I Wish~洋楽歌詞和訳&解説

80年代の洋楽ロック・ポップス&ビートルズを中心に、歌詞の和訳と詳しい解説でお届けします♪

「ティル・ゼア・ウォズ・ユー」ビートルズ

2016.03.25

category : Beatles & Solo

Beatles - Till There Was You1 Beatles - Till There Was You2


The Beatles - Till There Was You (1963年)



~ビートルズ・デビューのきっかけとなったレコードが7万7500ポンド!?~

ビートルズのデビューのきっかけとなった『Parlophone』(後の所属レコード会社)へ提出したデモ用の「Till There Was You / Hello Little Girl」のレコード《写真・左》が、先ごろ3月22日のオークションで予想価格1~2万ポンドを大きく上回る7万7500ポンド(約1250万円)で落札されました!
このレコードは1962年1月1日のデッカ・レコード・オーディション(不合格)のテープを、オックスフォード・ストリートのHMVストアで78回転・10インチ(約25cm)のアナログ・レコードにプレスし直したもので、“この世にただ一枚のレコード”であること、“ビートルズの運命を導いた歴史的意味”を考慮するとこれでも安いのかもしれません。

ところで、この競売はネットを含めた公開オークションであるため私もリアルタイムで参観しており、“終了時点での落札額は6万6000ポンド”だったはず《写真・右》ですが、一夜明けたら7万7500ポンド
オークションには、“続き”があった…?? 



~概要~

「ティル・ゼア・ウォズ・ユー」は1963年11月22日に発表した2作目のイギリス盤公式オリジナル・アルバム『ウィズ・ザ・ビートルズ(With the Beatles)』の収録曲です。
ビートルズがオリジナルではなく1957年のブロードウェイ・ミュージカル『Music Man』の劇中歌であり作者はアメリカの作曲家メレディス・ウィルソン(Meredith Willson)、女優Barbara Cookによって劇中で歌われました。

ビートルズがこの曲をレパートリーに入れた1962年(ハンブルグ巡業から)には同ミュージカルが映画化(歌唱はシャーリー・ジョーンズ)されていますが、「ティル・ゼア・ウォズ・ユー」を歌ったポール・マッカートニー本人は当初『Music Man』の曲とは知らなかったそうです。
ポールが「Till There Was You」を知ったのは、1961年にイギリスで30位を記録したアメリカの歌手ペギー・リーのカバーver.によってでした。

1963年7月18日、「ティル・ゼア・ウォズ・ユー」のレコーディングは始まり、ジョンもジョージもアコースティック系のギター(ギター・ソロはジョージ)というロック・バンドらしからぬ編成がなされていますが、さらに後日“この曲にドラムスは合わない”と“リンゴはボンゴ!”に回されています。
こうしたソフトなレパートリーはロックのコンサートには変わり種ですが、イギリス王室主催の『ロイヤル・ミュージック・パフォーマンス(The Royal Variety Performance)』のような場にはうってつけであり、後にこの音源は『The Beatles Anthology 1』に収録されました。

楽曲・アレンジ共に素朴な作品ですが、こうしたほのぼのしたテイストは後の自作曲「I'll Follow The Sun」(1964年)や「I will」「Blackbird」(1968年)など、“ポールに欠かすことのできない持ち味の雛型となった曲”といえるでしょう。
冒頭で紹介したデビュー前1962年1月のデッカ・オーディションの音源にはポールのヴォーカルやアレンジにもまだ野暮ったさがあり、この1年で見違えるほど彼らが成長を遂げていったことがよくわかるので聴き比べてみると面白いですよ♪

 
 



~Lyrics~

There were birds in the sky
空に、戯れあう鳥たち…
But I never saw them winging
だけど、その愛らしさもこの目に映らなかった

…飛んでいるのは、どんな鳥? (ボク…?

lyricsは同じでもアレンジや歌い方が違うと与える心象も変わるもので、ミュージカルver.を聴くと“遠くの空、優雅に飛びゆく白鳥”を思い浮かべますが、ここでの訳はビートルズver.のイメージを反映させたものです。
もちろんこれは聴く人によっても異なるでしょうが、私にとってビートルズver.には“のほほんとした優しさ”が感じられ、遠い空というより“近い空”、優雅な白鳥というより“愛らしい小鳥”が真っ先に浮かんだのでした。


They tell me in sweet fragrant meadows
…そして、教えてくれた
Of dawn and dew
朝露に濡れた草原の甘い芳(かぐわ)しさを

【dawn and dew】は[暁露]の方がより正確と思いますが“ぎょうろ”という仰々しい響きは、この曲に似つかわしくないでしょう?
夜の冷えで水蒸気が結露し夜が明け太陽が昇り気温が上がると、露の蒸発と共に大地のにおいを放散する…
日々繰り返される自然の営みですが、その芳香はまさに“露”と共に儚く消えてしまうもの。

“お寝坊さん”は、気づかない? 


There was love all around
世界は、こんなにも愛があふれていたのに
But I never heard it singing
その幸せの歌に、僕は耳を傾けようとしなかったんだね

この歌の主人公は“愛しい人”に出逢うことで、この世が“愛しいものに包まれている”ことを知りました。
すべてがバラ色に見えたかはわかりませんが、確かにそんな巡り合わせってあるものです。
でも“逆もまた真なり”で、一つの出逢いが周りの景色を一変させることもあれば、“何気ない周りの景色に愛しさ(幸せの歌)”を見出すことができる人だからこそ、“誰かを愛しい”と思えるのではないでしょうか…。

…あなたは、“幸せの歌”が聴こえていますか? 



~Epilogue~

Beatles - Till There Was You3
Sir George Martin 1926-2016

去る3月8日に亡くなったビートルズのプロデューサー、ジョージ・マーティン(享年90)…
その偉大なる功績に敬意を表し、本記事を彼に捧げます。

ジョージ・マーティンの功績について、これまでも「In My Life」「Being for the Benefit of Mr. Kite!」などで触れてきました。
彼の死に際し、「Strawberry Fields Forever」や「A Day in the Life」などを取り上げるのが妥当といえますが、私は敢えて“出会い”をテーマとすることにしました。
何故なら、ジョンとポールという何十年~百年に一人の天才が同じ街に生まれ、出会い、パートナーとして活動を始めたこと自体“奇跡的”ではあるものの、それだけでは史実にあるような“本当の奇跡”はまず起きなかったと私は思っているからです。
その不可欠な要素こそが“ビートルズ愛”に溢れるマネージャーのブライアン・エプスタインとの出会いであり、“真の5人目のビートル”ジョージ・マーティンとの出会いであったと…。


1962年、デッカ・オーディションの不合格以降もビートルズの売り込みに苦戦を続けていたブライアンは、このオーディションで録音した音源からレコードを制作しレコード会社にデモとして配ることを思いつき、この時オックスフォード・ストリートのHMVでプレスした一枚が冒頭で触れた78回転盤の「Till There Was You / Hello Little Girl」でした。
そして、その際の担当者がビートルズに興味を持ちEMI系列の出版社のマネージャーを紹介してくれたため、そこからEMI傘下『Parlophone』のプロデューサーだったジョージ・マーティンと会う約束を取りつけることができました。

しかしブライアンがジョージに面会しレコードを聴いてもらうと彼の反応は芳しいものではなく、返答は“今かけてるこれで判断しろというなら、申し訳ないが断るしかない”でした。
この時のブライアンの落胆ぶりは相当なものだったようで、それを見たジョージは“ものすごく誠心誠意な若者だったので、本当に気の毒になって‘リヴァプールから連れてこれるなら、スタジオを1時間使っていいよ’”と、ついOKしてしまったそうです。

6月6日の午後、ビートルズがアビー・ロード第3スタジオに入ると、予定を大幅に延長し午後10時まで彼らの演奏を聴いてもらったもののこの時もジョージは“音楽は全くダメだと思った”そうです。
それでも彼は、この若者らに機材のことやプロの録音アーティストになるために彼らの何がどうダメなのか説明を重ねたといわれます。
その上で、ビートルズに対し“ずいぶん長々と言いたいことを言ってしまった。何も返事が無いようだけど、何か気に入らないことはあるか?”と尋ねました。
すると、メンバーの中からジョージ・ハリソンが…

“まず、おたくのネクタイが嫌いだ…”

このユーモアの利いた反撃に一堂の緊張が解け、以降互いにうち解けることができたそうです。
それが功を奏したか…結果、ジョージ・マーティンはビートルズと契約を結ぶことを決めました。
ジョージはその出会いについて、後にこう語っています。

“とてつもないカリスマ性だった。
一緒にいると、その分だけ自分の状態が良くなる。彼らがいなくなると、自分の何かが欠けたような気になる…
僕は恋に落ちたんだ。ただそれだけのことさ。”


No, I never saw them at all
あぁ…ただの一度もこの目に映らなかった
Till there was you
君に出逢うまでは

奇跡の歯車は、回り始めた・・・



「ティル・ゼア・ウォズ・ユー」

“Lyrics&歌詞和訳”は下の“続きはこちら>>”をクリックして表示させてくださいね♪


Writer(s): Meredith Willson /訳:Beat Wolf


丘の上、時を告げる鐘の音…
だけど、その美しい響きは僕の耳に届かなかった
あぁ…ただの一度も
君に出逢うまでは

空に、戯れあう鳥たち…
だけど、その愛らしさもこの目に映らなかった
あぁ…ただの一度も
君に出逢うまでは


それから、素敵な調べとバラを見つけたよ
…そして、教えてくれた
朝露に濡れた草原の甘い芳(かぐわ)しさを

**
世界は、こんなにも愛があふれていたのに
その幸せの歌に、僕は耳を傾けようとしなかったんだね
…そう、ただの一度も
君に出逢うまでは


**
君に出逢うまでは…


~Let's Singin'~

最後までお読みいただき、ありがとうございました♪
関連記事
スポンサーサイト

tags : 音楽 Lyrics 和訳 洋楽 

コメント

こんばんは~
曲は大体聴いたと思っていましたが、このポールの歌は
初めて聴きました。
最初に歌に耳を傾け、次いで和訳を読みながら
聴くと、かなり曲の響きが違って心に訴えてくる
ロマンの詞ですねぇー!
君に出逢うまでは、鐘の音も鳥たちも
耳も目も・・・
こんなに愛しさにあふれていてなんて・・・♪
この当時のポールもメンバーも
若かったですね(ΘoΘ;)

2016.03.25  みすてぃむーん  編集

みすてぃむーんさん

この曲は初期の曲で、シングル・カットされてないし
地味なテイストなのでアルバムを聴いてないと
耳にする機会は少ないでしょう。

じっくり聴いていただいたのですね♪
ほのぼのした曲調ですが、歌詞にふれると…
ロマンでしょう?(笑)

若いし、みんなが同じスーツを揃えてるって
今から見ると新鮮ですよね。
でも、人は齢をとるんですね…。(笑)

2016.03.25  Beat Wolf  編集

こんばんは~
一つの曲にもいろいろな出来事、いきさつがありますね。
公開オークションにリアルタイムで参観されて熱意です(パチパチ)

曲の当時の状況説明は詳しいですね。ビートルズverは“のほほんとした
優しさ”は確かにポールのこの曲調は優しさがあります。

何気ない周りの景色(幸せの歌)で、つまりこれまで見たり聞いたりしても
気づかなかったことも、君との出逢いで見開かれたと(^_^)v

あっ、それとジョージの「ネクタイが嫌いだ」のユーモアの効いた言葉も
いいです。ジョージ・ハリスンの歌も好きですー!
今晩も盛りだくさんの濃い内容でした♪

2016.03.28  みすてぃむーん  編集

みすてぃむーんさん

この日オークションに出されたアイテムは214個で
私は後半のいくつかを参観しました。
でも、それぞれ数十秒から2-3分で終わるので
意外と呆気なかったです。

当時の状況は、とても興味深いです。
運命の出会いには偶然の助けがあったり、ブライアンの懸命さがあったり
そして、決め手は歌でなく「ジョージのジョーク」かい!?
…なんて?(笑)

「何気ない周りの幸せ」は、みすてぃむーんさんもよく感じておられるようですね。
「お裾分け」、いつもありがとうございます♪

「ネクタイが嫌いだ」は、ユーモアのようでもあるし
プロの専門知識や技術レベルの高さに圧倒された少年の
「精一杯の強がり」のようにも思えましたよ。(笑)

2016.03.29  Beat Wolf  編集

And wonderful roses, they tell me

こんにちわ、おじゃまします、
ブリッジの所、 
they tell me と代名詞が複数形なので、 
見ると、複数は、roses しかないので、 
明方の露の中の薔薇たちが、音楽があると私に言った、 
と言う文章ではないかな? と思うのですが、 
失礼しました、

2017.04.30  ノエルかえる  編集

Re: And wonderful roses, they tell me

> こんにちわ、おじゃまします、
> ブリッジの所、 
> they tell me と代名詞が複数形なので、 
> 見ると、複数は、roses しかないので、 
> 明方の露の中の薔薇たちが、音楽があると私に言った、 
> と言う文章ではないかな? と思うのですが、 
> 失礼しました、


コメント、ありがとうございます。

they=rosesと解釈されたということですね。
私は、敢えて主語は省略していますが
they=music and wonderful roses
と解釈しています。

2017.04.30  Beat Wolf  編集

ありがとうございます。 
それだと、tell of dawn and dew という文とご理解されているのだと思います。 
たぶん、ビートルズの歌として聴かれている方は、ほとんどがそうなのだと。 
でも、これは、ミュージカルの中の歌で、 
詐欺師が田舎町に来て子供たちにブランズバンドをさせるのでその費用と言って金を騙し取ろうとするのですが、ヒロインが詐欺師だと気付きながら、心を閉ざしていた自分の弟も彼に心を開かせようとしているのを見て、詐欺師に恋をしてしまう、と言うストーリーで、この歌は、その告白の場面でヒロインが歌う歌なので。 
この歌では、ヒロインが、音楽を教えているのは貴方、そして、子供たちだ、と言っているのだと思います。朝露に濡れている薔薇( 複数 ) は、子供たちを差していて、貴方が来て子供たちは目覚めて、その子供たちが音楽はここにあると教えてくれた、と歌っているのだと私は思うのですが。

2017.05.01  ノエルかえる  編集

Re: タイトルなし

>それだと、tell of dawn and dew という文とご理解されているのだと思います。
は誤解で、私の解釈は上記した通り原文にあるままです。
They(=music and wonderful roses) tell me in sweet fragrant meadows of dawn and dew

2017.05.02  Beat Wolf  編集

コメントを投稿


管理者にだけ表示を許可する
 
PrevEntry |  to Blog Top  | NextEntry
プロフィール

Beat Wolf

Author:Beat Wolf
ジャンルを問わず、音楽が大好き♪
初めての方でも楽しんで頂けるブログを目指しています…。



この人とブロともになる

Beat Wolf 関連サイト
☆姉妹ブログ
『I Will』

☆YouTubeチャンネル
BeatWolf ~♯洋楽Lyric&和訳♪

管理画面
参加ランキング
最新記事

全タイトルを表示
Artists
リンク
このブログをリンクに追加する
☆『相互』をご希望の方は、お気軽に♪
最新コメント
QRコード
QR

Copyright ©I Wish~洋楽歌詞和訳&解説. Powered by FC2 Blog. Template by eriraha. Photo by sozai-free 2000px.

FC2Ad