「マイ・オール」は、マライア・キャリー1997年の6thアルバム『バタフライ(Butterfly)』の収録曲です。 アメリカでは1stシングル「Honey」から8カ月後にリリースされた2ndシングルで(途中airplay-only singleや海外でのリリースを含めると5thシングル)、148万枚以上のセールスを記録しマライアにとって13曲目のBillboard Hot 100でのNo.1(1998年の年間17位)に輝きました。 Billboardは今年『Mariah Carey's Top 40 Biggest Billboard Hot 100 Hits』を発表しており、それによると「My All」は全体の14位にランクされています。
作者は、マライアのデビュー以来の名コンビで「Hero」「Dreamlover」「One Sweet Day」など、彼女の成功を象徴するような名曲を共作し続けてきたソングライター/プロデューサーのウォルター・アファナシェフ(Walter Afanasieff)。 しかし『Butterfly』はマライアが、それまでのアダルト・コンテンポラリー路線からヒップホップ路線へと大きく転換を試みたアルバムであり、これに伴いウォルター・アファナシェフとのコンビは本作を以て解消され、マライアは2005年の「We Belong Together」まで“低迷期”と呼ばれる時期に突入、一方のウォルターは1997年12月のセリーヌ・ディオン「My Heart Will Go On」(過去ログ)の制作に携わりグラミー賞のレコード・オブ・ザ・イヤーを受賞、2000年にはプロデューサー・オブ・ザ・イヤーを獲得するなど、対象的な結果をもたらしています。
“貝殻の上の美女”というと愛と美の女神・ヴィーナスを連想する方も多いと思いますが、PVでの演出はまさに15世紀のイタリアの画家サンドロ・ボッティチェッリの『ヴィーナスの誕生(La Nascita di Venere)』《写真・右》からヒントを得たものだそうです。 ちなみに“ひっくり返ったボート”もちゃんと意味があり、“彼女の傷つきやすさ”を表しているとか…。
If it's wrong to love you あなたを愛することが、たとえ倫(みち)に外れることであったとしても Then my heart just won't let me be right この胸のときめきは、きっと倫を歩ませてはくれない
ウェイトレスからブレンダ・K・スター「I Still Believe」のバックコーラス、そしてCBSレコード社長トミー・モトーラに見初められ鳴り物入りでのデビュー、22歳の若さでNo.1歌手と社長夫人の両方を得るという、まるで『シンデレラ』のような夢物語を実現させたマライア・キャリー。 しかし夢物語は長くは続かず、二人は1997年5月に別居~翌年離婚… そんな激動の真っ只中で、アルバム『Butterfly』はレコーディング(1997年1-7月)されました。
10/4・10/6に行われるマライア・キャリーの日本公演は、実に8年ぶり6度目。 この間マライアは結婚(2008年)→流産→双子出産(2011年)とプライベートも忙しく、待ちに待ったニュー・アルバム『Me. I Am Mariah... The Elusive Chanteuse』も昨年7月にミュージック・ビデオ撮影中に胸と肩を骨折するアクシデントに見舞われ発売延期、ようやく今年5月にリリースされるという激動ぶりでした。