I Wish~洋楽歌詞和訳&解説

80年代の洋楽ロック・ポップス&ビートルズを中心に、歌詞の和訳と詳しい解説でお届けします♪

「ラザルス」デヴィッド・ボウイ

2016.01.22

category : David Bowie

David Bowie - Lazarus1 David Bowie - Lazarus2


David Bowie - Lazarus (2015年)



~デヴィッド・ボウイ…“art”に命を捧げた男~

1月10日、“ロック界のカリスマ”デヴィッド・ボウイが肝臓がんのため亡くなりました(享年69)。
かつて“メジャーなカルト・ヒーロー”と形容されたように、難解な一面を持ちながらトータル・セールス1億3000万枚以上を達成する“artistの理想形”といえるそのスタイルは、後進に多大な影響を与えた偉人でした。

そして彼の最期を飾ったシングル「Lazarus」を以って、“生涯を懸けたartは完結”…
デヴィッド・ボウイからのラスト・メッセージ、お聴き届け下さい。



~概要~

「ラザルス」は、デヴィッド・ボウイの69回目の誕生日であり彼が亡くなる2日前の2016年1月8日に発売された25枚目のアルバム『★』(“Blackstar”と読む)の収録曲です。
プロデューサーは1969年から現在に至るまで12作ものアルバム制作に携わり“デヴィッドを知り尽くした盟友”、トニー・ヴィスコンティ
アルバムからは昨年11月に先行シングル「★」がデジタル配信されており、それに続く2ndシングルとして12月17日に「ラザルス」が配信されました。

UK Official Singles Chartでは1/15付・初登場45位、US Billboard Hot 100では1/30付・初登場40位(これは、この週の最高位ランク・イン)を記録しており、デヴィッドにとってHot 100のTop40ヒットは1987年の「Never Let Me Down」以来のことです。
また、デヴィッドの死去に伴ってUKチャートでは「Heroes」(12位)・「Life On Mars」(16位)・「Starman」(18位)・「Let's Dance」(23位)・「Space Oddity」(24位)など、トップ100に彼の過去の作品を含め13曲がランク・インする現象が起きています。
一方UKアルバム・チャートでは『★』が初登場1位を記録し10枚目のNo.1となったのをはじめシングル・チャート同様トップ100内にデヴィッドのアルバム19枚がチャート・インする騒ぎとなり、US Billboard 200でも初登場1位に輝きましたが意外にも彼のアルバムが全米No.1を獲得したのはこれが初めてのことです(これまでの最高は2013年『The Next Day』の2位)。

さらに「ラザルス」は、オフ・ブロードウェイの劇場“New York Theatre Workshop”で昨年12/7~1/20に限定公演されたミュージカル『Lazarus』のためデヴィッドによって創作された楽曲でもあります(『Lazarus』の主演はマイケル・C・ホール)。
この舞台は1976年にデヴィッドが初めて主演したカルト映画『地球に落ちて来た男(The Man Who Fell To Earth)』の40年後を描いた内容となっており、デヴィッド自らも脚本など共同制作者として数年懸かりで密かに精力を注いできたプロジェクトでした。
デヴィッドの突然の死を受け、ニューヨーク市は彼の長年に亘る芸術への功績に敬意を表しミュージカル『Lazarus』の最終日である1月20日を“David Bowie Day”とすることを定め、当日のカーテンコールで宣言書が授与されたそうです。

 



~Lyrics~

Look up here, I’m in heaven
見上げるがいい、俺は天国(ここ)にいる
I’ve got scars that can’t be seen
この傷痕、見ること能(あた)わず

まるでデヴィッド自身に起こる運命を予言していたかのような一節…
【scars】は“癌による傷あと”? …それとも、69年の波乱の生涯を生きた“心の傷”?

【Lazarus】というと、欧米では“イエス・キリストの友人で新約聖書に記される聖人”を思い浮かべることが多いようです。
『ヨハネによる福音書』に拠ると、ラザルス(ラザロ)は一旦病死するものの4日後に墓を訪れたイエスによって蘇り、布に巻かれたまま墓から出てきた…というのです!
包帯で巻かれたような不気味な目隠しといい、デヴィッドは死病に憑かれたラザルスに自分を重ねたのでしょうか…(それとも、奇跡の蘇生を望んだ?)。


I’ve got drama, can’t be stolen
この趣向、これを出し抜くこと能わず
Everybody knows me now
そしてその瞬間、誰もが俺を認識している

予言めいた歌と映像、直後に訪れたデヴィッドの死、訃報が駆け巡り世界じゅうが彼の死を悼んだ…
これはまるで、今回“デヴィッド周辺で起きた現実が彼自身による演出”であるかのようでさえあります。
…だとしても最近はマイケル・ジャクソンやマドンナなど、正式発表前に不法リークされてしまう事件が後を絶ちません。
そんなに上手くゆくのでしょうか…?(~Epilogueへと続く~


Then I used up all my money
やがて、金も使い果たし
I was looking for your ass
あいつを追い求めていった

【your ass】は、恐らく最もデヴィッドの実像を示していると思われる言葉です。
まず【your】は“あなた”を意味することに変わりありませんが、“相手の性別を特定しない都合良さ”がこの表現のポイントであったのではないでしょうか?
その二人の関係を暗示しているのが【ass】ですが、これは“学校では決して教えない類いの言葉”であり敢えて訳は“あいつ”に止めておいたので、“禁断”をお知りになりたい方はこっそりとお調べくださいね? 



~Epilogue~

『★』のプロデューサー、トニー・ヴィスコンティは今回の一連の出来事が“死期を悟ったデヴィッド自身が綿密に計画した、ファンへの別れのメッセージ”であることを認めています。
偶然ではなく、発表の時期も含めたすべてが故意に行われたものであったと…。

“彼の死も、彼の生と変わりなくアートの一部なんだ。
彼は『★』をみんなのために作った。別れの贈り物として…。”


それゆえ、デヴィッドの命を懸けたプロジェクトの漏洩を防ぐためアルバム『★』のレコーディングとミュージカル『Lazarus』の計画は完全秘密裏に遂行され、デヴィッドの病のことはごく一部の人間だけが共有し録音に参加したミュージシャンにさえそのことは伏せられていたそうです。
ミュージカル『Lazarus』の舞台監督イヴォ・ヴァン・ホーヴェは、終末へと向かうデヴィッドの最期の日々について以下のように語っています(要約編集)。

“1年3ヵ月以上前、彼から肝癌を患っていると告げられた。それが理由で、責務を全うできない可能性があることも…。壇上のボウイは元気そうだと報道されていたが、舞台裏では極度の疲労のため倒れていた。でも彼は作業を中止するのを拒み、病と必死に闘っていた。舞台挨拶の日、彼はステージから降りると椅子が必要なほど弱っていたにも関わらず‘さあ、次のを創ろう’と言ったんだ。”

David Bowie - Lazarus5

This way or no way
これ以外に道はない…


デヴィッドは死の2日前で、自身の69歳の誕生日である1月8日に長年彼を撮り続けてきたフォトグラファー、Jimmy Kingとフォト・セッションを行っています(恐らく生前最後の公式写真)。
ここでの彼は、この世に残された時間が僅か48時間であるというのに、全く“死の影”を感じさせません…。

David Bowie - Lazarus3 David Bowie - Lazarus4

18か月に亘りガンと闘い続けたデヴィッドは、家族に言いました。
“騒がれずに逝きたい、葬式はしないでほしい…。”
彼はスーパースターDavid Bowieに相応しい終幕だけでなく、一人の人間David Robert Haywood Jonesとしての終末の意思も明確でした。
デヴィッドは大きなショーやファンファーレに浴することを望まず、自らは“ただ消え去る最期”を、世界中のファンには“彼と音楽を共有した‘いい時間’だけ覚えていてほしい”と望んでいたそうです。

トニー・ヴィスコンティは、次のようにデヴィッドの遺志を代弁しています。
“彼は常に自分のしたいことをしました。そして自分流のやり方で、ベストのことをしたいと思っていました。
彼の人生と同じように、彼の死も芸術作品だったのです。彼が残したレコードは彼からの訣別のプレゼントです。”


Ain’t that just like me
…俺らしいだろ?

David Bowie , R.I.P. 



「ラザルス」

“Lyrics&歌詞和訳”は下の“続きはこちら>>”をクリックして表示させてくださいね♪


Writer(s): David Bowie /訳:Beat Wolf

~Lyricsはこちら~


見上げるがいい、俺は天国(ここ)にいる
この傷痕、見ること能(あた)わず
この趣向、これを出し抜くこと能わず
そしてその瞬間、誰もが俺を認識している

見上げるがいい、俺は危地(ここ)にいる
失うものなど、何もない
ただ興奮が過ぎ、めまいがする
携帯電話も下に落とすほど

俺らしいじゃないか…

ニューヨークに来るまで
俺は王さま気取りに振る舞ってきた
やがて、金も使い果たし
あいつを追い求めていった

これ以外に道はない
そうさ、俺は自由になる
あの青い鳥のように
俺らしいじゃないか

あぁ…俺は解放される
あの青い鳥のように
自由になる
俺らしいじゃないか…


~Let's Singin'~

最後までお読みいただき、ありがとうございました♪
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tags : 音楽 Lyrics 和訳 洋楽 

コメント

こんばんは~
この歌いかたはハードではなく、心の内面から微妙に訴えてくるようで
良い感じです。
今となっては、「僕は天国にいる金も使い果たし あいつを追い求め 開放される
青い鳥のように自由になる」の詞のとおりに成就しているでしょうか?
意味深いです。

2016.01.22  みすてぃむーん  編集

みすてぃむーんさん

何だか、絞り出すような感じですよね。
まさに、「心の内面から微妙に訴えてくる」よう!
ご指摘の「金も使い果たし あいつを追い求め…」は、ポイントです。
後ほど詳しく触れますね♪

でも、「ようやく自由になれる」みたいなニュアンスもありますよね。
彼にとって、「死」とはどんな意味があるのでしょう…。

2016.01.22  Beat Wolf  編集

デヴィット・ボウイの亡くなる2日前に「ラザルス」が発売で、シングルもアルバムもチャートインは凄いです。このラザルスがイエスに復活させられたラザロを
暗示しているのであれば、デヴィットも同様に蘇るということをDVDは
表現しています。
その画像の目は力をおびて、歌い方もメッセージ性で訴えて迫っています。

死をも、ものともせず終焉のアーティスト魂です(´ヘ`;)

2016.01.25  みすてぃむーん  編集

みすてぃむーんさん

「ラザルス」の発売は12月で
アルバムがデヴィット・ボウイの亡くなる2日前(1/8)です。(笑)
でもこういう一つひとつのスケジュールが
デヴィットの命数を数えてのことだったのでしょう。

そう思われますか?
MVの最後でデヴィットがクローゼットの中に入っていきますが
「棺桶に入って奇跡を待つ」? …と、私も妄想しましたよ。(笑)
「終焉のアーティスト魂」…まさに同感です!(上手いネーミング♪)

2016.01.25  Beat Wolf  編集

カッコよすぎ☆
死を前に、全て想いの通りに生きる。

This way or no way
Ain't that just like me

ここまで、冷静に自分の“生”を見つめることが出来る人は、そうそういないですよね。

★・・・魂デスね。

2016.02.04  ☆dct☆  編集

☆dct☆さん

そうですよね♪
自分の死さえ創作にしてしまうなんて
アーティストにとって本望なことですが
それを実現できる人は、稀だと思います。

実力と運、そして「それを絶対やり遂げる」という
信念が根底にあったのでしょうね…。

2016.02.04  Beat Wolf  編集

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