I Wish~洋楽歌詞和訳&解説

80年代の洋楽ロック・ポップス&ビートルズを中心に、歌詞の和訳と解説+エッセイでお届けします

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Lil Dicky - Earth
Lil Dicky - Earth1
Beatles & Solo
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With The Beatles


A Hard Day's Night


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Rubber Soul


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The Beatles


Yellow Submarine


Abbey Road


Let It Be


Magical Mystery Tour


Beatles(the other songs)


John Lennon


Paul McCartney


Wings


George Harrison


Ringo Starr


「アクト・ナチュラリー」ビートルズ

2019.03.15

category : Beatles & Solo

The Beatles - Act Naturally (1965年)



~概要~

「アクト・ナチュラリー」は1965年8月6日にリリースされたビートルズの5thオリジナル・アルバム『4人はアイドル(Help!)』の収録曲です。
同アルバムは、A面にビートルズ主演の映画『ヘルプ!4人はアイドル』で使用された楽曲から7曲、B面には「Yesterday」をはじめとする映画とは別の新録7曲が収録されました。
本曲はB面1曲目、つまり映画の楽曲ではないため、純粋なサウンドトラック盤となっている米国キャピトル編集盤 『ヘルプ(四人はアイドル)(Help!)』には未収録なので、注意が必要です。

このためアメリカでは1965年9月13日に「Yesterday」のB面曲として「Act Naturally」もシングル・カット、Billboard Hot 100の47位を記録しました。
日本でも同じカップリングでシングル化されましたが、何故か「Act Naturally」がA面扱いとなっています。

「Act Naturally」のリード・ヴォーカルはリンゴ・スターで、ポール・マッカートニーがコーラスに加わっています。
作者はアメリカのシンガー・ソングライター、ジョニー・ラッセル(John Bright Russell)とヴォニー・モリソン(Voni Morrison)で、1963年にアメリカのカントリー・バンド、バック・オーウェンス・アンド・バッカルー( Buck Owens and The Buckaroos )によって歌唱され、Billboard Country Singles chart でNo.1に輝いた楽曲です。

『Help!』のセッションは1965年2月15日に始まり、当初リンゴの曲として同18日にレノン=マッカートニー作の「If You've Got Trouble」が録音されていましたが(『Anthology 2』に収録)、楽曲が不十分と判断されリンゴの曲はずっと棚上げになっていました。
結局最後まで十分な楽曲は完成できず、リンゴがバック・オーウェンスのレコードの中から気に入った「Act Naturally」を希望したため、これが選曲されました。
6月17日に計13テイクがレコーディングされ(うち12テイクまでは演奏だけの実質的にリハーサル)、同日『Help!』のセッションは終了しています。

「Act Naturally」は1965年のビートルズのツアー曲の一つであり、同年8月15日のニューヨーク“シェイ・スタジアム”コンサートや、9月12日の『エド・サリヴァン・ショー』などの映像が残されています。
1989年には最初に本曲を歌唱したバック・オーウェンスが「Act Naturally」をセルフ・カバーしており、その際にリンゴ・スターとのデュエットが実現していますが、制作された西部劇風のPVもまたリンゴらしくて一興です。
また、今回見つけた『The Muppet Show』の映像が面白いので、ご一緒にお楽しみください♪


 
 



~Lyrics~

「Act Naturally」は、“ある実話”がきっかけとなって創作されています。
作者ジョニー・ラッセルはある日、友人のミュージシャンからロサンゼルスでのレコーディング・セッションへの参加を依頼されました。
ところが、それを受けるためには約束していた恋人とのデートをキャンセルしなければなりません。
LAに行く理由を彼女に問い詰められたジョニーは、次のように説明しました…。

They're gonna put me in the movies
僕を映画に出演させてくれるって
They're gonna make a big star out of me
ビッグ・スターに仕立てるつもりらしい

これには思わず彼女も吹き出し、二人で大笑いしたそうです。 


Might win an Oscar you can never tell
オスカーだって獲れるかも…誰も想像さえしないだろうけど

アメリカ映画の祭典『アカデミー賞』で、受賞者がもらう【オスカー像(Oscar Statuette)】。
でもOscarってダレ?と、思った事ありませんか?
デザインは映画芸術科学アカデミー創設会員の一人で自らもアカデミー美術賞を11回受賞したセドリック・ギボンズ(Cedric Gibbons)で、モデルはエミリオ・フェルナンデス(Emilio Fernández)というメキシコ人俳優との定説があるそうですが、何れも[Oscar]ではありません。

呼称の由来には、“女優のベティ・デイヴィスが1935年の受賞式で当時の夫【Harmon Oscar Nelson】に似ていると発言”したとするなど諸説ありますが、1933年の新聞にオスカーの名称が登場していることから、“1931年にアカデミー賞事務局のマーガレット・ヘリック局員が初めて像を見た際に親類の【Oscar Pierce】に似ていると発言”したとする説が有力とされているようです。



~Epilogue~

リンゴ・スターが【RINGO STARR And His All Starr Band JAPAN TOUR 2019】として、来日いたします(3/27-4/11)。
盟友のポールも近年ほとんど休みなしといっていいほどツアー三昧の日々を送っていますが、ポールより2つ年長で78歳のリンゴも“老いて益々盛ん”で、2013年春から3回/6年の来日を数えます。
1989年以来、今回で14期目となる豪華なメンバーは以下のとおりです(予定)。

スティーブ・ルカサー(TOTO)
グレッグ・ローリー(ex.サンタナ / ジャーニー)
ヘイミッシュ・スチュワート(ex.アべレージ・ホワイト・バンド)
コリン・ヘイ(ex.メン・アット・ワーク)
ウォーレン・ハム(ex.ブラッド・ロック / カンサス / AD)
グレッグ・ビソネット(ex.デイヴ・リー・ロス)

昨年のツアーではTOTOやメン・アット・ワーク、10ccの曲を3曲ずつ入れていたので、恐らくそういう構成になるのでしょう。
今年はグレアム・グールドマン(10cc)に代わって、80年代から90年代にかけてポールのバンド・メンバーだったヘイミッシュ・スチュワートが入る予定なので、彼がその穴を埋めると思われます。


 


映画『Help!』が事実上リンゴ・スターの主演作であり、彼のキャラクターを知っている誰もが「Act Naturally」を“リンゴらしい”と評するでしょう。
リンゴにはジョンやポールのような他を圧倒する音楽的才能があるとは言えませんが、彼の持つ“天然”こそ、他のメンバーにはない優れた才能であり、彼はそれによってドラムスや俳優、人間関係に至るまで人々を魅了しました。

「Act Naturally」は一面【僕はビッグ・スターになる】という夢のある歌ですが、他方それを導く根拠には彼がそれまで歩んだ苦難が秘められていることに気づくはずです。
そうした苦しみを「Help!」と赤裸々に訴える者もあれば、「Let It Be」と全てを投げ出す者、「While My Guitar Gently Weeps」(過去ログ)とギターを泣かせる者もあります。


We'll make a film about a man that's sad and lonely
独りぼっち寂しい男の映画をつくる
And all I gotta do is act naturally
だから僕は、普段どおりふるまうだけでいいんだ

…でも、苦しみをユーモアに代える男もステキでしょ? 



「アクト・ナチュラリー」


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tags : ヘルプ! リンゴ・スター カントリー ほっこり 

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「ユア・シックスティーン」リンゴ・スター

2018.01.05

category : Beatles & Solo

Ringo Starr - Youre Sixteen1 Ringo Starr - Youre Sixteen2


Ringo Starr - You're Sixteen (1973年)



~リンゴ・スターにナイト爵位~

12月29日イギリスで新年の叙勲名簿が発表され、元ビートルズのリンゴ・スター(77歳)にナイト(Knight Bachelor;下級勲爵士)が授与されることが明らかになりました(ビー・ジーズのバリー・ギブも同時に叙勲)。
リンゴ本人によると[音楽と慈善活動が認められた]とのことで、例によって“Peace and love”を添えて喜びのコメントをフェイスブックに発表しています。
ビートルズ・ファミリーとしてはこれまでポール・マッカートニーとジョージ・マーティンがナイトを授かっており、今回のリンゴで3人目。

翌日、早速ポールもリンゴとの2ショット写真をツイッターに投稿し、“Best drummer best pal(仲間)!”と祝福しました。
一方、亡きジョン・レノンの妻ヨーコ・オノのフェイスブックにも“love, hugs and kisses”の言葉と共に、やはり2ショット写真が投稿されています。

おめでとう、"sir" リンゴ♪ 



~概要~

「ユア・シックスティーン」はリンゴ・スター1973年の3rdアルバム『リンゴ(Ringo)』からの2ndシングルで、アメリカでは1973年12月にカットされてBillboard Hot 100のNo.1(1974年の年間31位)に輝いた作品で、本アルバムからは「想い出のフォトグラフ」に続いて2曲連続のNo.1となりました。

楽曲の作者はディズニー映画音楽の作曲者で、「小さな世界(It’s a small world)」の作者として知られるシャーマン兄弟(Sherman Brothers)です。
1960年にロカビリー歌手ジョニー・バーネット(Johnny Burnette)によって最初の発表がなされ、Hot 100の8位を記録しています。
1973年夏にジョージ・ルーカス監督・脚本の青春映画『アメリカン・グラフィティ』が大ヒット、そのサウンドトラックにはジョニー・バーネットver.の「You're Sixteen」が挿入されており、そうした背景もリンゴver.ヒットの一因だったかもしれません。
そうした縁からか、1978年にアメリカNBCで放送されたテレビ映画『Ringo』でリンゴの相手役として、前年大ヒットを記録した映画『スター・ウォーズ』から[レイア姫]キャリー・フィッシャーが抜擢されており、今回のメイン動画に掲げた「You're Sixteen」のMVもここから編集されたものです。

本アルバムはビートルズの元メンバー4人が(別個で)参加したアルバムとして大きな話題となりましたが、「You're Sixteen」に関与したのはポール・マッカートニーです。
ある日プロデューサーのリチャード・ペリー(Richard Perry)の元にポールからTVスペシャルの音楽監督の依頼があり、ちょうどリチャードがアルバム『リンゴ』のプロデュースに携わっていたことから、ポールの『リンゴ』への参加と楽曲提供が実現しました。
ポールが本曲で担当した楽器についてリチャードは“カズーみたいに聞こえるやつ(※)”と言及しており、それは“僕たちがそのトラックをやり直している時、ポールが自然にやった”と経緯を説明しています。
(※間奏から入ってくるサックスのような音がそれですが、ポールは口で擬音を出している可能性もある)

それ以外の参加ミュージシャンも錚々たる顔ぶれであり、本曲だけで「レボリューション」のニッキー・ホプキンス(key)、『リボルバー』ジャケットのクラウス・フォアマン(b)、「ウィザウト・ユー」のハリー・ニルソン(vo)他がリンゴをバックアップしています。
“錚々たる顔ぶれ”というとリンゴには【Ringo Starr & His All-Starr Band】があり、毎回変わる豪華な顔ぶれがリンゴならではの顔の広さで、本項で紹介する映像のツアーでもジョー・ウォルシュ、ティモシー・B・シュミット、トッド・ラングレン、シーラ・E、ハワード・ジョーンズほかが参加しました。

 
 



~Lyrics~

You come on like a dream, peaches and cream
君はまるで夢のように現れる、ピーチとクリームの頬
Lips like strawberry wine
ストロベリー・ワインの唇

…やっぱり16才って、こんなイメージ?

You're all ribbons and curls
巻き毛の髪にリボン

でも[16才でリボン]って、あんまり見たことがないような…?


You walked out of my dreams, into my arms
夢の中から抜け出し、この腕に舞い降りた人
Now you're my angel divine
神さまから授かった僕の天使

恋をした人の多くが、覚えのある感覚でしょう。
何気ないラインのように見えて【xx out of my dreams, into my xx】という形式から、新たなフレーズを創作した後世の歌手がいるのですが、それが誰の何という曲か思い当たる方はありませんか?

答えはビリー・オーシャン1988年の「Get Outta My Dreams, Get into My Car」で、そう言えば『ベストヒット USA』でビリーの作曲方法について“過去のヒット曲を参考にしている”といったような彼自身の言葉が紹介されていたのを思い出しました。


What shall we do with the drunken sailor?
…この酔いどれ水夫をどうしたらいい?

最後の一行にある歌詞です。
曲の末尾でリンゴ呟いていますが、フェードアウトしているので実際に聴いてこのラインを判別できないかもしれません。
実は、このフレーズは有名な[sea shanty](水夫たちの労働歌)の一つ「Drunken Sailor」から引用したものです。
【What shall we do with the drunken sailor?】と問い、それに解決策で応じる形式となっていますが、その答えの一つが【Shave his belly with a rusty razor】(※敢えて訳しません!)など、海の荒くれ男たちらしいジョーク(?)に思わず笑ってしまいます。

「You're Sixteen」の中で【drunken(酔っている)】のは…?



~Epilogue~

「You're Sixteen」のタイトルが示すように本作品のテーマは、【16才】です。
でも考えてみると、【16才】は歌曲のタイトルや歌詞に於いて非常に多く引用される年齢でもあります。

例えば、タイトルとして…
小泉今日子「私の16才」、村下孝蔵「16才」、佐野元春「SWEET 16」、シャネルズ「夢見る16歳」
ニール・セダカ「Happy Birthday Sweet Sixteen」、キッス「Christine Sixteen」…ほか

歌詞に於いて…
松本伊代「センチメンタル・ジャニー」、山下達郎「寒い夏」、中村あゆみ「翼の折れたエンジェル」
三田寛子「駈けてきた処女」、倉沢淳美「プロフィール」、浜田省吾「路地裏の少年」…ほか

“十五、十六、十七と私の人生暗かった”

そういえば、そんな16才もありました…。


日本で16歳の多くは高校生であり、自動二輪車の運転免許や女性が結婚可能となる年齢です。
しかし彼らにとってそれらは必ずしも現実的なことではなく、16歳という年齢が特に意識されることは少ないのでしょう。

一方アメリカでも16歳の多くは高校生であり、多くの州で自動車の運転免許や条件付きで結婚が可能となる年齢です。
しかし日本と異なるのは実際に運転免許を取得する人が多いことであり、それを親からの自立の第一歩として認め[16歳は大人の仲間入りする年齢]と見做す社会的慣習があることです(※法的成年は州によって18-21歳)。
とりわけ女の子の16歳は【sweet sixteen】と呼ばれ、誕生日には盛大なパーティーを開いてお祝いする慣習があるため、16歳という年齢は特別に意識されるのでしょう。

「You're Sixteen」のオリジナル歌手であるジョニー・バーネットver.を聴いているとエルヴィス・プレスリーばりのお色気ムンムンで、歌っている彼の表情からも“早速口説こう”としている歌のように見えます。
一方のリンゴver.は【概要】のライブ映像で、会場にいる16歳の女の子を舞台そばに呼んで祝福するなど“ほのぼの”させる雰囲気があり、それもまた彼らしくて魅力的です。
16歳をどんな風に受け止めるかは、人によってそれぞれ…? 


You're sixteen, you're beautiful
君は16才、とってもきれい
And you're mine. (mine, all mine)
…そして、僕のもの(全部、僕のもの)

遠い将来…
やがて70才になった時
誰かにそんな風に言ってもらえる
新たな魅力を備えたあなたでありますように。



「ユア・シックスティーン」


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tags : 1973年 カントリー/ロック リンゴ・スター 優しい愛 

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