I Wish~洋楽歌詞和訳&解説

80年代の洋楽ロック・ポップス&ビートルズを中心に、歌詞の和訳と解説+エッセイでお届けします

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「イエロー・サブマリン」ビートルズ

2016.09.30

category : Beatles & Solo

Beatles Yellow Submarine1 Beatles Yellow Submarine2


The Beatles - Yellow Submarine (1966年)



~リンゴ・スター来日~

ビートルズ・メンバーのリンゴ・スターが今月24日~11月2日にかけて、“His All Starr Band”を引き連れて3年ぶりの日本公演を行います!
毎回“豪華な友人”の参加が恒例となっている今回のメンバーにはスティーヴ・ルカサー〈G・Vo/TOTO〉、トッド・ラングレン〈G・Vo〉、グレッグ・ローリー〈Key・Vo/元ジャーニー〉、リチャード・ペイジ〈B・Vo/Mr.ミスター〉、グレッグ・ビソネット〈Dr/ローリング・ストーン誌・歴史上最も偉大な100人のドラマー52位〉、ウォーレン・ハム〈Sax・Perc/元カンサス〉が参加の予定です。

7月7日に76歳となり、8月14日には“ひいおじいちゃん”となったリンゴにとって全曲を歌いドラムを叩くことは無理と思われますが、その分頼もしい友人たちが彼をサポートしてくれることでしょう。
でももちろん、「イエロー・サブマリン」ではリンゴが魅せてくれると思いますけどネ?



~概要~

「Yellow Submarine」は1966年8月5日にビートルズが発表した7作目のイギリス盤公式オリジナル・アルバム『リボルバー(Revolver)』の収録曲で、同日「Eleanor Rigby」との両A面シングルとしてカットされ、全英チャート4週No.1という大ヒットを遂げました。
アメリカでは8月8日に「Eleanor Rigby」をB面としてリリースし9/14にBillboard Hot 100で2位(年間96位)を記録したものの、このころ全米はジョン・レノンの“キリスト教発言騒動”の真っ最中(8月11日にジョンが釈明会見)で、1位になれなかったのはその反感があったためともいわれます。
同年6月にツアーで来日したばかりの日本では、これを記念しシングルに武道館公演の写真が使われました。

リード・ヴォーカルを務めたリンゴにとってビートルズ時代唯一のシングル曲であり、まさに彼のイメージを象徴する楽しくてハッピーな名曲です。
作詞・作曲の殆んどはポール・マッカートニーで、歌詞の一部をジョンとフォーク歌手ドノヴァンが手伝っています。
前回の「Twist & Shout」で“1stアルバム『Please Please Me』はたった十数時間で全14曲のレコーディングを完了した”とお話しましたが、さまざまな効果音を駆使し(例えば“ブクブク音”は水を張った鍋にジョンがストローで息を吹き込んで泡立てた音)オーバーダブ(多重録音)を重ねた「Yellow Submarine」1曲だけでそれ以上の録音時間が費やされました。
“贅沢仕上げ”はそれに止まらず最後のコーラスにはジョージ・マーティンやブライアン・エプスタイン、ジェフ・エメリック、マル・エバンス、ニール・アスピノールといったビートルズのスタッフに加えジョージ・ハリスンの恋人パティ・ボイド、ローリング・ストーンズからミック・ジャガーとその恋人マリアンヌ・フェイスフル、ブライアン・ジョーンズが参加しています。

「イエロー・サブマリン」といって忘れてはならないのは1968年に制作されたビートルズのアニメ映画『Yellow Submarine』のテーマ曲という側面で、1969年1月17日にはそのサウンドトラック・アルバム『Yellow Submarine』も発表されました。
この映画自体はヒットしなかったものの(メンバーも音楽以外ほとんど映画には関与していない)アート性に対する評価は高く、後世“黄色い潜水艦”のヴィジュアル・イメージはこの映画によって確立されたといえるでしょう。
ビートルズの故郷にあるリバプール・ジョン・レノン空港のターミナルには、このアニメにインスパイアされた51 feet(15.62 m) × 15 feet (4.57 m)スチール製の黄色い潜水艦のオブジェが2005年から設置されており(1984年のリバプール・インターナショナル・ガーデン・フェスティバルのため制作され移設)、観光スポットの一つとなっています。

「Yellow Submarine」はビートルズのツアーで演奏されたことはなく、後年リンゴ・スター&ヒズ・オール・スター・バンドの定番曲として披露されてきた作品です。
ビートルズのアメリカ進出50周年を記念した、2014年のグラミー賞によるトリビュート・コンサート『The Night That Changed America: A Grammy Salute to the Beatles』では「With a Little Help from My Friends」(過去ログ)と「Hey Jude」でリンゴとポールが共演、「イエロー・サブマリン」では舞台で歌うリンゴをポールが応援する…といったファンにとっては涙モノの場面が見られました。

 
 



~Lyrics~

In the town where I was born
街の外れに
Lived a man who sailed to sea
船乗りがひとり

…エっ!訳が全然違う? 
実はこの日本語のラインは、1982年に「Yellow Submarine」を日本語カバーした民謡歌手・金沢明子の「イエロー・サブマリン音頭」の冒頭部分です。

“ビートルズを音頭に”というマサカの取り合わせで当時話題を呼びましたが、この企画の仕掛け人の一人は“音頭好き”で知られるあの大滝詠一で、日本語歌詞は当代随一の作詞家・松本隆が担当しました。
当時ビートルズの楽曲著作権保護が強化され歌詞の変更が世界的に認められなくなっていたものの、この曲を聴いたポールは例外的に許可を与えたという逸話があります。




Everyone of us (Everyone of us) has all we need (Has all we need)
ここにいる誰も、すべてが足りている
Sky of blue (Sky of blue) and sea of green (Sea of green)
空は青いし、海は緑色に輝いている

「イエロー・サブマリン」の殆んどはポールによる発想であるものの、【Sky of blue and sea of green】のラインはドノヴァンのアイデアだそうです。
この作品は【the land of submarines】をテーマとしているにも拘らずポールはそのビジュアル像をほとんど描けていませんでしたが、ドノヴァンによってそれが補てんされたといえるでしょう。
…でも、潜水艦の楽園が“暗い海の底”ではなく“青い空と緑色の海”というのも、ちょっと意外?

ちなみに、このフレーズでリンゴの歌唱の後を浮かれたように合いの手を入れている(カッコ内の部分)のは誰だか、もうお分かりですね? 


Full speed ahead, Mr. Boatswain, full speed ahead!
おっさんが、屁こきまっせ。僕ちゃんの屁!
Full speed it is, Sgt.!
助けてビリーさん
Cut the cable, drop the cable!
おっぺけぺえ・・・おっぺけぺえ
Aye, sir, aye!
あー、さっぱりやね
Captain, captain!
けぶん、けぶん

…私が、とうとうイカレてしまったと思わないでくださいね?
これは、英語なのに日本語のように聴こえるという有名な“空耳”です。

この一節は中間の会話部分で1行目がポール、2行目がジョン、3行目はリンゴによるものですが特にポールとジョンはブリキ缶を介して話し潜水艦内の交信を演じているので直接耳では英語がよく聴き取れませんが、何故か“日本語の方がハッキリ聴こえる”かもしれません。
それにしても、“おっさんが○○”って…? 



~Epilogue~

「Yellow Submarine」は当初、ポールが子ども向けをイメージして創作を始めた作品であり、歌詞にはわざわざ短い単語を用いています。
そのため戦争の兵器である潜水艦を明るい黄色にし、曲調もマーチを取り入れながら楽しくほのぼのとしているのでしょう。
でもあまりに内容が素直過ぎたため、素直じゃない大人たちは“反戦歌”や“ドラッグの歌”、“潜水艦で暮らす主人公=ツアーでホテルに缶詰め状態のビートルズ”、果ては“ポール死亡説”の一端にもこじつけたりもしました。


この論争の真偽はともかく、「Yellow Submarine」を歌うリンゴは正真正銘の平和主義者であり、彼のトレード・マークといえば“ピース・サイン”です。
アルファベットの[V]の形を作ることからVictory(勝利)を意味する“Vサイン”とも言われますが、1960年代にベトナム戦争や核兵器への反対から拡がった平和運動の象徴とされたのがピース・マーク(Peace symbols)やピース・サインで、当時ロック・スターの間でも流行したもののその後“Love & Peace”の衰退と共にこのサインを示すスターも殆んどいなくなった昨今、なお“ピース”し続けているのはリンゴぐらいかもしれません。
ピース・サインは使い方や国によっては“侮辱”や“性的表現”を表すサインでもあるので、外国人の前で使うのは要注意。  インド人にとっては“ウ◯コしたい”のサインだとも言うぞ…?

そして自身の誕生日である今年7月7日、リンゴは“Peace & Love”イベントを催しました。
また、9月21日の『国際平和デー(ピースデー)』には、非暴力を訴える国連やソーシャル・メディア・キャンペーン『#HugForPeace』と提携し新曲「Now The Time Has Come」を発表しています。

 


…そんな彼が歌う「Yellow Submarine」だからこそ、
作品には“特別な意味”が含まれているような気がしませんか? 

We all live in a yellow submarine
この“小さな地球船”に暮らす、僕ら
Yellow submarine, yellow submarine
みんな明るく、楽しくいこう…



「イエロー・サブマリン」


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tags : 1966年 サイケデリック イエロー・サブマリン 映画-60's 

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