“メジャー・デビュー45周年”を迎えたオリビア・ニュートン=ジョンの5年ぶりとなる日本公演が、現在進行中です。 4/30までの通常公演に加え、5/2には“すべての福島県の友達のために一生懸命歌います”というオリビアからのメッセージが込められた震災追悼のための福島公演『Pray For Fukushima』も予定されています。
「イフ・ノット・フォー・ユー」は、オリビアの黄金期を支えたプロデューサーのジョン・ファーラーとの出発点といえる同名1stアルバムからの1stシングルで、初めてイギリスで7位と大ヒットをを記録したほか、初めてアメリカBillboard Hot 100で25位(ACチャートでは3週No.1)とヒットした作品です。 独特な音の揺らぎを持つ“スライド・ギター”をフィーチャーしたアレンジが施されており、オリビアの“カントリー”イメージの原点ともいえるでしょう。
一方、楽曲はボブ・ディラン1970年のアルバム『New Morning』に収録された作品であり作詞・作曲もボブ・ディラン、オランダのチャートで30位という記録が残っています。 セッション初期にはジョージ・ハリスンも参加しており、その音源は1991年に『The Bootleg Series Volumes 1–3 (Rare & Unreleased)』として公開されました。 また、この縁からジョージ・ハリスンもビートルズ以降初となる同年のソロ・アルバム『All Things Must Pass』の中で「If Not For You」をカバー、ここでスライド・ギターが初めて用いられ歌詞も一部書き換えられしており(後述)、オリビアver.はジョージver.の影響を受けた作品といえるでしょう。 翌年、ジョージ主催のチャリティ『バングラデシュ難民救済コンサート』にはボブ・ディランも参加していて、本番では演奏されなかったものの二人が生ギターだけで「If Not For You」を演奏するリハーサル映像が残されています。
Babe the night would see me wide awake 夜は安らぎをもたらさず The day would surely have to break ひとり、暗闇に取り残されたまま And it would not be new 夜明けを迎えなければならない
オリジナルのボブ・ディランはこのラインを、[baby, I'd lay awake all night / Wait for the morning light / To shine in through]と歌っています。 ジョージのカバーでは上のように書き換えられていますが、この間どんな心境の変化があったのでしょう?
「トップ・オブ・ザ・ワールド」はカーペンターズの中でも屈指の有名曲ですが、元々は1972年6月に発売された4thアルバム『ア・ソング・フォー・ユー(A Song for You)』の収録曲でした。 このバージョンは現在よく耳にするものに比べギターがよりカントリー・タッチかつコーラスもシンプルで、リチャード・カーペンター自身当初シングル的価値があると認識してはいませんでした。
…という部分が、私は大好きです。 仏教に“諸行無常”の言葉があるように、人生に於いて今日という日が幸せであったとしても明日もそれが保障される理(ことわり)はありません。 だからこそ今日の幸せに感謝し、新たな一日を大切にしたいという気持ち… それこそが、“Top Of The World”へと導いてくれる秘訣なのかもしれません。