I Wish~洋楽歌詞和訳&解説

80年代の洋楽ロック・ポップス&ビートルズを中心に、歌詞の和訳と詳しい解説でお届けします♪

「リヴィング・イヤーズ」マイク&ザ・メカニックス

2014.06.06

category : Genesis+

Mike + The Mechanics - The Living Years1 Mike + The Mechanics - The Living Years2


Mike + The Mechanics - The Living Years (1988年)


~もうすぐ“父の日”~

6月第3日曜日(今年は15日)は、“父の日”。
母の日に比べ何となく地味な印象を拭えませんが、先月マイナビが女性会員を対象に行った(何で女性だけかは分かりません)アンケートによると“78.2%が父を尊敬・感謝している”と答えたそうです。

私のイメージからすると“意外な高評価”な気もしますが、みなさんはお父さんにその気持ちを伝えておられるでしょうか?
今日は、そんな想いを伝えることが出来なかった男の、哀しみの歌です…。



~Mike + The Mechanics~

マイク&ザ・メカニックスはイギリスのロック・バンド“ジェネシス”のギタリスト/ベーシストであるマイク・ラザフォードが1985年に結成したバンドです。
ジェネシスといえば1960年代から続くロックの名門として成功を収めたバンドと広く認められていますが、当初のピーター・ガブリエルやその後のフィル・コリンズら稀代の牽引役の影響力が大き過ぎて、マイクにとって必ずしも自分の創作を存分に発揮できる場ではありませんでした。
1980年代初頭にソロ・アルバムの発表を経て“サポートしてくれる仲間が必要”と実感し、結成に至ったのがマイク&ザ・メカニックスでした。

ところで、このヴォーカリストに見覚えはあるでしょう?
・・・えっ? フィル・コリンズ!?(確かに似てますが
違いますよ! 彼の名はポール・キャラック
4月にこのブログで紹介した「ウォーク・イン・ザ・ルーム」で、素敵な歌声を聴かせてくれた人です!
私は、彼のヴォーカルが好きだなぁ…♪



~概要~

「リヴィング・イヤーズ」は1988年の2ndアルバム『Living Years』からの2ndシングルとしてリリースされ、Billboard Hot 100でNo.1(89年・年間31位)に輝いた他、オーストラリア・カナダ・アイルランドで1位を記録しました。
日本では高嶋政伸主演のドラマ『HOTEL』第2シリーズ主題歌として、1992年に島田歌穂(『がんばれ!!ロボコン』のロビンちゃん)が「FRIENDS」というタイトルでカバーしているので、そちらをご記憶の方もあるかもしれません。

この作品は作者のマイク・ラザフォードとB. A. ロバートソンの実体験が組み込まれており、出版者やレコード会社の影響力を排除し公平公正に楽曲や作曲家を審査をすることで知られるイギリスで非常に権威の高い『アイヴァー・ノヴェロ賞(Ivor Novello Awards)』で、“Best Song Musically & Lyrically”(1989年)を授賞しました。
また、1996年には「雨にぬれても」や「ニューヨーク・シティ・セレナーデ」など多数の名曲を輩出した著名な作曲家バート・バカラックによって、“この10年で最も優れた詞の一つ”と評されました。

私が特に印象に残っているのが1990年のグラミーで、「リヴィング・イヤーズ」は最優秀楽曲賞にノミネートされマイク&ザ・メカニックスは式場でパフォーマンスを披露しています。
(ちなみに、この時の授賞曲はベット・ミドラーの「愛は翼にのって」

ここでは歌詞の世界観を象徴するように、子どもと大人という異なる世代がバック・コーラスとして融合されていて、当時私はこの演出に甚く感動を覚えたものでした。
実はこの演出はMVを再現したもので、MVでは演奏シーン以外でもマイクがストーリーを演じていますが、一緒に登場する男の子は彼の実の息子さんです。

 32nd Annual Grammy Awards



~Lyrics~

Every generation
どの世代も
Blames the one before
前の世代を非難するもの

年配者の決まり文句といえば“今の若い者は…”ですが、現代は年配者の方が分の悪い時代といえるのではないでしょうか?
昔話に語られるようなのんびりした時代だったら“亀の甲より年の功”が通用したかもしれませんが、社会のしくみやテクノロジーが日進月歩の今日では、年配者は余程努力を重ねていない限り若者の目には“時代遅れ”と映ってしまうかもしれません。
むしろ、“返すアテもなく膨れ上がった大借金”・“10万年先まで危険を及ぼす放射性廃棄物”・“地球温暖化などの環境破壊”など、将来世代へ重い責任を押し付ける行いは、非難されて然るべき事柄のような気もします…。


We all talk a different language
互いに“異なる言語”で話し
Talking in defense
弁解ばかりしてるんだ

攻撃を仕掛ければ相手は防御するし、当然隙を衝いて反撃も返ってくる…
互いを尊重しない同士の会話は、まるで言語が異なるようにもどかしいものです。

親の苦労を知る我が子だから、解ってくれるはず…
子を愛するはずの親だから、解ってほしい…
いいえ、親子だからこそ争わねばならないのかも知れません。


I'm sure I heard his echo
確かに父の声を聞いたのだ
In my baby's new born tears
生命を授かった我が子の産声の中に

実は、作者のマイク・ラザフォードは「リヴィング・イヤーズ」を発表する前年の1986年にお父さんを亡くしています。
この時彼はジェネシスのツアー中で父の死に目には会えず、その後悔がストーリーの根幹として綴られているわけです。
また、それから間もなく彼は第3子・次男を授かっていて(1986年生まれ)、本当にこういう感覚を得たのかもしれません…。



~Epilogue~

マイクのお父さんは元海軍士官で、軍人らしく非常に厳格な人だったようです。
彼は幼い頃から、“海軍士官の息子に相応しく振る舞い、強くあれ”としつけられました。
学校も父の意向で進学させられ、そこで後のジェネシスのメンバーに出会いますがギターを禁じられ反抗し中退、マイクは父のルールに従って生きることを止めました。

その後ジェネシスは成功を収め、お父さんはコンサートに訪れたりマイクが両親に毎年の船旅をプレゼントするなど関係は改善していたものの、二人が打ち解けて言葉を交わすことはなかったようです。
しかし、父は親に背いて音楽の道を志したマイクを金銭的に支援したり、マイクも父が亡くなった際“一番の後悔は、僕の人生に於いて父がどんなに大切な存在であったか伝えられなかったこと”と語るように、互いに親子としての情愛がなかったわけではありません。
なのに何故、二人は親しく交わることができなかったのでしょう…?
それについてマイク自身は、“二人は共有する言語を持たなかった”と振り返っています。

Say it loud, say it clear
自分の想いは、大きな声ではっきり伝え
You can listen as well as you hear
相手の言葉は、でき得る限りに耳を傾けよう

父と息子…
私もその端くれとして実感していますが、血の繋がった男同士というのは意外に難しいものです。
女性は年を取っても時代の変化や新しいものを柔軟に受容し順応できる気がしますが、男性は保守的で時代が変わっても自分の固定観念から抜け切れない所があります。
そのため、彼らが今の時代を生きる息子をあるがままに認めることは難しいのかもしれません。

この歌は、息子であるマイクが“父に伝えておけばよかった…”と後悔の念を込めた作品ですが、後に彼は思わぬ形で父からのメッセージを受け取ることとなります。
それは遺品を整理した際に発見した彼の“回顧録”で、そこにはマイクが「リヴィング・イヤーズ」で宛てた父への想いと同じ気持ちが綴られていて、そのことに深く感銘を覚えた彼は“最高の遺産”と喜んだそうです。
こうして数十年に亘って繰り広げられた父と息子の葛藤は、二人が“同じ言語を共有する”ことでようやく心の底から分かち合える“真の親子”へと辿り着きました…。



「リヴィング・イヤーズ」

最後までお読みいただき、ありがとうございました♪
“Lyrics&歌詞和訳”は下の“続きはこちら>>”をクリックして表示させてくださいね♪


Writer(s): Mike Rutherford, B. A. Robertson /訳:Beat Wolf

~Lyricsはこちら~



どの世代も
前の世代を非難するもの
そして、あらゆる不満は
やがて激しい鼓動となって、心の扉を叩くんだ

父の愛情を一身に受けた僕は
まるで、囚われ人のようだった
期待と心配を全て背負わされた
人質だったんだ
父が生きているうちに
この想いを伝える事ができるだろうか…

クシャクシャにされた紙の断片は
至らない思いで埋め尽くされ
ぎこちない会話は…
残念ながら、それが僕らを全て物語っている

君は、“まるで解らない”と言い
それを、彼は“完璧”という
少しも解り合えぬまま
ずっと、こんなことを繰り返す
互いに“異なる言語”で話し
弁解ばかりしてるんだ

[Chorus]
自分の想いは、大きな声ではっきり伝え
相手の言葉は、でき得る限りに耳を傾けよう
異なる考えを認めようにも
相手が世を去ってからでは、遅いのだから…

現在と過去…
ふたつの世代が争えば
未来を犠牲にしてしまうだけ
それは、果てのない苦しみ

だから、時に不運に見舞われたとしても
ただ運命に屈してはいけない
新たな展望も開けるだろう
いつの日か、きっと…
投げ出したりせず、頑張ってさえいれば
きっと、上手くいく

[Chorus]

父がこの世を去った朝
僕はその場にいてあげられず
とうとう想いを告げることが出来なかった
伝えるべき、そのすべてを…

その年の暮れ
亡き父の魂に触れる出来事があった
確かに父の声を聞いたのだ
生命を授かった我が子の産声の中に
生きているうちに、伝えたかった…

[Chorus]
自分の想いは、大きな声ではっきり伝え
相手の言葉は、でき得る限りに耳を傾けよう
異なる考えを認めようにも
相手が世を去ってからでは、遅いのだから…


最後までお読みいただき、ありがとうございました♪
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tags : 音楽 洋楽 和訳  訳詞 Lyrics 

コメント

訪問ありがとうございました。

Beat Wolfさん、はじめまして。

Beat Wolfさんは音楽に精通されているようにお見受けします。とても詳しい内容で、しかも文章もお上手。まるでプロの方のブログみたいですね。

これを機にちょくちょく伺わせて頂こうと思っていますので、よろしくお願いします。では。

2014.06.08  Easy Music Reviews  編集

Re: 訪問ありがとうございました。

はじめまして。
過分にお褒めいただき、恐縮です。
もっと簡易にすれば楽なのに、だんだん長くなって大変です。
でも好きな人じゃないと、読む方も大変かもしれません。

これからも、よろしくお願いします。

2014.06.08  Beat Wolf  編集

素敵すぎる詩ですね☆

自分の想いは、大きな声ではっきり伝え
相手の言葉は、でき得る限りに耳を傾けよう異なる考えを認めようにも
相手が世を去ってからでは遅いのだから。。。

本当にそうですよね。
今、ちゃんと伝えなければ。
3.11の時に、そう誓ったのに、忘れかけていました。

2014.06.10  ☆dct☆  編集

☆dct☆さん

そうでしょう、私も大好きな詞です♪
人は、頭で解っていても実行できないことってあります。
特に付き合いに長い歴史があると、いろいろな感情がジャマしたり…?

でも、墓石や写真を前に独りで語るよりは
遥かに意味のあることですよね!i-236

2014.06.10  Beat Wolf  編集

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このコメントは管理人のみ閲覧できます

2014.06.13    編集

匿名さま…

人によると思いますが、お父さん次第かもしれません。
「オレが上で、オマエは下」みたいな態度だと、息子は息苦しいと思います。
そういう面では、そんな風を吹かさないお母さんの方が接し易いのではないでしょうか…。

2014.06.13  Beat Wolf  編集

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