかったな…。



~概要~

「キッス・オン・マイ・リスト」は1980年の9thアルバム『モダン・ヴォイス(Voices)』の収録曲で、「How Does It Feel to Be Back」「You've Lost That Lovin' Feelin」といったやや地味めの曲に続く3rdシングルとしてリリース、Billboard Hot 100で3週No.1(1981年の年間7位)に輝いた作品です。

キーボードやコーラスなどホール&オーツの黄金期の雛型といっていいサウンド・スタイルであり、ダリル・ホールによるとここで彼がプレイしているシンセの一部のフレーズを、エディ・ヴァン・ヘイレンが1984年の大ヒット“「Jump」でコピー”したことを本人から告白されたといいます(ダリルが認可しているので両者間に争いはない)。
また、1981年といえば『MTV』が開局した年であり、本作はその開局日(8月1日)にオンエアされたリストの一つでもありました。


作詞・作曲はダリルと、彼の恋人サラ・アレンの妹ジャンナ・アレンによる共作で、ジャンナにとっては処女作でした。
元々はソロ歌手を目指していたジャンナをサポートするための創作でしたが、ダリルが彼女のためにガイドとして録音したデモ・テープを彼のマネージャーが発見し、“これは是非ホール&オーツが歌うべきだ!”と強く主張したため彼らの作品として発表することになったそうです。
ただしこれはマネージャーの独断というわけではなく制作チームもダリルのデモを大いに気に入ったとされており、そのためこれを録り直すことはせずそのままマスターとし、演奏やバック・ヴォーカルを追加する形で最終的に仕上げられました。

一方この時チャンスを逃したジャンナは歌手の夢は叶わなかったものの、その後「Private Eyes」ほか4曲のTop10ヒットなどでホール&オーツに大きく貢献し、チープ・トリックやジョーン・ジェットにも楽曲を提供するなどソング・ライターとして活躍しましたが、残念ながら1993年に白血病のため36歳の若さで亡くなっています。

 
 オリジナル音源は記事最後の【Lyrics動画】でご視聴になれます。



~Lyrics~

My friends wonder why
友だちみんなが首を傾げてる
I call you all of the time
どうして僕がいつも君に電話ばかりしてるのか、って

一般に多くの男性にとって電話は連絡や用件を伝えるツールであり、頻繁に会っている友人同士が会話目的で電話をすることは少ないので、しょっちゅう電話している彼の姿はアヤシゲに映るでしょう。
…そんな時はたいてい背後に“電話好きのお相手”がいるものですが、彼の場合電話するのが楽しくて仕方ない“夢中”にあるような気がします。
関係が始まってまだ日が浅い、ときめき盛りの二人でしょうか…。


(Because your kiss)
Your kiss Is on my list

君のキスが、僕のリストに入っている

…こんな風に恋人に言われたら、どうします?
“リスト作るほど、他に相手がいっぱいいるってこと!?(怒)”
藪蛇(やぶへび)になりかねません…。 

また、この歌は【kiss】がテーマとなっていますがそれを意識して[list, bliss, this, is...]など、韻を要所に配置し抜群のノリを生み出しています。
ただ、【list】に関してはアメリカ人もよく聴き違えるようで、ダリルも“よく歌を聴いてない人は「Kiss On My List」を[Kiss On My Lips(唇)]と間違える”と紹介しているそうです。


I go crazy wondering
驚きで、気が変になる
What there is to really see
目の前で起きている現実に

一番からサビにかけて主人公の“ラブラブ感”が溢れているだけに、二番の歌詞は、まさに冒頭のこのラインのように聴く者を戸惑わせます。
…だってこれじゃあまるで、二番の歌詞は“失恋ソング”!
そんな展開も含め、主人公がどんな気持ちを込めてこの歌を歌っているか想像してみてくださいね? 



~Epilogue~

作者のダリル・ホールは「キッス・オン・マイ・リスト」について、次のように語っています。

みんなはこの曲を‘僕は君を愛してる、君なしでは死んでしまう’という意味だと思っているけど実はその反対で、アンチ・ラブソングなんだ。

…ちょっとびっくりする発言ですが、二番の歌詞を読むとこれは“失恋ソング”であり、“自分はマジだったのに、彼女はアソビだった”ことへの悔しさが綴られています。
だからこそ、わざわざ悔し紛れに【your kiss is on my list】という“対象者が多数いるような言い回し”をしているのでしょう…“キスの相手なら、君以外に幾らでもいるよ!”って。
でもそれに続くラインには、こう記されています…


Because your kiss is on my list
君の唇が、僕のリストで
Of the best things in life
生涯最高のものだから

“I Can't Stop Lovin' You”って訴えているように聴こえますが? 
(リンク先はTOTO ver.)



「キッス・オン・マイ・リスト」

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「マン・イーター」ダリル・ホール&ジョン・オーツ

2015.10.09

category : Daryl Hall & John Oates

Daryl Hall John Oates - Maneater1 Daryl Hall John Oates - Maneater2

Daryl Hall & John Oates - Maneater (1982年)


~ホール&オーツ、4年ぶりの日本公演~

私の大好きなホール&オーツ…
ブログを始めて2年半で、初めての登場です!
正直、ここまで来るとどんな登場のさせ方をするか迷っていたのですが、H&Oが4年ぶりの日本公演(10/14~10/21)で私の背中を後押してくれました。
特に、10/19の日本武道館公演はWOWOWで生中継されるので、行けないファンの方はお見逃しなく♪

「Maneater」は私が初めて聴いたH&Oであり、一般にも“H&Oというと、「Maneater」!”という方も多いのではないでしょうか?
“はじめまして”な方も“大好き”な方も、どうぞごゆっくりお楽しみください♪



~概要~

ダリル・ホール&ジョン・オーツは1970年代のサイモン&ガーファンクルと並び、80年代を代表するポップ・デュオです。
“最も成功したブルー・アイド・ソウル”と称されるように、非黒人でありながら当初はかなり“黒っぽい”音楽性(R&Bやソウル)がありましたが1980年頃からカラフルなポップ・テイストが色濃くなり、本格的にブレイクするきっかけとなりました。

「マン・イーター」はその絶頂期を形成した1982年の11thアルバム『H2O』からの1stシングルで、Billboard Hot 100で5曲目のNo.1(4週/1983年の年間7位)を記録した最大のヒット曲です。
代表曲に挙げられることの多い「Maneater」ですがH&Oの音楽性からすると象徴的なものではなく…
むしろ、“変わったテイスト”といえる作品でしょう。


「Maneater」の原曲が生まれたのは、ジョン・オーツのアパートの一室で二人が作曲していた時でした。
ジョンがレゲエのリズムを思いつくと、ダリル・ホールが“コードは面白いけど、もっとグルーヴが欲しいな。”と言ってこの曲の特徴の一つでもある“モータウンのリズム”を取り入れる…といった具合に創作が進められたそうです。
このウキウキさせるリズムはいわゆる“モータウン・ビート”と呼ばれるもので、1966年にスプリームスが大ヒットさせた「You Can't Hurry Love」に代表され、奇しくも「Maneater」と同時期にフィル・コリンズのカバーver.もチャートを賑わせています。
(詳しくは「恋はあせらず」スプリームス過去ログへ)

そのため、「You Can't Hurry Love」の作者の一人ラモント・ドジャーは「Maneater」のイントロを初めて聴いた時、自分のカバー曲と勘違いし“糠(ぬか)喜び”したというエピソードまであるほどです。
もう一つサウンド面での特徴を挙げるとすればCharles DeChantのサックスで、この人は「One on One」「Say It Isn't So」ほかH&O作品ではお馴染みといえるでしょう。

 



~Lyrics~

She'll only come out at nights
女は、夜にだけ姿を現す
The lean and hungry type
引き締まった身体…そして、いつも何かに飢えている

何気に、前回の「ベティ・デイビスの瞳」とイメージが重なります。
やっぱり“優れたハンター”は身に無駄な肉を蓄えず、流れるようなスタイルをしているものなのでしょうか…?

本作品で引き合いに出されている“ジャガー(Jaguar/Panthera onca)”はアメリカ大陸に生息する肉食獣で、ネコ科としてはトラ・ライオンに次ぐ大きさだそうです(頭胴長約120-185cm)。
ヒョウ属で、その名の由来には“一突きで殺す者”という意味もあるといわれ、ヒョウと似た“黄色に黒い梅花紋”の斑(まだら)が特徴ですが、PVに登場するのはその黒変種(ブラック・ジャガー)と思われます。

 JAGUAR ATTACKS AND KILLS CROCODILE


Watching and waiting
じっと待ち伏せしているのさ
Ooh, she's sittin' with you
あぁ、君と一緒だろうと

同じ頃、日本でも「まちぶせ」が大ヒットしましたね♪(1981年・歌手は石川ひとみ/作詞・作曲は荒井由実)
別項で「Maneater」は当初レゲエだったと述べましたが、ユーミン自身が荒井由実名義でセルフ・カバーした「まちぶせ」(1996年)もレゲエ調でした。

日本の「まちぶせ」は“偶然をよそおい帰り道で待つ”という奥ゆかしいものですが、“アメリカ式”はどんなテクニックを駆使するのでしょう…。


Ooh, the beauty is there
あぁ、見た目は美しい…
But a beast is in the heart
だけど、心には獣が棲んでいるのさ

男女を問わず、やっぱり“美人は得”ですよね!?
あるアンケートによると、94.4%の女性がそう思っているというデータがあります。

特に何をしてあげなくとも、ただそこにいるだけで周囲が勝手に好意を持ってくれる…
そんな“オプション”を授かった方はご両親に感謝を捧げ、どうか“悪用”なさらないでくださいね。
でも、たとえ“心に獣”がいると分かっていても、美人の色香に抗し難い“引力”で惹き寄せられてしまうのは人間の生まれ持った性(さが)というもの…?



~Epilogue~

【maneater】は言葉が示すように“人食い”の意味で、それが派生して“男食い⇒男を弄ぶ女・男好きの女”といったスラングとして解釈されることもあります。
この作品には【She's a maneater】という表現がありますが【bitch】や【hussy】ではない所がミソで、この女性が男を骨抜きにするほど魅力的な一面も持ち合わせていることが窺えます。

一方で意外なのは、ジョンが「Maneater」について“女性の詞と解釈するのが自然だけど、本当は80年代のニューヨークの金持ちたちの強欲ぶりを描きたかったんだ。”と、コメントを残していることです。
でも、やっぱり【She's a maneater】で良かった!
“強欲な金持ちの歌”じゃあまりにムードがないし、やっぱり“男を虜にするセクシー美女”が登場した方が妄想が膨らむでしょ?(本物の“人食い”のハナシだと、もっとドン引きですが…

(Oh-oh, here she comes)
ほら、女のお出ましだ
She's a maneater
アイツは、男を喰らう“マンイーター”

あなたは【Jaguar】ならぬ、“クーガー女”という言葉を覚えておいででしょうか?
【Cougar】はジャガー同様アメリカ大陸に生息するネコ科の大型肉食動物で、イギリスではピューマ(Puma)と呼ばれています。
近年、女性を狩らない“草食系男子”の増加に伴い、お目当ての男性を自分で狩る“肉食系女子”の増加が指摘されていますが、とりわけ“20代の若い男性を旺盛に狙い撃ちする30代後半~40代の女性”のことを巷ではクーガー女と呼び、これは2000年代初頭から大ヒットし社会現象まで巻き起こしたアメリカのドラマ『セックス・アンド・ザ・シティ』など、恋や仕事に貪欲に生きる熟女らの活躍ぶりも影響しているといわれているようです。

 …タダの“大きなネコ”?


厚生労働省の2015年7月の発表によると、2014年時点での日本人女性の平均寿命は86.83歳(男性は80.50歳)だそうです。
データによると1960年の女性の平均寿命は70.19歳なので、この55年間で16年人生が延長されたことになります。
“余命”で計算すると、余命50年の36歳・クーガー女は1960年の年齢だと20歳…!!?

…んなわきゃナイ? 

だとしても、計算上彼女にはまだ50年の長い時間が残されていることになります。
55年前の人に比べ、16年長い人生が許されるわけですから、“実年齢から-16歳の気持ち”で人生を前向きに楽しんだって良いのではないでしょうか? ( …だからって、36-16=20 は犯罪じゃね?

一度っきりの人生だもの…
でも、どうか誰かを傷つけたりしないでね♪



「マン・イーター」

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