I Wish~洋楽歌詞和訳&解説

80年代の洋楽ロック・ポップス&ビートルズを中心に、歌詞の和訳と詳しい解説でお届けします♪

「ダウンタウン・トレイン」ロッド・スチュワート

2016.10.07

category : Rod Stewart

Rod Stewart - Downtown Train1 Rod Stewart - Downtown Train2


Rod Stewart - Downtown Train (1990年)



~鉄道の日~

10月14日は、“鉄道の日”。
1872年10月14日(旧暦・9月12日)に新橋 - 横浜駅を結んだ日本初の鉄道が開業したことから、1922年に鉄道省により制定されました(当時は“鉄道記念日”)。
それから144年が経った2016年、北海道新幹線が開業しリニア中央新幹線品川駅工事が着工するなど鉄道は著しい発展を遂げた一方、それに伴い寝台特急カシオペアや急行はまなす、特急スーパー白鳥など“旅情誘う名物列車”が惜しまれながら今年をもって運転終了しました。

…そんなワケで、今回は【Train】をテーマとしてみました♪ 



~概要~

「ダウンタウン・トレイン」は1989年のベスト・アルバム『The Best of Rod Stewart』のため新たに録音されたシングルで1990年1月にリリース、「Da Ya Think I'm Sexy?」以来11年ぶりにロッド・スチュワートが英・米両方のチャートでトップ10入り[UK 10位/US Hot 100 3位(年間37位)]を達成した作品です。

オリジナルはアメリカのシンガー・ソングライターのトム・ウェイツが1985年に発表したアルバム『Rain Dogs』に収録された作品で、作者も彼です。
一応シングル・カットはしたもののチャ-ト・インは果たせず(…というか、彼は生涯を通じてHot 100にチャ-ト・インしたシングルは1つもない!)、ボクシング元世界ミドル級王者のジェイク・ラモッタ(※)が出演したPVが特筆されます。
(※ジェイク・ラモッタはロバート・デ・ニーロがアカデミー主演男優賞を獲得した映画『レイジング・ブル』の原作者であり、これは彼の自伝に基づいたものである)
その後1987年にメアリー・チェイピン・カーペンターやパティ・スマイス[本曲は彼女のバージョンで初めてチャート・イン(95位)]ら女性歌手によって歌い継がれ、1989年にロッドが歌うに至ったというわけです。

ロッドver.のヒットの要因として彼自身の哀愁たっぷりのヴォーカルがあるのはもちろんですが、プロデューサーを務めたトレヴァー・ホーンの貢献も大きく、ロッドはその出来映えについて『The Best of Rod Stewart』のライナーで“すばらしい才能にあふれ社交的なトレヴァー・ホーンがプロデュースした一枚岩のような曲”と評しました。
“レコーディングに貢献”といって忘れてはならないのは1960年代からの盟友ジェフ・ベックで、ここではスライド・ギターで参加しています。
また、「Downtown Train」は元々ロッドのお気に入りというわけだったわけでなくWEAレコードのロブ・ディキンズの紹介によるものだったらしく、“彼が、僕の関心をこの美しいトム・ウェイツの曲に向けてくれた”と、その功績に言及しています。

私が初めて「Downtown Train」のパフォーマンスを目にしたのは1991年のグラミーで、これはロッドが本作品で“Best Male Pop Vocal Performance”にノミネートされたことによるものですが、実際には恐らくこの時の歌は“口パク”だったと思われます。
ただ、この時のロッドのパフォーマンスがとにかくカッコよくて、今もお気に入りの映像です。
でも、どうしてもロッドの生歌が聴きたいという方のために、正真正銘の生歌映像をお付けいたしましょう♪

 



~“酔いどれ詩人”と「Da Ya Think I'm Sexy?」~

トム・ウェイツというと歌詞の難解さが有名で、「Downtown Train」についても本人が“誰にもカバーできない曲を書いたつもりだった”と語っているように、彼以外の人がこの詞を歌いこなすには解釈を変更する必要があるように思えます。
そこで、特に問題となる2番の歌詞についてオリジナルのトム・ウェイツver.とロッド・スチュワートver.を、私なりの解釈で比較してみました。




You wave your hand and they scatter like crows
お前が別れの手を振ると、奴らは烏のように四散する
They have nothing that'll ever capture your heart
…そんな連中に、その心を熱くさせるものなどあろうはずもない

まずは、トム・ウェイツver.。
ここで歌詞を難解にさせている最大のクセモノは【they】の存在で、早くも1行目から“Youが手を振ると、どうして【they】がカラスのように四散する?”という疑念が湧いてくるはずです。
主人公は、Youにとって【they】が好ましからざる存在と考えていて、同時に彼はYouに片想いしているらしいことは窺えるものの、その先を究明しようとするとどうしても1行目の疑念が立ちはだかってくることになります。

そこでこの“【You】を娼婦”、“【they】をその相手客”と仮定してみたらどうでしょう…
用が済んだらお互い惜しむことなくサヨナラ…というのも頷けるはずです。
さらに、3番の歌詞で[I know your window...]から始まる抽象的な部分も“惚れた娼婦が客と交わっているホテルの外に立つ主人公”とするなら彼の苦悩も具体的に理解できるし、全体としてもストーリーの筋が通ると思います。


You wave your hand and they scatter like crows
君が別れの手を振ると、それは烏のように四散する
They have nothing that'll ever capture your heart
…そこに、心を熱くさせるものなどあろうはずもない

一方、トム・ウェイツver.の解釈をロッド・スチュワートの「Downtown Train」にそのまま当てはめようとすると、ロッド自身のイメージや彼のバージョンから受ける清々しさとのギャップに違和感が湧いてきます。
でも考えてみれば“酔いどれ詩人”と形容されるトムの歌を、「Da Ya Think I'm Sexy?」を地でゆくロッドがカバーするのですから、そこに違和感が生じるのも無理はありません。

そこで、ロッドver.では“都会へ旅立った片想い(もしくは元恋人)の女性を、今も忘れられず見守り続ける主人公”という基本設定を描いてみました。
すなわち“【You】は娼婦ではない普通の女性”、“【they】は特定の人物ではなく、彼女を取り巻く大都会の空虚や危険”と捉え和訳を完成させました。



~Epilogue~

作品のテーマの一部となっている【downtown】は普通名詞としては[商業地区に・都心部に]といった意味ですが、この作品ではそこを走る電車は【Brooklyn girls】で溢れているということから、舞台は“ニューヨーク市ブルックリン区ダウンタウン・ブルックリンと思われます。
ブルックリンはニューヨークの5つの区の中で最も人口が多い250万人が居住する大都会で、区内にはニューヨーク市地下鉄が18線通っておりマンハッタンとを行き来する者の92.8%はこの地下鉄を利用するそうです。
「Downtown Train」のPVには地下鉄が登場し、《概要》の項で紹介したグラミーのパフォーマンス映像でも【Will I see you tonight on a downtown train】のラインにくるとロッドが頻(しき)りに右手で下を指さす仕草をすることからも、【Train=地下鉄】という解釈が成立します。


Will I see you tonight on a downtown train
“今夜、ダウンタウン・トレインで会えない?”
Every night, every night its just the same
…毎夜毎晩、唯そればかり想い巡らす

これまでトム・ウェイツver.とロッド・スチュワートver.のテイストの違いをあれこれ述べてきましたが、ストーリーの一番大切な部分は誰が歌おうと決して変わることはありません。
要は一人の男が一人の女を好きで、事情があって実現は叶わぬままであるものの、毎夜毎晩相手のことを思い浮かべている…
そんな、シンプルなラブソングです。
散々こねくり回しておいて言うのもなんですが、難解な歌詞を乗り越えた後、この真っすぐで解釈の余地もないメッセージに辿り着いた今の私の心情は、長く続いた雨の後、淀みなく澄み渡った青空に出あったような感動に似ています。

…改めて、この歌が好きになれました♪ 



「ダウンタウン・トレイン」

“Lyrics&歌詞和訳”は下の“続きはこちら>>”をクリックして表示させてくださいね♪


Writer(s): Tom Waits /訳:Beat Wolf


外にはもう一つ、黄色い月が
夜の霧にぽっかり穴を開けている
窓によじ上り、通りへと下りると
月の光が、生まれたてのダイムのように僕を輝かせる
ダウンタウンを行き交う列車の群れは、どれも
自らのちっぽけな世界を抜け出そうと必死に生きる
ブルックリンの少女たちで溢れ返っている

君が別れの手を振ると、それは烏のように四散する
…そこに、心を熱くさせるものなどあろうはずもない
まるで、棘(いばら)だけのバラのようさ
だから、先の見えない暗闇には気をつけなきゃ
あぁ僕が、君の選ぶ唯ひとりの男であったなら…
だけど、この声は君に聴こえない…届かないんだね


“今夜、ダウンタウン・トレインで会えない?”
…毎夜毎晩、唯そればかり想い巡らす
“ダウンタウン・トレインで…”

君の窓も、それが手遅れということもわかってる
君への階段も、その戸口だって知っている
…なのに僕は通りを下り、そのゲートを過ぎ行くだけ
照らし出された十字路に立ち
すべてが終わるのを見つめている
どれもマヒしてしまえ…
たとえカーニバルは続こうと
それは、君の心を取り戻せやしない

**
“今夜、ダウンタウン・トレインで会えない?”
…毎夜毎晩、唯そればかり想い巡らす
心は、孤独に置き去りのままに
“今夜、ダウンタウン・トレインで会えない?”
…毎夜毎晩、雨のように心を濡らす夢
“ダウンタウン・トレインで…”


**


~Let's Singin'~

最後までお読みいただき、ありがとうございました♪
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tags : 音楽 Lyrics 和訳 洋楽 

コメント

Beat Wolfさん、こんばんはー
ロッド・スチュワードの「ダウンタウン・トレイン」
偶然知ったこの曲は少し前によく聴き、出だしの所から好きです。
英語で聴き、和訳で詩の意味を知るとこういう意味だったのだのかと
よく理解していなかったことが多いのですが、今日のこの曲は
イメージしたのと近いかなぁと、ちょっと嬉しくなりました(*^_^*)
♪外にはもう一つ、黄色い月が・・・・月の光が、
生まれたてのダイムのように僕を輝かせる・・・
ダウンタウントレインで・・・♪

2016.10.07  みすてぃむーん  編集

みすてぃむーんさん

「ダウンタウン・トレイン」、グッド・タイミングでしたね!
ロッドの歌声が心に沁み入ってくるようですが
実は、歌詞は結構クセモノです。
「イメージしたのと近い」のは、私がそれを意識して訳しているせいもあります。
次回は、別の解釈で訳したストーリーもご紹介します♪

P.S.
「Outside another "misty moon"」?(笑)

2016.10.07  Beat Wolf  編集

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2016.10.11    編集

Beat Wolfさんこんばんは。
トム・ウェイツは、個性的な歌い方で酔いどれ詩人と
形容されていると聞くと納得、ロッドの違うカラーの
ティストのカバーでは、違いが生じるのですね。

ストーリーの大切な部分は誰が歌おうと変わることなく、
♪今夜、ダウンタウンで会えない?
毎夜毎晩、唯そればかり想い巡らす♪
シンプルなラブソングですね。

「難解な歌詞を乗り越え、真っすぐで解釈の余地のない
メッセージに辿り着き長く続いた雨の後、澄み渡った
青空に出会ったような感動」だそうで
う~ん素晴らしいですね(*^-^*)/♪
これからもこの曲をよく聴いていきますねー!!

2016.10.11  みすてぃむーん  編集

鍵コメさま

ご丁寧なコメント、ありがとうございました♪
でも慌てる必要はありませんので、ゆったり楽しんでくださいね(笑)

2016.10.11  Beat Wolf  編集

みすてぃむーんさん

ロッドの歌を聴いてからだと
オリジナルは、ちょっとびっくりするでしょう?(笑)
トム・ウェイツのは強烈な個性を放ち
ロッドによって、作品が世に知られることになりました。

恐らく、実際はこのメッセージが最初にあって
他のストーリーが後付けされるように創作されたのではないでしょうか?
ラブソングは言いたいテーマ(骨組み)が大抵同じ(愛)なので
ストーリー(肉付け)のオリジナリティーが大変ですね。

その部分は、「雨の日が長かったので青空が恋しくなっていました」
という、みすてぃむーんさんのブログの言葉がヒントになりました。
…なので、この気持ちはみすてぃむーんさんもよく理解できるのではないでしょうか?(笑)
その事を思い出して、これからも聴いてくださいね♪

2016.10.11  Beat Wolf  編集

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