「ハロー」は、今やイギリス(…いや、世界)を代表する女性歌手アデルの3rdアルバム『25』からの1stシングルで、Billboard Hot 100の10週No.1(2016年の年間7位)をはじめ世界中でNo.1に輝くなど、2015年末までに1,230万枚がリリースされました。 歴代記録を塗り替えることとなったYouTubeでは、公開24時間で2770万回の再生回数を記録し(VEVO)、最速(5日間)で1億回を達成、2017年2月19日現在までで約18億8000万回再生されています!
・最優秀レコード(Record Of The Year) ・最優秀楽曲(Song Of The Year) ・最優秀ポップ・ソロ・パフォーマンス(Best Pop Solo Performance) (※アルバム『25』は、“Album Of The Year”と“Best Pop Vocal Album”の2部門を受賞)
…要するに最高栄誉とされる“主要4部門”のうち資格のない新人賞以外の3部門を独占したわけで、まさに堂々たる“この年の顔”であり、またしても前作『21』に続いての圧倒的な強さを見せつけた形となりました。 しかしAlbum Of The Yearに関してはビヨンセの『Lemonade』を予想した専門家やミュージシャンも多く、当のアデル本人も授賞式のスピーチで…
YouTubeのマッシュアップが、先に“実現”させちゃいました! この映像は、2人がそれぞれのPVで電話越しに“Hello”を応答する形で編集されていますが、続けてライオネルが“Is it me you're looking for?(君が捜しているのは僕なんだろう?)”と切実に問い掛ける最中アデルが取った行動、そして直後のライオネルの反応が…!?
アデルがアルバムのタイトルに自身の年齢(制作に着手した当時の年齢)を掲げていることは有名ですが、『25』はまさに制作に着手した2013年の年齢であり、実際に『25』を発表できた時は既に27歳となっていたことがその“難産”を物語っています。 2013年、アデルは前作『21』プロデューサーのリック・ルービンと共に“母性”をテーマに制作を始めるもののアルバム全体があまりに退屈な出来ばえだったため廃棄、休暇を取ってアイデアを練るも何も生まれなかったほど極度のスランプに陥っていました。 そのため友人のキッド・ハープーン (Kid Harpoon) をプロデューサーに迎えてみたものの肝心のアデル本人はスランプのままで、さらには「Rumour Has It」のライアン・テダー(Ryan Tedder)とセッションを試みても決定的な成果は得られませんでした。
転機となったのは翌年、2人組の音楽ユニットThe Bird and the Beeのグレッグ・カースティンとの出会いで、「Hello」は彼とアデルによる共作です。 しかしそれでもアデルは“相変わらず”だったそうで、そのため曲の完成まで約6ヶ月を要したといいます。 この気の長くなるような共同作業について、グレッグは“いつまで経っても曲は未完成のままでアデルが曲を仕上げるつもりがあるのかともどかしかったけれど、ただ彼女を信じて待つしかなかった”とふり返っています。
Hello from the outside Hello...あなたの外の世界から呼び掛けた At least I can say that I've tried そして、これだけは言える… To tell you I'm sorry for breaking your heart “傷つけたこと、ごめんね”って、伝えようとしていたの
「ムーン・リバー」は、1961年のオードリー主演映画『ティファニーで朝食を(Breakfast at Tiffany’s)』の(非公式の)主題歌です。 作詞;ジョニー・マーサー/作曲;ヘンリー・マンシーニによって創られた楽曲であり、劇中では3つのバージョンを聴くことができます。 1つは主人公ホリー(オードリー)がニューヨーク5番街にある宝石店『Tiffany & Co.』の前で朝食のパンを食べる有名なオープニングでのインストゥルメンタルver.、2つ目はホリーが劇中で歌う歌詞ありver.、3つ目はオリジナルをアレンジした「Moon River Cha Cha」です。
このうちヘンリー・マンシーニ楽団による“1つ目”の「Moon River」がシングル・カットされBillboard Hot 100の11位、これらを収録した『ティファニーで朝食を』のサウンドトラックはアルバム・チャートBillboard 200でNo.1を記録し90週間ランク・インする大ヒットとなりました。 これを受けて「ムーン・リバー」は“アカデミー歌曲賞”、グラミーでも“最優秀レコード賞”・“最優秀楽曲賞”・“最優秀編曲賞”という最高の栄誉を受賞しました。
ただし、この輝かしい栄誉には本記事の主役である“オードリーの歌唱ver.”は含まれてはいません。 何故なら、オードリーが劇中で歌った「ムーン・リバー」はサウンドトラック・アルバムには含まれていなかっただけでなく、その後もずっと正式な音源としてレコードやCDに記録されなかったためラジオでも流れづらく、一般的にはカバーの一つであるアンディ・ウィリアムスver.の方が有名になるという現象を生みました。 しかしオードリー死後の1993年、彼女が劇中で歌った「ムーン・リバー」はベスト盤CD『Music from the Films of Audrey Hepburn』に初めて収録され、2004年にはオードリーの「ムーン・リバー」が映画音楽の歴史的名曲として『アメリカ映画主題歌ベスト100』の4位に選出されています。
~Lyrics~
I'm crossing you in style いつの日か、きっと someday 胸を張って、川の向こうへと辿り着きたい
OPで、ホリーが『Tiffany & Co.』のショー・ウインドウ前でパンを食べるシーンが浮かびます…。 『Breakfast at Tiffany’s』というタイトルは、“ティファニーで朝食を食べる身分になりたい”という主人公ホリーの願望を象徴するものです。 ちなみにこのシーンでオードリーが身につけているジバンシィのシンプルな黒のカクテルドレス (Little black Givenchy dress of Audrey Hepburn)は、“史上最も有名なドレス”といわれているのだとか!
We're after the same rainbow's end ふたりひとつの“虹の終わり”を追い求めたい Waiting round the bend その“入口”で待っていて
1行目は【pot of gold at the end of the rainbow(虹の先が地面に接する所に黄金入りの壺がある)】という伝説に基づいた表現と思われます…。 そして、二人は“同じ見果てぬ夢【the same rainbow's end】”を追い求める同志です。 【bend】は[曲がり目]のことですが、私は“虹の入り口”と解釈しました。
ホリーの当初の【rainbow's end】は、きっと“誰にも縛られない自由”と“Breakfast at Tiffany's”でした。 でもそれは彼女ひとりのための夢であり、実際ポール(ジョージ・ペパード)に求愛されても“人は誰のものでもないわ。私は、誰の鳥籠にも入らない”と突っぱねています。 その心の氷を解かすのも、最終的にやっぱり彼の言葉だったわけですが…。
My huckleberry friend 私のハックルベリー・フレンド Moon river and me あなた、そして私…
【huckleberry】は一般にマーク・トウェインの小説『トム・ソーヤーの冒険』で主人公の“相棒”として登場するハックルベリー・フィンと認識されていますが、作詞者ジョニー・マーサーの自伝によると“幼少のころ一緒に川下りをした彼の友人”をイメージしたものだそうです。 【Moon river】も、ジョージア州サバンナにあるジョニー・マーサーの実家の下を流れる“The Back River”をイメージしたものとされます。
「セイリング」は1979年12月に発表されたクリストファー・クロスのデビュー・アルバム『南から来た男(Christopher Cross)』からの2ndシングルで、翌年8/30付Billboard Hot 100のNo.1(1週/年間32位)に輝いた曲です。 アルバムからは既にドゥービー・ブラザーズのマイケル・マクドナルドがバック・ヴォーカルを務めた1stシングル「Ride Like The Wind」が大ヒットし、続くシングルには「I Really Don't Know Anymore」が第一候補に挙がっていましたがこれもマイケルのヴォーカルをフィーチャーしていたため権利関係に問題が生じるのを回避し次善として選ばれたのが「Sailing」でした。
「チェンジ・ザ・ワールド」は、1996年7月に公開されたジョン・トラボルタ主演のファンタジー恋愛映画『フェノミナン(Phenomenon)』の挿入曲としてエリック・クラプトンが歌唱した作品です。 シングルとしてBillboard Hot 100の5位(年間19位)を記録し日本でもラジオ局J-WAVE(TOKIO HOT 100)で年間No.1に輝くなど、世界各国で大ヒットしました。 その後も日本ではカバー&CMなどで広く・長く愛され続け、2015年3月からはトミー・リー・ジョーンズ&タモリの不思議な空気感と共に“サントリー・コーヒー・プレミアムボス”のCM曲としてお馴染みでしょう♪
“ギター・レジェンド”のエリックが“当代随一の音楽プロデューサー”ベイビーフェイス (Babyface)とコンビを組んだことでも話題を呼んだ作品であり、ベイビーフェイスはPVにもギター・プレイヤーとして出演しました。 翌年のグラミーで「Change The World」は“最優秀レコード賞/最優秀楽曲賞/最優秀ポップ男性ヴォーカル賞”の三冠を獲得しており、その授賞式でもこの2人のギターの弾き語りによってパフォーマンスされています。 以来エリックのアコースティックの定番としてライブには欠かせないナンバーとなりましたが、一方のベイビーフェイスにとっても長年のレパートリーとなっているようです。
あまりにもこのイメージが強いせいか、彼またはベイビーフェイスの作曲と思われがちですが作者はこの何れでもなくトミー・シムズ(ブルース スプリングスティーンの「Streets of Philadelphia」をプロデュース)、ゴードン・ケネディ、ウェイン・カークパトリックによって1990年代前半に書かれたものです。 エリックがこの曲を聴いたとき車を運転しながらノンストップで200回聴き続けるほど気に入ったそうで、ヒットを確信したといわれます。
さらに、初めて「Change The World」を正式に発表したのはアメリカの女性カントリー歌手ワイノナ・ジャッド(Wynonna Judd)で、エリックver.の5カ月前の1996年2月にリリースしたアルバム『Revelations』に於いてでした。 エリックver.がグラミーで最高の評価を得たにもかかわらず、アカデミー歌曲賞の候補に挙がらなかったのはこのためと思われます。
…なんて、大業を目標に掲げた偉人が好んで言いそうなセリフ? 例えば2008年のアメリカ大統領選挙でバラク・オバマ氏が連呼した “Change, Yes, we can.(変えよう、我々ならできる)”が浮かびます。
あるいは、アップル・コンピュータ創業者のスティーブ・ジョブズ氏の有名な殺し文句! “Do you want to sell sugared water for the rest of your life, or do you want to come with me and change the world? このまま一生砂糖水を売り続けたいか、それとも私と一緒に世界を変えたいか?” [ペプシコーラの事業担当社長ジョン・スカリー氏(※)をアップルに引き抜いた際の言葉(※マイケル・ジャクソンをCMに起用するなど、ペプシをコーラ業界トップにした人)]
最優秀レコード賞 Record of the Year 「Uptown Funk」 マーク・ロンソン ft. ブルーノ・マーズ 最優秀アルバム賞 Album of the Year 『1989』 テイラー・スウィフト 最優秀楽曲賞 Song of the Year 「Thinking Out Loud」 エド・シーラン 最優秀新人賞 Best New Artist メーガン・トレイナー
「シンキング・アウト・ラウド」は2014年の2ndアルバム『x(マルティプライ)』の収録曲で、同年9月3rdシングルとしてリリースされ全英シングル・チャート1位に輝いただけでなく、翌年6月に“UKで1年間トップ40にチャート・インし続けた初のシングル※”という異例のロング・ヒットを達成しました(※ダウンロード開始は2014年6月)。 一方US Billboard Hot 100の最高位は2位、アメリカだけで500万枚以上を売り上げています。 また、ストリーミング配信サービス『Spotify』に於いてエド・シーランは“2014年に最もストリーミングされたアーティスト”に輝いていますが、シングル「Thinking Out Loud」は“ストリーミング数が5億回を突破した初めての曲”として歴史に名を刻みました。 PVでエドは社交ダンスを披露しており、気になるお相手の女性はダンス・コンテスト番組『So You Think You Can Dance(U.S. season 10)』の参加選手Brittany Cherryで、エドは減量とブリタニーとの1日5時間×3週間という厳しい特訓を経て撮影に臨んだそうです。
また、今回のグラミーで“最優秀楽曲賞”と“最優秀ポップ・パフォーマンス(ソロ)”の2部門を受賞した彼ですが、これまで2013年に1部門・2014年に2部門・2015年に3部門ノミネートされながら一度も受賞が叶わなかったことから、本人は“今年はノミネートされても授賞式には行かないつもりだった。でも、行かない年に限って受賞したりするかもしれないから出席した。もし受賞しなかったら、もう今後は行かない。”と覚悟を決めての参加だったといいます。 …とはいうものの、実は今回対象となっている「Thinking Out Loud」は昨年『第57回』の式典に於いてジョン・メイヤーとの協演によりパフォーマンス披露済みであり、今年同曲が歌われることはありませんでした。
“2年前ロンドンで、私がバレエシューズを買っていた店にエドが入ってきたの。そしてこう言ったわ。「この新曲を聞いてよ。僕の最高傑作だと思うから!」って。そしていつものようにエドは電話を取り出して、私にヘッドフォンを渡してくれた。私は店のベンチに座ってその曲「Thinking Out Loud」を初めて聴いたの。小さな子どもたちがチュチュやレオタードを選んでいた隣でね。でもこの歌が世界中の結婚式でのファーストダンスの定番曲になり、エドの最大のヒット曲になり、2016年のグラミー賞で年間最優秀楽曲を獲得することになるなんて、あの時は思いもしなかったわ。” “エドとはツアーで1年間ほぼ毎日一緒だったの。エドが私の楽屋に突入してきて新曲を聞かせてくれるのが楽しみだったわ。それがあまりにも頻繁だったから普通のことになってたんだけど、私に一番最初に聞かせたいと思ってくれたエドの気持ちがどれだけ嬉しかったか、エドはわかっていなかったと思う。常に新しいものを創り出そうとする彼のパワーと情熱がどれだけ私に刺激を与えたのかも、エドはわかっていなかったと思うわ。”
う~む… この二人の間には、“釈然としない何か”がある?
~Lyrics~
When your legs don't work like they used to before 君の脚が、かつての健やかさを失い And I can't sweep you off of your feet 僕も、その足元をさらって抱きかかえられなくなる頃
いきなりちょっとシリアスな話題ですが、この頃“それ”を意識させる出来事がエドの周辺で起きていました…。 「Thinking Out Loud」の作者はエドと、17歳以来の作曲パートナーAmy Wadge(エイミー・ワッジ)ですが、作品が生まれる前年の2013年にそれぞれ祖父と母を亡くしており、その経験が影響を与えたようです。 ある日エイミーが1階でギターのコードを弾いていると、2階でシャワーを浴びていたエドが急いで駆け降りてくるほど彼の気を引いたそうで、本格的に作業が始まると約20分でそれを完成させたそうです!
“老化は足から”と言われますが、あなたは自信がおあり…?
When my hair's all but gone and my memory fades この髪がすっかり抜け落ち、記憶もおぼつかなくなって And the crowds don't remember my name 世間も僕の名を忘れ去り