I Wish~洋楽歌詞和訳&解説

80年代の洋楽ロック・ポップス&ビートルズを中心に、歌詞の和訳と詳しい解説でお届けします♪

「ウェスタリング・ホーム」ケルティック・ウーマン

2017.09.08

category : Celtic Woman

Celtic Woman - Westering Home1 Celtic Woman - Westering Home2


Celtic Woman - Westering Home (2015年)



~ Celtic Woman Voices of Angels World Tour ~

2006年のトリノ・オリンピック、フィギュア・スケート荒川静香選手のエキシビションでテーマとなった「You Raise Me Up」で日本でもその名が知られるようになった女性音楽ユニット、ケルティック・ウーマン(Celtic Woman)が6年振りの来日公演を行います。
日程等についてはメンバーからも日本の皆さんにお知らせが届いているので、映像でご覧下さい。

今回の来日は昨年リリースされたアルバム『Voices of Angels』に基づくツアーで、直前のインタビューで彼女らは
“観客の皆さんが一曲ごとに、それぞれの曲が持つ要素と調和し、アイルランドの鼓動をコンサートを通して感じて欲しいです。実際にアイルランドに訪れたかのような感覚とそこにある心の温かさなどを、この公演を通して感じて頂ければと思います。”
…と、語っています。





~概要~

ケルティック・ウーマンは2004年、“クラシック音楽とアイルランドの伝統音楽のアンサンブル”というコンセプトの下、誕生したグループです。
メンバーはアイルランド出身の女性で構成されていますが固定的ではなく、常時入れ替わっているといって過言ではありません。
同国出身のエンヤがそうであるように、ケルト音楽やゲール語(アイルランド・スコットランド・マン島の伝統的言語)という“ローカルな要素”を背景としながらも、クラシックやポップス、そして透明感ある美しい歌声という“洗練された要素”を融合させることによって、洋の東西や時代の流行に左右されない“素材そのものの良さを味わえる”ことが、何より彼女らの最大の魅力といえるのでしょう。


「ウェスタリング・ホーム」は2015年の10thアルバム『Destiny』の収録曲ですが、シングル・カットやタイアップはありません。
ヴォーカルはスーザン・マクファーデン Susan McFadden、マレード・カーリン Mairead Carlin、イーハ・マクマホン Éabha McMahonが、フィドル(ヴァイオリン)はマレード・ネスビット Máiréad Nesbittが担当しています(今回のツアーではメンバーに一部変更があります)。
作品は長い船旅からの故郷への郷愁をテーマとしていると思われますが、彼女らの歌声はあまりに爽やかで、まるで“‘花よ蝶よ’と歌う森の妖精”に聴こえなくもありません? 

…そんな「Westering Home」はケルティック・ウーマンがオリジナルではなく、当地では小学校で習うほど親しまれるスコットランドの伝統歌です。
楽曲は1920年代にスコットランドのHugh S. Robertonの作とされる一方、実はこれも二次創作のようで、Wikiによると原曲はアイルランドに古くから伝わる「Trasna na dTonnta」(ゲール語)と言及されています(確かにメロディーは同じ)。
元々はアイルランド北部沿岸にあるグウィドー(Gaoth Dobhair)のことを歌っていたようで、それをHugh S. Robertonがスコットランド向けに歌詞を改め、言語も英語に変更したと推測されます。

  
 



~Lyrics~

Westering home with a song in the air
故郷の歌と共に、西へと向かう
Light in the eye and its good by to care
瞳はきらめき、憂いにはさようなら

一見平易な言葉が並んでいるように見えて古い言葉や方言が混じった歌詞であり、加えてここで【home】を普通に[家]と解すると後で“何か変な感じ”が残ってしまうのです…。


Where are the folk like the folk o' the west?
家族のような西の民は何処?
Canty and couthy and kindly, the best
陽気で、親切で優しい最高の人々

ここでの【folk(s)】も同様で、単純に[人々]と捉えるとこのフレーズに何の意味があるのか理解できなくなってしまいます。
しかし、これを[共通の祖先や伝統・文化を受け継ぐ人々]と捉えると前後関係も違和感がなくなり、先の【home】もこの概念に従って“広い意味での家[故郷・故国]”と捉えると、ようやく“作品の心”へと導かれた気がしました。


Tell me of lands of the Orient gay
教えて…東の洋(うみ)の世界の繁栄
Speak of the riches that come from Cathay
“キャセイ”からの富の伝説

【Cathay】は10世紀に中国北部に遼を建国した契丹(きったん・Qitai)の英語訳で、13世紀に『東方見聞録』を編纂したマルコ・ポーロによってヨーロッパに伝えられました。
当時の中国はモンゴル帝国の[元]として繁栄を極め、クビライの厚遇を受けたマルコ・ポーロ自身も巨万の富を持って帰国しました。
これが大航海時代に脚光を浴び、探検家が先を競って世界へと繰り出すきっかけになったともいわれます。



~Epilogue~

「Westering Home」はスコットランド西岸にあるアイラ島(Islay)をテーマとしています《写真左・赤丸》。

…まずアイラ島ってどんな特徴があるのだろうと検索してみると圧倒的なのが“ウイスキーの聖地”についてで、とりわけアイラ島で作られるピート(泥炭)によるスモーキーなスコッチ・ウイスキーは“アイラ・モルト”として世界中で愛され、2016年現在8つの蒸留所があるそうです。
その中の一つブナハーブン(Bunnahabhain)蒸留所で製造されたウイスキーのラベルには、故郷を望む船乗りのイラストと共に“Westering Home”の文字が刻まれており《写真・右》、本曲がどれほど地元で愛されているのか改めて実感させられました。

また、アイラ島に関連して出てきたのが作家・村上春樹で、彼はスコッチ・ウィスキーとアイリッシュ・ウィスキーをテーマとして、1999年にアイラ島とアイルランドを巡った紀行『もし僕らのことばがウィスキーであったなら』を発表しています。

Celtic Woman - Westering Home3 Celtic Woman - Westering Home4


一方アイラ島は“ヘブリディーズ諸島の女王”と称され、人口密集地のエディンバラやグラスゴーから少し離れた西端にあるためあまり開発がなされておらず、“スコットランドで最も美しい島”ともいわれています。
今回見つけた動画によると、確かに一部に集落が点在する以外殆んどは起伏のある丘陵地や牧草地で、目を引くのは海と海岸の美しさで、ここにはイルカやアザラシも訪れるそうです。
また、ウイスキーの名産地だけあって水系が豊かで、ヨーロッパで最も優れたブラウントラウト釣りの名所の一つとして知られています。




…かつて(14~16世紀ごろ)、アイラ島は“あるケルトの氏族”が支配するスコットランド西海岸とアイルランド北岸一帯の中心地でした。
その後イングランドとの勢力争いに敗れ領地を失い氏族制度も解体、彼らの多くが国外へと逃れてゆきました。
それから長い歳月を経た1940年、大西洋を越えて移住した彼らの末裔がアメリカ・カリフォルニアで商いを始め、2010年には全世界121カ国・約3万店舗をもつ世界最大のファストフード・チェーンストアにまで発展を遂げました。
…そう、あの【マクドナルド(McDonald)】です。

Ah but it's grand to be woken at day
あぁ…それは、壮大なる一日の目覚め
And find yourself nearer to Islay
アイラの島近く、自らの運命を識る

今も世界で愛されるウイスキーの伝統を継ぐもの、そして海を渡り世界の誰もが知るブランドを確立したもの…
その“源流”は、この小さな島にありました。



「ウェスタリング・ホーム」

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「エリナー・リグビー」ビートルズ

2017.09.01

category : Beatles & Solo

Beatles - Eleanor Rigby1 Beatles - Eleanor Rigby2


The Beatles - Eleanor Rigby (1966年)



~「エリナー・リグビー」のオリジナル・スコアがオークションに!~

ビートルズ屈指の美曲「エリナー・リグビー」のオリジナル・スコアが、9月11日のオークションに出品されることになりました。
競売はビートルズの出身地リヴァプール近郊のウォリントンで行われ、約280万円程の落札額が見込まれているそうです。

「エリナー・リグビー」の楽曲自体のクレジットはご存知【Lennon–McCartney】ですが、弦楽八重奏を起用しているため編曲はプロデューサーのジョージ・マーティンが担当し、鉛筆で手書きしたスコアにはマーティンとポールが署名を入れています。
今回の競売では他にも「エリナー・リグビー」にまつわる出品が予定されており、主催者は“世界中で激しい争奪戦になるはず”と息巻いているそうです。



~概要~

「エリナー・リグビー」は1966年8月5日にイギリスでリリースされたビートルズの13枚目のオリジナル・シングル(「Yellow Submarine」と両A面)で、同日発売の7thアルバム『リボルバー(Revolver)』に収録されました。
シングルとしてイギリスではNMEで4週/MMで3週No.1に輝き、アメリカではB面扱いとなったもののBillboard Hot 100で11位を記録、2004年にはローリング・ストーン誌【The 500 Greatest Songs of All Time 137位】にもランクされています。

作者はポールでお得意の“物語風”を展開させていますが、歌詞のアイデアが煮詰まって自己完結できず他のメンバーらにアイデアを出してもらって完成させたようです(詳細別項)。
リード・ヴォーカルはポールで、本曲の歌唱により1966年のグラミーで【Best Contemporary Pop Vocal Performance, Male】を受賞しました。
一方、コーラスにジョン・レノンとジョージ・ハリスンが参加した以外、演奏についてビートルズは一切関与しておらず、このためリンゴ・スターは全く出番がありませんでした。

本曲は「Yesterday」に続いて二度目の本格的ストリングス編成曲ですが、こうしたクラシック志向には当時の恋人であるジェーン・アッシャーの存在が大きく影響を与えています。
ジェーンのお母さんはロンドンの名門ギルドホール音楽演劇学校の教授で、ジョージ・マーティンにオーボエを指導した人であり、当時アッシャー宅に住み込んでいたポールも彼女からクラシック音楽やその知識を授かっていました。
「Eleanor Rigby」はそんなアッシャー宅の地下の音楽室にあるピアノから生まれた曲であり、ポールがジョージ・マーティンに編曲を依頼した際“(アントニオ)ヴィヴァルディ風の弦楽八重奏”と注文をつけた知識も、その産物だったのです。
こうした経緯から生まれたのがヴァイオリン4/ヴィオラ2/チェロ2本という、ビートルズ作品中でも極めて特徴的な音の響きでした。

しかし、「Eleanor Rigby」の特徴的な音の響きは弦楽八重奏だけではありません。
通常のステレオは、左右2つのスピーカーによって実際そばで演奏を聴いているような音に近づけるものですが、『リボルバー』に収録の(オリジナルの)「Eleanor Rigby」では基本的にポールのリード・ヴォーカルは右チャンネルに、コーラスは左チャンネルに、ストリングスは左右両方(中央から聴こえる)に分別され入っており、特にヘッドホンを使うとそれぞれの切り代わる独特な音の感覚を楽しむことができるでしょう。
ただし、後年リミックスが施された「Eleanor Rigby」メイン動画はこの音源)は音質がクリアになっている反面、全ての音が中央から聴こえる普通のステレオ形式に変更されているので、ファンとしては微妙な所です…。

ビートルズ時代を含め「Eleanor Rigby」は長年封印されていた作品でしたが1984年、ポールは自作映画『ヤァ!ブロード・ストリート(GIVE MY REGARDS TO BROAD STREET)』で本曲を初めて再演、その際「エリナーの夢(Eleanor's Dream)」というインストゥルメンタル曲を新たに創作しメドレーとしています。
また、ライブとして最初に披露されたのは1989年9月からのワールド・ツアーで、ビートルズ時代には不可能とされたストリングスの音をキーボードで再現し、ファンを歓喜させてくれました。

カバーはジョーン・バエズ、ヴァニラ・ファッジ、アレサ・フランクリンなどが有名ですが、私は何といってもレイ・チャールズ
彼は1968年に「Eleanor Rigby」をカバーしBillboard Hot 100で35位とヒットさせ、1990年にポールが“グラミー特別功労賞生涯業績賞”を受賞したステージで本曲をトリビュート演奏したことで、とりわけインパクトを残しました。


 
 



~Lyrics~

Ah look at all the lonely people
すべての孤独な人々について考える…

【孤独】という物語の展開に行き詰ったポールは他のメンバーや、ジョンの家に遊びに来ていた元クオリーメンのピート・ショットンに相談を持ちかけており、このラインはジョージ・ハリスンのアイデアだといわれます。
ジョンは1971年に“歌詞の半分以上は僕が書いた”、1980年には“最初のヴァース以外全部僕が書いた”と発言していますが、ポールは“ジョンにはいくつかの言葉を助けてもらったけど、8割は僕が書いた”、ピート・ショットンは“ジョンの貢献は0”と、認識に差異があるようです。

ジョンの“全部僕が書いた”やピート・ショットンの“ジョンの貢献は0”はそれぞれ余りに極端で、不自然さが感じられたため少し掘り下げてみたところ、話し合いの中で「Eleanor Rigby」の結末についてピート・ショットンが“最後はマッケンジー神父がエリナー・リグビーの葬儀を取り仕切る”と提案したのに対し、ジョンはそれを反対するなど意見を異にしており、結果的にポールはピートの意見を採用したため、ジョンはプライドを傷つけられたのではないでしょうか…?
ただ、【孤独】は明らかにジョンの得意とする分野であり、彼は少なからずこの作品に対し“思い入れ(執着)”があったと思うので、“ジョンの作詞による「Eleanor Rigby」”も味わってみたかった気もします。


Eleanor Rigby, picks up the rice
エリナー・リグビーは米を拾う
In the church where a wedding has been
結婚式後の教会

ポールは最初【Miss Daisy Hawkins】の名を思いついたものの満足できず、映画『Help!』で共演した女優【Eleanor Bron】から[Eleanor]を、1966年1月に舞台公演中のジェーン・アッシャーに会うため訪れたブリストルで見掛けた酒店【Rigby&Evens Ltd】から[Rigby]を取って【Eleanor Rigby】としました。

エリナー・リグビーの人物設定についてポールは“何もかも上手くいかないオールド・ミスの掃除婦”としているようで、ライス・シャワーを浴びて若いカップルが人生最良の日を謳歌した宴の後始末を、オールド・ミスが行うというのは何ともせつないものがあります…。


Father McKenzie, writing the words
マッケンジー神父は言葉を綴っている
Of a sermon that no one will hear
誰の耳に届くこともない説教を

一方こちらは最初【Father McCartneyとしたものの、ピート・ショットンに“ポールの実父と誤解されるので変えた方がいい”と指摘され、電話帳を調べて【McKenzie】に決めたそうです。
また、このラインと[靴下を繕う]というアイデアを出したのはリンゴ・スターともいわれます。
確かに、社会的地位も高いであろう年代の男性が独り靴下を繕う姿というのは、侘びしさをかき立てますが…。
(俗人はともかく、そのくらい物を大事にして安易に他力を頼まない高潔さこそ、聖職者の本来あるべき姿?)

ちなみに【Father McKenzie】には[ハザマケンジ]の空耳があり、[ミッキー・マッケンジー(Miki McKenzie)]は水谷豊の最初の奥さまです。 



~Epilogue~

…ところで、この作品には不思議なエピソードがあります。

【Eleanor Rigby】は1966年にポールが架空の人物として創作した名前ですが、ジョンとポールが初めて出会ったリヴァプールのセント・ピーターズ教会、そのウールトン共同墓地の中に【Eleanor Rigby】の名が刻まれた墓石《写真・左》が、1980年代になって発見されたというのです!
どんな名前も、世界を探せば大抵[同名異人]が見つかるものですが、ポールの出生地(ウールトン)、しかもジョンとの運命の出会いがあった場所でそれが見つかるという偶然…?
ちなみに、ポール本人は近年も基本的に“Eleanor Rigbyは架空の人物”という立場を通している一方、現実との奇妙な一致について“無意識のうちに影響を受けたかもしれない”とも言及しています。

Beatles - Eleanor Rigby3 Beatles - Eleanor Rigby4
 右は「Eleanor Rigby」をモチーフとして、1982年にスタンリー・ストリートに設置されたエリナー・リグビーの銅像。


では墓地に埋葬されたEleanor Rigbyさんとは、一体どんな生涯を送った人なのでしょうか?

墓石の記録によると彼女は独り身ではなく既婚者で、1939年に44歳で亡くなっています。
別の情報によると彼女はリヴァプールの病院で働いていた経歴があり、私は1956年に47歳で亡くなったポールのお母さん(ウールトン病院の元看護師)の生涯との類似を感じました。
ポールはこの時14歳、母を亡くした悲しみはもちろん、それまで涙を見せたこともなかった父が大泣きしている姿に衝撃を覚え、本当に大変なことが起きたのだと悲しみを深くしたそうです。
もしも母を亡くして間もないポールがこの墓と出あっていたなら、きっとその事を思い出さずにいられないでしょう。
ポールが【Eleanor Rigby】に込めた想い、そして当初なぜ【Father McCartney】を登場させようとしたのか、彼の心に少し近づけたような気がします。


All the lonely people
孤独なるすべての人々
Where do they all come from?
それは、何処からやって来るのか…

人は、誰もが孤独なものである。
そして、かけがえないものを失った時、その宿命を識る。
暗闇があるからこそ、光を求め彷徨(さまよ)う。
“生きる”とは、後戻りできないその闇を“時間切れ”まで前に進むこと…。



「エリナー・リグビー」

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「愛は吐息のように~トップガンLOVEテーマ~」ベルリン

2017.08.25

category : Soundtracks

Berlin - Take My Breath Away1 Berlin - Take My Breath Away2


Berlin - Take My Breath Away (1986年)



~『トップガン』続編決定!?~

キャリア36年で数々のヒット作を輩出しただけでなく、2016年に米フォーブス誌が発表した高額年収俳優ランキングで4位(5300万ドル≒58.3億円)に入るなど、55歳にして今なおハリウッドを代表する大スターであり続けるトム・クルーズ。
その彼がブレイクするきっかけとなったのが、1986年のアメリカ映画『トップガン』でした。

近年、『ゴーストバスターズ』や『スパイダーマン』、『バットマン』、『ロボコップ』など旧作のコンセプトを生かしたままキャストなどを一新し、連続性を捨ててシリーズを仕切り直す【リブート(再起動)】が盛んに試みられていますが、『トップガン』では連続性を継続させた【続編】の計画があるそうです。

果たして、どんな物語になるのでしょう…。



~概要~

「愛は吐息のように」はサブ・タイトル(トップガンLOVEテーマ)が示すように、1986年の映画『トップガン(Top Gun)』の挿入曲で、サウンドトラック・アルバムからの2ndシングルとしてBillboard Hot 100のNo.1(年間27位)に輝いた作品です。
映画の音楽を担当した巨匠ジョルジオ・モロダーと、トム・ホイットロック(作詞)の共作で、このコンビは『トップガン』の主題歌「Danger Zone」やシルヴェスター・スタローン主演の映画『オーバー・ザ・トップ』主題歌「Winner Takes It All」(過去ログ)なども創作しています。
この年の北米興行収入No.1という『トップガン』の大ヒットにはシングル・ヒットを連発しBillboard 200のNo.1も記録したサウンドトラックの寄与も大きく、中でも「Take My Breath Away」は『アカデミー歌曲賞』『ゴールデングローブ 主題歌賞』の二冠を独占する活躍を果たしました。

本曲を歌うベルリン (Berlin) はその名に反してアメリカのバンドであり、だけどアメリカっぽくないニューウェーブ/エレクトロ・ポップ志向のサウンドを持ち味としています。
紅一点でメイン・ヴォーカルのテリー・ナン(Terri Nunn)は当初女優も志しており、1976年には『スター・ウォーズ』のレイア姫のオーディションを受けた経歴もあるそうです。
プロデューサーのジョルジオ・モロダーとは1984年の「No More Words」からの縁であり、そのためかベルリンより遥かに実績のあるケニー・ロギンスを差し置いてジョルジオから「Danger Zone」と「Take My Breath Away」のどちらを歌うか選択権が与えられ、ベルリンは「Take My Breath Away」を選び、それぞれの歌い手が決まりました。
作曲者のジョルジオにとって“自身のキャリアで最も誇らしい作品”と語るほどのお気に入りであり、テリー・ナンは“彼も私も当初この曲に実験的なアレンジを想定していたの。でもレコード会社と映画会社に普通のアレンジにしてくれと要請されて諦めた”と回想しています。

テーマとなっている【Take my breath away】は“(驚きなどで)息をのませる”といった意味合いで、作詞者トム・ホイットロックの口癖に由来するそうです。
但し、「Take My Breath Away」は元々『トップガン』のために書かれた楽曲ではなく、ベルリンと同じ女性ヴォーカルを看板とするThe Motelsに提供されデモ録音(未発表)されていたもので(この音源は2001年に『Anthologyland』で公開)、ベルリンが歌うことが決まってからトムが一部歌詞を書き換えています。


2004年にはアメリカの歌手ジェシカ・シンプソンが「Take My Breath Away」をカバーし、Billboard Hot 100で20位まで上昇させるヒットを記録しました。
日本では1986年に「CHA-CHA-CHA」の石井明美が「死んでもいい」(日本語詞:なかにし礼)というタイトルでカバー、1987年には「ヴィーナス」の長山洋子が「愛は吐息のように TAKE MY BREATH AWAY」でカバーしています。

また、「Take My Breath Away」は1993年に3代目ホンダ・インテグラのCMソングに起用され、一般にベルリンver.として紹介されていますが私の聴いた限りではベルリンのものではなく(The Motelsでもない)、誰のカバーであるかは不明です。


 
 



~Lyrics~

Watching every motion
この愚かな恋のゲームの顛末(てんまつ)を
In my foolish lover's game
じっと見守っている

劇中に於いてピート(トム・クルーズ)とシャーロット(ケリー・マクギリス)は非公式なパーティで出逢い、二人はトップガンの訓練生と教官(彼女は民間から派遣された専門家)の関係にあります。
ピートとシャーロットの年齢設定はわかりませんが公開時トムの実年齢は23歳、ケリーは28歳なので女性の方が年長という設定なのでしょう。
ピートは相当な自信家で、シャーロットに一度断られても化粧室まで追いかけて強引に口説こうとし、彼女も応じませんがクールにあしらう表面とは裏腹にそんな彼の魅力に惹かれてゆきます。

本項ではマーベリック⇒ピート/チャーリー⇒シャーロットと、それぞれ劇中の本名で表記しています)


Turning and returning
想いは巡り、また返す
To some secret place inside
この胸にある秘密の場所へと

教官という立場上ピートに冷淡な態度をとっていたシャーロットに失望しバイクで飛び出す彼を追いかけ、彼女が愛を告白する場面。
その激しい葛藤が情熱的な恋へと移り変わる流れの中に「愛は吐息のように」が使われており、あるサイトはこのシーンを“米国人が選ぶもっとも凄まじいラブシーン映画13選”の一つとして紹介しています。

シャーロットの告白の後、台本ではピートがセリフを言うはずでしたがトム・クルーズはそれをド忘れしてしまい、言葉を抜いてアドリブで彼女にキスをしてしまいました。
しかしトニー・スコット監督が逆にこれを気に入り、それが生かされてこの名シーンが生まれたそうです。




Through the hourglass I saw you
砂時計越しに、あなたの姿を浮かべてみる
In time you slipped away
…でもやがて、何も言わず消え去ってしまった

激しく燃えた二人の恋に、終わりが訪れます。
訓練中に彼の操縦する機体で発生した不慮の事故により友人が死んでしまい、パイロットとして自信を失って激しい自責の念に苛まれたピートにはシャーロットの慰めの言葉も届かず、彼女はそのまま転勤によりトップガンを去ってしまうのです。
この時、彼の心に映っていたものとは…。



~Epilogue~

…あれから31年、今年トム・クルーズはオーストラリアのテレビ番組で『トップガン』の続編の制作を発表しました。

タイトルは『Top Gun: Maverick』、監督は2013年に『オブリビオン』でタッグを組んだジョセフ・コシンスキーで、来年から撮影に入り2019年7月公開予定だそうです。
トムによると、“作品のトーンやスタイルは前作を踏襲し、作曲家ハロルド・フォルターメイヤーの同じ音楽を使う予定で(Top Gun Anthem?)、前作同様に競い合う内容が中心となり、主人公のマーベリックにはもっと成長が見られると思う”…とのこと。
前作の最後でマーベリックはトップガンの教官になることを希望していましたがそれが反映されるようで、情報筋によると“今度は彼が生意気な女性訓練生を指導する”という構想もあるようです。

“トーンやスタイルは前作を踏襲する”という言葉からすると、【教官❤訓練生】の展開も踏襲されることになるのでしょうか…?
…となると気になるのが前作でマーベリックと恋人になった女性教官チャーリー(ケリー・マクギリス)の存在で、前作の最後で彼の元に戻ってきた彼女をどう扱うのか…(それとも全く無視?)。
個人的には、マーベリックが若い女性訓練生とイチャイチャしている所に、妻となったチャーリーが“ピートぉ~(マーベリックの本名)”と恨めしそうに指を噛んで現れ、修羅場となる…という展開を期待したいのですが?

Berlin - Take My Breath Away3 …それって、まんま『ス○ュワーデス物語』じゃね


ただ、心配なのはトム・クルーズが8月12日、現在撮影中の『ミッション:インポッシブル6(仮題)』のスタントでビルの飛び移りに失敗し建物の側面に激突、足首2カ所を骨折する重傷を負ったと報じられていること。
命にかかわる事故でなかったことは幸いでしたが、完治まで数カ月を要するそうです。
新作への期待も膨らみますが、何よりそれはトム・クルーズ本人が元気であってのこと…
まずは、トムのケガの回復を祈りましょう。



「愛は吐息のように~トップガンLOVEテーマ~」

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「エボニー・アンド・アイボリー」ポール・マッカートニー&スティーヴィー・ワンダー

2017.08.18

category : Beatles & Solo

Paul McCartney Stevie Wonder - Ebony and Ivory1 Paul McCartney Stevie Wonder - Ebony and Ivory2


Paul McCartney & Stevie Wonder - Ebony and Ivory (1982年)



~Oh Lord, Why Don't We?~

「Ebony and Ivory」はもう35年前に発表された作品ですが、人類は現在も“この問題”を争い続けています…。
8月12日、アメリカ・バージニア州シャーロッツビルで集会した白人至上主義者らとそれに抗議する人々(カウンター)が衝突し、ナチス・ドイツの総統ヒトラーを崇拝する白人至上主義者の男がカウンターの群衆の中に車を突進させ女性1人が死亡、19人が負傷する事件が発生しました(⇒記事)。

アメリカは“自由の国”として実に多くの人種や民族・文化・宗教を受け入れ、それをエネルギーに変えて世界の超大国となりましたが、それだけに“異物が交わる軋轢”という内なる火種には歴代政権も相当の注意を払ってきました。
しかし、それを一つにまとめるべき役割を持つ政府が特定の小数派を“えこひいき”したとしたら…?



~概要~

「Ebony and Ivory」は1982年ポール・マッカートニーの4thアルバム『タッグ・オブ・ウォー(Tug of War)』からの1stシングルで、Billboard Hot 100は7週No.1(年間4位/2013年の“All-Time”ランクで69位)でビートルズ時代の「抱きしめたい」に並ぶ生涯2番目のNo.1獲得週数で、イギリスでも週間No.1を記録し、意外にもビートルズ以外では唯一の英米No.1達成シングルです。
白人ロック界のスーパースターのポールとブラック・ミュージックを代表するスティーヴィー・ワンダーという“夢の共演”の仕掛け人はポール本人で、コメディアンのスパイク・ミリガンの言葉"black notes, white notes, and you need to play the two to make harmony, folks!"から「Ebony and Ivory」を“ピアノの鍵盤で白人と黒人の調和の比喩”とするアイデアを得て、その相手[Ebony]として希望したのがスティーヴィーでした。
実は、ポールは“Little-”時代からスティーヴィーのファンで、ウイングス1973年の『Red Rose Speedway』アルバム・ジャケットに刻まれた“We love youの点字”がスティーヴィーに宛てたメッセージであることは有名です。

ただ、この時点で二人は直接連絡を取り合う関係ではなく、ポールの妻リンダのお父さんから更に別のレコード会社の知人を経由してスティーヴィーにオファーが届けられました。
一方のスティーヴィーもこの頃南アフリカのアパルトヘイト政策に反対する歌を発表しており、“ポールとは似たような考え方だし、この曲も押し付けがましくないし音楽で社会のことを考えてみようと上品に訴えているのがいい”と乗り気で、1981年2月からポールのいるカリブ海のモンセラット島でのセッションに参加しています。
また、マルチ・プレイヤーの二人らしく、全ての演奏とヴォーカルはポールとスティーヴィーによる多重録音で完結させました。

反面、ポールとスティーヴィーがピアノを連弾する微笑ましいPVは実は“合成”で、二人はスケジュールが合わなかったためポールはロンドンで、スティーヴィーはロサンゼルスで撮影したものを一つに編集し、更にポールはこの頃習得した“分身の術”も披露しています。
デュエットという特殊形態のため二人による再現はごく限られていますが、1989年11月27日にポールのロサンゼルス公演にスティーヴィーが飛び入り参加したという記録があります。
また、2010年にポールは米国議会図書館がポピュラー音楽で世界の文化に大きな影響を与えた作曲家・演奏家に贈る“ガーシュウィン賞”を受賞していますが、6月2日に授賞式&トリビュート・コンサートがオバマ大統領出席のホワイトハウスで開催され、その際、前年同賞を受賞したスティーヴィーと「Ebony and Ivory」の再演を実現させました。

 
 



~We All Know That People Are The Same Where Ever We Go~

超大国アメリカを揺るがす人種差別問題

かつて黒人奴隷制度を布き、その後も多民族国家であり続けたアメリカでは、黒人が大統領になる時代が訪れても、人種差別やそれに起因するヘイトクライム(憎悪犯罪)が今も後を絶ちません。
8月12日に事件が発生したバージニア州シャーロッツビルはアメリカ東部にあって人口5万人弱、“アメリカ国内で最も住みやすい都市”にも選ばれたこともあるバージニア大学を中心とした小さな学園都市です。
でも何故、こんな田舎町で全米を揺るがすような大事件が起こってしまったのでしょうか…
テレビ・ニュースでは伝えられないその経緯について、調べてみました。


そもそも、争いの元となったのはシャーロッツビルの解放公園(旧:リー公園)に設置されている銅像を撤去する、しないの揉め事でした。
この銅像はバージニア州出身で南北戦争の南部連合・軍司令官も務めたロバート・E・リー将軍の像(リー将軍像)で、郷土の英雄である一方、“南軍は黒人奴隷制度存続のために戦い”、戦後ネイサン・フォレスト将軍が白人至上主義の秘密結社“クー・クラックス・クラン(KKK)を結成”するなど人種差別の歴史を示す“負の遺産”としての側面もあります。
特に2015年6月にアメリカ・サウスカロライナ州で黒人9人が殺害された【チャールストン教会銃撃事件】に於いて、“犯人の男が南部連合国旗を崇拝”していたことから全米に“南軍のモニュメントは人種差別を助長する”という警戒感が高まり、今年4月にシャーロッツビル市議会もリー将軍像の撤去を決定しました。

しかし黒人奴隷制度存続のために戦った南軍を崇拝する者にとってそれは許し難いことであり、オルタナティブ右翼(alt-right)は5月にリチャード・B・スペンサー氏がシャーロッツビルでリー将軍像撤去反対集会を開き、7月にはKKKも反対デモ行進を展開し23人の逮捕者を出す騒ぎとなりました。

そして、8/11-12の反対集会【ユナイト・ザ・ライト・ラリー(Unite the Right Rally)】では事前にネットで仲間の参加を呼び掛けたことにより当日シャーロッツビルには既出の右翼団体に加え、全国から"Heil Trump!" を唱える[ネオナチ]自動小銃を装備する物騒な連中を含む数百人が集まって来たためバージニア州知事は非常事態を宣言、警察当局が白人至上主義側に不法集会の解散を命じましたが、その後発生したのが日本のニュースでも報じられたネオナチの男が集会に抗議する市民の人波に車を突っ込ませたあの殺傷事件です。


しかしそれ以上に波紋を呼んでいるのは、自国民が人種差別主義者の活動に抵抗して生じた争いを“どっちもどっち”と人種差別を許容するかのように評定し、ヘイトクライム(憎悪犯罪)によって死者まで出した白人至上主義側の責任を名指しで言及することを避けたトランプ大統領の姿勢でした。

これには民主党だけでなく与党である共和党の元大統領ブッシュ氏父子までが連名でトランプ氏を批難、事件から次の休日となった19日には人種差別に反対する抗議デモが全米各地で行われ、ボストンでは白人の極右グループが数十人で集会を開くも差別を許さない市民らが4万人押し寄せ、数に圧倒された極右グループは警察の保護を受けて退出したそうです。



~Epilogue~

現代のアメリカに於いて殆んどの国民はもちろん、人種差別は悪であり白人至上主義やネオナチのような差別的な極右思想は恥ずべきものと認識しています。
…なのに何故、トランプ大統領は大多数の国民の反感を買うことを承知で、ごく少数派である極右側を擁護する立場をとったのでしょう?

それは、彼らがトランプ大統領当選に貢献し、その後も彼を自分たちのカリスマであるかのように熱烈に応援する貴重な支持者であるからです。
つまり、政策・言動次第で敵にも味方にも変わり寄付もくれない不特定多数の国民よりも、具体的利害を共有し多額の金もくれる金持ちや熱心に選挙応援してくれる極右団体を大事にした方が信用できる…という考え方なのでしょう。
しかし、残念ながら差別ヘイト団体と政権の蜜月は、日本も同じ…。


そして、奇しくも私はこの記事を編集中、整理していた古新聞の中に“ヘイトとの闘い~在日コリアン3世”(今年5/27付)という記事を見つけました(※同じ内容を扱った⇒毎日新聞web)。

川崎市桜本地区は[コリアタウン]とも呼ばれ、在日コリアンをはじめフィリピンや南米の出身者を受け入れ誰もが認め合い、尊重し合う“共生の街”
ある在日コリアン3世の女性は家族とそこで暮らしていますが2015年11月、桜本地区が突如ヘイト・デモの標的となり、彼らが繰り返し街にやって来るようになりました。
(※手元の新聞によるとこの団体は【在特会】であり、主催者の男は【日本第一党】の党首として今年都知事選に立候補している)

“ゴキブリ朝鮮人、祖国に帰れ、死ね、殺す…”

主催者の男は[日本浄化デモ]と題してネット上で参加者を募っては訪れ、そんな言葉を浴びせました。
そして、女性の中学生の息子が“差別を止めてください”と抗議すると、男らは指差して嘲笑ったといいます。
その様子を見て女性は“もう逃げない。子どもたちをヘイト・スピーチに触れさせない”と、闘うことを決めました。
実名を公表し、顔をさらして横浜地方法務局や参議院の法務委員会に訴え、その勇気ある言動が『ヘイトスピーチ対策法』成立※(2016年6月)の追い風になり、それによって役所や警察の対処も改善されたそうです。
(※日本は2014年、国連からヘイトスピーチ問題に毅然と対処し法律で規制するよう勧告を受けていた)


Ebony And Ivory Live Together In Perfect Harmony
黒鍵と白鍵、ピアノの上で寄り添い
Side By Side On My Piano Keyboard, Oh Lord, Why Don't We?
完璧なハーモニーで共に暮らしてる…あぁ神さま、どうして僕らはそうじゃないの?

法律は政治家や役人の不正を隠ぺいするためのものではなく、罪なく虐げられる国民を守るためのもの。
差別ある所に正義は立たず、その範はまず上に立つ者が示さなければなりません。
あなたの一挙一動で、国民は変わることもできるのです…。



「エボニー・アンド・アイボリー」

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tags : 音楽 Lyrics 和訳 洋楽 

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「トゥー・トライブス」フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッド

2017.08.11

category : 1980年代

Frankie Goes To Hollywood - Two Tribes1 Frankie Goes To Hollywood - Two Tribes2


~ “終戦の日”の思い ~

8月のこの時期は“お盆”や“終戦の日”など、今は亡きご先祖や昔のことに思いを致すもの…
故郷で懐かしい顔ぶれと再会し、穏やかにその時を過ごしたいと願っておられた方も多いと思いますが、今年は“あの国”がそうさせてはくれないようです。

でも昔、日本はアメリカに無謀な戦争を仕掛け多くの人命を失い、国土の大半は焦土となりました。
そして、人と人が憎しみ、争うことがどんなに醜いか…
「Two Tribes」が教えてくれるでしょう。



~概要~

フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッド(FGTH)はバグルス/イエスのトレヴァー・ホーンに見出され1983年にデビューしたイギリス・リヴァプール出身のバンドで、過激な歌詞と先鋭的なサウンド、凝った映像で短命ではあったものの強烈なインパクトを残しました。

「トゥー・トライブス」は日本でも知名度の高いデビュー曲「Relax」に続く1984年6月発売の2枚目のシングルで、全英9週連続No.1という金字塔を打ち立て、これは1980年代最長のNo.1となっています。
また、2015年のITV“favourite 1980s number one in a poll”の投票では14位にランクされるなど、長く国民に親しまれている作品です。
一方アメリカでは、PVが“アレ(後述)”のためかBillboard Hot 100で43位と、期待外れに終わっています。
当時最先端のサウンドを構築したのはプロデューサーのトレヴァー・ホーンによる功績で、シングルは12インチを含む7種類のミックスがリリースされ、イギリスだけで200万枚近くのセールスを挙げました。

「Two Tribes」のインスピレーションの起源は1981年12月に公開された映画『マッドマックス2(Mad Max2:The Road Warrior)』の中での【when two great warrior tribes go to war】というラインからの引用だそうで(未確認)、楽曲自体は翌1982年にイギリスBBCの名物ラジオ番組『Peel Session』に出演した際すでに披露されています。
“【Two Tribes(2つの部族)】が戦争しても何の得にはならない”という明確な反戦メッセージは、当時約6万発の核兵器(2014現在は約9000発)を保有していたアメリカとソ連を中心とする“東西冷戦”への批判であり、1984年の『アイヴァー・ノヴェロ賞』(ソングライター・作曲家のための賞)で“Best Song Musically and Lyrically”も受賞しています。

また、「Two Tribes」というと楽曲以上にPVが人気で、80年代の名作ミュージック・ビデオの企画では高頻度で紹介される作品です。
制作したのはエイジアの「Heat Of The Moment」(過去ログ)やハービー・ハンコックの「Rock It」、ポリスやデュラン・デュランの多くのPVで斬新なアイデアを発表し80年代を代表する映像ディレクターと評されたゴドレイ&クレーム(Godley & Creme)で、ここでもそれを如何なく発揮しています。
「Two Tribes」の歌詞には【On the air America】(⇒映画『Love is On the Air』で初主演)や【I modelled shirts by Van Heusen】(⇒アパレル・メーカー『Phillips-Van Heusen Corporation(PVH Corp)』の宣伝キャラクターに起用)など、ロナルド・レーガンの経歴を匂わせるキーワードが組み込まれていること、作品のテーマが東西冷戦であることから当時アメリカ大統領だったレーガンとソ連の最高指導者コンスタンティン・チェルネンコが直接対決するというパロディーになっています。


 
 



~When two tribes go to war... ~

2017年8月、北朝鮮情勢が一触即発の状態に達しています…

金正恩総書記就任以降北朝鮮は核・ミサイル開発を加速させ、日米韓は安保法整備や合同軍事演習・経済制裁・国連決議などの圧力を形成し、これに対抗しようと試みてきました。
近年北朝鮮による日本の排他的経済水域(EEZ)への弾道ミサイル落下はもはや常態化していましたがこの10日、“中距離弾道ミサイル[火星12]4発を島根・広島・高知上空を経由し、アメリカ空軍及び海軍基地のある米領グアム島周辺30~40キロの水域(接続水域)に向けて着水させる作戦計画を今月中旬までに完成し、発射待機態勢を維持したまま金正恩朝鮮労働党委員長の命令を待つ”旨を表明しました。
(※恐らくこれは前日8/9、アメリカが北朝鮮の弾道ミサイル発射基地への先制・精密爆撃のためのB1戦略爆撃機をグアム基地に配備させたことその他への対抗措置と思われる)

これを受けてのトランプ大統領のツイッターでの一々の応答は“省略”するとして、元海上自衛隊海将・伊藤俊幸氏ら日本の専門家の多くは“接続水域にミサイルを撃ち込まれたらアメリカは迎撃する”とみているようです。
(※但し接続水域にあたる海域は国際法上は[公海]で、法的には“本件の迎撃は正当な自衛とはいえない”

もちろんアメリカは北朝鮮と水面下で交渉を継続していると伝えられていますが積年かけて合意できなかった相手との交渉が今回に限って上手くいく保証はなく、8月21日から予定される米韓合同軍事演習が予定どおり実施されるようだと合意形成に失敗した可能性が高く、これを口実として北朝鮮はミサイルを撃ってくるという最悪のシナリオへと足を踏み入れてしまうことも考えられます。


また、平和裏に北朝鮮問題を解決するために不可欠なのが北朝鮮の唯一の軍事同盟国・中国です。
元々中国は“朝鮮半島の核化には絶対に反対”であり、“(米韓、朝)どちら側の武力的挑戦(戦争)にも反対”で、“朝鮮半島の緊張について、平和的手段をもって解決されるべき”との立場を主張してきましたが、8月11日に共産党機関紙・人民日報傘下の『環球時報』は、以下のような踏み込んだ見解を表明しています。

北朝鮮が先に米国に向けてミサイルを発射し、米国が反撃した場合、中国は中立を保つ。
米国と韓国が先制攻撃を仕掛けた場合、中国は阻止する。 (←“武力で”とは言っていない?)

一方、マティス米国防長官は14日、“北朝鮮が米国をミサイル攻撃すれば直ちに戦争に発展する恐れがある”と述べています。
ミサイルを撃つと直ちに体制崩壊への戦争となり、しかも同盟国である中国も味方してくれないという状況下で、果たして北朝鮮はこのままミサイルを発射するのでしょうか…。



~Epilogue~

…翻って、私たち日本はどうなるのでしょう?

安保法成立で集団的自衛権の行使が可能(※但し違憲の疑いに変わりはない)となった日本は、10日の衆院安全保障委員会で小野寺五典防衛大臣が“北朝鮮のミサイルが米領グアムに向けて発射された場合(武力行使の)新3要件に合致すれば(イージス艦による)迎撃可能”といった旨の答弁をしています。
つまりその行使については国際法違反(自国領土・領海外での迎撃)や技術的な問題があるため可能性は低いものの、アメリカに要請されれば実行せざるを得ないという含みなのかもしれません。
しかしこれを実行した場合、自国が武力攻撃を受けたわけでもなく当該国(アメリカと北朝鮮)で武力衝突が生じる前に日本が北朝鮮の所有物に対し攻撃を加えることは【先制攻撃】とみなされる可能性(戦争の始まりとなる可能性)があり、この国が戦後70年大切にしてきた【専守防衛】の精神とは相反する領域に足を踏み入れることになります。

そうした国の防衛任務を担う防衛省は今年、南スーダン国連平和維持活動(PKO)に参加した陸上自衛隊の活動記録【日報】の隠ぺい問題で世間を騒がせ、この影響を受け防衛大臣と防衛事務次官・陸上幕僚長のトップ3人が辞任に追い込まれるという前代未聞の不祥事がありました。
【森友学園問題】【加計学園問題】など相次ぐ疑惑の連発に安倍総理は内閣の改造を断行、“深く反省し、謙虚に、丁寧に一つ一つ結果を出していく”と国民の前で誓ったことは記憶に新しい所です。
…しかし今月8日に公表された『2017年版の防衛白書』(防衛省・自衛隊の1年間のできごとなどを記載)には日報問題について一切記載せず、10日の参議院外交防衛委員会でも小野寺防衛大臣が“日報問題の再調査は必要ない”と答弁するなど、組織腐敗の究明をせず、問題を無かったことにしようとする彼らの本質は何も変わっていないように見えます。

北朝鮮情勢が緊迫する中、こうした政府の腐敗を追及している場合ではないとお考えの方もおられるでしょう。
しかし戦争へと向かいかねない今だからこそ、軍事を担う防衛省や自衛隊の最高指揮官であり安全保障を統括する安倍首相の権力運営が適正か、国民がしっかり注視する必要があると思うのです。
何故なら、そうした権力者による不都合な事実の隠ぺいや不正な情報操作・統制の積み重ねを許すとどれほど深刻な事態を引き起こすか、72年前の敗戦は教えてくれています。


今回の事態の最終決断を下すことになるトランプ大統領“戦争が起きるなら向こうでやる。大勢が死ぬが、米国ではなく向こう側で死ぬ”と発言していますが、権力者とは古今東西そんなものです。
“戦争を始めるのは権力者”であり、“真っ先に生命・財産・自由を奪われるのは一般市民”と相場が決まっているため、権力者は他人事として安易に戦争を始めてしまうのです。

戦争とは、自国民のみならず同盟国、敵国それぞれの人間の命を同時に奪うこと…
他人(ひと)の痛みがわからない人間に、国民の命を預かる資格はありません。

When two tribes go to war
2つの部族が戦争へと突き進んだ時
A point is all you can score
得られるのは、たった1ポイント

 “それでも戦争したいなら、他人をアテにせず戦いたい当人同士が気の済むまで殴り合え!”



「トゥー・トライブス」

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