「恋する二人」はビートルズ1964年のイギリス盤公式オリジナル・アルバム『ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!(A Hard Day's Night)』の収録曲です。 同アルバムのA面(前半7曲)はビートルズ初主演同名映画のサウンドトラックとなっており、「恋する二人」は乗り込んだ[列車内でビートルズがトランプをするシーン]、もう一つは[最後のライブ・シーン]で使われています。 本アルバムからは何といっても「A Hard Day's Night」(過去ログ)と「Can't Buy Me Love」が世界的大ヒットを遂げていますが、イギリスでは「I Should Have Known Better」のシングル・カットはなく(1976年に「Yesterday」のB面としてリリース)、アメリカでは「A Hard Day's Night」のB面曲としてBillboard Hot 100で53位、日本ではA面(B面は「I'll Cry Instead」)として4位(ミュージック・マンスリー洋楽チャート)を記録しました。
「I Should Have Known Better」の作者はジョン・レノンで、ヴォーカルも彼によるダブル・トラックです。 他にはジョージ・ハリスンの12弦ギターとジョンのハーモニカが印象的でフォーク・ロック調のテイストとなっていますが、これはジョンがボブ・ディランの『The Freewheelin' Bob Dylan』(過去ログ)の影響を受けたことによるもので、この頃彼はかなりディランにカブレていました。 また、本曲はモノラルとステレオ・ヴァージョン(メイン動画)の2種類があり、イントロのジョンのハーモニカでモノラルは同じフレーズを2度繰り返すのに対し、ステレオは2度目の最後に“溜め”が入ります。
ジョージがインド文化に傾倒していたことは有名ですが実はパティも元々東洋神秘学に関心があり、ジョージがヒンドゥー教の神学者マハリシ・マヘーシュ・ヨーギーと会うことを勧めたのも彼女だったといわれます。 しかしその後ジョージは益々宗教へとのめり込み、その事が著しく彼の性格を変えて“取り返しがつかないほど彼女を遠ざけた”として二人の離婚の一因となってしまいました。 後にパティがジョージとの離婚を悔やむ結果となったことを考えれば、「I Should Have Known Better」はジョージとパティの出逢いの予言であり、“どんな時もその気持ちを忘れずに”という神さまから二人へのアドバイスだったようにも思えてきます。
I should have known better with a girl like you もっと、ちゃんと気づくべきだった That I would love everything that you do 君が何かするたび、胸がときめこうとしてたこと
「ハード・デイズ・ナイト」は1964年のビートルズ初の主演映画『A HARD DAY'S NIGHT』のために書き下ろされた曲の一つで、1964年7月10日に発売された同映画のサウンドトラック・アルバムでありビートルズ3作目のイギリス盤公式オリジナル・アルバムのタイトル作品です。 (※アメリカ盤はこれと異なっています)
シングルとしてはイギリス(B面は「今日の誓い」)で3週No.1、アメリカ(B面は「恋する二人」)Billboard Hot 100で2週No.1(年間12位)を記録、この曲のヒットにより翌年ビートルズは初めて“アカデミー歌曲賞”にノミネート、グラミー“最優秀パフォーマンス賞ヴォーカル・グループ部門”の栄誉に浴することとなりました(最優秀新人賞と同時受賞)。 もちろんビートルズを代表する重要な作品の一つで、ローリング・ストーン誌“オールタイム(2011年)”でも以下のような評価がなされています。
・500 Greatest Songs of All Time ; 154位 ・100 Greatest Guitar Songs of All Time ; 22位 ・100 Greatest Beatles Songs ; 11位
この映画は、当時ビートルズの超多忙と熱狂的なファンに追い回される日常をドキュメンタリー・タッチで描いたコメディーで、当初『Beatlemania』と題されていました。 ところがそれはビートルズによって却下され、ポールは映画で4人を混乱へと導く奇妙なお爺さんを掲げた“What little old man?”(ポール自身のセリフでもある)を提案しますが決定打にはならず、結局映画のタイトルも主題歌も決まらぬまま1964年4月16日に撮影が先に終了してしまいました。
しかしこの日、撮影終了時にリンゴ・スターが過酷な一日を振り返って“It's been a hard day…”と思わずこぼしたことで事態が急展開することとなります。 その日のうちに曲が仕上げられ、レコーディングもオーバーダブを入れて3時間以内に作業を完了させたといいますから、オドロキの集中力ですね!
It's been a hard day's night あぁ、忙しい一日だった And I've been working like a dog 犬(dog)のように、あくせくと働いたから