I Wish~洋楽歌詞和訳&解説

80年代の洋楽ロック・ポップス&ビートルズを中心に、歌詞の和訳と解説+エッセイでお届けします

STOP!
地球温暖化/気象災害激甚化
Lil Dicky - Earth
Lil Dicky - Earth1
Beatles & Solo
Please Please Me


With The Beatles


A Hard Day's Night


Beatles For Sale


Help!


Rubber Soul


Revolver


Sgt Pepper's


The Beatles


Yellow Submarine


Abbey Road


Let It Be


Magical Mystery Tour


Beatles(the other songs)


John Lennon


Paul McCartney


Wings


George Harrison


Ringo Starr


「偉大なる詐欺師」キング・クリムゾン

2023.10.04

category : King Crimson

King Crimson - The Great Deceiver (1974年)

動と静が起伏する即興演奏、それに交差する謎多き歌詞…秋の夜長は知的好奇心を楽しむ好機です ♪

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tags : 1974年 プログレ 難解  宗教  

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「21世紀のスキッツォイド・マン」キング・クリムゾン

2021.07.09

category : King Crimson

King Crimson - 21st Century Schizoid Man (1969年)

一度見たら焼き付くジャケット!それに劣らぬ“衝撃”の音楽!21世紀の“今”と何処か重なる?

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tags : 1969年 プログレ プロテスト 反戦 偉大なギター CM曲 オリンピック  

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「マネー」ピンク・フロイド

2020.06.12

category : Pink Floyd

Pink Floyd - Money (1973年)

ピンク・フロイドの名盤『狂気』より。R.ウォーターズの意味深な詞&D.ギルモアのギター名演 ♪

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tags : 1973年 プログレ 偉大なギター プロテスト  

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「ザ・ハピエスト・デイズ・オブ・アワ・ライヴズ~アナザー・ブリック・イン・ザ・ウォール」ピンク・フロイド

2017.04.28

category : Pink Floyd

Pink Floyd - Another Brick In The Wall1 Pink Floyd - Another Brick In The Wall2


Pink Floyd - The Happiest Days Of Our Lives / Another Brick In The Wall (1979年)



~今、そこにある危機~

本記事構想は4月上旬、新聞に“文部科学省が新学習指導要領で中学校体育の武道種目に【銃剣道】を明記”との記事を見つけ、驚いたことでした。
あまりの突拍子のなさに思わず[柔剣道]の誤植かと自分の目を疑いましたが、読み進めてゆくとどうやら誤植ではありません…。

ご存知ない方のために説明を加えると【銃剣道】は17世紀フランス伝来の西洋式銃剣術で、兵士が携帯する小銃(ライフル銃)の先に短剣を装着し、白兵戦の際に槍のようにして敵を刺突する戦闘術です。
明治時代に日本の軍隊に導入されましたが火砲が主力の時代に実用性などあるはずもなく、“弾が尽きたら槍で突撃”という精神性が重視され訓練が継続、第二次大戦で敗戦直前に女性や子供に火砲を持ったアメリカ軍に竹槍で突撃せよと訓練したのも日本式銃剣術でした。
(※現在も銃剣道は自衛隊の近接戦闘術として木銃を用いて競技・訓練が続けられています)

そんな“忌まわしき過去の遺物”が、なぜ今さら現代の子供たちの教育に復活?



~概要~

「ザ・ハピエスト・デイズ・オブ・アワ・ライヴ」「アナザー・ブリック・イン・ザ・ウォール(パート2)」は“五大プログレ・バンド”に数えられるイギリスのロック・バンド、ピンク・フロイド1979年のアルバム『ザ・ウォール (The Wall)』の収録曲です。

本アルバムはメンバーのロジャー・ウォーターズが自身を模した“ピンク”を主人公とするロック・オペラの形式を採ったコンセプト・アルバムとなっており、この2曲はロジャーが演じるピンクの人生の物語の一部を構成しています。
当時ピンク・フロイドは資産運用が失敗し大きな損失を出してしまったため、それを補てんし得る大規模なプロジェクトの必要性に迫られ、ロジャーが壮大な構想を練り上げました。
しかしこの試みは想定以上に当たり、『The Wall』はBillboard 200で15週連続No.1を記録、現在まで売り上げ3000万枚までに達するなど、“世界で最も売れた2枚組アルバム”となっています。

一方でこの構想は直後のツアー『The Wall Performed Live』にも反映され、ステージに“The Wall”を築き、アルバムの1枚目・2枚目をそれぞれ第一部・第二部として前例のないスケールで再現するなど、ローリングストーン誌に“ロック・コンサートの概念を一夜にして変えた”とまで絶賛されたものの、そのあまりのスケールの大きさに経費がかさんでしまい思ったほどの収益が挙げられなかったとか…?

さらに構想は続き、1982年には『The Wall』の音楽とストーリーをそのまま映像化した映画『ピンク・フロイド ザ・ウォール(Pink Floyd The Wall)』が制作されたものの、ほとんどセリフもなくあまりに難解でシリアスな内容だったため、こちらはヒットせず…
…しかし!
それから35年経った今年、ロジャーの25年ぶりの新作『Is This the Life We Really Want?』リリースを記念して、6月21日(水)にZepp DiverCity(TOKYO)とZepp Namba(OSAKA)で“ライヴ絶響上映(スタンディング&歓声OK)”が決定しているそうです(ちなみに今年はピンク・フロイドデビュー50周年でもある)!


『The Wall』自体、作者であるロジャーの半生を投影したといえる作品ですが、「The Happiest Days Of Our Lives」は特にその青春時代を反映したもので、本人によると学校教育を否定的に思える経験が実際にあったようです。

「Another Brick in the Wall」はアルバムではPart IからIIIまでありPart Iは“Reminiscing(回顧)”、Part IIは“Education(教育)”、Part IIIが“Drugs(薬物)”という仮タイトルで呼ばれていました。
このうち【Part II】が先行シングルとして発売され、Billboard Hot 100で4週No.1(1980年の年間2位)を記録するなど世界中で大ヒットに至っています。
また、ローリング・ストーン誌“The 500 Greatest Songs of All Time 375位”にランクされた名曲でもあります。

 
 



~Lyrics~

You! Yes, you! Stand still laddy
(おまえ!…そう、おまえだ! 小童、そこを動くな!)

この「The Happiest Days Of Our Lives」の導入部分での“叫び声”は、非常にインパクトがあります。
アルバムでこのフレーズを叫んでいるのはロジャー・ウォーターズですが、映画(メイン動画)で叫んでいるのは教師役を演じたAlex McAvoyというスコットランドの俳優さんで《写真・左》、正直彼(Alex McAvoy)の声の方が迫力があって怖いです!(顔も?)
ちなみに【laddy】もスコットランドの方言(若い人)で、当初このシーンに“教師の人形”を登場させるつもりであったもののしっくりいかず、彼を立たせたのだとか…。

Pink Floyd - Another Brick In The Wall3 Pink Floyd - Another Brick In The Wall4

There were certain teachers who would
そこには、ありとあらゆる手段を講じてまでも
Hurt the children any way they could
子どもを傷つけようとする教師たちがいた

…ところでこの映画の学校の感じや登場する教師の子どもに対する威圧的な態度は、何処かで見たことがあるような気がしませんか(生徒のお尻を叩くところとか)?
実はこの映画の監督アラン・パーカーは日本でも有名な1971年の学園映画『小さな恋のメロディ』の脚本を書いた人であり、とても同一人物が手掛けたとは思えないほどの世界観のギャップがあります。

意外といえばこの映画で主役を演じたボブ・ゲルドフ《写真・右》は後にあのバンド・エイドやライヴ・エイドの仕掛け人となった人で、当初はロジャー自身が主役を務める予定でしたがあまりにも演技がヘタだったため降ろされたのだとか…。


All in all it's just another brick in the wall
…でもつまりは、壁の中のレンガの一つになれというんでしょ?
All in all you're just another brick in the wall
あなたたちが、そうであるように…

「Another Brick in the Wall」の特徴的な一つは、フレーズを“子どもたちのコーラス”に丸々歌わせていることでしょう。
子どもたちのコーラスを入れるアイデアはアリス・クーパーの「School's Out」のプロデューサーも務めたボブ・エズリンによるものですが、当初は“単なるバック・コーラス”のつもりでした。
しかし依頼して手元に届いたコーラスは“子どもたち一人ひとりに違う歌い方で歌わせた24トラックの音源”だったそうで、デヴィッド・ギルモアによると“あまりに素晴らしい出来だったのでそのまま使うことにした”のだそうです。

…しかし後日談が、“アチラのお国柄”らしいといえます。
このコーラスの提供により学校側には1000ポンド支払われていたそうですが、この曲のあまりの大ヒットと作品に対する貢献度の大きさから、2004年に彼らから追加のロイヤリティを請求されてしまったそうです!



~昭和、憲法、そして子どもの未来~

この所、銃剣道だけでなく【道徳の教科化】や【道徳教科書検定】など学校教育に関して“権力の一連”を思わせる動きが続きました。
また、安倍首相夫人が名誉校長を務めることが決まっていた(問題の発覚で辞任)学校法人・森友学園が、所属する幼稚園児に戦前の教育勅語や軍歌を唱えさせ、中国人や在日韓国人を蔑視するような宣誓をさせていたり、あるいは自衛隊を司る現役の稲田防衛大臣が“教育勅語の核の部分は取り戻すべき”と国会で発言するなど、戦前の軍国教育の象徴である【教育勅語】に今の最高権力者周辺人物が共感を覚えている言及も目立ちました。

【教育勅語】は明治~終戦までの教育の最高規範であり、“孝行・仲良く・信じ合え・慎め・慈愛・勉学仕事に励め・秩序に従え…”など一見当たり前な徳目が説かれる一方で、日本を戦争の大惨禍へと導いたその精神の中核こそが次の一文です。

一旦緩󠄁急󠄁アレハ義勇󠄁公󠄁ニ奉シ以テ天壤無窮󠄁ノ皇運󠄁ヲ扶翼󠄂スヘシ
万一危急の大事が起ったならば、大義に基づいて勇気をふるい一身を捧げて皇室国家の為につくせ。

Wikipediaによると、教育勅語は明治天皇が時の内閣総理大臣・山県有朋に対し与えた【勅語(天皇が口頭により発したお言葉)】とする体裁は採っているものの、実際は第1次山縣内閣が起草(案文を作る)したものです。
山縣有朋氏は【治安警察法】など自由民権運動を弾圧し天皇と国家神道支配を強化、軍事拡大を推し進め【国軍の父】【日本軍閥の祖】の異名を取った陸軍軍人で、安倍首相にとっては尊敬すべき同郷(長州)の先人に当たります。

教育勅語の原文は漢文調で一般には現代語訳を必要としますが、多くの保守系政治・思想家の人が引用する【国民道徳協会】の訳文では“皇運󠄁ヲ扶翼󠄂スヘシ(皇室国家の為につくせ)”という本文最大の目的であるはずの言葉を用いることなく紹介されています。
調べてみるとこの国民道徳協会なる団体は、戦時中に[海軍大本営情報局に従事し戦後自民党の国会議員]となった佐々木盛雄氏がつくった団体で、“学生暴動は教育勅語を廃止したせい”、“国益を無視した個人の権利主張は一億総無責任”、“デモを規制しろ”といった[極右思想を持った人物による訳文]でした。

この訳文が1979年に明治神宮や生長の家など宗教右派団体が中心となって運営する【日本を守る会(現在の[日本会議]の前身)】らの教育勅語キャンペーンに採用され、現在も彼らの思想信条の正当性を示す根拠となっているのです。
しかし、こうした極端な思想を広く国民に対してそのまま記述すると拒否反応を示されることは彼ら自身もよく承知しており、それが故に最大の障壁である“皇運󠄁ヲ扶翼󠄂スヘシ”を訳文には入れず[ソフトな印象を与え支持者拡大を図る狙い]があって作られたと思われます。


また、憲法改定が最大の目標である安倍政権は“【教育無償化】を改憲の突破口に!”という動きもあります。
ご存知のように憲法26条第2項は“義務教育は、これを無償とする”としていますが、彼らはこれを“義務教育以外は無償化できない”と曲解することで改憲の賛同を得ようというのです(純粋に読めば、この一文は“義務教育は無償”一点のみを規定し、それ以外は何も言及(制限)していない)。

そもそも教育無償化は貧困家庭の就学支援が最大の目的であり、そうであるなら改憲などという不確実で歳月を要する手段を採るより議会の圧倒的多数を持つ自民党が【返済不要の給付型奨学金】の法案を提出すればすぐに彼らを救えます(現に低所得世帯の大学生らを対象にした【改正日本学生支援機構法】はこの3/31に成立、4/1から施行されている)。


先頃メディアを賑わせた森友学園の、園児に対する軍国・極右教育に衝撃を覚えつつも、どこか“あれは例外的”と自分には関係のない別世界のことと思っておられる方も多いことでしょう。
私もそうでした、【中学校体育で銃剣道】の記事を見るまでは…。
もちろん銃剣道は選択肢の一つであって必修ではありませんが、公教育の場でそれが実施されるという点に於いて微小な森友学園とは影響力の規模が違います。
これまで安倍政権は【特定秘密保護法】や【マイナンバー法】、そして現在審議中の【テロ等準備罪(共謀罪)法案】など[国民の自由や権利を削ぎ自らの統制力を拡大するための法整備]を強引に推し進めてきましたが、今回調べてみて安倍氏の国民統制への執念は想像以上で、ここに来てさらに[個人の思想信条や各家庭内での子育てなどへの統制を加速]させる動きをみせており、戦前復古が現実のものとなる危機感を私の心に募らせる結果となりました。

その一つは安倍氏とも親しい元小学校教諭・向山洋一氏が代表を務める【TOSS(教育技術法則化運動)】に全国1万人超の小中学校の教師を集め[日本の正しいすがた(日本の領土・領海、日本の歴史、靖国神社の位置づけなど)]を子どもに広める教育を推進させ、また安倍首相自らもその私的セミナーにメッセージを送るなどの力の入れようで、TOSSは[安倍教育親衛隊]とも呼ばれているそうです。
更に、各家庭の統制について自民党は今国会で【家庭教育支援法】の成立を目指しており、この法律は名目上[教育支援]となっていますがその実は“戦前の価値観に基づき、愛国的で国家に貢献する子どもを育成する家庭を支援する”もので、もちろんこれも日本会議(高橋史朗氏)監修による思想統制の一つです。


教育と矯正、宗教、暗示、催眠、洗脳、統制、強制、・・・・・・・・・・・奴隷

これらは、“誰かの働きかけによって他者を意図した方向へ誘導し得る行為”という意味に於いて同質です。
辞書によると【教育】とは“他人に対して意図的な働きかけを行うことによって,その人を[望ましい方向]へ変化させること”であり、誤るとそれは【奴隷】(人間としての権利・自由を認められず,他人の所有物として取り扱われる人)扱いと変わりありません。

【強制】から、愛や尊敬は生まれない。
愛や尊敬を求めるなら、まずあなた自身がそれに値する徳を備えなければならない。



We don't need no education
教育なんていらない
We don't need no thought control
洗脳なんて、いらない

一つの価値しか認めない働きかけは、公教育ではない。



「ザ・ハピエスト・デイズ・オブ・アワ・ライヴズ~アナザー・ブリック・イン・ザ・ウォール」


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tags : 1979年 プログレ 統制 教育 映画80's 偉大な曲 プロテスト  

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「ボヘミアン・ラプソディ」クイーン

2015.12.04

category : Queen

Queen - Bohemian Rhapsody1 Queen - Bohemian Rhapsody2


Queen - Bohemian Rhapsody (1975年)



~「Bohemian Rhapsody」40周年~

今年はクイーンの「ボヘミアン・ラプソディ」が1975年10月31日に発表されて、ちょうど40年。
その「Bohemian Rhapsody」が全英チャートNo.1を独走していた最中、『A Night at the Opera Tour』同年のクライマックスとしてクリスマス・イヴの夜、彼らが立ったステージがロンドンのハマースミス・オデオン(現:イヴェンティム・オデオン)でした。
その模様が最新の技術によってレストアされ、今回『クイーン——オデオン座の夜 ~ハマースミス1975』としてこの11月20日にBlu-rayはじめマルチ・フォーマットでリリースされたことを、ご存知のファンも多いことでしょう。

クイーンがバンドとして大ブレイクした瞬間の爆発力とクリスマスのお祭りムードが相まって、とても素晴らしいコンサートとなっていますが、その中から一部の映像が公開されています。

 



~概要~

「ボヘミアン・ラプソディ」は4thアルバム『オペラ座の夜(A Night at the Opera)』の先行シングルとしてリリースされ、全英シングル・チャートで9週連続No.1を記録したクイーンの代名詞的作品です。
イギリスでは244万枚を売り上げ、2014年7月時点で「Candle in the Wind 1997」(同492万枚)、「Do They Know It's Christmas?」(同378万枚)に次ぐ歴代3位にランクされています(4位はウイングスの「Mull of Kintyre」)。

アメリカでもBillboard Hot 100で9位(1976年の年間18位)に入る初のTop10ヒットを記録するなど、世界的な大ヒットとなりました。
ローリング・ストーン誌“the 500 greatest songs of all timeの166位”にも選出されている楽曲であり、2002年のギネス・ワールド・レコーズ社によるアンケートでは“英国史上最高のシングル曲の1位”という結果も残っています。

作者はフレディ・マーキュリーで、ブライアン・メイによると“すべてフレディの頭の中に構想があって、彼とロジャー(・テイラー)とジョン(・ディーコン)でバッキング・トラックとしてそれぞれのパートを決めていった。”といい、ブライアンのパートであるギターについても“ヘヴィなリフはフレディが思いついた。彼が左手を使ってピアノで弾いたもので、僕はそれを参考にした。”と語っており、更には“『オペラ座の夜』の成功がなかったら、クイーンは解散していただろう。”とまで言及しています。
そんな彼は40年経った現在でも、ラジオからこの曲が流れるとボリュームを上げ、聴き入ってしまうそうです。

作品の構成は、①アカペラバラードオペラロックバラード(②のアウトロ)という多彩なジャンルから成る組曲形式で6分近い大作でありながら、そこに一片の無駄も存在せずビートルズの「ゴールデン・スランバーズ~」に勝るとも劣らない歴史的傑作です。
いくら名曲といってもライブでの再現に困るのがこのテの壮大な作品であり、1975年のハマースミス・オデオンでは[②バラード~キラー・クイーン~マーチ・オブ・ザ・ブラック・クイーン~⑤バラード]という苦肉の策を採っていましたが、1977年以降は[②バラード~③オペラ(音声・映像)~④ロック~⑤]の形に定着しました。

「Bohemian Rhapsody」が傑出している点は音楽だけでなく映像面にもみられ、当時まだ広まっていなかった“プロモーション・ビデオ(PV)”を最新テクノロジーを駆使してクイーンのもつヴィジュアル・インパクトを最大限に引き出し、世界に反響を及ぼしました。
実は、これはTV出演のスケジュールが合わなかったため急遽2時間の撮影で制作されたそうで、新たな創造とは意外にも切羽詰まった状況から生まれるものなのかもしれません(ビートルズも、同じきっかけからPVを制作するようになった)。
ビートルズとの共通点というとフレディが弾いているピアノで、レコーディングには「Hey Jude」でポールが弾いたピアノが使用されています。

 



~Lyrics~

Is this the real life?
これは現実なのか…
Is this just fantasy?
それとも、ただの幻想?

冒頭のアカペラはメンバー4人による美しいハーモニーで構成されますが、残念ながらライブでは省略されている部分です。
PVの“暗闇に浮かぶ顔”はアルバム『Queen II』のジャケットがモチーフとなっている有名なカットで、後に様ざまな形で派生がみられました。

Caught in a landslide(地滑りに引き込まれる)
主人公にとって【this】は、抗い得ない運命のようなものだったのかもしれません。


Mama, just killed a man,
Mama...たった今、人を殺してきた
Put a gun against his head,
奴の頭に銃口を突きつけ

バラードの冒頭部分で、強いインパクトを与えずには置かないラインです。
ここで和訳に用いた【銃爪(ひきがね)】に、覚えのある方もおありでしょう?
これは世良公則&ツイストが1978年に放ったヒット曲「銃爪(ひきがね)」を引用したもので、作者・世良公則の造語といわれます。

殺人というと重要なのが“動機”ですが、ここでは何も語られてはいません。
あるのは罪悪感と未来に対する絶望、そして“Mama”…。


Easy come, easy go, will you let me go?
気ままに生きただけだ…俺を見逃してくれ
Bismillah! No, we will not let you go. (Let him go!)
ビスミッラー!いいや、お前を見逃すわけにはいかない(彼を赦し給え!)

オペラ風のパートですが[opera]は元々イタリア語で、【Scaramouch(イタリア喜劇の空威張りする道化役者)】【Galileo】【Figaro】【Magnifico】【mama mia】などイタリアに関連した言葉がたくさん用いられています。
一方【Bismillah(بسم الله الرحمن الرحيم)】はアラビア語で“神(アッラー)の御名において”という意味の言葉であり、主人公は裁きを受け、彼と周囲は赦しを乞うている様子が窺えます。

リアルタイムで歌と詞をなぞるとやり取りが面白く、何度も赦しを乞うものの終に【Never, never let you go】と言い切られてしまい、その絶望感を極端な低音の【No, no, no, no, no, no, no.】で表現しています。
主人公は落胆の心情を【Mama mia, let me go.(愛するママ、俺を助けて)】と吐露し、困り果てた彼はあろうことか魔王【Beelzebub】に助けを求めてしまう…というオチ!
“溺れる者は藁をも掴む”といいますが、切羽詰まった人間の心情がよく出ています。



~Epilogue~

ところで、本作品は「Bohemian Rhapsody」というタイトルを掲げながら、その言葉自体は歌詞中に一切登場していません。
…では、このタイトルは一体何を訴えかけているのでしょう?

【rhapsody】は日本語では一般に“狂詩曲(きょうしきょく)”と訳され、“歌をつなぎ合わせること”というギリシャ語の語源に由来する通り、さまざまな曲調がメドレーとして組み込まれていてこの曲はまさにそれを体現しています。
一方【Bohemian】は文字通り“ボヘミアに居住する人”ですが、イギリスのバンドであるクイーンが何故ボヘミア(チェコの西部・中部地方を指す歴史的地名)なのか、イマイチ腑に落ちません…。

ブライアン・メイは「Bohemian Rhapsody」について、“何のことかって? 僕らの誰もわからないよ。僕が知る限り、フレディはそのことについて話さなかったし、それを望んでもいなかった。彼の心の中には何か思うことはあったんだろうけど、彼はこういった魔法のかけらをスピンするのが大好きだった。現実を少し、ファンタジーを少しってね。いろんな解釈ができるのを楽しんでいたと思う。”と語っています。

“現実を少し、ファンタジーを少し”

私は、この言葉が最も真実に近いような気がします。
実は【Bohemian】には派生した言葉の意味があって、15世紀フランスに流入していたジプシーの多くがボヘミア地方からの民であったことから、“定住性に乏しく、異なった伝統や習慣を持ち、周囲からの蔑視をものともしない人々”のことをボヘミアンに喩えるようになったそうです。

“定住性に乏しく、異なった伝統や習慣を持ち、周囲からの蔑視をものともしない人々”

私は、この言葉に“彼の宿命”を重ねずにはいられません。
誰しも身の上について他人に語りたくないものはあるであろうし、それが世間一般の規範に反するものであったなら尚更です。
“逆境”の宿命に生まれた彼は、[Bohemian]の生きざまに自らの希望を重ね合わせていたかもしれません。

Nothing really matters to me.
大したことじゃない
Anyway the wind blows.
どのみち、風は吹く…

“彼”に吹いたのは、どちらへ導く風だったのでしょう…



「ボヘミアン・ラプソディ」


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Author:Beat Wolf
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