The Honey Drippers - Sea Of Love(1984年)~もうすぐ“海の日”~7月第3月曜日は“海の日”(今年は15日)ということで、海に因んだ歌をご紹介いたします♪
~“ハニードリッパーズ”?~“ハニードリッパーズ?聞いたことないぞ。”
そんなこと言われるかもしれませんが、この人たちの名前はどうですか?
ロバート・プラント、ジミー・ペイジ、ジェフ・ベック、ナイル・ロジャース…
“みんな超大物じゃん、そんなの知ってるよ!”
じゃあ、彼らが一つのバンドを組んだら?
“えっ、ウソでしょう!?夢みたい…。”
それが実現したのが、ハニードリッパーズです!
改めて主なメンバーを紹介すると…
ロバート・プラント…元レッド・ツェッペリンのヴォーカリストで、ローリング・ストーン誌・史上最も偉大なシンガー15位(2011年)。
ジミー・ペイジ…元レッド・ツェッペリンのメンバーで、ローリング・ストーン誌・史上最も偉大なギタリスト3位。
ジェフ・ベック…レッド・ツェッペリンの源流・ヤードバーズでジミーの前任ギタリスト。ローリング・ストーン誌・史上最も偉大なギタリスト5位。
ナイル・ロジャース…元シックのギタリストで、この年マドンナを『 ライク・ア・ヴァージン』でブレイクさせた売れっ子プロデューサー
~背景~元々“The Honey Drippers”はレッド・ツェッペリン解散後ロバート・プラントが、自身の音楽志向を具現化させるために発足させたものです。
心当たりのスタジオ・ミュージシャンらを集め1981年にキール大学 (イギリス)でライブを行いますが、このメンバーでアルバムが制作されるまでには至りませんでした。
しかし、この時のステージをレッド・ツェッペリン時代の所属レーベル“アトランティック・レコード”の社長アーメット・アーティガンが見ていた事により、このバンドには“続き”が生まれることになるのです…。
その後アーメット・アーティガンは自身が好きな“1950年代の音楽のレコードを出したい”と思い立ちます。
実は81年のハニードリッパーズはこうした音楽を好んで演奏していて、これを気に入った彼がロバートにそれを要請したのが作品発表のきっかけでした。
かくして上記豪華メンバーが集められ、事情を知らぬファンの間では“すわ、ツェッペリン再結成!?”の期待が勝手に高まることになるワケです…。
~一度限りの『Volume One』~やがて、1984年9月に届けられたアルバム
『Volume One』は
50年代のR&B/R&Rのスタンダード・ナンバー5曲によるEP規格(日本でいうミニ・アルバム)で、ファンの期待を裏切る内容であったものの作品のクオリティは評価されアルバム・チャートBillboard 200では4位と大ヒットしました。
現実には続きはなかったのに、それがあるようなタイトル『Volume One』は恐らくレコード会社の願望で、当の本人たちはそのつもりはなかったでしょう(所属レコード会社も異なる)。
~Data~ロバートはファンにバラード歌手へ変節したと思われるのを恐れ「シー・オブ・ラヴ」を「Rockin' at Midnight」のB面としてシングル・カットしますが、バラード好きなアメリカでは「シー・オブ・ラヴ」ばかりラジオ局で流れ、思惑とは反対にこの曲がBillboard Hot 100で
3位と大ヒットしてしまうことになります。
(ちなみに「シー・オブ・ラヴ」のNo.1を阻んだのは、この曲と同じナイル・ロジャースのプロデュースによるマドンナの「ライク・ア・ヴァージン」とデュラン・デュランの「ワイルド・ボーイズ」でした!)
「Sea Of Love」は黒人歌手
フィル・フィリップス&ザ・トワイライターズが
1959年に2位を記録した非常にシンプルなラブ・ソングで、ハニードリッパーズもこの時代のテイストを大切にカバーしていますが、ロバートはバラードを歌わせてもとにかく色っぽい!
途中のギター・ソロは
ジミー・ペイジで、残念ながらジェフ・ベックはこの曲に参加していません。
~Lyrics~“恋人を海に誘って
愛を告げたい男の歌”というのはすぐに分かりますが、その告白の舞台が何故“Sea Of Love(愛の海)”でなければならないのでしょう?
でも、“海で愛を語りたいから!”…なんて言われちゃうとストーリーが味気なくなるので、もう少し私の妄想にお付き合いください…。
…と、その前に
気になるワードについて触れておきましょう!
全体的にはシンプルでストレートな歌詞ですが、2行目に…
I knew you were my
pet私は、あなたが私のペットだと知った(!?)
…なんていうフレーズがあります。
この“pet”は私たちが愛玩動物をペットと呼ぶ単語と同じものです。
しかしペットにプロポーズするワケはなく、この場合は
“特別に愛する人”という意味で用います。
敢えてこの単語を用いたのは、1行目の“met”と韻を踏ませるためでしょう。
ちなみに、私たちが日常よく用いる“
ペットボトル (PET bottle)”のPETは別のPET(Polyethylene terephthalate;ポリエチレンテレフタラートの略語)で、英語読みでは“ピー・イー・ティー”。
しかも、PET bottle自体立派な
“和製英語”で、英語圏の人はコレを“plastic bottle”と呼びます。
“和製英語”の方が的を射た言葉と思いますが、悲しいコトにPET bottleといっても外国では通じない…?
さて、肝心のストーリーですが、
“Sea Of Love(愛の海)”は“二人が出逢った場所(海)”と私は解釈して詞を訳しました。
そう解釈すればわざわざ“Sea Of Love”と呼ぶ意味も頷けるし、また告白する舞台としての必然性もあると思えます。
でも、派手なサプライズ演出よりもこういうシンプルなロマンティックの方が、私は好きです…。
~Epilogue~梅雨も明けもうすぐ夏休みに突入、いよいよ本格的な海のシーズンを迎えます。
このところの猛暑の影響で夏バテ気味の方も海へと心が逸る方も、まずはこのゆったりとした歌で暫しの涼をお楽しみください…。
「シー・オブ・ラヴ」
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