「Slipping Through My Fingers」は、1999年に始まったABBAのヒット曲から成るミュージカル『マンマ・ミーア!(Mamma Mia!)』の構成曲の一つでもあります。 2008年にはメリル・ストリープを主人公とした同映画が公開され、あの『タイタニック』を凌ぐイギリス史上最高のヒットを記録しました(後に『アバター』がその記録を更新)。
~Lyrics~
Schoolbag in hand, she leaves home in the early morning 通学かばんを手に、朝早く家を出るあの子 Waving goodbye with an absent-minded smile ぼんやり笑顔で、行ってきますと手を振っている
「Slipping Through My Fingers」は、1973年に生まれた自身の長女Linda Elin Ulvaeusが7歳の時に学校へ行く姿をビョルンが見て創作したものだそうです。
一つは、解散以来初めて4人がスタジオ入りして2曲の新曲を発表する予定である、ということ。 そのうち「I Still Have Faith in You」はメランコリックな曲だそうで、12月にアメリカと英国で放送されるテレビ番組内で“デジタルABBA”によって披露される予定となっています。 もう1曲の「Don’t Shut Me Down」はダンス・ミュージックではないがアップテンポな曲だそうで、2019年からの開催が計画されているABBAtarsなるホログラム・ツアーで聴くことができそうです。
もう一つはアメリカ・イギリスなどで7月20日、日本では8月24日から新作映画『マンマ・ミーア! ヒア・ウィー・ゴー(Mamma Mia! Here We Go Again)』が公開予定となっていることです。 タイトルのとおり2008年の映画『マンマ・ミーア!』の続編で、10年後の現在と、ドナがソフィの父親候補3人と出会った青春時代を描く内容となっています。 前作のキャストに加えて今作では若きドナ役を『シンデレラ』のリリー・ジェームズ、そして私が特にぶったまげたのがドナの母親役にあのシェールが出演するというのです! (まさか、Tバックで歌わないでしょうね…?(御齢7×歳)
何れにしても、今年はABBAから目が離せません!
~Epilogue~
映画『マンマ・ミーア!』は、シングル・マザーとして仕事と子育てに奮闘した母ドナ(メリル・ストリープ)と、一人娘ソフィ(アマンダ・サイフリッド)の物語。 ソフィが結婚式を挙げる日、母が娘のドレスの着付けを手伝う場面でドナが「Slipping Through My Fingers」を歌います。
Sometimes I wish that I could freeze the picture 写真みたいに、この瞬間を凍らせられたらいいのに…
自身の娘が学校に通う姿を見て作品を書いたビョルンは、「Slipping Through My Fingers」について次のように語っています。 “親だったらみんなこの感覚に覚えがあるんじゃないかな? たとえ子どもたちと起きている時間の全てを一緒に過ごしたとしても、まだ何か取り逃がしている気がすること…”
Each time I think I'm close to knowing ようやくそこに近づいたと思うたび She keeps on growing あの子はもっと先へと成長し Slipping through my fingers all the time いつだって、私の指からすり抜けていってしまう…
プログレ五大バンドのうち3つまでが参加という信じられない豪華な顔触れが実現したことから、当時ロック界では“衝撃”として受け止められました。 1982年3月、1stアルバム『詠時感~時へのロマン(原題:Asia)』がリリースされ、デビュー・シングルとなった「Heat of the Moment」がBillboard Hot 100で3週連続4位(年間40位)と人気を牽引すると、アルバムもBillboard 200で9週No.1(年間No.1)に輝くなど、全世界で1500万枚をセールスする大成功を収めました。
一方、本国イギリスではシングル/アルバムが46位/11位と、アメリカとは正反対の評価となりました。 そのイギリスでの「Heat of the Moment」のシングルB面曲はアルバム収録の「Time Again」だったのに対し、それ以外の国ではアルバム未収録の「Ride Easy」が選曲されており、これは作者ジョン・ウェットンにとってエイジアでのフェイバレット・ソングだそうです(私も好き♪)。 その後も「Ride Easy」はオリジナル・アルバムには収められることはなく、1986年に日本のみで発売されたEP『Aurora』や日本公演を記録したDVD『Fantasia - Live In Tokyo 2007』に収録されています。
また、「Heat of the Moment」が大ヒットした要因の一つには“斬新なPV”があります。 画面分割を巧みに用いた印象的なこの映像を制作したのは「I'm Not in Love」で有名なバンド“10cc”のメンバーでもあるゴドレイ&クレーム (Godley & Creme)で、この2人はハービー・ハンコックの「Rock It」やポリスの「Every Breath You Take」といった80年代を代表する数々の名作を生み出したクリエイターであり、覚えておいででしょうか…当ブログで過去に特集したジョージ・ハリスンの“長ぁ~い楽器のフシギな映像”「When We Was Fab」のPVも彼らによる創作なのです!
I never meant to be so bad to you 君を傷つけるつもりじゃなかった One thing I said that I would never do それだけは、決してしないと誓ったはずなのに
いきなり“後悔の念”を匂わせるフレーズですが、これはタイトルの「Heat Of The Moment」の具現でもあります。 【heat of the moment】は“その場の勢い・ものの弾み”と訳されるように、“後悔を招く浅はかな一瞬の熱情”といったニュアンスが含まれる言葉。
男性が女性に“決してしない”と誓うことというと…?
One thing lead to another, we were young 二人は若く、それが引き金となって And we would scream together songs unsung 歌にもならない悲鳴を上げる破目になったのさ
「Heat Of The Moment」の歌詞は作者であるジョン・ウェットンの実情を綴ったものであり、当時の彼の恋人ジルとの関係を基に創作されました。 ただし実際に別れたわけではなく、そうならないために“僕が間違ってました、ごめんなさい”をしたそうです! その甲斐あって(?)後に二人は結婚を果たし… … … (10年後に離婚)。
…なぁ~んだ、謝っても結局同じじゃん! う~ん(返す言葉がない)…。
You can concern yourself with bigger things 興味の対象は、より大きなもの… You catch a pearl and ride the dragon's wings 真珠を手にし、竜の翼に乗ること
“恋に恋する乙女”も、やがては“真珠に恋する女”へと変わるということか…
…でも“竜の翼に乗る”は、「The Neverending Story」(過去ログ)みたいでステキな夢ね? フッ…ガキにゃ解るまいけどオレたちの“小悪魔ちゃん”なんか、こんな風に言ってるぜ! “ルパンはあたしにとって、可愛い操り人形♪” by 峰不二子 …ドラゴンが操り人形!?
これは“純粋さを失ってしまった”のか、はたまた人として“学習・経験を積み重ねた成長”か…。
~Epilogue~
And now you find yourself in '82 …そして'82年、君は気づく The disco hot-spots hold no charm for you ディスコはもう心躍る場所ではなくなったと
2005年、「Heat Of The Moment」はアメリカのコメディ映画『40歳の童貞男(The 40 Year Old Virgin)』の劇中歌に使われていますが、この主人公(スティーヴ・カレル)は21世紀になっても1982年の『Asia』のポスターを後生大事に部屋に飾ってあるキャラクターとして描かれており、彼が女性から相手にされない一つの象徴としてエイジアがネタとなっています。 ただし、当のジョン・ウェットンはそういう作品の使われ方を許容しているばかりか、この映画の大ファンなのだそうですよ!
It was the heat of the moment それは一瞬の熱情 Telling me what my heart meant 心の奥が、訴えかける
今年はクイーンの「ボヘミアン・ラプソディ」が1975年10月31日に発表されて、ちょうど40年。 その「Bohemian Rhapsody」が全英チャートNo.1を独走していた最中、『A Night at the Opera Tour』同年のクライマックスとしてクリスマス・イヴの夜、彼らが立ったステージがロンドンのハマースミス・オデオン(現:イヴェンティム・オデオン)でした。 その模様が最新の技術によってレストアされ、今回『クイーン——オデオン座の夜 ~ハマースミス1975』としてこの11月20日にBlu-rayはじめマルチ・フォーマットでリリースされたことを、ご存知のファンも多いことでしょう。
アメリカでもBillboard Hot 100で9位(1976年の年間18位)に入る初のTop10ヒットを記録するなど、世界的な大ヒットとなりました。 ローリング・ストーン誌“the 500 greatest songs of all timeの166位”にも選出されている楽曲であり、2002年のギネス・ワールド・レコーズ社によるアンケートでは“英国史上最高のシングル曲の1位”という結果も残っています。
Easy come, easy go, will you let me go? 気ままに生きただけだ…俺を見逃してくれ Bismillah! No, we will not let you go. (Let him go!) ビスミッラー!いいや、お前を見逃すわけにはいかない(彼を赦し給え!)
オペラ風のパートですが[opera]は元々イタリア語で、【Scaramouch(イタリア喜劇の空威張りする道化役者)】【Galileo】【Figaro】【Magnifico】【mama mia】などイタリアに関連した言葉がたくさん用いられています。 一方【Bismillah(بسم الله الرحمن الرحيم)】はアラビア語で“神(アッラー)の御名において”という意味の言葉であり、主人公は裁きを受け、彼と周囲は赦しを乞うている様子が窺えます。
リアルタイムで歌と詞をなぞるとやり取りが面白く、何度も赦しを乞うものの終に【Never, never let you go】と言い切られてしまい、その絶望感を極端な低音の【No, no, no, no, no, no, no.】で表現しています。 主人公は落胆の心情を【Mama mia, let me go.(愛するママ、俺を助けて)】と吐露し、困り果てた彼はあろうことか魔王【Beelzebub】に助けを求めてしまう…というオチ! “溺れる者は藁をも掴む”といいますが、切羽詰まった人間の心情がよく出ています。
その1stシングルとしてBillboard Hot 100で3週連続3位(年間27位)を記録していますが1978年は映画『サタデー・ナイト・フィーバー』が世界的な社会現象にも発展した年で、同関連曲がほぼ半年チャートのトップを独占していました。 「涙色の微笑」がピークを迎えた4月第4週~5月第1週は、1位「恋のナイト・フィーバー」・2位「アイ・キャント・ハヴ・ユー」(イヴォンヌ・エリマン)共に“サタデー・ナイト・フィーバー/ビー・ジーズ楽曲”が居座り続ける時流であり、「涙色の微笑」も通常であればNo.1になれたかもしれません。
ハートウォーミングなメロディーの「涙色の微笑」はSANYOやvodafone、現在も“【TOYOTOWN】プリウスα かくれんぼ篇”(堺雅人出演)など、これまで何度もCMソングに起用され、バリーを知らない方も一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか? 映画での起用も複数あり、2002年のキャシー・ベイツ主演映画『夢見る頃を過ぎても(Unconditional Love)』ではバリーが本人役で登場しこの曲を歌い、2008年の映画『ヘルボーイ/ゴールデン・アーミー(Hellboy II: The Golden Army)』では半魚人と悪魔がこの曲をデュエットするというフシギなシーンに用いられました。
その親しみ易さのせいか、楽曲は80年代に入ってちょっとした騒動に巻き込まれてしまいます。 1984年にリリースされ、クリスマスの定番曲として有名なワム!の「ラスト・クリスマス」… (察しの良い人は、ここでピンとくる?) …が「涙色の微笑」のメロディーに類似しているとして、作者のジョージ・マイケルを音楽出版社ディック・ジェイムズ・ミュージック (Dick James Music Ltd.)が訴えるという事件が起きてしまったからです! ジョージ側はこれを認め、「ラスト・クリスマス」の初年度の印税をバンドエイドに寄付することで法廷外で和解しました。