I Wish~洋楽歌詞和訳&解説

80年代の洋楽ロック・ポップス&ビートルズを中心に、歌詞の和訳と解説+エッセイでお届けします

STOP!
地球温暖化/気象災害激甚化
Lil Dicky - Earth
Lil Dicky - Earth1
Beatles & Solo
Please Please Me


With The Beatles


A Hard Day's Night


Beatles For Sale


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Rubber Soul


Revolver


Sgt Pepper's


The Beatles


Yellow Submarine


Abbey Road


Let It Be


Magical Mystery Tour


Beatles(the other songs)


John Lennon


Paul McCartney


Wings


George Harrison


Ringo Starr


「ドック・オブ・ベイ」オーティス・レディング

2023.02.25

category : Otis Redding

Otis Redding - (Sittin' On) The Dock Of The Bay (1968年)

朝な夕な波止場に座り海を眺めている男…そして彼は、この先もずっと船を眺め続けるだろう

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tags : 1968年 ソウル 孤独 人生 故郷 差別 偉大な歌手 偉大な曲  東日本大震災 

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「マイ・リトル・タウン」サイモン&ガーファンクル

2021.10.04

category : Simon & Garfunkel

Simon & Garfunkel - My Little Town (1975年)

もし大人になることが“黒の虹”を構成する一つになることであるなら、葛藤する若者の方が正しい

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tags : 1975年 ロック/ポップ 故郷  

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「ウェスタリング・ホーム」ケルティック・ウーマン

2017.09.08

category : Celtic Woman

Celtic Woman - Westering Home1 Celtic Woman - Westering Home2


Celtic Woman - Westering Home (2015年)



~ Celtic Woman Voices of Angels World Tour ~

2006年のトリノ・オリンピック、フィギュア・スケート荒川静香選手のエキシビションでテーマとなった「You Raise Me Up」で日本でもその名が知られるようになった女性音楽ユニット、ケルティック・ウーマン(Celtic Woman)が6年振りの来日公演を行います。
日程等についてはメンバーからも日本の皆さんにお知らせが届いているので、映像でご覧下さい。

今回の来日は昨年リリースされたアルバム『Voices of Angels』に基づくツアーで、直前のインタビューで彼女らは
“観客の皆さんが一曲ごとに、それぞれの曲が持つ要素と調和し、アイルランドの鼓動をコンサートを通して感じて欲しいです。実際にアイルランドに訪れたかのような感覚とそこにある心の温かさなどを、この公演を通して感じて頂ければと思います。”
…と、語っています。





~概要~

ケルティック・ウーマンは2004年、“クラシック音楽とアイルランドの伝統音楽のアンサンブル”というコンセプトの下、誕生したグループです。
メンバーはアイルランド出身の女性で構成されていますが固定的ではなく、常時入れ替わっているといって過言ではありません。
同国出身のエンヤがそうであるように、ケルト音楽やゲール語(アイルランド・スコットランド・マン島の伝統的言語)という“ローカルな要素”を背景としながらも、クラシックやポップス、そして透明感ある美しい歌声という“洗練された要素”を融合させることによって、洋の東西や時代の流行に左右されない“素材そのものの良さを味わえる”ことが、何より彼女らの最大の魅力といえるのでしょう。


「ウェスタリング・ホーム」は2015年の10thアルバム『Destiny』の収録曲ですが、シングル・カットやタイアップはありません。
ヴォーカルはスーザン・マクファーデン Susan McFadden、マレード・カーリン Mairead Carlin、イーハ・マクマホン Éabha McMahonが、フィドル(ヴァイオリン)はマレード・ネスビット Máiréad Nesbittが担当しています(今回のツアーではメンバーに一部変更があります)。
作品は長い船旅からの故郷への郷愁をテーマとしていると思われますが、彼女らの歌声はあまりに爽やかで、まるで“‘花よ蝶よ’と歌う森の妖精”に聴こえなくもありません? 

…そんな「Westering Home」はケルティック・ウーマンがオリジナルではなく、当地では小学校で習うほど親しまれるスコットランドの伝統歌です。
楽曲は1920年代にスコットランドのHugh S. Robertonの作とされる一方、実はこれも二次創作のようで、Wikiによると原曲はアイルランドに古くから伝わる「Trasna na dTonnta」(ゲール語)と言及されています(確かにメロディーは同じ)。
元々はアイルランド北部沿岸にあるグウィドー(Gaoth Dobhair)のことを歌っていたようで、それをHugh S. Robertonがスコットランド向けに歌詞を改め、言語も英語に変更したと推測されます。

  
 



~Lyrics~

Westering home with a song in the air
故郷の歌と共に、西へと向かう
Light in the eye and its good by to care
瞳はきらめき、憂いにはさようなら

一見平易な言葉が並んでいるように見えて古い言葉や方言が混じった歌詞であり、加えてここで【home】を普通に[家]と解すると後で“何か変な感じ”が残ってしまうのです…。


Where are the folk like the folk o' the west?
家族のような西の民は何処?
Canty and couthy and kindly, the best
陽気で、親切で優しい最高の人々

ここでの【folk(s)】も同様で、単純に[人々]と捉えるとこのフレーズに何の意味があるのか理解できなくなってしまいます。
しかし、これを[共通の祖先や伝統・文化を受け継ぐ人々]と捉えると前後関係も違和感がなくなり、先の【home】もこの概念に従って“広い意味での家[故郷・故国]”と捉えると、ようやく“作品の心”へと導かれた気がしました。


Tell me of lands of the Orient gay
教えて…東の洋(うみ)の世界の繁栄
Speak of the riches that come from Cathay
“キャセイ”からの富の伝説

【Cathay】は10世紀に中国北部に遼を建国した契丹(きったん・Qitai)の英語訳で、13世紀に『東方見聞録』を編纂したマルコ・ポーロによってヨーロッパに伝えられました。
当時の中国はモンゴル帝国の[元]として繁栄を極め、クビライの厚遇を受けたマルコ・ポーロ自身も巨万の富を持って帰国しました。
これが大航海時代に脚光を浴び、探検家が先を競って世界へと繰り出すきっかけになったともいわれます。



~Epilogue~

「Westering Home」はスコットランド西岸にあるアイラ島(Islay)をテーマとしています《写真左・赤丸》。

…まずアイラ島ってどんな特徴があるのだろうと検索してみると圧倒的なのが“ウイスキーの聖地”についてで、とりわけアイラ島で作られるピート(泥炭)によるスモーキーなスコッチ・ウイスキーは“アイラ・モルト”として世界中で愛され、2016年現在8つの蒸留所があるそうです。
その中の一つブナハーブン(Bunnahabhain)蒸留所で製造されたウイスキーのラベルには、故郷を望む船乗りのイラストと共に“Westering Home”の文字が刻まれており《写真・右》、本曲がどれほど地元で愛されているのか改めて実感させられました。

また、アイラ島に関連して出てきたのが作家・村上春樹で、彼はスコッチ・ウィスキーとアイリッシュ・ウィスキーをテーマとして、1999年にアイラ島とアイルランドを巡った紀行『もし僕らのことばがウィスキーであったなら』を発表しています。

Celtic Woman - Westering Home3 Celtic Woman - Westering Home4


一方アイラ島は“ヘブリディーズ諸島の女王”と称され、人口密集地のエディンバラやグラスゴーから少し離れた西端にあるためあまり開発がなされておらず、“スコットランドで最も美しい島”ともいわれています。
今回見つけた動画によると、確かに一部に集落が点在する以外殆んどは起伏のある丘陵地や牧草地で、目を引くのは海と海岸の美しさで、ここにはイルカやアザラシも訪れるそうです。
また、ウイスキーの名産地だけあって水系が豊かで、ヨーロッパで最も優れたブラウントラウト釣りの名所の一つとして知られています。




…かつて(14~16世紀ごろ)、アイラ島は“あるケルトの氏族”が支配するスコットランド西海岸とアイルランド北岸一帯の中心地でした。
その後イングランドとの勢力争いに敗れ領地を失い氏族制度も解体、彼らの多くが国外へと逃れてゆきました。
それから長い歳月を経た1940年、大西洋を越えて移住した彼らの末裔がアメリカ・カリフォルニアで商いを始め、2010年には全世界121カ国・約3万店舗をもつ世界最大のファストフード・チェーンストアにまで発展を遂げました。
…そう、あの【マクドナルド(McDonald)】です。

Ah but it's grand to be woken at day
あぁ…それは、壮大なる一日の目覚め
And find yourself nearer to Islay
アイラの島近く、自らの運命を識る

今も世界で愛されるウイスキーの伝統を継ぐもの、そして海を渡り世界の誰もが知るブランドを確立したもの…
その“源流”は、この小さな島にありました。



「ウェスタリング・ホーム」


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tags : 2015年 ケルト 故郷 美声 

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「ペニー・レイン」ビートルズ

2016.03.11

category : Beatles & Solo

Beatles - Penny Lane1 Beatles - Penny Lane2


The Beatles - Penny Lane (1967年)



~ジョン・レノン、髪を切る。~

ジョン・レノンは1967年に『ジョン・レノンの 僕の戦争 How I Won the War』という作品で、ビートルズ以外では初めて映画に出演しました。
その際ジョンは兵士役を演じるため長髪をバッサリ切り落としていますが、その時の毛髪が半世紀を経て先日オークションされた…というハナシ。
出品者はハンブルクの理髪師(映画の撮影はドイツだった)で、長さ約10センチの髪の束《写真》は2月20日の競売で3万5000ドル(約400万円)で落札されたそうです。

…ということで、本日は“床屋さん”を舞台としたビートルズ作品のご紹介です♪
(※先日亡くなったジョージ・マーティンについては、後日改めて特集いたします。)

Beatles - Penny Lane3 



~概要~

「ペニー・レイン」は1967年2月(英;17日/米;13日)にリリースした14枚目のオリジナル・シングル(「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」と両A面)で、イギリスでは1963年の「プリーズ・プリーズ・ミー」(過去ログ)以来“4年ぶりに1位になれなかった”(3週2位)と騒がれたのは、ビートルズならではといえるのでしょう。
ビートルズ歴代でも屈指といえるこの超強力両A面シングルのNo.1を阻んだのはエンゲルベルト・フンパーディンクの「Release Me」という曲で、この出来事についてリンゴ・スターは“連続No.1がプレッシャーだったのでホッとした”と振り返り、『全曲解説シリーズ(2) ザ・ビートルズ』(邦題)でジョン・ロバートソンは“こんな結果になったことは、当時イギリスのレコード購買層だった者全員にとって永遠に恥じるべき”とまで言及しました。
一方アメリカBillboard Hot 100では「ペニー・レイン」が単独A面で、ビートルズ13番目のNo.1(1週/年間55位)に輝いています。
また、ローリング・ストーン誌“The 500 Greatest Songs of All Timeで449位”にもランクインしている楽曲でもあります。

作者&リードヴォーカルはポール・マッカートニー(詞の一部をジョンが手伝っている)で、彼は以前から故郷リヴァプールにある“Penny Lane”という地名に詩的な響きを感じそれをモチーフとした曲を作りたいと願望していたらしく、ジョンが故郷を題材とした「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」に取り掛かったのに触発され、本格的に創作を始めたといわれています。
「ペニー・レイン」は大ヒット曲であるにも拘らず公式アルバムに収められなかったため、同曲が収録された米キャピトル編集盤のサウンド・トラック『マジカル・ミステリー・ツアー』が長らく重宝されました。

ポップで聴き易い曲ですが『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』のセッションで録音されているため、サウンドはビートルズの中で最も手間が掛けられた作品の一つといえます。
レコーディングには1966年12月29日から1ヶ月近く費やしており、その間何度も録音→リダクション(トラックを整理)→オーバー・ダビングを繰り返し、特にピアノはポール、ジョン、ジョージ・マーティンらで6~7回ダビングを重ねたそうです。
それでもまだポールが満足できずいた1月11日の夜、BBCで放送されていたクラシック・コンサートでバッハの「ブランデンブルグ協奏曲第二番ホ長調」のトランペットに閃きを覚え、早速翌日この奏者デヴィッド・メイスンを呼び寄せいろいろ試した結果バロック調の“ピッコロ・トランペット”が選ばれ、「Penny Lane」で印象的なあの目の覚めるような間奏ソロが取り入れられました。

ビートルズのアウトテイク集『The Beatles' Anthology 2』ではさまざまなテイクからの音源を一つにした編集になっていますが、確かにあのトランペット・ソロが無いと気の抜けたサイダーのような物足りなさを覚え、ポールが最後までここに拘った理由がよくわかります。
「ペニー・レイン」はツアーをやめた直後の作品なのでビートルズでのライブ演奏は実現しておらず(何れにしても当時の機材では再現しようもない)、ポールがソロになってからの映像でお楽しみください♪

 



~Lyrics~

In Penny Lane there is a barber showing photographs
ペニー・レインにある床屋さんは、カットした
Of every head he's had the pleasure to know
数々の写真を人に見せるのが生き甲斐

イギリスにはイタリア系の理髪店が多いそうで、ポールによるとこの床屋はペニー・レインに実在した『BIOLETTI』《写真》というお店をモデルにしており(PVにもチラッと映っている)、写真が貼ってあったり立ち止まって挨拶を交わすクダリも実話だそうです。
現在もこの建物はありますが『BIOLETTI』は無くなっており、『Tony Slavin』という別の床屋が入っています。
ちなみに大のビートルズ・ファンとして知られる森高千里はこの地にオマージュを込めた「Tony Slavin」という作品を発表していますよ。(PVは“ご当地巡り”となっていて、ビートルズ・ファンも楽しめます♪)

Beatles - Penny Lane4 


And the banker never wears a mac
だってこのお偉いさん、どんな土砂降りでも
In the pouring rain, very strange
レイン・コートを着ないんだ…おかしいね?

【mac】は[Macintosh]の略で、スコットランドの化学者チャールズ・マッキントッシュが1823年にゴム製の防水布を発明したことから“レインコート”が生まれました。
もちろん、[McCartney]姓を持つ“ポールのあだ名”に引っ掛けてもいますよ♪

何故、彼は土砂降りでもレイン・コートを着ないのだろう…
なんて、真剣に考えた方はいませんか?
このエピソードについて、ポール本人は“多少でっち上げた”と語っているそうです。
…おかしいね? 


A four of fish and finger pies
4つの“フィッシュ・アンド・フィンガー・パイ”
In summer, meanwhile back
夏がくると、あの頃を思い出す

【fish and finger pies】は、素直に考えるとイギリスを代表する料理[fish-and-chips]を想像するでしょう。
ポールはこの点について、“殆んどの人は聞いたこともないだろうしご婦人方は決して口にしないだろうけど、【finger pies】は猥(わい)談好きなリヴァプールの若者にとってちょっとした冗談なんだ”と語っています。
すなわち【fish】【finger】【pies】は何れも“スラング的には性的表現”であり、夏がくるとそれを思い出すと言いたいらしい…? 


Behind the shelter in the middle of a roundabout
ラウンドアバウトの真ん中にある待合所の後ろで
The pretty nurse is selling poppies from a tray
かわいいナースがトレーを下げてヒナゲシを売っているよ

Beatles - Penny Lane5

【roundabout】は“環状交差点”を意味する主にイギリスで用いられる言葉で、日本ではアメリカ式の“ロータリー(rotary)”の方が一般的でしょう。
PVでこのフレーズの一瞬にチラッと流れる“バスロータリー”《写真》は実際ペニー・レインにあるもので、具体的にはこれをモデルとしていると思われます。

イギリスには戦没者を追悼する“Remembrance Day(11月11日)”という記念日があって、募金の協力者に赤いヒナゲシの造花を配ることから“Poppy Day”とも呼ばれています。
ちなみに、1995年にリリースされた「Free as a Bird」のPVにはこのフレーズを想起させるワン・シーンが込められているので、見逃していた方はリンクからどうぞ♪



~Epilogue~

ビートルズの故郷リヴァプール (Liverpool) は“海商都市リヴァプール”として世界遺産にも登録されるイギリスの歴史上も重要な役割を果たしてきた港町ですが、その発展の陰には“奴隷貿易の拠点”という負の歴史もある町です。
このうち【Penny Lane】はリヴァプールにある“通り(及び地区)の名前”であり、その歴史を物語るように名称は奴隷商人ジェイムズ・ペニーに由来しています。

報道によるとリヴァプール市議会は先日、ビートルズが同市に与える経済および文化的影響について『Beatles Heritage In Liverpool And Its Economic And Cultural Sector Impact』なる報告書として初めて発表しました。
それによると人口約43万人のリヴァプール市に於いて、解散後40年以上経つにも拘らずビートルズに関連する経済効果は毎年15%伸びており、その額は8,200万ポンド(約137億円)/年にも及んでいるといいます。


Penny Lane is in my ears and in my eyes
ペニー・レインは、今も僕の目と耳に残る故郷の情景
There beneath the blue suburban skies
街はずれの青い空の下
I sit, and meanwhile back
そこに座り、あの頃を思い出す


ビートルズのメンバーにとってペニー・レインは家からはおよそ2~3km離れた場所に位置し、ポールにとっては母校Liverpool Instituteやビートルズの演奏拠点だったCavern Clubへの通り道にあり、とりわけジョンは実際に住んだこともあったそうです。
「Penny Lane」に登場する人々は彼らのような大スターではなく、地元の人しか知らないようなごく普通の人たちばかり。

日本のお笑い界の大御所・志村けんの、彼が得意とする“爺さんコント”や“変なおじさん”は小学校教諭だった父・憲司さんをモデルにしたといわれ、また芸名の“けん”(本名;康徳)も父の名前から取ったものだそうです。
そう考えてみると、私たちの何気ない日常の中にもユーモアたっぷりで“おかしいね?”と思わずツッコミを入れたくなるような魅力的な人たちが埋もれているのかもしれません。

あした街を歩くあなたに、そんな楽しい出会いがありますように♪ 



「ペニー・レイン」


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tags : 1967年 偉大な曲 サイケデリック 故郷 物語 心地よい マジカル・ミステリー・ツアー 

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「カントリー・ロード(故郷へ帰りたい)」オリビア・ニュートン=ジョン

2016.03.04

category : Olivia Newton-John

Olivia Newton-John - Take Me Home, Country Roads1 Olivia Newton-John - Take Me Home, Country Roads2


Olivia Newton-John - Take Me Home, Country Roads (1973年)



~故郷へ帰りたい~

2016年2月10日現在まで2万4,608人の死者・行方不明者を出した東日本大震災の発生から、間もなく5年。
復興庁によると全国の避難者等の数は今年2月12日現在17万4,471人で、これはピーク時(34万6,987人)の1/2であるものの、一方で“5年経ってもまだ半数は避難生活のまま”という厳しい現実を示す数字でもあります。
また、同庁によると震災関連死(避難生活下での体調悪化や自殺による死)による死者数は2015年9月30日現在3,407人を数えており、特に福島県に於いては地震による直接死の数を上回っています。

昨年“シリア難民問題”が世界を揺るがし多くの関心が寄せられましたが、今この国にも5年間故郷を離れ避難生活を強いられたままの多くの人たちがいる…。



~概要~

「カントリー・ロード(故郷へ帰りたい)」はオリビア・ニュートン=ジョンの1973年のアルバム『Let Me Be There』の収録曲で、1stシングルとしてリリースされますがBillboard Hot 100では119位と全くヒットせず、辛うじてイギリスで15位を記録しています。

その後、日本では1976年に朝の情報番組『おはよう700』の看板コーナーで、アメリカ大陸を自動車で縦断する国外取材記“キャラバンII”のテーマ曲に採用されると人気に火が付き、「たそがれの恋」との両A面でシングルカットされオリコン洋楽チャートで11月29日付から15週連続1位という大ヒット(37.6万枚)となり、お茶の間の誰もが知る洋楽曲となりました。
(「故郷へ帰りたい」というタイトルなのに遠い異国を旅するテーマというのも、アレですが?

また、1995年にはスタジオ・ジブリのアニメ映画『耳をすませば』のオープニングにオリビアver.が再び採用されただけでなく、映画の主人公・月島雫が作詞し歌う(※)挿入歌/エンディングとなったことから、再び脚光を浴びたことをご記憶の方も多いでしょう。
(※実際の作詞は鈴木敏夫の娘・鈴木麻実子と宮崎駿、歌は月島雫を演じた本名陽子)
ちなみに、この日本語カバーの歌詞もオリジナルとは真逆の“…帰れない、さよならカントリー・ロード”という内容になっています!

一方「Take Me Home, Country Roads」のオリジナルはオリビアではなく、アメリカのカントリー歌手ジョン・デンバーが1971年に発表しHot 100で2位(年間8位)の大ヒットを記録した作品です。
元々この楽曲は夫婦デュオ“Fat City”のビル・ダノフ(Bill Danoff)とタフィー・ナイバート(Taffy Nivert)の共作であり、当初メリーランド近くの曲がりくねった道から着想を得たバラードとして創作したものでした。
二人はこれを人気カントリー歌手ジョニー・キャッシュの所に売り込むつもりでしたが、ジョンが気に入って歌いたがったので予定を変更し、彼に合うよう舞台をウェスト・バージニア州にするなど3人で手直ししたそうです。
ここで紹介するジョン・デンバーver.はその3人が共演した貴重な映像となっていますので、お楽しみください♪

 



~Lyrics~

Almost heaven, West Virginia
天空の地、ウエスト・バージニア
Blue Ridge Mountains, Shenandoah River
ブルー・リッジ山脈に、シェナンドー川

現在アメリカは大統領選挙・予備選の真っ最中ですが、候補者の一人ヒラリー・クリントンは2008年のウェスト・バージニア州民主党予備選の演説で“You know, like the song says, 'It's almost heaven.'”と、このラインを引用し同州で大勝利を収めたそうです。
ウェスト・バージニア州はアメリカ東部にある面積・人口共に小さな州で、すべての地域が山岳内にあることから“山岳州(The Mountain State)”とあだ名されています。
ただし、実際は「カントリー・ロード」で紹介している“[ブルー・リッジ山脈]は全く同州を通っておらず、[シェナンドー川]も僅かにかすめる程度”なのだそうです!
これは本作の作者である3人ともが同州の出身ではなく、当時十分確かめず発表してしまったために生じた誤解であり、このためジョン・デンバーは当地で歌う際は確かに同州に位置する[Appalachian Mountains(アパラチア山脈)]・[Monongahela River(モノンガヒラ川)]と言葉を替えて歌っていたそうです。

…とはいうものの本作は当地で熱烈に歓迎されており、「Take Me Home, Country Roads」は2014年に公式にウェスト・バージニア州の4番目の州歌となっています。


All my memories gathered 'round her
思い出すのは、彼女にまつわることばかり
Miner's lady, stranger to blue water
鉱夫に囲まれ、青海原を知らぬ女性(ひと)

歌に度々登場する【her】は、どうやら主人公の思慕の対象者であることが理解できるでしょう。
これを男性のジョン・デンバーが歌うと“初恋の相手”かもしれないし、女性のオリビアだと“お母さん”…なのかもしれません。
また、[her]に限らず歌に登場する風景の一つひとつが“故郷=母のぬくもり”のイメージと重ねられているような気もします。

ウェスト・バージニアは国内第2位の石炭生産量を誇る一大産地であり、内陸にあるため【blue water(海)】には面していません。
【Miner's lady】は、[her]を母とするか娘とするかで随分イメージが変わってきそう…?


Dark and dusty, painted on the sky
暗く、塵まみれの空気が覆う空
Misty taste of moonshine
ぼんやりとした味の“ムーンシャイン”

ウェスト・バージニアは森林や自然の豊かな土地ですが“炭鉱の町が故に、空が【Dark and dusty】”とイメージしました。
【moonshine】は“密造酒”のことで、アメリカでは特に“ウィスキー”が多いようです。
自己流で造った酒なので当然ちゃんとした製品の味には程遠く、【Misty(かすみのかかった・薄ぼんやりとした)】という表現から察するに、正直あんまり美味しくはないのでしょう。
でも、その独特な風味だからこそ“郷愁”を誘うものなのかもしれません…。



~Epilogue~

つい先日、震災後の被災地に生きる一人の男性(58)についてのニュースを見ました。
建物の9割が被災し死者・行方不明者827人を出した宮城県女川町に暮らす彼は、津波で22年間連れ添った奥さまが行方不明となってしまいました。
彼女の捜索はダイバーに任せるより外はなかったものの、“人任せではいけない”と一念発起し自ら潜水士の国家資格を取得。
行方不明者捜索チームに参加し活動を続けてきましたが、現在もまだ彼女を発見できてはいないそうです。

ここまできたら、無事でないことは解かっている。
でもこのまま冷たい海でというのも可哀そうだし、最後(津波に飲まれる直前)のメールに‘帰りたい’とあったので、今でも帰りたいだろう。
だから迎えに行きたい。遺骨の一部でも連れて帰りたい。



Country Roads, take me home
カントリー・ロード、連れて行っておくれ…
To the place I belong
私の、あるべき場所


…そして、ここにも“故郷へ帰りたい人たち”がいます。

7月には参議院選挙があり、巷では安倍首相はそれに合わせ2014年12月に改選したばかりの衆議院も解散し“衆参ダブル選挙”にする腹づもりと囁かれているからです。
もちろんこれについて首相本人は否定し続けていますが、“それが自民党に有利であるなら必ずやる”でしょう。
そういう状況にある現在、殆んどの国会議員の関心を占めているものは“選挙”です。

しかしあなたは任期中の国会議員であり、国民のため第一に果たさねばならない職務があることをどうか忘れないでください。
今この瞬間も震災の苦しみと闘い、心の傷を負ったままの国民がたくさんいることを…。



「カントリー・ロード(故郷へ帰りたい)」


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tags : 1973年 カントリー 故郷 日本で人気 震災 

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