I Wish~洋楽歌詞和訳&解説

80年代の洋楽ロック・ポップス&ビートルズを中心に、歌詞の和訳と詳しい解説でお届けします♪

「ムーン・リバー」オードリー・ヘプバーン

2016.09.09

category : Soundtracks

Audrey Hepburn - Moon River1 Audrey Hepburn - Moon River2


Audrey Hepburn - Moon River (1961年)



~中秋の名月~

2016年の“八月十五夜(十五夜)”は、9月15日(木)。
…ということで、今年もここで“月”の名曲をご紹介いたします。
でも今週は全国的に雨模様が続き、月曜の時点で15日木曜の予報は…。

一方、今年の夏は空梅雨から記録的猛暑の流れがあり“嫌な予感”がしていたところ、やはり“その修正のやり方は乱暴”なものであり、8月末からの台風は各地に大きな被害をもたらしました(ただし利根川上流8ダムの貯水量は9/9現在、平年比103%に回復)。
穏やかな秋となるよう、願いを込めて…。



~概要~

オードリー・ヘプバーンはアメリカン・フィルム・インスティチュート (AFI)の“最も偉大な女優3位”にも数えられるハリウッド女優であり、スレンダーで妖精のような美しさとかわいらしさを併せ持つ彼女は日本でも特に女性の憧れとして長く愛され続けました。
『ローマの休日』(1953年)、『麗しのサブリナ』(1954年)といった彼女の魅力を最大限に引き出す運命の作品とめぐり合い、一躍大スターへの階段を駆け上がったことは誰もがご存じのことでしょう。
そして1961年、再びオードリーのキャリアを語る上で欠かせない作品と出あうことになります…。

「ムーン・リバー」は、1961年のオードリー主演映画『ティファニーで朝食を(Breakfast at Tiffany’s)』の(非公式の)主題歌です。
作詞;ジョニー・マーサー/作曲;ヘンリー・マンシーニによって創られた楽曲であり、劇中では3つのバージョンを聴くことができます。
1つは主人公ホリー(オードリー)がニューヨーク5番街にある宝石店『Tiffany & Co.』の前で朝食のパンを食べる有名なオープニングでのインストゥルメンタルver.、2つ目はホリーが劇中で歌う歌詞ありver.、3つ目はオリジナルをアレンジした「Moon River Cha Cha」です。

このうちヘンリー・マンシーニ楽団による“1つ目”の「Moon River」がシングル・カットされBillboard Hot 100の11位、これらを収録した『ティファニーで朝食を』のサウンドトラックはアルバム・チャートBillboard 200でNo.1を記録し90週間ランク・インする大ヒットとなりました。
これを受けて「ムーン・リバー」は“アカデミー歌曲賞”、グラミーでも“最優秀レコード賞”・“最優秀楽曲賞”・“最優秀編曲賞”という最高の栄誉を受賞しました。

ただし、この輝かしい栄誉には本記事の主役である“オードリーの歌唱ver.”は含まれてはいません。
何故なら、オードリーが劇中で歌った「ムーン・リバー」はサウンドトラック・アルバムには含まれていなかっただけでなく、その後もずっと正式な音源としてレコードやCDに記録されなかったためラジオでも流れづらく、一般的にはカバーの一つであるアンディ・ウィリアムスver.の方が有名になるという現象を生みました。
しかしオードリー死後の1993年、彼女が劇中で歌った「ムーン・リバー」はベスト盤CD『Music from the Films of Audrey Hepburn』に初めて収録され、2004年にはオードリーの「ムーン・リバー」が映画音楽の歴史的名曲として『アメリカ映画主題歌ベスト100』の4位に選出されています。


 



~Lyrics~

I'm crossing you in style
いつの日か、きっと
someday
胸を張って、川の向こうへと辿り着きたい

 

OPで、ホリーが『Tiffany & Co.』のショー・ウインドウ前でパンを食べるシーンが浮かびます…。
『Breakfast at Tiffany’s』というタイトルは、“ティファニーで朝食を食べる身分になりたい”という主人公ホリーの願望を象徴するものです。
ちなみにこのシーンでオードリーが身につけているジバンシィのシンプルな黒のカクテルドレス (Little black Givenchy dress of Audrey Hepburn)は、“史上最も有名なドレス”といわれているのだとか!

“玉の輿”を夢みて近くの安アパートに暮らし、精一杯のオシャレをしてティファニーのショー・ウインドウを見つめるホリーですが、そのたったガラス一枚の向こうの世界はどう映っていたのでしょう。
このシーンで流れる歌詞のない「ムーン・リバー」は、どこか彼女を見守っているかのようにやさしい…。 


We're after the same rainbow's end
ふたりひとつの“虹の終わり”を追い求めたい
Waiting round the bend
その“入口”で待っていて

1行目は【pot of gold at the end of the rainbow(虹の先が地面に接する所に黄金入りの壺がある)】という伝説に基づいた表現と思われます…。
そして、二人は“同じ見果てぬ夢【the same rainbow's end】”を追い求める同志です。
【bend】は[曲がり目]のことですが、私は“虹の入り口”と解釈しました。

ホリーの当初の【rainbow's end】は、きっと“誰にも縛られない自由”と“Breakfast at Tiffany's”でした。
でもそれは彼女ひとりのための夢であり、実際ポール(ジョージ・ペパード)に求愛されても“人は誰のものでもないわ。私は、誰の鳥籠にも入らない”と突っぱねています。
その心の氷を解かすのも、最終的にやっぱり彼の言葉だったわけですが…。


My huckleberry friend
私のハックルベリー・フレンド
Moon river and me
あなた、そして私…

【huckleberry】は一般にマーク・トウェインの小説『トム・ソーヤーの冒険』で主人公の“相棒”として登場するハックルベリー・フィンと認識されていますが、作詞者ジョニー・マーサーの自伝によると“幼少のころ一緒に川下りをした彼の友人”をイメージしたものだそうです。
【Moon river】も、ジョージア州サバンナにあるジョニー・マーサーの実家の下を流れる“The Back River”をイメージしたものとされます。

何れにしても、作詞者ジョニー・マーサーにとって“Moon River”は幼少期に起源する現在進行形の大切な想いを象徴するものなのかもしれません…。



~Epilogue~

『ティファニーで朝食を』原作者のトルーマン・カポーティは主人公ホリー役にマリリン・モンローを据えることを条件に映画化を承諾したといわれます。
原作でのホリーは娼婦であり、“セックス・シンボル”と称されたマリリンこそ適役と思われましたが当の本人に拒否されてしまい、その代役として浮上したのがおよそそれに似つかわしくないオードリーでした。
ところがそのオードリーにも“娼婦の演技はできない”と言われ、“娼婦ではないホリー”として脚本が書き換えられた経緯があったそうです。


一方「ムーン・リバー」作曲者のヘンリー・マンシーニはマリリンをイメージした曲がどうしても浮かばず悩んでいたものの、主役がオードリーに替わった途端メロディが自然に浮かんできたといいます。
“「ムーン・リバー」はオードリーに出会ってメロディが浮かび、オードリーの声域に合わせて創ったんだ…”

そういう経緯があったせいか、オードリー自身も「ムーン・リバー」をとても気に入っていました。
彼女が劇中で歌うシーンは今でも歴史に残る名シーンとして認識されていますが、映画の制作過程に於いてある日、配給元 パラマウント映画の社長が“あの歌(オードリーが歌うシーン)は削った方がいい”と言い出し、これに対してオードリーが“いいえ、絶対削らせません”と断固食い下がったためこのシーンが残されることになったというエピソードがあります(感情論はともかく、歴史に残る名シーンと評される程のものを嗅ぎ分けられない映画会社社長の嗅覚というのも、どうかと思う)。

マンシーニは言います…
“この曲はその後千回以上も録音されたけれど、いつもオリジナルを聴きたくなる。オードリーは心を込めて歌っていて、歌詞に魂が感じられるんだ。彼女の歌う「ムーン・リバー」が一番好きだ”

マンシーニはこの曲でオードリーと出逢って以来、33年間ずっと彼女に片想いをしていたという説もあります《写真》。
もしこれが本当だとしたら「ムーン・リバー」は“一人の男の、手の届かぬ女への慕情”であり、その“主人公はマンシーニ”“【Moon River】はオードリー”だったという仮説も成立し得るのかもしれません。
そして彼はオードリーがこの世を去った翌年、1994年に彼女の後を追うように70年の人生を終えています。

最後にご紹介するのは1961年に作者であるマンシーニとジョニー・マーサーが録音したデモver.
マンシーニのオードリーへの想いを歌詞に重ね合わせ、お聴きください…。

Audrey Hepburn - Moon River3  

Moon river, wider than a mile
Moon River...きらめく川面が、1マイル彼方まで広がっている
I'm crossing you in style someday
いつの日かきっと、胸を張って川の向こうへと辿り着きたい…



「ムーン・リバー」

“Lyrics&歌詞和訳”は下の“続きはこちら>>”をクリックして表示させてくださいね♪


Writer(s): Johnny Mercer, Henry Mancini /訳:Beat Wolf


Moon River...
きらめく川面が、1マイル彼方まで広がっている
いつの日か、きっと
胸を張って、川の向こうへと辿り着きたい
私の夢を創造し
時として、悲しみを創造するあなた
あなたの行く所
私は、何処へだってついてゆく

流れゆくふたり…
広い世界へと旅立った
まだ知らない、ありとあらゆるものを見るために
ふたりひとつの“虹の終わり”を追い求めたい
その“入口”で待っていて
私のハックルベリー・フレンド
あなた、そして私…


~Let's Singin'~

最後までお読みいただき、ありがとうございました♪

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tags : 音楽 Lyrics 和訳 洋楽 映画 

コメント

Beat Woifさん、こんばんは。
この曲と動画はわりと最近、見ました。
キセルをくわえたり、意外に大胆なドレスで行動とかありながらも
少しもいやらしくなく、どんなシーンもオードリーの個性ゆえに
清潔に見えます。♪きらめく川面、いつの日か、きっと
川の向こうに辿り着きたい♪

声も歌い方も甘~い感じで満ちていても、歌と曲調のニュアンスも
すんなりと聴いてしまいますf(^-^)/

2016.09.09  みすてぃむーん  編集

みすてぃむーんさん

おぉ、最近ご覧になられていましたか!
確かに主人公は強烈なキャラでもあるのに共感できるのは
オードリーの個性があったせいかもしれません。

「いつの日か、きっと 川の向こうに辿り着きたい」
このラインをOPのシーンになぞらせると
主人公の気持ちがよくわかるでしょ?(笑)
甘い歌声は、もうちょっとお待ちくださいね♪

2016.09.09  Beat Wolf  編集

ティファニーの前でパンを食べる冒頭のシーンが
この映画のすべてを物語っていますよね。
オードリーはたしか、劇中でギターを弾きながら歌っていました。
たどたどしさが見え隠れするも、
なかなか味のある魅力的な歌なんですよね。
僕は、小説より映画の方が好きですねー。

2016.09.10  つかりこ  編集

つかりこさん

確かに、冒頭のこのシーンが有名ですね。
いきなり『ティファニーで朝食を』なシーンが登場するわけで…
でも主人公の心情を見事に象徴させていると思います。

私は小説は読んでいませんが、聞きかじった範囲では
映画のキャラクター設定で正解だったと思います。
キャストも含めて…?(笑)

2016.09.10  Beat Wolf  編集

Beat Wolfさん、こんばんは~
劇中での窓辺での弾き語りが自然な感じで、個人的にはとても好きです。
こんなふうに日常的な感じは、マイクに正式な場での歌唱と違って
いいなとも思いました。
特にオードリーが若い時の作品なのに曲が古びていなくてそれでいて
新鮮です。
社長がその歌のシーンを削るように言ったのはどうかと思います。
曲がり目は“虹の入り口”でマンシーニーの手の届かぬ女への
慕情ですか(*^_^) 奥が深いです~♪

2016.09.12  みすてぃむーん  編集

マンシーニじゃないけど、
僕もオードリーのムーンリバーが一番好きです。
物語の主題にぴったりはまっていて、
たどたどしさが逆にたまらない魅力になっていると思います。
素敵な訳をありがとうございます!!

2016.09.12  つかりこ  編集

みすてぃむーんさん

そうですね。
カラオケみたいに狭い空間で音量・エコーを増幅させた声は
本来その人が持っている声とは程遠いものです。
そんな声が当たり前と思う私たちが「生の声」に触れると
思わずドキッとして時が止まるような感覚を覚えます。
オードリーは決して歌は上手くありませんが
「大切なもの」がちゃんと含まれていますよね♪
それが嗅ぎ分けられない人は、映画会社社長の資質がありません。

…まぁ、どちらも家庭持ちなので
いろいろな事情もあると思います。(笑)

2016.09.12  Beat Wolf  編集

つかりこさん

そうですね。
歌は、上手いに越したことはありませんが
一番大事なのは「魅力」だと思います。
どんなに上手であろうと、人の心に響かないのでは意味がありません。
そういう意味で、オードリーの歌には「ぬくもり」を感じます♪

2016.09.12  Beat Wolf  編集

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