Dara Sedaka - Angel Queen (1982年)~概要~ デラ・セダカは1978年に歌手デビューしたアメリカの歌手で、【Sedaka】姓が物語るとおり1960年代に「悲しき慕情(Breaking Up Is Hard to Do)」や「恋の片道切符(One Way Ticket)」などヒットを量産した
ニール・セダカの娘 です。
1980年に父ニールとのデュエット「面影は永遠に(Should've Never Let You Go)」が全米19位を記録しているので、そちらでご記憶の方もあるでしょう。
一方、日本では1980年から漫画家・
松本零士 による『新竹取物語 1000年女王』の連載が、1981年からTVアニメ版の放送が始まっており、同年には
劇場版『1000年女王』 の企画が進められ7月に前年「シルクロードのテーマ」でブレイクした
キーボーディスト・喜多郎 の音楽担当の起用が決まりました。
彼は『銀河鉄道999』からの松本零士ファンで、早速サウンドトラックの創作に取り掛かったもののこの時点で映像は完成しておらず、松本零士との打ち合わせと絵コンテからイメージを創り上げていったため、逆に音楽に引っ張られていくように映像ができていった感覚があったそうです。
主題歌である「星空のエンジェル・クイーン」は作詞:MOKO NANRI(南里元子)/作曲:喜多郎によって創作されましたが、喜多郎はキーボード専門であるため歌手を別に用意する必要があり、音楽プロデューサーのデイヴィッド・フォスターにデラ・セダカを薦められたことから、彼女の起用が決まっています(作詞者・南里元子の夫・南里高世は喜多郎のプロデューサーであり、デイヴィッド・フォスターの初ソロ・アルバム『THE BEST OF ME』のプロデューサーの一人でもある)。
「星空のエンジェル・クイーン」は映画のEDクレジット
で使用されていますが、サウンドトラック・アルバムには収録されておらず、デラ・セダカ1982年の1stアルバム
『ガールフレンド(I'M YOUR GIRL FRIEND)』 の収録曲です。
同アルバムの
プロデューサーはデイヴィッド・フォスター で、大物プロデューサーだけあってゲストも豪華。
スティーヴ・ルカサー/スティーヴ・ポーカロ(
TOTO )、マイケル・ランドウ、リチャード・ペイジ/スティーヴ・ジョージ(後のMr.ミスター)、
ブライアン・アダムス ほか一流どころがズラリと揃っています。
映画の公開後「星空のエンジェル・クイーン」はシングル・カット(B面は喜多郎による同曲のインストゥルメンタル
)されており、同年4月に
オリコン総合11位 (洋楽チャート2週連続1位)を記録しました。
VIDEO VIDEO ~Lyrics~ 1,000 years she rules the earth 千年の間、地球を統べる lovely angel queen, it's you. 美しい天使の女王…それがあなた 【1000年女王】 とは、人類誕生以前より
惑星ラーメタルから1000年周期で地球へと派遣 されてきたラーメタル人で、
“人知れず地球を治める存在” とされています。
作品では
【ラー・アンドロメダ・プロメシュームII世】が現世の1000年女王 ですが、映画では卑弥呼や楊貴妃、クレオパトラもかつての1000年女王として描かれました。
余談ですが、松本零士が本作を創作したのが1980年ごろ。
本作の時代設定は【1999年】 なので未来を描いた作品ですが、この時点で自動運転化された車が路面に浮いて走行するさまが描かれています。
現実の2018年の
先日、国交/経産省が“2020年代半ばに「空飛ぶ車」を離島・山間部の人や物資輸送の手段として活用し、30年代には都市部内の人の移動にも使う”工程表を提示 しましたが、空想だけのSFと数百kgの鉄塊が都市上空から墜落するリスクを伴う現実の区別さえ、この国の政府首脳はつかないというのでしょうか…。
Touching others like a child あらゆるもの、幼子のように触れ loving others for awhile 束の間に愛を注いでいる 1000年女王は母星ラーメタルからの使命を帯びて活動し、任期終了で次の女王に交代することになっていますが、中には
地球を愛し地球の土となることを選んだ女王 も存在しました。
現世の女王プロメシュームもその一人で、彼女は母星からの
使命とは別に、極秘で地球が危機的事態に陥った際の救済のために“ある壮大な備え” を施していたのです。
“ラーメタルより地球の人間を愛してしまったこと…それは、私の生き甲斐だった。 その全てが水の泡のように儚いものになろうとしている …” ~Epilogue~ 地球人にとっての1000年が、彼らの1年に過ぎないという時間軸に生きるラーメタル人。
しかしラーメタルは地表温度が-273℃に達する酷寒の惑星で、人々は1000年のうち999年9ヶ月を生命維持装置の中で冬眠することを余儀なくされる宿命と共に生きています。
そのため彼らには眠っている間これらの機能を支える労働力が必要で、実は
1000年女王の重要な使命とは、労働力となる奴隷としての地球人をラーメタルへと派遣すること だったのです(※TV版による)。
そうした背景から、作品に於いて1000年女王以外の殆んどのラーメタル人は地球人を【サル】と呼び、卑しむ意識を持っていました。
しかし両者の間にこうした意識のずれがあったため、1999年の地球最接近の際にラーメタルが
軍事侵攻して地球人から地球を奪い、ラーメタル人を移住させる計画 を企てていたことは1000年女王に知らされていませんでした。
騙されていたことに気付いた1000年女王はラーメタル側と【地球人との共存】の説得を試みますが、ラーメタル側に“サルとは一緒に住めない”と断られてしまいます。
愛する地球を侵略から守るため
母星に背き、ラーメタルの圧倒的な軍事力に立ち向かう事を決意する1000年女王 でしたが…。
VIDEO “1000年女王は メーテルなのか?” 当時のテレビCMキャッチコピーですが、腰まで伸びた金髪や切れ長の瞳など…
『銀河鉄道999』に登場する謎の美女【メーテル】と、1000年女王(プロメシューム)は確かに面立ちがそっくりです。
この点について、『銀河鉄道999』をご覧の方は【プロメシューム】の名前から“もしや?”と思われたかもしれませんが、原作者・松本零士も
“『1000年女王』はメーテルの母親にまつわる物語” と明言しています。
(
ただしこうした設定は当初から徹底されていたわけではなく、劇場版・TV版『1000年女王』の結末など、関連作品に於いて整合性が取れないエピソードも少なくない)
憂いを帯びた瞳… 『1000年女王』で
プロメシューム は母星ラーメタルに逆らい、これと戦いましたが、彼女が戦ったラーメタルの指導者
・聖女王ラーレラは彼女の実の母親 でもありました。
しかし、その未来を描いた『銀河鉄道999』では、プロメシューム自身が娘のメーテルに背かれる…という
同じ悲劇を母娘に亘って繰り返す ことになります。
また、そもそもラーレラが地球侵略を目論んだのは、暗黒太陽の異変による
ラーメタル人滅亡の危機 から人々を救おうとしてのことでした。
地球を去った後
プロメシュームは母の後を継いでラーメタルの女王に即位 するものの、かつて彼女自身が地球移住を阻止したためラーメタル人滅亡の危機は残されたままで、民衆は飢餓にあえいでいました。
それを解消すべく彼女が採った施策が民衆に機械化人となる手術を義務づける
機械化政策 ですが、急激な機械化は市民の反発を招き、独裁体制を布いて生身の人間を虐げたため
娘のメーテルに背かれる ことになったのです。
『1000年女王』で地球に愛を傾けたプロメシュームは、メーテルにとっても“鉄郎のお母さんにも負けないくらい優しい母”だったといいます。
しかしそんなやさしい心を持った女性が、何故あの“『銀河鉄道999』のプロメシューム”に変わってしまったのでしょう…
数奇に魅入られた美しき女王の宿命は、冬の夜空の藍のように深く、哀しい。 「星空のエンジェル・クイーン」 VIDEO 続きはこちら >>
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