I Wish~洋楽歌詞和訳&解説

80年代の洋楽ロック・ポップス&ビートルズを中心に、歌詞の和訳と解説+エッセイでお届けします

STOP!
地球温暖化/気象災害激甚化
Lil Dicky - Earth
Lil Dicky - Earth1
Beatles & Solo
Please Please Me


With The Beatles


A Hard Day's Night


Beatles For Sale


Help!


Rubber Soul


Revolver


Sgt Pepper's


The Beatles


Yellow Submarine


Abbey Road


Let It Be


Magical Mystery Tour


Beatles(the other songs)


John Lennon


Paul McCartney


Wings


George Harrison


Ringo Starr


「カンサス・シティ/ヘイ・ヘイ・ヘイ・ヘイ」ビートルズ

2020.08.21

category : Beatles & Solo

The Beatles - Kansas City/Hey, Hey, Hey, Hey (1964年)

ビートルズ屈指のエキサイティング・ナンバー。ポール・マッカートニーの弾けるヴォーカル ♪

《解説記事を更新》いたしました。【続きはこちら>>】をクリックしてご閲覧ください。


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tags : -60's R&B ロック ビートルズ・フォー・セール 

comment(2) 

「エヴリー・リトル・シング」ビートルズ

2018.01.26

category : Beatles & Solo

Beatles - Rock Roll Music1 Beatles - Every Little Thing


The Beatles - Every Little Thing (1964年)



~Every little thing we made~

ウォークマン、トランジスタラジオ、VHS、CD、DVD、Blu-ray
乾電池、液晶つきポケット電卓、移動電話、フラッシュメモリ
シャープペンシル、クオーツ腕時計、光ファイバー、内視鏡…

日本人はこれまで、実に多くの[小さなもの]を世に生み出してきました。
そして近年、私たちの[小さなもの]への探究心が【新たな分野】に向けられています…。



~概要~

「Every Little Thing」は、1964年12月4日に発売されたビートルズ4作目のイギリス盤公式オリジナル・アルバム『ビートルズ・フォー・セール(Beatles for Sale)』の収録曲です。
世界的にシングル・カットの記録はありませんが日本では「Rock and Roll Music」(過去ログ)のB面としてリリース、85万枚の最高売り上げを記録しました。

通常【レノン=マッカートニー】はリード・ヴォーカル=主な作者であるのに対し、「Every Little Thing」のリード・ヴォーカル=ジョン・レノン、作者=ポール・マッカートニーという極めて例外的な作品です。
ビートルズはヴォーカルのダブルトラック(重ね録り)を多用していたのでヴァースはジョンのダブルトラックのように聴こえますが、耳を澄ますとポールのユニゾン(ジョンと同じ音で歌っているが殆んど判別できない)も入っており、逆にコーラス部分ではジョンが抑えてポールの声が前面に出ています。
また、例外的といえば本曲では打楽器に[ティンパニ]が取り入れられているのも斬新です(もちろん、リンゴ・スターが演奏)。

本曲の噂として【ジョージが寝坊で遅刻したためリード・ギターを含む全てのパートをジョンが弾いている】というのがあります。
一説によると本曲について、ポールが1964年に“the electric guitar riff was played by Lennon, rather than by George Harrison”と言及したとされており、『Beatles for Sale』のライナーノーツでも渋谷陽一が“ジョージが録音に遅れてきたので彼のギターが入っていない。だからジョンのギターがリードの替わりもやっていて…”と解説していることから、そのように広まったのでしょう。
ただしレコーディング・セッションの記録を調べてみると「Every Little Thing」の録音は1964年9月29日(テイク1〜4)と30日(テイク5〜9)の2日間に分けて行われており、遅刻という理由によってジョージが2日間・計9テイクのセッションに全く参加していないというのも、常識的に考えて不自然な話です(本曲のマスターは最終第9テイクといわれる)。

「Every Little Thing」のカバーとしてはイギリスのロックバンド・イエス (Yes) の1969年のデビュー・アルバム『イエス・ファースト・アルバム』でのバージョンが有名で、ただしこれが「Every Little Thing」と判るまで1′40″以上要するでしょう。
また、後のカーペンターズとなるリチャード&カレンがThe Richard Carpenter Trio名義でインストゥルメンタル・カバーした貴重な未発表音源も存在します。


 
 



~Lyrics~

When I'm walking beside her
あの娘と並び歩いていると
People tell me I'm lucky
みんなに、運が良いって言われる

Beatles - Every Little Thing2

もしも写真のような女の子と並んで歩いていたら、みんなにさぞ羨ましがられることでしょう…
でもその幸せ者とは、歌の作者ポール本人です!
この女性はイギリスの女優ジェーン・アッシャー(Jane Asher)で、ビートルズ時代のポールと5年間交際していました。

当時ポールはジェーンの実家に居住しており、「Every Little Thing」はこの家の音楽室から生まれています。


I remember the first time
出逢った頃を思い返してみても
I was lonely without her
彼女がいないと淋しくて…

ポールとジェーンが出逢ったのは1963年、BBCラジオの対談でした。
それをきっかけに二人の交際は始まりますが、翌1964年はビートルズがアメリカで大ブレイクを果たして世界を飛び回る多忙を極めた年であり、旅先での淋しい気持ちをジェーンへのラブレターとしてポールが書いたのが彼の初期の名曲「All My Loving」(過去ログ)です。

そんな状況下で書いた「Every Little Thing」がポールからジェーンへのメッセージであることは誰が見ても明白ですが、この歌のリードをジョンに譲っているのは何故だろう…?


Every little thing she does,
あの娘がしてくれる
She does for me, yeah
ちょとしたこと、一つひとつ

【Every Little Thing】というと、日本のみなさんは真っ先に「Time goes by」の【ELT】を思い浮かべるでしょう。
一方、ビートルズ・ファンはこのユニット名を聞くと、必ず本曲のことを連想するはずです。
ELTの名前の由来について調べてみると[ビートルズの楽曲『Every Little Thing』を由来]といった記述が散見できるものの、メンバー自身または所属先による言及は(今回の検索では)発見できませんでした。
ただ、wikiには創設メンバーの五十嵐充が[中学初期にTHE BEATLESに夢中]という記述があったので、少なくとも彼はビートルズを通して「Every Little Thing」という言葉を認知していた可能性があります。

また、スティングが在籍したロック・バンド【The Police】の1981年の作品には「Every Little Thing She Does Is Magic」という楽曲があり、ここまでフレーズが同じだと…!?





~Epilogue~

先日、『NHKクローズアップ現代+』の「#くいもん小さくなってませんか 食の“スモールチェンジ”裏事情」を視聴しました。
実は私自身、何年も前から実感して気になっていたテーマであり、それが最近SNSで話題となっているというのです。

既定量減で判り易いのは500g入りのヨーグルトが400g(-20%)、1Lのパック飲料が900ml(-10%)になったり、それ以外でも一般加工食品や菓子類・缶詰・飲料・調味料などあらゆる食料品の減量が報告されています。
食料品以外でも昔は700mlだったボディソープ(ボトル)が500ml前後(-29%)、ティッシュペーパーが200組⇒160組(-20%)など身近な商品が小さくなっています。


アベノミクスは日銀に異次元金融緩和させ世の中に出回るお札を異次元に発行させる【円安誘導政策】であり、円の価値が下がるので外国人にとって日本が割安となり日本の商品や日本株・日本旅行が買い易くなる反面、国内では原油や原料・外国の商品は割高で輸入することを強いられます。
普通に考えると原材料費が増えた分を商品の小売価格に上乗せすればよいのですが、近年国内で見られる現象は値上げを抑えて内容量(または品質を落とす)を減らす【商品の小型化】です。

でも何故、国内では値上げではなく【商品の小型化】が採られるのでしょうか…
理由は単純です。
それは、【消費者の所得が下がり続けている】からです。

Beatles - Every Little Thing3 『NHKクローズアップ現代+』より

これは[G7各国の名目賃金の推移]ですが、グラフを見ると一目瞭然です。
2000年からの16年間で【各国が1.4倍前後に上昇しているのに対し、日本だけ賃金が低下】しています。
それは、これまで右肩上がりで成長を続けた衣料品最大手ユニクロが2015年に値上げ路線に転じて売り上げを減少させ、2年で方針を撤回させたことからも明らかで、現実を無視して無理矢理値上げしても個人所得が増えない限り高いものを買えるはずがありません。

大企業やお金持ちが空前の内部留保や資産を増やす一方、2000万人を超す非正規労働者の7割が年収200万円未満4割が100万円未満/3割が100-200万円)という実態があります。
労働者=消費者であり、彼らを安く使うのは経営者にとって目先の利益ですが、利益を分け与えなければ彼らは商品やサービスを消費せず、次世代の消費者を育むこともできません。
次世代を育むことのできない社会に、未来はないのです。

#くいもんみんな小さくなってませんか日本

それは、決して【小さなこと】ではありません。




「エヴリー・リトル・シング」


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tags : 1964年 ピュアな愛 コーラス ビートルズ・フォー・セール 

comment(12) 

「ベイビーズ・イン・ブラック」ビートルズ

2017.04.14

category : Beatles & Solo

Beatles - Babys In Black1 Beatles - Babys In Black2


The Beatles - Baby's In Black (1964年)



~ポール・マッカートニー日本武道館公演~

2015年4月の『Out There! Tour』から2年ぶりに、ポール・マッカートニーが日本へ帰ってきます♪
今回のポールの来日というと、昨年大晦日の第67回NHK紅白歌合戦に彼が映像で出演し“2017年、日本に行くからね”というサプライズ・メッセージを発表したことが日本中の話題となりましたが、追加となった4月25日(火)の日本武道館公演もポール本人のサプライズとして3月9日に届けられたものでした。



前回の武道館公演当時、本ブログでは“1966年のビートルズ公演のセット・リストの再現”を期待し「I'm down」(過去ログ)を特集しましたが、フタを開けてみると意外にも“当時の再現”に対するポールのこだわりはなかったようで、残念ながら通常の『Out There! Tour』のセット・リスト(「ペイパーバック・ライター」(過去ログ)と「イエスタデイ」が該当)以外にビートルズ公演で演奏された曲はありませんでした。

しかし、本ブログでは性懲りもなく2017年武道館公演直前特集として、ビートルズ公演のセット・リストの1曲「Baby's In Black」をご紹介いたします!



~概要~

「ベイビーズ・イン・ブラック」は1964年12月4日に発売された4枚目のイギリス盤公式オリジナル・アルバム『ビートルズ・フォー・セール(Beatles for Sale)』の収録曲です。
本作はビートルズのアルバムの中ではカバー曲も多く一般的に地味なイメージがある作品ですが、当ブログではこれまで「Eight Days a Week」や「Mr. Moonlight」、「Rock and Roll Music」の3曲を取り上げており、こうしてみるとなかなかインパクトのあるナンバーが揃っていると思いませんか?

レノン=マッカートニー作品はその名に反し実はどちらか一方だけによる創作が多いですが、「抱きしめたい」(過去ログ)などジョンとポールが終始2人でヴォーカルを分け合うものは本当の共作(貢献度が同等)の場合が多く、2人で歌い通す「Baby's In Black」は数少ない“リアル Lennon–McCartney”の一つです。
あまりロックっぽくない6/8拍子の楽曲をジョンとポールが同時に1本のマイクでヴォーカル録音した臨場感あるハーモニーが全体に豊かな色彩を添えており、どちらがメインのメロディーかの問いに対し、ポールは“どちらもメインさ”と答えています。

「Baby's In Black」はシングル・カットこそなかったものの、アルバム・リリース後1965年6月のヨーロッパ・ツアーからビートルズ最後の公演となる1966年8月29日のサンフランシスコ・キャンドルスティック・パークでのコンサートまで演奏され続けたセットリスト曲で、もちろん日本公演でも披露されました。
その間1965年にアメリカのハリウッド・ボウルで演奏されたライブ音源は1996年にアンソロジー・プロジェクトの一環としてリリースされたマキシ・シングル「Real Love」や、ビートルズ唯一の公式ライブ・アルバム『The Beatles at the Hollywood Bowl』が2016年に初CD化された際のボーナス・トラックに収録されています。



 
 



~Lyrics~

Oh dear, what can I do?
あぁ…一体、どうすればいいっていうの?
Baby's in black and I'm feeling blue
愛しい君は黒い服、僕の心はブルーなんて

【black】と【blue】の対比が効いています。
でも、彼女はなぜ黒を着るのでしょう…。

黒は重厚感や高級感、存在感があり、強さや神秘性を与える色のイメージ効果があります。
反面、無彩で光を反射せず色を吸収・遮断するので、絶望・孤独・恐怖など暗い(マイナスの)気持ちの象徴です。


She thinks of him and so she dresses in black
アイツのことで頭がいっぱいで、君は黒を纏(まと)う
And though he'll never come back, she's dressed in black
決して戻っては来ないのに、黒を纏う

彼女は「恋の奴隷」に? 
“あなた好みの女”になるため、黒を纏うというのでしょうか…。

確かに黒を纏った女性は“ミステリアス&セクシー”なイメージで、それを望む男性も多いでしょう。
でも、彼が決して戻っては来ないのに着続ける理由とは?



~Epilogue~

「Baby's In Black」は、ビートルズに纏(まつ)わる一人の女性がモデルになっているといわれます。
ジョンが美術を学んだリヴァプール・カレッジ・オブ・アートの親友で、1960年ごろビートルズのベーシストとして一時在籍したスチュアート・サトクリフ(Stuart Sutcliffe)という人がいますが、彼の当時のガール・フレンドだったアストリッド・キルヒヘル(Astrid Kirchherr)です《写真》。

二人はビートルズのハンブルク巡業で出逢い、恋に落ちます(アストリッドはドイツ人)。
程なくスチュアートは単身ドイツに残り画家を志し、アストリッドと婚約することになりますが、1962年4月10日に脳出血のため21歳の若さで亡くなってしまいました。

I think of her, but she thinks only of him
僕は君で頭がいっぱいなのに、君はアイツのことばかり
And though it's only a whim, she thinks of him
ただの気まぐれなのに、アイツのことばかり…


しかしアストリッドがビートルズに与えた影響は、「Baby's In Black」だけではありません。
彼女はファッションやデザインに鋭い感覚の持ち主で、彼女が恋人であるスチュアートに施した[moptop]の髪型や彼に着せた[round neck]のジャケットは後に【マッシュルーム・カット】【襟なしスーツ】としてビートルズのヴィジュアル・イメージに大いに貢献した、というのがファンの間での定説となっています。
ただし、アストリッド本人によると[moptop]は当時既にドイツの男の子の間で流行しており、その髪型を大いに気に入ったスチュアートが彼女にカットしてもらったのが実情で、[round neck]のジャケットも彼女の洋服を借りて彼がステージで着用したのが始まりだったそうです。
これに対し、当時革ジャン&リーゼント(いわゆる典型的な不良スタイル)がトレードマークだったビートルズのメンバーは、そんなスチュアートのスタイルを“ママのジャケット”とからかったといいます。

彼女がもたらしたものはそれに止まらず、当時アストリッドは写真家の卵でハンブルク時代のビートルズを被写体として多く撮影していますが、彼女の写し出すモノクロの“half shadow(半影)”スタイルが斬新で、それを大いに気に入っていたビートルズは2ndアルバム『With the Beatles』のアルバム・ジャケットにこの手法を用いました(撮影はロバート・フリーマン)。
また、『With the Beatles』と並びアート・デザインとして人気のビートルズの7thアルバム『Revolver』のジャケット・デザインを手掛けたクラウス・フォアマン(後にマンフレッド・マンのベーシスト)も、アストリッドとの縁によるものです(彼女の元恋人)。

Beatles - Babys In Black3 Beatles - Babys In Black4 Beatles - Babys In Black5


23歳の女性にとって婚約者と死別することは、それを経験したことのない者の想像など決して及ばぬ辛い悲しみであることでしょう。
しかし、同じく“唯一無二”の親友を失ったジョンはアストリッドに対し“生きるか死ぬかはっきりしろ、悩む余地なんてないだろ?”と声を掛けたといいます。
かなり際どい言い回しですが、“生きなきゃならないのだから、前を見ろ”という彼なりの叱咤激励でした。

斯(か)くしてジョンの“愛のムチ”が功を奏したかは定かではありませんがアストリッドはその悲しみを乗り越え、スチュアートの死から5年後(1967年)にビートルズのライバルだったロリー・ストーム&ザ・ハリケーンズでリンゴ・スターの後任ドラマーとなったGibson Kempと結婚を果たしました。

アストリッドはビートルズとの関係を、こう振り返っています…
“私が彼らと築いた最も大切なもの、それは[友情]です。”



「ベイビーズ・イン・ブラック」


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tags : 1964年 フォーク・ロック ビートルズ・フォー・セール 

comment(8) 

「ロック・アンド・ロール・ミュージック」ビートルズ

2016.06.24

category : Beatles & Solo

Beatles - Rock Roll Music1 Beatles - Rock Roll Music2


The Beatles - Rock & Roll Music (1964年)



~ビートルズ来日50周年~

6月29日は“ビートルズ記念日”
1966年の6月29日、ビートルズが初めて羽田空港に降り立ったことを記念して制定された日本だけの記念日です。
今年はそれから“50周年”ということで、殊更注目を集めていますね♪

…それにしても、先週末の“イギリスのEU離脱”は世界を動揺させました!
実はこの6/28・29、ビートルズ来日50周年記念コンサート『THE TRIBUTE』が予定されており、それにゲスト出演する“ジョン・レノンの妹(異父妹)”ジュリア・ベアードさんが来日中で、彼女は今回のEU離脱について“兄はインターナショナルな人だったから、もし生きていれば残留を支持したはず”と、言及したそうです。



~概要~

「ロック・アンド・ロール・ミュージック」は1964年12月4日に発売されたビートルズ4作目のイギリス盤公式オリジナル・アルバム『ビートルズ・フォー・セール(Beatles for sale)』に収録された作品です。
英・米ともにシングル・カットはありませんがフィンランドやノルウェー、オランダ、オーストラリアなどで発売され、とりわけ日本ではビートルズ最高の85万枚を売り上げました。

ビートルズが敬愛する黒人歌手チャック・ベリーが作詞・作曲し1957年にBillboard Hot 100で8位を記録した楽曲のカバーであり、ここではジョン・レノンがリード・ヴォーカルを務めています。
オリジナルのチャック・ベリーが抑揚を抑えたクールな歌唱であるのに対し、ジョンはまさに“エキサイト”しており感情に訴え掛けてくるようです。

ビートルズはコンサートのオープニング曲として歴代「I Saw Her Standing There」や「Twist and Shout」など激しいロック・ナンバーを好んで選曲してきましたが、1966年のツアーでは本作品が選ばれており、この年初来日を果たした日本武道館公演のOPを務めたのも「Rock and Roll Music」でした。
このうち、武道館公演初日(6/30)では通常よりキーを下げ短縮したバージョンが披露され、この音源は1996年にリリースされた『The Beatles' Anthology 2』に収録されています。

本作品はビートルズ以外にもビーチ・ボーイズ、REOスピードワゴン、ブライアン・アダムスなど錚々たる顔ぶれにカバーされるロックのスタンダードであり、オリジナルのチャック・ベリーver.はローリング・ストーン誌“500 Greatest Songs of All Time 128位”にランクされ、ロックの殿堂“500 Songs that Shaped Rock and Roll”入りを果たしています。
また、カバーではありませんか今回Youtubeで見つけた音源にはビートルズの「Rock and Roll Music」とレッド・ツェッペリンの「Rock And Roll」をマッシュアップ(※)させた作品があり、マッシュアップ好きの私にはタマラナイ1曲♪
(※mashup;2つ以上の曲から片方はボーカルトラック、もう片方は伴奏トラックを取り出してそれらをもともとあった曲のようにミックスし重ねて一つにした音楽の手法

 
 



~Lyrics~

It's got a back beat, you can't lose it
強烈なバック・ビートを、もう放せない
Any old time you use it
いつだって、そうするさ

【back beat】は“騒がしいしっかりとした拍子”を意味し、ロックの大きな魅力の一つです。
ビートルズはデビュー前、ハンブルクで公演を行っていた頃からこの曲をレパートリーとしていました。

「Rock & Roll Music」に魅せられたビートルズ…
ハンブルク時代の彼らの活動と人間模様を描いた1994年の映画に『Backbeat』という作品がありますが、まさにこの一節から採られています。


 


Don't care to hear them play a tango
タンゴや「イン・ザ・ムード」
And In The Mood they take a mambo
マンボなんて、聴きたくないし

この歌に列挙されているロック以外のジャンルのファンの皆さん、ゴメンナサイ!
これは“ロックが一番”という歌なので、作者に成り代わりお詫びを申し上げます。

ここで記される【In The Mood】は一般的な文章の一部でなく“曲名”と解釈していますが、実際それを意味するかは不明です。
「In The Mood」というと1939年にグレン・ミラー楽団によって大ヒットしたジャズの超有名曲が真っ先に浮かび、どんな名曲であってもナマイキ盛りの若造に掛かってはそんな言い方になるのかもしれません。
あなたは“若かりし頃”、どうでした? 


It's way to early for a congo
コンゴにはちょっと早い
So keep a rocking that piano
やっぱり、ロックなピアノを刻み続けよう

【congo】は上の[tango-mambo-]の流れと思われますが、正直【way to early for a congo】の真意はよくわかりません(たぶん韻を重視しただけで、深い意味はない)。

一方、ビートルズの「Rock & Roll Music」で大きな魅力となっているのが、ファンキーなピアノ・プレイ
ここでのプレイヤーには諸説あって、アルバムのライナーを担当したDerek Taylorは“ジョン&ポールとジョージ・マーティンが一つのピアノで演奏”、『ザ・ビートルズ レコーディング・セッションズ』の著者Mark Lewisohnは“ジョージ・マーティン”、エンジニアを務めたGeoff Emerickは“ポール”だと言っています。



~Epilogue~

『日本史上、最も国民を騒がせた来日』をランキングしてみるとすれば、それはマシュー・ペリー(黒船来航)、ダグラス・マッカーサー(GHQ最高司令官)、そして“ビートルズ来日”ではないでしょうか?
来日前から政治家が目くじらを立て、右翼団体が排斥運動を起こし、時事討論番組では音楽に知識も興味もない人々がビートルズを論じ、地域や学校は子どもたちをコンサートへ行かせまいとあらゆる手段を講じる…。

来日すると、ビートルズを国民から徹底的に隔離するため空港や高速道路を封鎖して彼らをホテルへ送迎、東京オリンピック開会式級の8千人を越える警官と9千万円の費用を投じ警備に当たったそうです。
さらに、コンサート中も武道館内には8,500人の観客に対して約2,000人の警官(+警備員)が会場を指導・監視に当たったためビートルズとしては例外的に静かなコンサートとなりました。

この厳戒態勢について、警備の指揮を執った当時の警視庁警備課長さんは次のように語っています。
現場の下見に武道館を訪れた際ビートルズ・ファンの女子中学生らがたむろしていて、彼女らに話を聞いてみると【足の1本くらい折れてもいいからステージに飛び上がってキスしたい】と言うわけ。こういう女の子らが来るなら何が起きるかわからないと思い、それが警備の全てを決定した。”(要約)

…でもちょっと写真をご覧ください、警官がみんな“白手袋”をしているでしょ?
白手袋は通常皇室・国賓護警時にしかしないものですが、この時は女の子たちに怪我をさせないよう、警官一人ひとりに彼女らを大切に扱う気持ちを徹底させるよう敢えて指示したそうです。
少しやり過ぎではあったものの、そこには“日本人らしい思いやりの心”が込められていました…。

Beatles - Rock Roll Music4 Beatles - Rock Roll Music3


Just let me hear some of that rock and roll music
ロックン・ロールを聴かせてよ!
Any old way you choose it
君だって、それがいいだろう?

…かつて“ロックは若者の象徴”でしたが、今は当のポール・マッカートニーも74歳を迎え、現代の若者からは「Rock and Roll Music」のような心湧き立つロックン・ロールが聴こえてこないような気がします。
昔、私が抱いていた“演歌はおじさん・おばさんの音楽”という偏見と同じ感覚で、若者たちはロックを捉えているのだろうか…。

音楽の“ジェネレーション・ギャップ”ならまだいいのですが、EU離脱に対するイギリスで生じたそれには少し考えさせられます。
今回の国民投票では18~24歳までの若者の70%余りが残留に投票したのに対し、65歳以上の高齢者の60%が離脱に投票したそうです。
ガーディアン紙のサイトに掲載された、“投票権が与えられていない10代の女の子”の言葉があります。
16、17歳の声は聞いてもらえなかった。90歳の人の方が、私たちの残りの人生を決める力が強いなんて!

難しい問題です…。



「ロック・アンド・ロール・ミュージック」


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tags : 1964年 ロック 偉大な曲 ビートルズ・フォー・セール 日本で人気 

comment(6) 

「ミスター・ムーンライト」ビートルズ

2015.09.25

category : Beatles & Solo

Beatles - Mr Moonlight1 Beatles - Mr Moonlight2


The Beatles - Mr. Moonlight (1964年)



~ビートルズ、ドイツ時代からの作品~

ビートルズがデビュー前の1961年6月にドイツで交わした初めてのレコード契約書が、この9月19日にオークションで7万5,000ドル(約900万円)で落札されました。
これはロック歌手トニー・シェリダンのバックとして演奏を行うという内容で、この時リンゴ・スターはまだ加入しておらず前任のピート・ベストが名を連ね、【Beatles】という名前はドイツ語の男性性器を意味する【Pidels】と発音が似ているという理由で、この契約ではバンド名を【The Beat Brothers】(Tony Sheridan and The Beat Brothers)名義に変更されました。

俗に“ビートルズのポリドール・セッション”と呼ばれるこのレコーディングでビートルズが演奏したのは9曲(現存する曲は8曲)で、メンバーはそれぞれ20ドルずつを得たそうです。
このセッションからはシングル「My Bonnie /The Saints (聖者の行進)」がドイツ国内で5位を記録しました。





~概要~

「ミスター・ムーンライト」は1964年12月4日に発売されたビートルズの4作目の公式オリジナル・アルバム『ビートルズ・フォー・セール(Beatles for sale)』の収録曲で、英米ではシングル・カットはされず、日本で1965年3月15日に「What You're Doing」とのカップリングで独自発売されました。
日本でシングル・カットされたとはいえ『ビートルズ・フォー・セール』はやや地味な印象のアルバムであり、それにも関わらずこの曲が私たちにとって強く心に刻まれることとなったのは、ビートルズ来日に際し放送され視聴率56.5%を記録したドキュメンタリー番組『ザ・ビートルズ日本公演』の中で、彼らがパトカーに先導され羽田空港からヒルトン・ホテルまでの道中のシーンで印象的に使われたためといわれます。

ただし、「ミスター・ムーンライト」は武道館公演はおろかライブ演奏されたこともほとんど無い作品で、唯一デビュー直後の1962年12月にハンブルクのスター・クラブで行われたライブで演奏され、非公式のライブ・アルバム『Live At The Star-Club In Hamburg, Germany; 1962.』に記録が残されるのみです。
リード・ヴォーカルはジョン・レノン、コーラスはポール・マッカートニーとジョージ・ハリスンが務めていますが“レノン=マッカートニー”ではなく、作者は ロイ・リー・ジョンソンという人。
最初に歌ったのはブルース・ピアニストのピアノ・レッド(Piano Red)がドクター・フィールグッド&ジ・インターンズ(Dr. Feelgood and the Interns)名義で1962年に発表したもので、これがイギリスのR&B愛好家の間で人気となってビートルズにも伝わったようです。

ビートルズの得意ワザの一つといえば「All My Loving」(過去ログ)「Hey Jude」(過去ログ)のような“前奏なしの歌い出しスタイル”ですが、「ミスター・ムーンライト」もこれら2曲に劣らない“歌い出しの名曲”です♪
でも、このスタイルは非常に強いインパクトが与えられる分“いきなりハズしかねない”危うさもあり、特に最初からフル・パワー全開の本作品では、当のジョン『The Beatles Anthology 1』(テイク1)のイントロで息が切れて挫折してしまい、ポールに“惜しかったな。”のツッコミを浴びています!
一方で、ジョンは「ミスター・ムーンライト」の歌唱によってヴォーカリストとしての評価が高まったとも言われています。

 
The Beatles - Live In Japan 1966 / The Beatles Mr. Moonlight StarClub 1962
 
Dr. Feelgood & the Interns - Mister Moonlight (1962)  / The Beatles Anthology 1



~Lyrics~

Mr. Moonlight
ミスター・ムーンライト
You came to me one summer night
ある夏の夜、あなたは目の前に現れ

♪どこの誰かは知らないけれど…
そう…
 「ミスター・ムーンライト」の正体はワタクシ、“Moonlight Mask”!

…んなワケゃない? (それにアンタ、マスク違うし!)
しかしピチピチの白タイツの出で立ちからは想像もできませんがこのお方、非常に高貴なお生まれで薬師三尊の右脇侍“月光菩薩(がっこうぼさつ)”《下の写真》に由来するヒーローであり、“憎むな・殺すな・赦しましょう”の信念を持つカレは悪人でさえ決して殺したりしないそうですよ!


And from the world you sent my girl
遥か世界の彼方から、素敵な女の子を遣わし
And from above you sent us love
遥か夜空の彼方から、二人に恋を届けてくれました

この物語は、月から女の子がやって来る展開ですが…
【Mr. Moonlight】を調べていて、オモシロイものを見つけちゃいました!

1991年のファンタジー映画で、原田知世主演の『満月 MR.MOONLIGHT』というタイトル。
主人公が江戸時代からタイムスリップしてきた武士(時任三郎)と恋に落ちる…というインパクトのあるストーリー展開にも関わらず、私は全く記憶にありませんでした。
果たして“時空を超えた恋”というのは、叶うのでしょうか…。

 Beatles+-+Mr+Moonlight3_convert_20150926020627.gif《月光菩薩》


Here I am on my knees
ここに跪き
Begging if you please
心からのお願いです

“どうか、どうか…”みたいな、切実なお願い。
ただ、モノグサなジョンがこれだけ謙虚にお願いするのだから、カレにとって無くてはならない存在であることは間違いありません!

でも主人公にとって、“本当の待ち人”とは?
きっとその人は、月が美しく輝く夜しか“再会”が叶わないのでしょう…。 



~Epilogue~

9/27~28にかけて、今年は“中秋の名月&スーパームーン”がほぼ重なるということで格別なお月さまとなりました!
通常でも中秋(八月十五夜)は“一年中で最も月が美しく見える時期”といわれますが、月が地球に最接近するスーパームーンだと遠点時に比べ“最大14%大きく・30%明るい”要素が加わり、特別なものとなるというわけです。
(※ただし、日本で最も大きく見える瞬間は28日午前11時51分 / ⇒ライブで中継 / ⇒もっと詳しく

また、アメリカやヨーロッパなどではこれに“皆既月食”も伴い、地球の縁の大気を通り抜ける太陽光のうち赤い光が月をぼんやりと照らすため月が赤く見える“ブラッドムーン(血の月)”が見られました。
米航空宇宙局(NASA)によると1900年以降スーパームーンと皆既月食が重なったのは5回のみで、前回観測されたのは1982年、次回は2033年になるそうです。

 


夜間の照明は、現代人の生活スタイルに於いて欠かすことのできない文明。
“真夜中でも昼のように煌々と眩しい空間”は、暗闇を克服した人類繁栄の証であるはずなのに、
時としてこれに違和感を覚えるのは何故だろう…?

夜に輝く“スター”は、誰もが奥ゆかしい

昼間は“太陽”という大スターのあまりの目映さに、その存在さえ殆んど霞んでしまう“月や星たち”も、
主役が下がり暗闇が辺りを覆うと、ようやく彼らの時間が訪れる。
決して主役を独り占めしようとせず、他の誰かの輝きを打ち消すこともない。
微かな光を精一杯瞬かせる星たち、 そして…
おおらかに微笑みぽっかり浮かぶ、“まんまるお月さま” 

Cos we love you, Mr. Moonlight
親愛なる Mr. Moonlight…



「ミスター・ムーンライト」


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tags : 1964年 フォーク・ロック ビートルズ・フォー・セール コーラス  

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