I Wish~洋楽歌詞和訳&解説

80年代の洋楽ロック・ポップス&ビートルズを中心に、歌詞の和訳と解説+エッセイでお届けします

STOP!
地球温暖化/気象災害激甚化
Lil Dicky - Earth
Lil Dicky - Earth1
Beatles & Solo
Please Please Me


With The Beatles


A Hard Day's Night


Beatles For Sale


Help!


Rubber Soul


Revolver


Sgt Pepper's


The Beatles


Yellow Submarine


Abbey Road


Let It Be


Magical Mystery Tour


Beatles(the other songs)


John Lennon


Paul McCartney


Wings


George Harrison


Ringo Starr


「ちぎれたハート」バナナラマ

2020.08.03

category : Bananarama

Bananarama - Cruel Summer (1983年)

“バブルの女王”なバナナラマも、過去には辛いこともあった?欧米ではサマー・ソングの定番 ♪

《解説記事を更新》いたしました。【続きはこちら>>】をクリックしてご閲覧ください。


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tags : 80's ダンス せつない愛 映画  新型コロナ  

comment(6) 

「想い出のサマー・ナイツ」ジョン・トラボルタ&オリビア・ニュートン=ジョン

2018.07.12

category : Olivia Newton-John

Olivia Newton - Summer Nights1 Olivia Newton - Summer Nights2


John Travolta & Olivia Newton - Summer Nights (1978年)



~概要~

「想い出のサマー・ナイツ」は1978年の北米興行収入No.1の大ヒットを記録したアメリカの学園ミュージカル映画『グリース(Grease)』 の挿入曲です。
同映画からはサウンドトラック・アルバムもBillboard 200のNo.1に輝いて2800万枚をセールスしており(『Saturday Night Fever』に次いで年間2位)、アルバムからも4曲のTop5ヒットが生まれていますが本曲もその一つで、Billboard Hot 100の5位(年間69位)を記録しました。
とりわけ『グリース』 のイギリスでの人気は高く、同アルバムからの「You're the One That I Want」に次ぐ7週No.1に輝いて年間3位、同年を代表するヒット曲となっています。

歌っているのは(=劇中で歌唱している)ジョン・トラボルタとオリビア・ニュートン=ジョン、そしてその他のキャストがコーラスとして参加しています。
同映画の主役である二人は劇中でデュエットも多く、本曲を含む3曲を共に歌唱しました。
劇中でキャストと一緒に歌うという特殊な条件であるため通常のコンサートではオリジナルの顔触れで再現することは至難な性質の作品ですが、2002年の『Grease DVD Party』ではトラボルタを含むオリジナルのメンバーが実現しています!
(ただし近年、一部のメンバーがオリビアのコンサートに参加することもある)

映画『グリース』 はミュージカル『Grease』を原作とし、「Summer Nights」もその作者であるジム・ジェイコブスとウォーレン・ケイシーによって作詞・作曲された作品ですが、シカゴでの初演時(1971年)には「Foster Beach」というタイトルだったようです。
「Summer Nights」は2004年に『AFI's 100 Years...100 Songs』の70位に選出された“アメリカ映画の歴史に残る名曲”であり、2010年にはBillboardの『Best Summer Songs of All Time』9位に選ばれる“長く愛され続けた夏歌”でもあります。

夏の定番曲だけあってカバーも多い楽曲ですが、名前もジャンルも近いことから取り上げ易かったのがミュージカル・ドラマ『glee/グリー』で、Season 3 第10話 「プロポーズ大作戦」(Yes/No)で使用されています。
主に歌っているのはサムとメルセデスの元カップルの二人で、残りのメンバーがそれぞれ男女に分かれて訊き役に回っている中…カート・ハメル(クリス・コルファー)は【the Pink Ladies】に属して歌っています。
このアイデアを出したのはカートの恋人ブレイン・アンダーソン役のダレン・クリスで、脚本を読んで“カートは男子といたってつまらないだろうから、女子とサンドイッチやチーズバーガーを食べながら、おしゃべりする方を選ぶはず”とプロデューサーに提言したものだったそうです。
ちなみにこの映像は映画『グリース』で「Summer Nights」が撮影された、実在のロサンゼルス・ヴェニス高校で撮影されており、ダレンが“映画とそっくり同じベンチで撮影したんだよ”と興奮して語ったとされるように、かなり当時を忠実に再現して編集されており、今回は映画とドラマのシーンを重ねた映像を発見したので、ファンの方はぜひ見比べてみて下さい。


 



~Lyrics~

Summer loving had me a blast
夏の恋は、一陣の風のように
Summer loving happened so fast
夏の恋は、あっという間に起こったわ

映画のプロローグの部分では、きれいな海辺でダニー(トラボルタ)とサンディ(オリビア)が仲睦まじく愛し合うシーンが編集されています。
これは本編に入る前の夏休みに避暑地で出逢い、恋に落ちた二人のエピソードを示唆するものであり、サンディはオーストラリアに帰る身の上であったため“ひと夏の恋”で終わらなければならなかった、という事情がありました。
二人は再会を信じつつ、泣く泣く別れることになりますが…。


Tell me more, tell me more, Did you get very far?
おい、もっと教えろよ…オマエ、行く所まで行ったんだろ?
Tell me more, tell me more, Like does he have a car?
ねぇ、もっと教えて…その人、クルマ持ってそう?

…ところが夏休みが終わり新学期が始まる早々、ダニーが通うアメリカの高校にサンディが転校してくる…という奇跡的な展開!
二人は“ひと夏の恋”について、それぞれ男子グループ【the T-Birds】《写真・左》と女子グループ【the Pink Ladies】《写真・右》に追及されることになりますが、その応答が「Summer Nights」のシーンになっています。

上が【the T-Birds】で下が【the Pink Ladies】のパートですが、質問の切り口が男女の違いそのもの!? 

Olivia Newton - Summer Nights3


I saved her life, she nearly drowned
危うく溺れる所、オレが命を助けてやったのさ
He showed off splashing around
あの人、子供のように水を跳ね上げ人目を引こうとしていたの

ここは上がダニー、下がサンディによる二人の馴れ初めについての言及ですが…
えっ! 互いに言っていることが全然違ってる?

このギャップは転校して二人が再会した際、ダニーが海で会った彼とは別人のような態度だったことに、サンディが受けたショックの原因にも重なります。
【夏の海】と違っていたのはダニーの人格そのものではなく“彼の背後にいる存在”であり、このシーンで再会した瞬間は【夏の海のダニー】だったのに、背後の存在を意識してからは【もう一人のオレ】に変身、この間うつろうトラボルタの演技が絶品です!

とかく男は【武勇伝】を語りたがる生き物であり、仲間の前で女性にデレデレした姿を晒すことは彼らに軽んじられる原因となりますが…
…にしてもダニー、今回はちょっと“盛り過ぎ”? 





~Epilogue~

『グリース』は高校3年の“少年・少女たち”が織りなす学園物語…
ですが撮影時トラボルタは23歳、オリビアに至っては29歳(!)という実年齢で、彼女の出演を要望したのはトラボルタだったといいます。

オリビアは当時既に多くのヒット曲を抱えたポピュラー音楽界のスターでしたが、ヘレン・レディのディナー・パーティーでプロデューサーのアラン・カーに映画『グリース』のヒロイン役のオファーを持ちかけられた際、二つ返事で受けられない事情がありました。
何故なら、オリビアは1970年にイギリスのミュージカル映画『Toomorrow』で主演し散々な目に遭ったトラウマがあったこと、サンディの役柄の一部がそれまでのオリビアのイメージを壊すリスクがあること、高校生を演じるにはあまりに実年齢と離れていたことに不安があったのです。
そこで事前にスクリーン・テストを受け、相手役のトラボルタと話しをしてみてようやく安心し、引き受けることにしたといいます。

…そんなオリビアの不安を緩和するためか(?)、その周りには彼女が少女に見える“大人びた高校生”がいっぱい!
リッゾことストッカード・チャニングは当時33歳、ソニーことマイケル・トゥッチ31歳、ジャンことジェイミー・ドネリー30歳…ほかも20代後半です。

 ちなみに、『8時だョ!全員集合』で「学校コント」のドリフターズはみんな30代以上
 …比べるなっ!


さて、多くの学校にとって【夏休み】が始まります。
今年は直前に西日本豪雨が発生し、多くの人が亡くなり、多くの町や家が土砂に流されました。
被災地の学生さんたちにとって、今年の夏休みは後片付けなどに追われ忙しかったり、今後への不安に苛まれる方も少なくないことでしょう。

筋肉トレーニングを行うと腕が太くなるのは広く知られることですが、これは非日常的で過大な負荷を受けて筋線維の一部が破断された後に起きる現象です。
この時あなたの体は“この筋肉の太さでは危ない”と危機感を覚え、秘めたる能力を発揮し筋線維を以前より少し太く修復(超回復)するため、筋肉量が増えて筋力もアップします。
精神や人生もこれと同じで、大きな苦労を乗り越えた時に人は強く、大きく成長できるのです。

Summer days drifting away
夏の日々は流れ去り
To, uh oh, those summer nights
夏の夜の思い出となった

この特別な夏に悩み、苦しみ、泣いたこと…
その稀なる厳しい経験が、あなたのこれからの長い人生を支える太い柱となってくれますように。



「想い出のサマー・ナイツ」


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tags : 1978年 楽しい愛 ミュージカル グリース 映画70's  歴史的名曲 

comment(8) 

「カリフォルニア・ガールズ」ザ・ビーチ・ボーイズ

2016.03.18

category : Beach Boys

Beach Boys - California Girls1 Beach Boys - California Girls2


The Beach Boys - California Girls (1965年)



~一粒で二度おいしい…??~

3月23~26日に『50 Years of Good Vibrations』ツアーで来日公演を行うアメリカのロック・バンド、ザ・ビーチ・ボーイズ(マイク・ラヴ&ブルース・ジョンストン)。
一方4月12~15日には、ブライアン・ウィルソン&アル・ジャーディン(+ブロンディ・チャップリン)というお馴染みのビーチ・ボーイズ・メンバーが『ペット・サウンズ50周年アニバーサリー・ジャパン・ツアー』で来日予定です。
そして、その何れでも「California Girls」や「素敵じゃないか」(過去ログ)がセットリストに入っています。

これは“一粒で二度おいしい”と考えるべきか、それとも…?



~概要~

「カリフォルニア・ガールズ」はビーチ・ボーイズ1965年のアルバム『サマー・デイズ[Summer Days (and Summer Nights!!)]』の収録曲で、シングルとしてもBillboard Hot 100で3位(年間49位)を記録し、全世界で400~500万枚といわれる彼ら最大のセールスを挙げたヒット曲です。
時代を越えて愛され続けた作品で、『ロックの殿堂』は“500 Songs That Shaped Rock and Roll”に、『ローリングストーン誌』は“500 Greatest Songs of All Timeの71位”(2004年)と“Best Summer Songs of All Timeの4位”に、2010年には『グラミー殿堂賞(Grammy Hall Of Fame Award)』に選出されています。

作曲はブライアン・ウィルソンで、彼が初めて使用した麻薬による幻覚の経験が及ぼしたといわれています。
ブライアン自身“ビーチ・ボーイズの代表曲”と胸を張るほどの自信作であり、バッハの「Jesu, Joy of Man's Desiring(主よ、人の望みの喜びよ)」のリズムからインスピレーションを得ているそうで、特徴的な“シャッフル・ビート”(タンタ、タンタ…というリズム)もバッハから閃きを得たようです。

1960年代の“カリフォルニア・サウンドの象徴”とされるサウンドであり、ロネッツの「Be My Baby」(過去ログ)など“ウォール・オブ・サウンド”の生みの親であるフィル・スペクターを敬愛するブライアンのサウンドへの追及心は高まるばかりで、膨大な労力が費やされました。
カール・ウィルソンによる12弦ギターやブラス・セクション、オルガンなどで構成される美しいイントロはブライアンが満足するまで44テイクを要し、更にヴォーカル・トラックには2か月費やし何度もオーバー・ダブを積み重ねたそうです。

 



~ビーチ・ボーイズ以外の「California Girls」~

「California Girls」といえば、オリジナルのビーチ・ボーイズに劣らず有名なのが1984年12月にリリースされたデイヴィッド・リー・ロスver.でしょう♪
デイヴは言わずと知れたHR/HMバンド“Van Halen”(過去ログ)のヴォーカリストで、ソロ名義のEP『Crazy from the Heat』からのシングルとして発表し、Hot 100で3位を記録しました(直後にVHを脱退)。

このデイヴver.のバック・コーラスにはビーチ・ボーイズのカール・ウィルソンと、クリストファー・クロス(過去ログ)が参加したことでも話題を呼びましたが、それ以上に語られることが多いのが『MTV Video Music Awards』にもノミネートされたPVです。
何といってもデイヴ自身この歌を地でゆくようなキャラでハマっているし、“RothLosの観光案内をする”というダジャレをはじめ個性的な観光客やたくさんの水着ギャル、VH時代から定評のあるサービス精神旺盛(過剰?)な彼のパフォーマンスは本作の楽しさを増幅させてくれています♪

 

また、「California Gurls」といえば2010年にBillboardの年間4位(6週No.1)に輝き、近年若い世代の間でビーチ・ボーイズより有名になった作品があります。
それを成し遂げたのは自身が“リアル・カリフォルニア・ガール”であり、2015年11月現在“Twitter フォロワー数世界一”(約7,717万)という人気女性歌手ケイティ・ペリー

この曲はビーチ・ボーイズとは別の作品ですが、歌詞の最後の一節にビーチ・ボーイズでサビとして有名な[I wish they all could be California girls]が使われており実はこれが無断使用だったことが判明したものの、作詞者であるビーチ・ボーイズのマイク・ラヴは“光栄に思っている。彼女の曲は素晴らしいと思うよ。世界中で成功することを願っている”と、逆にエールを送ったそうです。



~Lyrics~

Well East coast girls are hip
東海岸の女の子って、カッコいいな
I really dig those styles they wear
ホント、洋服のスタイルには感心する

【East coast】はまさにアメリカ東海岸で、世界が憧れる街“ニューヨーク”があります。
【hip】は“進んでいる・格好の良い・利口な”といった意味があり、まさに“都会の女”のイメージにぴったりです。
男たるもの、才色兼備の女性にググっとくるのは当然として、同性にとっても憧れの存在であることでしょう。

“ファッションの都”NYでは、最近こんなファッションが流行っている!? 
でも最先端のオシャレって、みなさん意外と気づいてくれないもののようです…。




And the Southern girls with the way they talk
それと、南部の娘の話し方ときたら…
They knock me out when I'm down there
ボクはもう、ノック・アウトされちゃうよ

アトランタ・オリンピックを開催したジョージア州やメキシコと国境を接する“テキサス州”などがこれに該当する地域です。
南部アメリカ英語には“southern drawl”と形容される、母音を引き伸ばして発音する独特の訛りがあり(例えばMy name is...を“マ― ネ―ム イ―ズ...”)、ゆったりとやわらかい響きがあります。

方言というと、昔は“地方出身者のコンプレックス”として上京するとそれを封印する人が大半でしたが、近年は“方言(女子)はかわいい”と持て囃されることもあるようで、特に人気なのが“京都弁”と“博多弁”です。
でも、何となく日本もアメリカも好まれる話し方には共通点がありそう…? 


The West coast has the sunshine
西海岸は太陽燦々
And the girls all get so tanned
女の子たちは、こんがり小麦色

やっぱり、“カリフォルニア・ガール”といえばこのイメージ? 
陽気で、おおらかでフレンドリー…
きっと当地の人々は、日本人が抱く“良い意味でのアメリカ人像”に多大に貢献していますネっ♪

やっぱり明るい太陽と温暖な気候が、そこに暮らす人々の気質に影響を及ぼすのでしょうか…。
もちろんカリフォルニアはビーチ・ボーイズのメンバーの故郷であり、彼らの音楽や精神風土もこの地の文化に根差しています。



~Epilogue~

愛らしいカリフォルニア・ガールのナンシー、あなたは私たち全員にとってインスピレーションでした…。

ビーチ・ボーイズのマイク・ラヴは3月7日、今回のツアーのステージでカリフォルニアに所縁ある偉大な一人の女性を悼みました。
彼女はカリフォルニア州のファースト・レディを務め、後にアメリカ合衆国のファースト・レディに登り詰めたロナルド・レーガン大統領夫人だったナンシー・レーガン(享年94/※彼女の出身はニューヨーク)。
レーガン夫妻は予て(かね)よりビーチ・ボーイズのファンであり、彼らは1985年の大統領就任式後の舞踏会で夫妻のために歌った「Their Hearts Were Full of Spring」を、見事なコーラスと共にアカペラで彼女に捧げました。


I wish they all could be California
あぁ…どの娘もみんな
I wish they all could be California girls
カリフォルニア・ガールだったらいいのに


でも愛らしいのは、何もカリフォルニア・ガールだけじゃありませんよね?
日本にだって、“秋田美人”・“京美人”・“博多美人”(いわゆる日本三大美人)があります!
秋田美人は色白で手足が長くハーフのような顔立ち(佐々木希など)、京美人は品があっておっとりとした話し方(中村玉緒など)、博多美人はオシャレで明るく人懐っこい性格(浜崎あゆみなど)…という特徴があるそうです。
何れにも共通しているのは健康的な美しさと、人を癒し元気にさせる内面的魅力を兼ね備えているトコロでしょう…。
やっぱり日本人には、“大和撫子”が一番ですネっ!” 

“セクシー自慢のカリフォルニア・ガールが、キミを待っているよ~♪” 
(カリフォルニア出身の有名人;ベリンダ・カーライル、グウェン・ステファニー、アンジェリーナ・ジョリー、ミシェル・ファイファー、キャメロン・ディアス、マリリン・モンロー…)

うぅ~む… (コラっ、そこで悩むなっ!



「カリフォルニア・ガールズ」


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tags : 1965年 ロック/ポップ  コーラス 偉大な曲 

comment(4) 

「ユー・ビロング・トゥ・ザ・シティ」グレン・フライ

2015.09.04

category : Eagles & Solo

Glenn Frey - You Belong To The City1 Glenn Frey - You Belong To The City


Glenn Frey - You Belong To The City (1985年)



~“ヘンリー=フライ”からの脱却~

前回のドン・ヘンリーに引き続き、今回もイーグルスのグレン・フライを特集いたします♪

イーグルスの名曲の大半はこの二人のコンビ“ヘンリー=フライ”によって生まれ歌唱されたわけですが、彼らの目標としたビートルズの“レノン=マッカートニー”と決定的に違ったのは、基本的に“ヘンリーが作詞、フライが作曲という分業によって一つの作品を完成させていた”ということです(レノン=マッカートニー作品の大半は、実際は共作ではない)。
そのため、バンドの解散はこの“名ソングライト・チームを互いに失う”ことに直結し、それぞれ新しいパートナーを見つける必要に迫られることになります…。



~概要~

グレン・フライはドン・ヘンリー同様、イーグルスが解散した1982年にソロとして1stアルバム『No Fun Aloud』を発表しています。
彼がドンに代わる“相棒”として選んだのがイーグルスの「Peaceful Easy Feeling」や「Already Gone」などに楽曲を提供していたジャック・テンプチン(Jack Tempchin)という人でしたが、この時点では決定的といえる成功は得られていません。
'84年に映画『ビバリーヒルズ・コップ』の主題歌「The Heat Is On」で初めての大ヒットを放つものの、これは全く他人の手によって書かれた作品でした。

同年グレンは2ndアルバム『The Allnighter』を発表、この中から「Smuggler's Blues」がこの年スタートした“MTV Cops”『Miami Vice』に起用(そのために作った?)されただけでなく、何と“(麻薬の)運び屋”として重要な役所でグレン本人も出演しています(シーズン1・#15「Smuggler's Blues」)!
これがBillboard Hot 100の12位を記録するヒットとなり、その年(1985)の『MTV Video Music Awards』ではグレンの役者ぶりが評価され(?)PVが“Best Concept Video”を受賞しました。
(ちなみに、この年「The Boys of Summer」(過去ログ)が“Video of the Year”、「What's Love Got to Do with It」(過去ログ)が“Best Female Video”を受賞)

『Miami Vice』でのグレン・フライの活躍は続き、シーズン2のためにグレン&ジャックが書き下ろしたのが「You Belong To The City」でした。
この曲はHot 100で2位(1985年の年間30位)を記録、グレンの「Smuggler's Blues」と「You Belong To The City」を含む『Miami Vice』はアルバム・チャートBillboard 200で11週No.1に輝くTVドラマのサウンドトラックとしては史上最大のヒットを記録しています。
「ユー・ビロング・トゥ・ザ・シティ」というと印象的なのが、イントロをはじめとする哀愁あるサックスの響きです。
これはBill Bergmanという奏者によるものですが、これを聴くと日本の「1986年のマリリン」を連想する人も多いのでは?

「ユー・ビロング・トゥ・ザ・シティ」のPVは2種類あって何れも『Miami Vice』と関連付けられおり、1つはグレン・フライを主人公にしたもの、もう一つはマイアミ・バイスの主人公ソニー・クロケット(ドン・ジョンソン)がフィーチャーされたものです。
今回は、ドン・ジョンソンの“匂い立つ色香”に目が眩みソニーver.をメインに選択しましたが、この項ではグレン・フルver.をご紹介しておきます。
また、「You Belong To The City」はペプシのCMにも起用されており、ここでもグレンとドン・ジョンソンは息の合った掛け合いを見せていますが実はこの二人、“イーグルス時代からの友人(悪友?)”なのだそうです♪

 
 



~Lyrics~

And down on the street
街路へと下り
Moving through the crowds through the midnight heat
人の群れを縫い、冷めることのない真夜中の熱を彷徨う

【heat】は熱帯夜というよりも“(眠らぬ街の)興奮”と私は解釈していますが、【heat】の抽象的な所が旨味でもあるのでそのまま“熱”としておきました。
人口が密集している都市部、特に歓楽街は時間の感覚がマヒするほど夜も煌々として人の数・動きも活発で、まさに“唸りをあげている”ようにも感じます。
あなたは、こんな風に真夜中の街を独り宛てもなく歩いたことがありますか…?


Nobody know where you're going
お前の行き先を知る者など、そこに一人となく
Nobody cares where you've been
何処から来たか、気に掛ける者もない

…でも、周りにどんなにたくさんの人がいようとその殆んどは“見知らぬ人”だし、通り過ぎる人の群れは“景色の一つ”に過ぎません。
それが、“人がいっぱいいるのに孤独を覚える都会という空間”です。

…まぁ、見知らぬ人に“何処行くの?”と声を掛けられても困りますけどネっ? 


'Cause you belong to the city
何故なら、お前は都会に生き
You belong to the night
夜の世界に身を置く男

“都市に対する帰属”なんて普段ほとんど意識もしない私ですが、それがどんなに恵まれていることか痛感させられる出来事がありました。
内戦が続くシリアなどからの難民が、遠く離れたヨーロッパへ多数流入している問題です。

ご存知のように2011年に始まったシリアの内戦は、その混乱に乗じて過激派組織ISILが勢力を拡大させるぐちゃぐちゃな戦況となっており、国際社会はこれを阻止できてはいません。
たとえISILを壊滅できたとしても、それで一番助かるのは元々の内戦の原因である“アサド・独裁政権”という笑えない構図…。

シリアの人々は、何処に帰属を求めればよいのだろう…。



~Epilogue~

「You Belong To The City」は『Miami Vice』のために書き下ろされた作品であることから、この歌はドラマの主人公ソニー・クロケットに向けてメッセージされていると仮定して、私はストーリーを構築しました。
ソニーは中南米との玄関都市マイアミで麻薬を取り締まる警察官ですがその手法の大半は“おとり潜入捜査(売人に偽装しての捜査)”で、普段の彼はヨットに住まいしヴェルサーチを纏(まと)いフェラーリを乗り回すなど警官というより見た目売人と同じような暮らしをしています。
彼には妻子があるものの、それが仕事とはいえ彼のそうした異常な世界に理解が得られず別居、後に離婚に至ってしまうのです。

そのため、常に社会の暗部の中に身を置いていること、犯罪者を捕まえるため囮(おとり)という“虚偽”を用いた捜査手法、明けても暮れても破天荒な毎日の繰り返しで家族を不幸にしてきた自分への葛藤…
お洒落で軽快なアクション・ストーリーの陰には、彼が抱える“生身の人間の苦悩”も込められています。


Concrete under your feet
無機なるコンクリートに根差し
It's in your blood, its in your moves
それがお前に流れる血の宿命、そして原動

海や山、空など自然が創り出す風景は何処か心をホッとさせるのに、コンクリートの造形物は芸術的な建築美を理解できても心が癒される感じがしないのは、何故?
自然豊かな森林を歩いていると、何層にも堆積した腐葉土と枯れ葉がふかふかして“生きている自然”を実感できるのに、コンクリートに囲まれた都会では踏みしめる大地に生命の力を想像することはできません。

そう考えると、私たちは知らずのうち自然によって心を癒されているのだと、改めて思いました。
でも都市にだって、コンクリートの僅かな隙間を縫って根を張り花を咲かせるタンポポのように、“生きることの意味”を教えてくれる自然があります。

“どこに生きようと、どんなに小さかろうと、僕らは精一杯生きるものなんだ”って…。



「ユー・ビロング・トゥ・ザ・シティ」


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tags : 1985年 ニューウェイヴ 孤独  マイアミ・バイス 

comment(1) 

「ボーイズ・オブ・サマー」ドン・ヘンリー

2015.08.28

category : Eagles & Solo

Don Henley - The Boys of Summer1 Don Henley - The Boys of Summer2


Don Henley - The Boys of Summer (1984年)



~The (Old) Boys of Summer?~

「The Boys of Summer」はタイトルの通り“夏”をテーマとした作品ですが、盛夏というより“晩夏”の味わい。
ただし、ドン・ヘンリーはあの「ホテル・カリフォルニア」の作者でもある人なので、オモテ向きのストーリーだけでなく“ウラネタ”も隠されているそうですよ!
…ウワサですけどネっ? 

ところでドン・ヘンリーは9月25日、15年ぶりとなる5thアルバム『Cass County』をリリースします(日本盤は10月2日)。
ミック・ジャガー、ミランダ・ランバート、ドリー・パートン、ヴィンス・ギルほか、ドンが音楽的にリスペクトするゲストが多数参加しているそうですがお友達のJ.D.サウザー同様、ファンは首が長くなければ務まらない?

 



~概要~

ドン・ヘンリーは1970年代を代表するロック・バンド、イーグルスの中心人物として活躍した人です。
バンドが活動停止中にスティーヴィー・ニックスとの「Leather and Lace」でソロ・デビュー、正式に解散した1982年には1stアルバム『I Can't Stand Still』を発表しました。

「ボーイズ・オブ・サマー」は1984年の2ndアルバム『ビルディング・ザ・パーフェクト・ビースト(Building the Perfect Beast)』からの1stシングルで、Billboard Hot 100の5位(1985年の年間53位)を記録した作品です。
これを受けて1985年のグラミーでは、本作品によって“最優秀男性ロック・ヴォーカル・パフォーマンス賞”を受賞しました。
7月に紹介した「想い出のサマー」と並び“夏の定番曲”であり、2014年にBillboardスタッフが選んだオールタイム・ベスト『Top 30 Summer Songs』で11位、2013年のRolling Stone誌『Best Summer Songs of All Time』では19位、おなじみ同誌『The 500 Greatest Songs of All Time』でも416位にランクされています。

「The Boys of Summer」の作者はドン・ヘンリーとマイク・キャンベル(トム・ペティ&ザ・ハートブレーカーズ)で、マイクは本作品のプロデュース/ギターも務めました。
「ボーイズ・オブ・サマー」といえば、とてもリズムが面白い曲でしょ?
この作品は元々マイクがドラム・マシン(the Linn Drum Machine)を用いて作曲したものの、トム・ペティのバンドでは使えそうもなく行き場を探していた所、ドンがその曲を気に入って是非レコーディングしたいと申し出てきたのだそうです。
また、パット ・ ベネターの旦那さんニール ・ ジラルドによると、パットの「Love Is a Battlefield」をレコーディング中にドンがスタジオを訪れ“そのリズム、僕も使っていい?”と許可を求められ承諾したという証言もあります(この2つの曲は共に“LM-2 LinnDrum”のリズムが用いられている)。

また、「ボーイズ・オブ・サマー」といえば忘れてはならないのが1985年の『MTV Video Music Awards』“Video of the Year(最優秀ビデオ賞)”ほか4部門を制したミュージック・ビデオで、1980年代を代表する名作です♪
バレーボールのブロックのように裸で跳びはねる夏の男たち、ドンの幼い頃を想起させるドラムを叩く少年、まるで冬のように寒そうに歌う“昔の少年”…
カラーが当たり前の時代になったからこそ、モノクロの映像が新鮮に見えたものです(ポリスの「見つめていたい」とか)。

 



~Lyrics~

I feel it in the air
漂う空気が告げている
The summer's out of reach
“夏”はもう、手の届かぬ所にあることを

あなたは、夏がお好きですか?

…私は、暑いのはニガテです! 
そんな私でも、夏の終わり頃はウンザリする暑さがピーク・アウトし日々の気温も好ましい方に向かうため、温度計の数値以上に涼しさを感じられるので結構好きだったりします。
意外にも別れが名残惜しい、フシギな季節…。


Your brown skin shinin' in the sun
太陽を浴び、輝く褐色の肌
You got that hair slicked back and those Wayfarers on, baby
髪を撫でつけ、Wayfarerをかけている

Wayfarer(ウェイファーラー)】は『Ray-Ban』の超人気モデルで、“ロックの象徴”としてボブ・ディランやマドンナ、日本では浜田省吾ほか、現在も世界中で愛されているサングラスです。
一方Ray-Banといえば“Aviator(アビエーター)!”という人も多いでしょう♪
こちらはマイケル・ジャクソン、トム・クルーズ(『トップガン』)、日本だと渡哲也…といったイメージ。
…あなたは、どっち派? 


Out on the road today, I saw a DEADHEAD sticker on a Cadillac
今日、通りでDEADHEADのステッカーを貼ったキャデラックを見た
A little voice inside my head said, "Don't look back. You can never look back"
脳裏で囁く声がする…“後ろを見るな、振り返っちゃいけない”

Don Henley - The Boys of Summer3【DEADHEAD】

この一節は、処分売りされている【DEADHEAD】のステッカーが貼られたキャデラック・セビルを見た、ドン・ヘンリーの実体験に基づいています。
【DEADHEAD(S)】は1967年にデビューしたアメリカの伝説的ロック・バンド“グレイトフル・デッド (Grateful Dead)”の熱狂的なファンのことであり、彼らのシンボルマークを指したりしますがこのマーク、ファンでなくてもTシャツやグッズで見覚えがあるのでは?《写真》
グレイトフル・デッドは1970年前後のヒッピーやサイケデリック文化・反体制派の象徴であり、当時アメリカの若者に絶大な人気がありました。

また、一般に【deadhead】は“役立たず・ 沈んだ(沈みかけた)流木”という意味もあり、キャデラック・セビルは1970年代前半、オイルショックを受けて低燃費指向に対応するために開発されたモデルです。
時を同じくイーグルスの一員としてロック界の頂点に君臨していたドンが、1980年代に入りバンドは解散、衆目はマイケル・ジャクソンのダンスへと移っていた時代、“役立たずの烙印を押された時代遅れのキャデラック”を目にして思うこと…
それこそまさに、“The summer's out of reach “夏”はもう、手の届かぬ所にある”だったのではないでしょうか…。



~Epilogue~

浮気な夏”と誰かが形容するように、夏はバカンス気分も相まって気持ちが浮かれるものです。
“非日常”と認識しているからこそ普段は施錠している“心の鍵”を期間限定で解き放ち、日常とは異なる世界を求めるのかもしれません。
やがて、夏の終わりと共に人々の“熱病”は冷め、潮が引くように元の日常へと戻ってゆく…


I can tell you my love for you will still be strong
僕は、変わらぬ愛を君に誓おう
After the boys of summer have gone
たとえ、夏の男たちは過ぎ去ろうとも…

…だけど、潮の流れに逆らい留まろうとする一人の男がいる
人気なく、空っぽになってしまった“夏”
もうそこに、彼の求める“夏”はいないのに…

“それ”は、永遠に彼の中で熱を放ち続ける
心を焦がすほど情熱を注ぎ、目も眩むほど輝いた“夏”
人は生涯に何度、そんな“運命”とめぐり逢えるのだろう…

“忘れられない”のではない
“夏”は、今も男の中に“生きている”… 



「ボーイズ・オブ・サマー」


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tags : 1984年 ロック/ポップ 偉大な曲  グラミー 名作MV 

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