I Wish~洋楽歌詞和訳&解説

80年代の洋楽ロック・ポップス&ビートルズを中心に、歌詞の和訳と詳しい解説でお届けします♪

「パイプス・オブ・ピース」ポール・マッカートニー

2015.12.11

category : Beatles & Solo

Paul McCartney - Pipes Of Peace1 Paul McCartney - Pipes Of Peace2


Paul McCartney - Pipes Of Peace (1983年)



~ポールの平和への願い~

今年12月5日、ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデン・シアターでジョン・レノン生誕75周年を記念するイベント『IMAGINE:John Lennon 75th Birthday Concert』が、ジョン・フォガティ(元CCR)、スティーブン・タイラー(エアロスミス)、ランドン・フラワーズ(キラーズ)、ウィリー・ネルソン、シェリル・クロウ、そしてオノ・ヨーコらによって催されました(実際のジョンの誕生日は10月9日)。
「Imagine」や「Happy Xmas (War Is Over)」「Give Peace a Chance」など、“Peace”というとジョンのイメージが強いと思いますが、一方のポール・マッカートニーも平和を願う心では負けていません!

…その発想は、いかにもポールらしいものですけどね? 



~概要~

「パイプス・オブ・ピース」は1983年のアルバム『Pipes Of Peace』に収録された、そのテーマ曲です。
前作『Tug of War』と対を成すアルバムであり、『Tug of War』の二元的対立への問いに答える作品となっています。
この2つのアルバムは今年新たにリマスターした音源と未発表音源・映像を加え、“豪華再発シリーズとして10月に再発売されました(「Say Say Say」の新映像は当時紹介しました♪)。

アルバムからはまずマイケル・ジャクソンとの「Say Say Say」が先行してカットされ世界的大ヒットとなりましたが、「Pipes Of Peace」はイギリスでの2ndシングル(B面は「So Bad」)としてリリースされ、こちらは全英No.1を記録しました。
ポールはビートルズで17曲、ウイングスで1曲、スティーヴィー・ワンダーとの「Ebony and Ivory」やフェリー・エイドでの「Let It Be」などのコラボで5曲の全英No.1シングルを保持していますが意外にも純粋なソロ名義としての1位獲得曲は他に無く、現時点でこれが唯一の全英No.1です。

一方アメリカでは「So Bad」がA面(B面は「Pipes Of Peace」)として発売され、Billboard Hot 100で23位を記録しています。
ちなみに「So Bad」ではビートルズの同僚リンゴ・スターがドラムを叩いており、この曲のPVにも出演して話題となりました。
リンゴ・スターといえば、先日“ジョン・レノンのギターが3億円”というハナシをしましたが、12月初めのオークションに於いて「シー・ラヴズ・ユー」などでリンゴがプレイしたラディック社製のドラムセットが約220万ドル(約2億7000万円)で落札されたそうですよ!

1984年に自身が脚本・主演を務めた『ヤァ!ブロード・ストリート』を発表したことからも分かるとおり当時映画にも色気を持っていたポールは、「パイプス・オブ・ピース」のPVにも並々ならぬ情熱を注いで制作しています。
「Pipes Of Peace」のレコーディング映像に映るポールは“いつになくサッパリした髪型”をしていますが、これはPVで彼が演じる役柄のために短く切ったためだそうです。
その甲斐あってこの映像は私もお気に入りの一本ですが、その詳細は記事の後半にて…。 

 
 



~Lyrics~

I Light A Candle To Our Love
愛のキャンドルに、火を灯そう
In Love Our Problems Disapper
ぬくもりで、きっと僕らの問題も消えてなくなる

何事も、それで解決できたら誰も苦労しない…
いかにもポールらしい楽観的な考えですが、物事の道理とは案外単純明快です。

問題は、憎しみ合っている同士がどうやって互いを思いやる気持ちになれるか…
…その答えは、この歌の中にちゃんと記されています!
これもポールらしい答えの出し方ですが、意外にも既にこれが“実戦”で証明されているらしい!?
(これも後ほど


Help Them To Learn (Help Them To Learn)
子どもたちに教えてあげよう
Songs Of Joy Instead Of Burn, Baby, Burn (Burn, Baby Burn)
戦火の歌でなく、喜びの歌を

戦争が起きると当該国では反戦歌や戦意を萎えさせる歌は禁止され、軍歌など戦意を煽る勇ましい歌が推奨されます。
“世界で最も有名な軍歌”といえばビートルズの「All You Need Is Love」のイントロにも使われたフランス国歌ラ・マルセイエーズ(La Marseillaise)」がありますが、その歌詞をみるとお洒落なパリのイメージとは正反対の忌まわしい言葉のオンパレード!(こんな歌詞を子どもに歌わせるの??

戦争が如何に醜いものかを物語る、好例です…。


Help Them To See (Help Them To See)
みんなに教えてあげよう
That The People Here Are Like You And Me (You And Me)
人は、誰もが君や僕と同じなんだって

戦争指導者は国民に人を殺す罪悪感を失わせるため(戦争に賛同させるため)、敵への憎しみを煽り相手の人間性を否定するプロパガンダを駆使するものです。
太平洋戦争に突入した日本はアメリカ・イギリスを“鬼畜”、アメリカは日本を“Yellow Monkey(黄色い猿)”と互いを人間以下の動物と蔑視しました。
[※鬼畜は、餓鬼(強欲な死者)・畜生(人間以外の生物)の略語]

怖いのは、戦争が始まってしまうとこの歌のような訴えは力ずくで排除されてしまうこと。
本当に国民を虐げているのは、誰…?



~Epilogue~

「パイプス・オブ・ピース」の楽曲を聴いているととても“ほんわか”していて、歌詞やPVを知らなければこの作品が“反戦歌”であると誰も思わないのではないでしょうか?
そういう意味からすると、この作品は楽曲とPVが一体となって初めて本当の意味を成すのだと思います。

PVの映像が戦場を舞台としているのは一目瞭然ですが、冒頭には“FRANCE,1914 Christmas Day”と記されていることにお気づきのことでしょう。
つまり、この映像は1914年に発生した“第一次世界大戦”のいわゆる“西部戦線”が舞台であり、その年のクリスマスに最前線で生じた“クリスマス休戦(Christmas truce)”の史実に基づいています。
1914年8月、ベルギーおよびルクセンブルクを撃破したドイツ軍はフランス北部に侵攻、パリまで70キロに迫るもそこから一進一退となり両軍塹壕を造築し長期戦の様相を呈し始めていたその年の暮れ…

Let Us Show Them How To Play The Pipes Of Peace
僕らにパイプの手ほどきさせておくれ
Play The Pipes Of Peace
共に、平和のバグパイプを奏でよう

クリスマス休戦は、フランドル地方に展開する一部の英・独軍の間で生じました。
ある戦線ではクリスマス・イブの夜、ドイツ兵が塹壕の中でクリスマス・ツリーを飾り「きよしこの夜」を歌っているとイギリス兵たちも呼応するように同じ歌を歌い、夜が明けると両軍の兵士がそれぞれ塹壕を出て停戦状態が生じたといいます。 (ポールの“答え”がちゃんと実戦で通用したでしょ?
その間両軍の兵士たちは合同で戦死者を埋葬したり食料や酒・タバコなど交換したり、記念写真を撮ったりサッカーの試合をするなどしてクリスマスを祝ったそうです。
停戦は正式なものではなく現場の判断でなされたものであり両国上層部もこのような非公式の停戦を今後認めないと厳命したため、以降1918年の終戦(公式の停戦)まで戦いは休みなく続けられました。



クリスマス休戦については2005年に当該国である仏・独・英による合作映画『戦場のアリア(Joyeux Noël』でも描かれていますが、PVでポールは英・独双方の兵士の二役をこなしています。
確かに、ここで起こったことはごく例外的でありその後も彼らは“共にサッカーした相手と戦争”し続けました。
…でも、きっと思ったはずです。

“俺、何でアイツと殺し合わなきゃならないんだ…?”


それから百年を経た今日、そのフランスで同時多発テロ事件が発生し、テロとナショナリズムの対立が世界に連鎖し広がっています。
しかし、こうした“現在のヨーロッパと中東に横たわる禍根は第一次世界大戦から生まれた”といっても過言ではありません。
この戦争でイギリスは、オスマン帝国のアラブ人勢力に対し帝国への反乱の見返りに彼らの地域の独立を認める約束(フサイン=マクマホン協定)を交わした一方で、ユダヤ商人から資金援助を得るためユダヤ人のパレスチナへの入植を支援する約束(バルフォア宣言)をしてしまい、今日にも至る“パレスチナ問題”となりました。
また、この戦争でイギリスがフランス及びロシアと交わした密約(サイクス・ピコ協定)によって彼らの利害でオスマン領分割の国境線を引いてしまったため、“クルド人問題”など同じ民族が複数の国に分断されたままの状態が今なお続いています。

テロとナショナリズム…
歴史を省みると、戦死者1,600万人・戦傷者2,000万人以上をもたらした“第一次世界大戦はテロへの報復から始まりました”
たった一つのテロが報復を生み、互いの同盟国が参戦し、あるものは融資先が敗戦国になっては困ると参戦し、そうして誰も予想しなかった大戦争へと発展したのです。

彼らは、自分がそんな危うい綱渡りをしていることに気づいているだろうか?
まずは、なぜ自分に敵意が向けられるのかを相手の立場になって冷静に考えてみること…
答えは、そこから見つかるような気がします。

But All In All We Soon Discover
だけど、大抵すぐに気づくものさ
That One And One Is All We Long To Hear
一個と一個が合わさって、みんなの願いとなることに


大切な人を失った人にも、やさしいクリスマスが訪れますよう… 



「パイプス・オブ・ピース」

“Lyrics&歌詞和訳”は下の“続きはこちら>>”をクリックして表示させてくださいね♪


Writer(s):Paul McCartney /訳:Beat Wolf


愛のキャンドルに、火を灯そう
ぬくもりで、きっと僕らの問題も消えてなくなる
だけど、大抵すぐに気づくものさ
一個と一個が合わさって、みんなの願いとなることに…

世界中で
幼い子どもたちが生を受け
戦争の勝利まで、でき得るすべてを僕らは授けてきた
だけど、務めはそれで終わり?

子どもたちに教えてあげよう(Help Them To Learn)
戦火の歌でなく、喜びの歌を(Burn, Baby Burn)
僕らにパイプの手ほどきさせておくれ
共に、平和のバグパイプを奏でよう

僕にも教えておくれ
戦火の歌でなく、喜びの歌を
手ほどきしてくれない?(How To Play)パイプの吹き方を(Pipes Of Peace)
共に、平和のバグパイプを奏でよう

君ならどう思う?(What Do You Say)
人類は一日にして変わることができる?(In A Day)
それとも僕らが弄ぶこの惑星を、誰かが救ってくれる?
もう、それしかない?(僕らは何をすればいい?)

みんなに教えてあげよう(Help Them To See)
人は、誰もが君や僕と同じなんだって(You And Me)
だから、手ほどきさせておくれ(How To Play)パイプの吹き方を(Pipes Of Peace)
共に、平和のバグパイプを奏でよう
Ooh...

愛のキャンドルに、火を灯そう
ぬくもりで、きっと僕らの問題も消えてなくなる
だけど、大抵すぐに気づくものさ
一個と一個が合わさって、みんなの願いとなることに…


~Let's Singin'~

最後までお読みいただき、ありがとうございました♪
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tags : 音楽 Lyrics 和訳 洋楽 

コメント

こんにちは~♪
この曲は初めて聴きました。ビートルズは好きでよく聴きます。
ポールの声と歌い方は甘いですね。初めて聴いた曲は歌、演奏、メロディー、
ニュアンスで聴いてしまいがちです。でも何度も聴くうちにようやっと
理解出来ることがよくあります。訳詞を読んでこういう意味だったのかと、
より気づかされます。

訳詞は助け手です。
ありがとうございます!!

2015.12.12  みすてぃむーん  編集

みすてぃむーんさん

こんばんは♪
先日の「P.S. I Love You」もそうですが
こういう天然な甘さが、ポールの持ち味なのだと思います。
ジョンだと、刺激的な言葉を期待する人から歌詞も注目されますが
ポールの場合、その甘さのせいか軽く取られがちです。

この歌も、なかなかいいメッセージでしょ?
実は、PVを合わせて考えるともっと深い意味があります。
本文では、そこに触れる予定です♪

2015.12.12  Beat Wolf  編集

こんにちは

はじめまして!あるブログを拝見していたら、このブログに出会いました。私もブログを開設しています。「鬼藤千春の小説・短歌」で検索できます。一度訪問してみて下さい。よろしくお願い致します。

2015.12.13  鬼藤千春の小説・短歌  編集

Re: こんにちは

はじめまして。
ご訪問、ありがとうございます。
それでは、後ほどお邪魔いたします。

2015.12.13  Beat Wolf  編集

素敵な歌詞ですね☆
一個と一個が合わさって、みんなの願いとなる☆
人は誰もが君と僕と同じ☆

単純明快ですよね。
同じ人間で、同じ感情を持っている。
思いやることができれば解決できること☆

2015.12.19  ☆dct☆  編集

☆dct☆さん

…そう、理屈は単純明快です。
でも、そこには戦争の勝者と敗者という絶対的な地位に違いがあります。
勝者は力ずくで敗者を従わせることができるので、まず自分の過ちを認めません。
アメリカが原爆投下の正当化を決して譲らないのと、同じですよね?

戦争は、理不尽と憎しみを生む素です。

2015.12.20  Beat Wolf  編集

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