「アイ・ライク・ショパン」は1984年に日本で20.3万枚を売り上げ、オリコン洋楽シングル・チャートで13週連続1位を獲得し総合年間でも66位に入り、同年の洋楽曲として最大のヒットを記録したガゼボのシングルです(以下、75位「ファー・フロム・オーヴァー」、77位「里見八犬伝」、81位「Say Say Say」、94位「フットルース」)。
ガゼボは外交官の父とアメリカ人歌手の母を両親にもつイタリアの歌手で、22歳の1982年にデビュー曲「Masterpiece」がイタリア国内で2位を記録するなど、幸運な音楽活動をスタートさせています。 翌83年にリリースした2枚目のシングルが「I Like Chopin」で、これがイタリアをはじめオーストリア/ドイツ/スイスなど15カ国でNo.1を記録、全世界で800万枚を売り上げる大ヒットとなりました。 ガゼボは大の映画好きだそうで、「I Like Chopin」のPVは歌の内容とは全く関係のない、2時間サスペンスも真っ青なストーリー展開(メイン動画)!
1984年になると余波は極東の日本にも及び、「I Like Chopin」を日本語歌詞で書き換えた「雨音はショパンの調べ」が小林麻美によってカバーされ、オリコン週間3週連続No.1(年間12位)を獲得、52.0万枚を売り上げる大ヒットとなりました(別項参照)。 この大ヒットの影響で原曲であるガゼボの「アイ・ライク・ショパン」にも脚光が集まって上記のようなヒットに至っていますが、この2つのバージョンを合わせると楽曲の総売り上げは72.3万枚となり、これは同年のセールスでみると年間2位に相当する異例の大ヒットといえる成績です(1位「もしも明日が…。」96.9万枚/2位「ワインレッドの心」69.6万枚)。
日本では一般に“ガゼボはこの一発で終わった”と認識されていると思いますが、実は21世紀の現在も彼は歌手として現役バリバリです! さすがに「I Like Chopin」以降目立ったヒット曲はみられないものの、その後も2~3年おきぐらいでコンスタントにアルバム発表を続けており、今年も『Italo By Numbers』をリリースしています。
~Lyrics~
Remember that piano あのピアノを忘れないで So delightful unusual とても心地よくて、でもほかにはない…
【piano】ときて【Chopin】というと、やっぱり“あのショパン”を連想するでしょう。 音楽の教科書にも登場する19世紀のポーランドの作曲家、フレデリック・ショパン(Frédéric François Chopin)。
私が人生で初めて触れたショパンは宇津井健/水谷豊がピアノ・コンクールに挑戦するドラマ『赤い激流』で、毎週そのフレーズが繰り返された「英雄ポロネーズ」(ポロネーズ第6番変イ長調「英雄」/La Polonaise héroïque)。 でもこれだと確かに【unusual(並はずれの)】ですが、「I like Chopin」に流れるピアノのテイストとはイメージがかけ離れています。
「ワンダフル・クリスマスタイム」は1979年11月16日発売のポール・マッカートニーのシングルで(B面は「Rudolph The Red-Nosed Reggae」)、ビートルズ解散後初のソロ・シングル「Another Day」(1971年)以来8年ぶり、そして実現するはずだったウイングスの日本公演直前の1980年1月5日に全英6位を記録しました。 1979年6月、ポールはウイングスのアルバム『Back To The Egg』をリリース後6週間ほど自宅スタジオに籠って一人でレコーディングを行っており、この音源は翌年のソロ・アルバム『McCartney II』として発表されることとなりますが、「Wonderful Christmastime」もこの時の録音によるものです。
しかし2000年代に入ってから急に新しい世代によるカバーが増えたことでクリスマス・ソングとしての人気が確立され、カイリー・ミノーグのポップスはもちろんDe La Soulのヒップホップ、Helixのヘヴィー・メタル、Eli Young Bandのカントリーといった実に幅広いジャンルからのアプローチがみられます。 このためポールは現在でも本曲だけで年間40万ドルの印税収入があり、累積だと1500万ドルにも上るそうです!
2013年にはアメリカの人気番組『Saturday Night Live』でポール自身がコメディを演じると共に本曲を披露したり、昨年12月には『The Tonight Show』で司会のジミー・ファロンや番組の“ハウス・バンド”を務めるザ・ルーツ、今年3月に日本でも公開された映画『SING/シング』のキャラクターとその声優陣(スカーレット・ヨハンソン、リース・ウィザースプーンほか)らと共にアカペラ・バージョンの楽しい映像を公開しました。
スーパースターと呼ばれるミュージシャンは大抵何かしらのクリスマス・ソングやクリスマス・アルバムの類いを出しているものですが、意外にもビートルズはそうした作品をリリースしていません。 敢えてこじつけるなら1964年12月4日に発売で“クリスマス・セール”に引っ掛けてタイトルされたアルバム『Beatles for Sale』がありますが、選曲自体はクリスマスに関連したものではありませんでした。 解散後はご存知のように、ポールの「ワンダフル・クリスマスタイム」やジョン・レノンの「ハッピー・クリスマス(戦争は終った)」がスタンダード・ナンバーとなっています。
また、最もクリスマスが似合いそうなリンゴ・スターはメンバー中唯一クリスマス・アルバム『I Wanna Be Santa Claus』(1999)を発表しています(タイトルが何とも彼らしい♪) 一方、ジョージ・ハリスンはヒンドゥー教徒なので恐らくクリスマス・ソングはありませんが、1974年12月6日に「Ding Dong, Ding Dong」というシングルをリリースしBillboard Hot 100で36位と小ヒットしました(タイトルと発売時期は明らかにクリスマス・セールを意識している!)。 この曲は【参加ミュージシャンがあり得ないほど豪華】で、ドラムスにリンゴ・スター、ギターにロン・ウッドとミック・ジョーンズ、ベースにクラウス・フォアマン、ピアノにゲイリー・ライト、ホーンにトム・スコットらを揃え、更にはPVでジョージ自らがビートルズ時代の自分の衣装を着せ替え人形状態で見せるサービスぶりで、とりわけ【襟なし服】は見ものです!
Ringo Starr - Christmas Eve / George Harrison - Ding Dong, Ding Dong
「Christmas Time (Is Here Again)」は、イギリスのファン・クラブ向けに1967年のクリスマスに製作されたソノシート・レコード(雑誌の付録に付いてくる赤いペラペラのアレ)のために録音された歌。 楽曲自体は【Christmas time is here again】ほかの短いフレーズをひたすら繰り返す極めて単純な構成で、恐らくその場の即興で創られたものと想像しますが、メンバー全員によるハーモニーがビートルズらしくて魅力的です。
その後1995年、「Free as a Bird」に本曲の短縮編集バージョンがカップリングされました。 (本項ではComplete Versionを紹介)