「トゥー・トライブス」は日本でも知名度の高いデビュー曲「Relax」に続く1984年6月発売の2枚目のシングルで、全英9週連続No.1という金字塔を打ち立て、これは1980年代最長のNo.1となっています。 また、2015年のITV“favourite 1980s number one in a poll”の投票では14位にランクされるなど、長く国民に親しまれている作品です。 一方アメリカでは、PVが“アレ(後述)”のためかBillboard Hot 100で43位と、期待外れに終わっています。 当時最先端のサウンドを構築したのはプロデューサーのトレヴァー・ホーンによる功績で、シングルは12インチを含む7種類のミックスがリリースされ、イギリスだけで200万枚近くのセールスを挙げました。
「Two Tribes」のインスピレーションの起源は1981年12月に公開された映画『マッドマックス2(Mad Max2:The Road Warrior)』の中での【when two great warrior tribes go to war】というラインからの引用だそうで(未確認)、楽曲自体は翌1982年にイギリスBBCの名物ラジオ番組『Peel Session』に出演した際すでに披露されています。 “【Two Tribes(2つの部族)】が戦争しても何の得にはならない”という明確な反戦メッセージは、当時約6万発の核兵器(2014現在は約9000発)を保有していたアメリカとソ連を中心とする“東西冷戦”への批判であり、1984年の『アイヴァー・ノヴェロ賞』(ソングライター・作曲家のための賞)で“Best Song Musically and Lyrically”も受賞しています。
また、「Two Tribes」というと楽曲以上にPVが人気で、80年代の名作ミュージック・ビデオの企画では高頻度で紹介される作品です。 制作したのはエイジアの「Heat Of The Moment」(過去ログ)やハービー・ハンコックの「Rock It」、ポリスやデュラン・デュランの多くのPVで斬新なアイデアを発表し80年代を代表する映像ディレクターと評されたゴドレイ&クレーム(Godley & Creme)で、ここでもそれを如何なく発揮しています。 「Two Tribes」の歌詞には【On the air America】(⇒映画『Love is On the Air』で初主演)や【I modelled shirts by Van Heusen】(⇒アパレル・メーカー『Phillips-Van Heusen Corporation(PVH Corp)』の宣伝キャラクターに起用)など、ロナルド・レーガンの経歴を匂わせるキーワードが組み込まれていること、作品のテーマが東西冷戦であることから当時アメリカ大統領だったレーガンとソ連の最高指導者コンスタンティン・チェルネンコが直接対決するというパロディーになっています。
It's All Coming Back To Me Now / Celine Dion Paradise By The Dashboard Light / Meat Loaf Starships / Nicki Minaj Pinball Wizard / The Who Starlight Express / Starlight Express Tongue Tied / GROUPLOVE We Are The Champions / Queen
音楽情報サイト『BARKS』で2013年洋楽ニュースのTOP1を、レディー・ガガ(彼女の下半身に起こったアノ悲劇…)”が飾ったように、良くも悪くも現在最も影響力を持ったスターである彼女。 そんなガガが2011年にリリースした2ndアルバム『ボーン・ディス・ウェイ (Born This Way)』は1stシングルとなったタイトル曲のインパクトと奇抜なミュージック・ビデオにより世界中の目を釘付けにして、その存在の大きさを再認識させました。 しかしこのアルバム自体音楽評論家から高い評価も受けており、3rdシングルの「ジ・エッジ・オブ・グローリー」もその一つといえるでしょう。
「ジ・エッジ・オブ・グローリー」はStefani Germanotta (ガガの本名)らによる作品で、Billboard Hot 100で3位を記録しました。 日本では、2011年のドラマ『ジウ 警視庁特殊犯捜査係』主題歌としてご存知の方も多いことでしょう。 ロック色の強いダンス・ナンバーで、ブルース・スプリングスティーンの“Eストリートバンド”でお馴染みのサックス奏者クラレンス・クレモンズがプレイしたことでも話題を呼びましたが(PVにも出演)、この曲がシングルとしてリリースされた直後、残念ながら脳卒中のため彼はこの世を去ってしまいました(享年69)。 私は音楽的に「ボーン・ディス・ウェイ」より気に入っている作品で、シンプルなPVは奇抜さがない分好き嫌いもなく、大多数が“cool”と思える映像になっています。
There ain't no reason you and me should be alone Tonight, yeah, baby! (Tonight, yeah, baby!) あなたと私…今夜、互いが一人きりでいるべき理由なんてない And I got a reason that you're who should take me home tonight (Tonight) けれど、私…今夜、あなたの家に連れ帰られるべき理由があるの
“There ain't no reason”と“I got a reason”の対比が効いて、ロックっぽいクールな表現。 どうやら“お・も・ち・か・え・り”されたがっているようですが、本人にとっては切実な想いがあるようです…。
Another shot before we kiss the other side 今夜、もう一度… Tonight, yeah, baby! (Tonight, yeah, baby!) あの世でキスを交わす、その前に
この連は“the other side”をはじめ生死観が色づけされていて、ガガのおじいさんとおばあさんの“この世のお別れ”の影響を感じさせます。 あの世に行ってもキスはできるのだろうけど、せめてこの世であと一回、キスを交わそう… そんな想いが、去来しているのでしょうか…。
I'm on the edge of glory, and I'm hanging on a moment of truth 栄光の端…私はそこで、真実の一瞬に縋(すが)りつく Out on the edge of glory, and I'm hanging on a moment with you 光の外…あなたとの一瞬に縋りつく
タイトルにもなっている、歌のメイン・フレーズです。 “the edge of glory”の解釈はとても難しく、その表現は自分でも最後まで迷ったし満足してはいません。