彼らが“極東”と呼ぶように、私たち日本人にとってイギリスはあらゆる面で遠い国。 日本では中学校(最近は小学校)から英語を学びますが、その第一歩で“英語・イギリス人=English”と教わるので、“イギリス=England”と誤解している人が大半ではないでしょうか? 対訳はともかく、概念として正しくは“England=イングランド /English=イングランド語・人”であり、もし“イギリスという概念”をより正確に理解するなら“グレートブリテン及び北アイルランド連合王国( United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland)”となります。
つまり United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland(UK)とは…
Great Britain(GB);グレート・ブリテン島の3国に、 (イングランド、ウェールズ、スコットランド)
「心のラヴ・ソング」はポールがビートルズ解散後に結成したバンド“ウイングス(時により、ポール・マッカートニー&ウイングス)”が1976年3月25日発表した5thアルバム『スピード・オブ・サウンド(Wings at the Speed of Sound)』の収録曲です。 1stシングルとしてアメリカでは4月1日・イギリスでは4月30日にリリースされ、それぞれ1位/2位を記録しました。 Billboard Hot 100に於いては、5月22日にNo.1に達するものの翌週にはダイアナ・ロスの「ラヴ・ハングオーバー」にその座を明け渡してしまいますが、その3週後にはトップに返り咲き4週それを維持するという驚異的な粘り腰で計5週No.1に君臨し、年間チャートでもNo.1に輝いたウイングス最大のヒット曲です。 また、「心のラヴ・ソング」は“Billboard Hot 100・50年の歴代に於いても31位のヒット曲”であり、ポールがこの曲で成し遂げた3度目の年間No.1獲得(過去;「抱きしめたい」・「ヘイ・ジュード」)は、未だ破られぬ前人未到の快挙でもあります!
今回の選曲理由として「心のラヴ・ソング」はポールのライブの定番であることに加え、5月の爽やかな風が吹く国立競技場でこの曲を聴いたら最高だろうなぁ…と想像したからです。 心地よいフィーリングに心を奪われがちですがサウンドは意表をつく展開で、ピンク・フロイドの「マネー」(過去ログ)にヒントを得たというイントロは工場の機械のようだし、ライブ演奏は別ですがオリジナル音源ではエレキ・ギターが使われていない(少なくとも、ほとんど聴こえない)というのも、とても大胆なアレンジだと思います。 また、この曲は1984年のポール主演による映画『ヤァ!ブロード・ストリート(GIVE MY REGARDS TO BROAD STREET)』でもセルフ・カバーされました。
ライブ映像
~Lyrics~
You'd Think That “くだらないラヴ・ソングなんて、みんな飽き飽きしてる” People Would Have Had Enought Of Silly Love Songs. …そう君は考えてるみたいだけど
Sillyとは“愚かな”といった意味合いの言葉ですが、「Silly Love Songs」を作るきっかけとなったのがある評論家による“ポールはバラードしか書けない”という批判でした。 ビートルズ時代からバラード・ヒットの多いポールは元々ロック系の評論家にウケが悪く、ビートルズ解散後は“別の感情”も重なり特に風当たりが強かったといえるでしょう。
「バンド・オン・ザ・ラン」はビートルズ解散後としては5作目、ウイングス名義では3作目となる1973年のアルバム『Band on the Run』のタイトル曲で2ndシングルとしてリリースされBillboard Hot 100で2週連続No.1(年間19位)に輝きました。 アルバム『Band on the Run』はBillboard 200で4週No.1を含む記録的ロング・セラーにより年間2位という商業的大成功を収めただけでなく、1975年にはグラミーで“最優秀ポップ・パフォーマンス賞”を授賞し、ポールの天敵(!?)ローリング・ストーン誌さえ“500 Greatest Albums Of All Time”の418位にランクさせる趣きのある作品です。
ところで、「Band On The Run(逃げるバンド)」って、どういうコトだと思います? “バンドが逃げる”というとまず浮かぶのは、熱狂的なファンやしつこいマスコミから逃れるというイメージですが…。 ちょっと、アルバム・ジャケット(写真・右)を見てみてください。 みんなが同じ黒の服を着て、暗闇の中でスポットを当てられ驚いているでしょ? (“ドリフターズのコント”じゃありませんよ!?)
If I ever get out of here もしも、ここを出られるなら Thought of giving it all away To a registered charity 持ってるもの全部、チャリティーにくれてやろう
第2部は“願望”を匂わせる部分になっていて、“If I ever get out of here”のフレーズはビートルズ時代にアップル・レコードの会議でメンバーのジョージ・ハリスンが発した言葉がそのまま用いられています。 囚人とすぐに打ち解けたポールも“クサいメシ”は合わなかったようで、その時出された味噌汁のトラウマからその後何年もそれを口にできなかったとか…(今は、好きらしい)。
Well the rain exploded with a mighty crash やれやれ…お天道さまの下に出た途端 As we fell into the sun 叩き付けるような、激しい雨のお出迎え