I Wish~洋楽歌詞和訳&解説

80年代の洋楽ロック・ポップス&ビートルズを中心に、歌詞の和訳と詳しい解説でお届けします♪

「夢の旅人」ウイングス

2014.09.12

category : Beatles & Solo

Wings - Mull Of Kintyre1 Wings - Mull Of Kintyre2


Wings - Mull Of Kintyre (1977年)



~本日のテーマは、“スコットランド”~

あなたはスコットランドというと、何を思い浮かべますか?

私は“タータン・チェック”の“ベイ・シティ・ローラーズ”に“ネス湖のネッシー”、それと…
アナタニモ、チェルシー(※)、アゲタイ”♪
(※;このお菓子は、スコットランド地方のスカッチ・キャンディを基に作られた)

また、近年話題を集めた『ハリー・ポッター』シリーズの原作者J・K・ローリングはスコットランドのエディンバラ在住(生まれはイングランド)で、物語の舞台となるホグワーツ魔法魔術学校はエディンバラに実在するフェテス・カレッジをモデルにしているとも言われます。

でも、そんなスコットランドが今、大変なコトになっています…。
(詳細は後ほど)



~概要~

ウイングスは「心のラヴ・ソング」の大ヒットと大規模なワールド・ツアーの成功により人気が絶頂にまで達していましたが、その後最初に制作・発表されたシングルが「夢の旅人」です。
この頃ウイングスはメンバーのジミー・マカロックとジョー・イングリッシュが脱退し、さらにポール・マッカートニーの奥さんのリンダも産休に入ったため、実質活動できるのはポールとデニー・レインだけでした。
この作品はその二人によって書かれており、歌詞は伝統音楽に詳しいデニーが手助けしています。

1977年11月11日、イギリスではウイングス16枚目のシングル(「ガールズ・スクール」との両A面扱い)としてリリースされバンドにとって初の全英No.1を獲得、9週トップを独走するメガ・ヒットによりそれまでビートルズの「シー・ラヴズ・ユー」が持つシングル売り上げ130万枚の歴代記録を大きく上回る250万枚を記録しました。
(この記録は、1984年にバンド・エイドの「ドゥ・ゼイ・ノウ・イッツ・クリスマス」によって更新された)
ヨーロッパ各国やオーストラリアでも1位に輝いたものの、アメリカでは「ガールズ・スクール」のB面に甘んじています(33位)。
当初オリジナル・アルバムには収録されませんでしたが、後に『ロンドン・タウン』のボーナス・トラックとして追加されました。


原題の「Mull of Kintyre」は、スコットランド南西部のキンタイア半島の先端にある岬のことで、ここにはビートルズ時代の1966年にポールが買った“ハイ・パーク・ファーム”という農場があります。
ご存知の通りポールはイングランドのリヴァプール生まれですがアイルランド移民の末裔で、スコットランドは同じケルト族が住む地です。
また、ポールの姓にある“Mc‐”はケルト族が使うゲール語の特徴(“… の息子”という意味)で、同じ民族が住み海を隔ててアイルランドが見渡せるこの地を気に入ったのでしょう。

この曲の大きな特徴といえば、三拍子の“スコティッシュ・ワルツ”と“バグパイプ”♪
バグパイプはスコットランドの伝統音楽に欠かすことのできない楽器で、ここでは地元キンタイアのキャンベルタウンのバンドが演奏し、PVにも出演しています。

 Mull Of Kintyre [Version II]



~Lyrics~

Vast painted deserts, the sunsets on fire
広大な荒野と燃える夕陽が
As he carries me home to the Mull of Kintyre
僕を、安らぎ満ちたこの地へと向かわせる

ちょっと地図で調べてみましたが、現在も見事に“ナ~ンにも無い”トコロですっ! 
普段のアグレッシブなポールからはこういうスロー・ライフは想像もつきませんが、彼のような有名人が家族水入らずで過ごすには最適だったでしょう。

ビートルズ後期、“ポール死亡説”なる都市伝説が広まったのも彼が家族と共にここに引きこもったのが一因で、解散後もしばらくこの地が拠点となっていました。


Sweep through the heather like deer in the glen
桃紫彩るヘザーの森を往く峡谷の鹿のように
Carry me back to the days I knew then
懐かしいあの頃へと連れ戻しておくれ

heather】は、“ギリュウモドキ”という桃紫色の花を咲かせるツツジ科の低木だそうです。
素直に豊かな自然を歌っていると受け取ることもできますが、たぶんこれはダブル・ミーニング!
ポールの妻リンダには【Heather】という連れ子がいて(リンダは再婚)、結婚してからもポールはヘザーを甚く可愛がり1972年には「Mama's Little Girl」という歌も作っています。
花や樹に囲まれ、楽しそうに遊ぶ愛娘を重ねているのかもしれませんね…。 

 Mama's Little Girl


Smiles in the sunshine and tears in the rain
陽射しを浴びては笑い、 雨に打たれては涙した
Still take me back where my memories remain
忘れ難い思い出は、今もその場所へと心誘(いざな)い

何となくビートルズの「イン・マイ・ライフ」を思い出すのは、私だけ?

思い出とは、泣いたり笑ったり…
そこには必ず、心を動かされた“何か”があるはずです。
同じ思い出なら、室内よりも広い空の下で体験できた方が強く心に残りそう…。 



~Epilogue~

彼らが“極東”と呼ぶように、私たち日本人にとってイギリスはあらゆる面で遠い国。
日本では中学校(最近は小学校)から英語を学びますが、その第一歩で“英語・イギリス人=English”と教わるので、“イギリス=England”と誤解している人が大半ではないでしょうか?
対訳はともかく、概念として正しくは“England=イングランド /English=イングランド語・人”であり、もし“イギリスという概念”をより正確に理解するなら“グレートブリテン及び北アイルランド連合王国( United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland)”となります。

つまり
United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland(UK)とは

Great Britain(GB);グレート・ブリテン島の3国に、
(イングランド、ウェールズ、スコットランド)

Northern Ireland(アイルランドの一部
を加えた連合王国であり、お馴染みの国旗(ユニオン・フラッグ)の由来は以下のようになっています。

Wings - Mull Of Kintyre3


何でこんなに面倒臭い説明をするかというと、イギリス(UK)という主権国家は日本とは異なり、イングランドが民族も言語も異なる他の3国を長い戦いの歴史の末に併合して成立させた国だからです。
メル・ギブソンのアカデミー受賞作『ブレイブハート』はそんなスコットランドの独立運動を描いた作品として有名ですが、今回の騒動の根底には時が経っても消すことのできないこうした民族意識も影響しているでしょう。
それに加え、スコットランドの領海にある北海油田の恩恵の大半を中央政府に独占されている現状も、住民の不満を募らせる一因となりました。

その住民感情は、2011年の選挙で独立推進派のスコットランド国民党が議席の過半数を占めたことで大きく動き、結果スコットランド自治政府は“2016年3月24日を独立の期日”と定め、今年9月18日に賛否を問う住民投票を実施することとなったのです。

My desire is always to be here
僕の思いは、いつだってこの地と共に
Oh Mull of Kintyre
美しきキンタイア岬…


でも、もしもスコットランドがイギリスから離脱したら…
想像してみてください、離婚後の夫婦関係を?
別れても隣り合わねばならない両国の間に、さまざまな問題が待ち受けていることは想像に難くありません。

そして…
やがていつの日か“UK”という概念は世界から消滅し、本当に“イギリス=England”となる日がやって来るのかもしれません…。



「夢の旅人」

最後までお読みいただき、ありがとうございました♪
“Lyrics&歌詞和訳”は下の“続きはこちら>>”をクリックして表示させてくださいね。


Writer(s): Paul McCartney, Denny Laine /訳:Beat Wolf



Mull of kintyre
あぁ…海から押し寄せる霧
僕の思いは、いつだってこの地と共に
美しきキンタイア岬…

遠くを旅し、多くを見てきたけれど
緑豊かな渓谷と、彼方に黒くそびえる山々
広大な荒野と燃える夕陽が
僕を、安らぎ満ちたこの地へと向かわせる



桃紫彩るヘザーの森を往く峡谷の鹿のように 
懐かしいあの頃へと連れ戻しておくれ
夜になると、聖歌隊のように清らかに
この地の暮らしや移ろいを歌った、あの頃へ…



陽射しを浴びては笑い、 雨に打たれては涙した
忘れ難い思い出は、今もその場所へと心誘(いざな)い
消えかけた残り火も、盛る炎となって
また僕を、この地へと連れ戻す

*×2
Mull of kintyre
あぁ…海から押し寄せる霧
僕の思いは、いつだってこの地と共に
美しきキンタイア岬…


~Let's Singin'~

最後までお読みいただき、ありがとうございました♪
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tags : 音楽 洋楽 和訳 Lyrics 

コメント

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2014.09.12    編集

Re: こんばんは

ありがとうございます。
喜んで、了承させていただきます。

2014.09.13  Beat Wolf  編集

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2014.09.13    編集

Re: お礼

こちらこそ、ありがとうございました。

ずいぶん遠い話のようですが
日本にも影響が及ぶかもしれませんね…。

2014.09.14  Beat Wolf  編集

こんばんは

いつもお世話になってますです。

80年代に、この唄をスコットランド国歌にしよう!
という運動が起きたことがあります。
そういう余裕と云うか、心のゆとりが、当国にも、
そして英国にも求められるところですね。
実際にそれに相応しい曲ですし....。

今後ともヨロシクです。

2014.09.15  pipco1980  編集

イギリスの件いったいどうなる事でしょうか。例え国境ができたとしても、音楽は世界を繋ぎます。しかしあの国旗デザインが変わってしまうとなると正直戸惑いは隠せません。

2014.09.16  わんわんわん  編集

Re: こんばんは

そうですね。
スコットランドってスポーツの国際大会でも
出場が制限されるので、世界の人は国歌を知りませんよね。
その点、ポールの歌なら知名度も高いし…。

独立して、共に発展すればいいですが
もしイギリスが崩壊していくようだと
いろんな意味で世界への影響は計り知れないと思います。

2014.09.16  Beat Wolf  編集

わんわんわんさん

現在イギリスは女王まで使って引き留めようと必死ですが
もし独立したら、無になったエネルギーは怒りに変わります。
みんながハッピーになれるといいのですが…。

2014.09.16  Beat Wolf  編集

賽は投げられました

こんばんは。19日の午後には結果が判明するようですが、いよいよ始まりましたね。

Mull of Kintyreは聴けば聴くほど味が出てきますね。Paul McCartneyは今回の動向をどのように思っているのでしょうね。

2014.09.19  Easy Music Reviews  編集

Re: 賽は投げられました

独立しないことに決まりましたね。
ポールも、ホッとしていると思いますよ。

ギターはイエスタデイを三拍子にした感じですが
バグパイプの響きが効いてますね。

2014.09.19  Beat Wolf  編集

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