I Wish~洋楽歌詞和訳&解説

80年代の洋楽ロック・ポップス&ビートルズを中心に、歌詞の和訳と詳しい解説でお届けします♪

「ブルースはお好き?」エルトン・ジョン

2017.06.30

category : Elton John

Elton John - I Guess Thats Why They Call It The Blues1 Elton John - I Guess Thats Why They Call It The Blues2


Elton John - I Guess That's Why They Call It The Blues (1983年)



~エルトン・ジョン、先輩ポール・マッカートニーの道を辿る?~

今年、70歳の仲間入りを果たしたエルトン・ジョン。
しかしその1ヶ月後には南米ツアーの最中に“有害かつ稀な細菌の感染”のため2日間集中治療室で治療を受け、その後も1か月以上療養に専念するなどファンを心配させました(6月からツアーに復帰)。

また、エルトンは今秋公開予定の映画『キングスマン:ザ・ゴールデン・サークル』への出演が決まっており、この辺りの経緯は同じく70代のロック・スターでツアー中に南米でウイルス感染し日本公演などをキャンセル、その後映画『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』(日本公開は7/1)に出演するなどますます精力的に活動を続けるポール・マッカートニーと経緯がソックリではありませんか!?

“70代現役”はファンにとって至上の喜びですが、ファンをハラハラさせるのはロック・スターである彼らの本能なのかもしれませんね? 

 



~概要~

「ブルースはお好き?」は1983年の17thアルバム『トゥー・ロウ・フォー・ゼロ(Too Low for Zero)』の収録曲で、Billboard Hot 100で4位(1984年の年間33位)を記録、エルトンにとっても約3年ぶりのTop10ヒットでした。
1970年代中頃まで“最もイケてた男性歌手”だったエルトンも、本作発表時36歳…
若さと美貌が輝くカルチャー・クラブやデュラン・デュランが持て囃され、圧倒的なインパクトの音楽とダンスで世界を魅了した“マイケル・ジャクソンの『Thriller』が最もイケてる”とされた時流は、エルトンが寵児とされた時代とはあまりに様変わりしていました。

一方、ここ数年のスランプを払うかのようなエルトンの成功には、明確な理由がありました。
このアルバムでは70年代のエルトンを支えた“エルトン・ジョン・バンド”の面々が全員復帰し、デビュー以来のパートナーとして数々の名曲を創作してきたバーニー・トーピンが全作詞を手掛けていたからです。

同年にはエルトンと同じ70年代に大活躍し“ピアノマン”の代表格でもあるアメリカのビリー・ジョエルが、流行のポップ/ロックを取り入れながら1950年代の音楽をモチーフとした『An Innocent Man』で大成功を収めたように、エルトンの「ブルースはお好き?」も50年代風のハートウォーミングなテイストを再現した作品でした。
そして、情感豊かなエルトンのピアノとヴォーカルの間に入ってくる“やさしいハーモニカ”は、やはり70年代を代表する大スターのスティーヴィー・ワンダー
エルトンとスティーヴィーは2年後の「愛のハーモニー」でも協演しています。

また、エルトンとビリー・ジョエルというとピアノマンとしての実績もファン層も重なっているため、二人の間にはライバル関係や対抗心があるだろうと多くの人も想像したと思いますが、実際ビリーはエルトンに対するライバル意識があったことを告白しています(エルトンはギルバート・オサリヴァンをライバルに挙げたことがある)。
そんな二人も、1994年から2010年まで(日本公演は1998年)長年に亘ってパートナーシップを結んだジョイント・ツアー『FACE TO FACE』で、「ブルースはお好き?」の協演が実現しています。

 
 



~Lyrics~

Don't wish it away
涙に暮れる心をいっそ取り去ってしまいたいとか
Don't look at it like it's forever
いまの悲しみが永遠に続くなんて、思っちゃいけないよ

ストーリーの冒頭からいきなり【it】が使われていて(itこそが重要な意味の主体であるだけに)戸惑ってしまいますが、作品のタイトルが「I Guess That's Why They Call It The Blues」であることを思い起こせば、それが何であるか察することができるでしょう。

でもこの時エルトンのリアルな人生はその真逆で、『Too Low for Zero』のレコーディング・エンジニアを務めたRenate Blauelという女性と出逢い、翌年には結婚にまで至っています。
4年後の1988年には離婚してしまいましたが…。


And while I'm away
僕が離れている間
Dust out the demons inside
心の中の悪魔は追い払っておくんだよ

いわゆる【魔が差す】とは、悪魔が心に入り込んだように一瞬の判断や行動を誤ること…
でもそれは自分と別人格の悪魔が心を操ったせいではなく、元々心の中に棲んでいる“もう一人の自分”が何かの拍子で表出することです。
彼らは[囁き]や[誘惑]といったあらゆる手段を用い、あなたの良心の呪縛を緩めようと働きかけてきます…。
 …エヘッ?

作者バーニー・トーピンによると、この詞は彼が本国を離れカリブ海モントセラト島で奥さまToni Russo(女優レネ・ルッソの姉妹)へのラブ・レターのつもりで書いたものだそうです。
この言葉の裏に隠されているバーニーの本心とは…?


But more than ever I simply love you
でもね…いま僕は、これまで以上に君が愛しい
More than I love life itself
自分の人生そのものより、ずっと…

この作品で最も情熱的なメッセージであり、誰もがこんな言葉を言われてみたいことでしょう…

でも作者バーニー本人は、この部分について後悔していると語っています。
理由は、“僕自身はこんなこと決して言わない”からだそうです!
…こんな決定的な言葉を後で引っ込められても、困ってしまいますが? 



~Epilogue~

「ブルースはお好き?」を素直にラブ・ソングに解釈する一方、作者であるエルトン・ジョンとバーニー・トーピンの友情物語と思える節もあります…。

エルトンとバーニーは1967年、それぞれリバティ・レコードの新人募集に応募した縁からコンビが誕生、現在まで50年創作を重ねた史上屈指のソングライター・チームです。
しかし1970年代中頃までに築いたトップ・スターとしての地位は二人の肉体、精神、友情をも破壊し、1976年を最後に一旦コンビを解消しています。

その後しばらく二人は互いに縛られることなくそれぞれの活動を続けたものの、成果は双方ともにコンビを組んでいた頃の輝きに遠く及びませんでした。
約7年を経た1983年、アルバム『Too Low for Zero』で二人はコンビを完全復活させバーニーが全ての詞を書いていますが、タイトル曲の「Too Low for Zero」(ゼロさえ遠いほど落ち込む)や「I'm Still Standing」からは二人がバラバラだった頃の苦衷をイメージさせる主人公の姿が描かれています。

こうした二人の経緯を振り返ってみると、「I Guess That's Why They Call It The Blues」が“エルトンとバーニーが離別していた7年”と不思議なほど符合して思えてくるのです。
いつもそばにいた頃は余りにもそれが当たり前過ぎて意識することもなく、離れてみて初めて互いの存在のかけがえなさに気づく…
今年3月に行われた『エルトン70歳の誕生日とバーニーとの共作50周年』を祝うパーティーの席上で、バーニーは次のように語っています。

あえて言わせてもらうけど、こんなにも、お互いが、そしてお互いのクリエイティブが同調するようなソングライターを探すことは非常に困難なことなんだ…”

【blues(憂うつ)】そのものは好ましいものではないけれど
【blues】を味わった時、人は本当に大切なものが何かを知るのかもしれない…


Just stare into space
…ただ星空を見上げ
Picture my face in your hands
その掌の中に僕の顔を浮かべてごらん?

もうすぐ7月7日
天上の二人が、無事に願いを遂げられますように…。 



「ブルースはお好き?」

“Lyrics&歌詞和訳”は下の“続きはこちら>>”をクリックして表示させてくださいね♪


Writer(s): Elton John, Bernie Taupin, Davey Johnstone /訳:Beat Wolf


涙に暮れる心をいっそ取り去ってしまいたいとか
いまの悲しみが永遠に続くなんて、思っちゃいけないよ
君との間に育んだものだから、心から言える…
二人はこれから良くなってゆくって

僕が離れている間
心の中の悪魔は追い払っておくんだよ
二人が心の中の秘密の場所へと
駆け込む日は、そう遠くはないから


人は…こんな気持ちを“blues”と呼ぶのだろう
君と共に過ごせたはずの、掌の上の時間
子どものように笑い、恋人のように暮らす…
だけど今、この胸は雷のような轟音を響かせている
あぁ…こんな気持ちを“blues”と呼ぶのだろう

…ただ星空を見上げ
その掌の中に僕の顔を浮かべてごらん?
一刻一秒を、淀みなく生きてほしい
…そして、君には僕がいることを忘れないで

**
…ずっと待っていてね
涙が心を癒やすなら、夜は泣いたっていい
でもね…いま僕は、これまで以上に君が愛しい
自分の人生そのものより、ずっと…



**



~Let's Singin'~

最後までお読みいただき、ありがとうございました♪
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tags : 音楽 Lyrics 和訳 洋楽 

コメント

Beat Wolfさんへ
洋楽の歌詞は表現が熱かったり濃かったり
愛情深いですね。
♪心の中の秘密の場所へと駆け込む日♪
はて...?

2017.06.30  みすてぃむーん  編集

みすてぃむーんさん

「熱かったり濃かったり」
…その通りです!(笑)
「事情はいろいろ」ですが、愛情はいっぱい込められた歌だと思います。

みすてぃむーんさんも
心の中に「秘密の場所」をお持ちでは?(笑)

2017.06.30  Beat Wolf  編集

エルトン・ジョン・・、中学2年の時に小生をロック・洋楽好きの道に導いてくれたのは彼でした。(S&G、ビートルズ、モンキ-ズも同様) 今や世界的な大物アーティストとなり、音楽界で絶大なる人気と影響を誇るエルトンですが、小生は1970年初期の吟遊詩人風の頃(デビュー直後)が一番大好き。「君に必要なのは僕なんだ!」と繰り返される「イエスイッツミー」。この曲を初めて聴き、感銘を受けて一挙に彼の虜となりました。初期スタンダード「僕の歌は君の歌」(ヨアソング)の前にリリースされた日本最初のエルトン・スマッシュヒット。その後は映画「フレンズ」の主題曲も手掛け、「ダニエル」「リ-ヴォン」「ロケットマン」「黄昏のレンガ道」と次々大ヒットを放ちました。当時の清潔なイメージで真摯に歌う若き日の姿、実によかったなア・・。1970年代は正に彼の黄金時代。しかしその後、あっという間に禿げて肥満化、アヒルの被り物をまとってエキセントリックになった姿を見て、初期の吟遊詩人イメージはガラガラと崩れ去ってしまい愕然としました・・(苦笑);

2017.07.04  ローリングウエスト  編集

ローリングウエストさん

確かに当初の基準が吟遊詩人だったとしたら
全盛期以降のエルトンの全てはハデハデなイメージでしょうね?
でもハデな被りものは、頭部の事情には好都合だったかもしれません。(笑)

たぶん「Your Song」は80年代以降も素朴な名曲と評されていたと思いますが
90年代に『イグアナの娘』の主題歌となったのには驚きました!
きっと、「Your Song」を聴くとイグアナを思い浮かべる
人も少なからずいるかもしれません。(涙)

2017.07.04  Beat Wolf  編集

エルトンとバーニー、歳を重ねお互いに、存在の大きさに気づくことができて幸せですよね。
誰に出会うかで人生が変わり、再び気づき出会う✨

友情でも、愛情でも出会えることに感謝!
出会っていても気付けないこともある。かも。。。

もうすぐ、七夕。2人の願いが叶うと良いですね〜💖

2017.07.05  ☆dct☆  編集

Beat Wolfさんへ
エルトン・ジョンは何かと話題になることがあってテレビなどで
知ることがありました。
でも曲は聴いたことがなかったです。

お互いのクリエイティブが同調するソングライター・チームは
そんなにあるものではなくて、まれなのですね。

アーティストとして曲に詞が作れるのは強みです....♪

2017.07.05  みすてぃむーん  編集

☆dct☆さん

ジョンとポールの出逢いがそうであったように
エルトンとバーニーの出逢いも奇跡であり、代わりなどいない…
それに気づいたのが、「別れた後」だったのだと思います。
まぁ…別れる前に気づくべきであり
大抵は「別れた後」にチャンスはないと思いますが…?(笑)
(つくづく、この2人は幸運です!)

7/7の天気は全国的に曇りがちのようですが
きれいな天の川を仰ぎたいです♪

2017.07.05  Beat Wolf  編集

みすてぃむーんさん

エルトン・ジョンをご覧になられてましたか!
一番テレビに映ったのは、ダイアナ妃が亡くなった時でしょうね。
…でもこの曲は初めてでしたか!
私にとっても初めて聴いたエルトンがこの曲でした。

みすてぃむーんさんだって
アートに対する感じ方が似ている人と出会ったら、うれしいでしょ?
でもエルトンの場合作曲が得意で、バーニーは作詞が得意で
お互い苦手な部分を補い合える関係でした。
そういう関係も、素敵でしょ?(笑)

2017.07.05  Beat Wolf  編集

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