「哀しみの天使」はペット・ショップ・ボーイズ1987年の2ndアルバム『哀しみの天使(Actually)』の収録曲で全英で3週No.1、アメリカBillboard Hot 100で9位を記録したダンス・ナンバーです。 作者はメンバーのニール・テナント(vo)とクリス・ロウ(key)で、彼らが有名になる前の1984年にBobby O(Bobby Orlando)と制作したデモ音源が残されています。 タイトル「It's A Sin」にも使われる【sin】は“(宗教・道徳上の)罪”という意味で、ニール・テナント自身の体験を投影した作品です(別項参照)。
シングルが発売された後イギリスのDJジョナサン・キング (Jonathan King)が、「It's A Sin」はキャット・スティーヴンス1971年のヒット曲「Wild World」の盗作であると主張し、「It's A Sin」の曲・アレンジに「Wild World」の詞を組み合わせたカバーを勝手に発表したため逆にPSB側から訴えられ、この改変作の売り上げはチャリティーに寄付する羽目になるという騒ぎが起きています。 似ているといえば1988年に日本のWinkがカバーした「愛が止まらない 〜Turn It Into Love〜」(カイリー・ミノーグの曲としても有名)も気になるところですが…。
~Lyrics~
Father, forgive me, I tried not to do it ファザー…お許し下さい、止めようと努力しました Turned over a new leaf, then tore right through it 心を入れ換えても、ずたずたに引き裂いてしまうのです
作者の一人であるニール・テナントはローマ・カトリックの男子校[St Cuthbert's High School]の出身で、「It's A Sin」はここで体験した厳格な戒律への不満や怒りを表しており、本作品がリリースされたとき当時の教師が不快感を示したといわれています。 こうした経緯からもここでの【Father】はニールの実父ではなくカトリック教会の神父を指していると解され、これに続くセンテンス[Father, you fought me]を私は“あなたは懸命に向き合ってくれました”と訳していますが、もし【神父=教師】であるならより[fight(戦い)]的な激しいものだったのかもしれません。
For everything I long to do 僕がやりたいと望むことは No matter when or where or who たとえそれがいつ、何処で、誰とであろうと Has one thing in common, too 一つの概念で通じている
「ライク・ア・プレイヤー」は1989年・第4作目のオリジナル・アルバムのタイトル曲であり、1stシングルとしてBillboard Hot 100で3週連続No.1(年間25位)を記録しました。 ローリング・ストーン誌“500 greatest songs of all time”の300位にもランクされ、流行歌手的な位置付けされるることの多いマドンナにとっても、評論家ウケのよい名曲といえるでしょう。 作者はマドンナとパトリック・レナード、そしてプロデューサーのステファン・ブレイのチームは、当時彼女の活躍に欠くことのできない顔ぶれでした。
この作品以前からマドンナを知る人にとって「Like A ~」というタイトルを掲げられると、どうしても“Virgin!”…と浮かんでしまうことでしょう。 恐らくマドンナもそういうシャレを意識して名づけたと思いますが、内容はそれと正反対に重厚なものです。 カギを握る“Prayer”という言葉は“祈り(祈る人)”という意味があり、主人公がその声に導かれるようにして物語は展開します。
Life is a mystery, everyone must stand alone 人生は不思議…誰もが孤独を生きる宿命の中で I hear you call my name 私の名を呼ぶ、あなたの声は聴こえてくる And it feels like home “安らかなる場所”へと誘(いざな)うかのように…