I Wish~洋楽歌詞和訳&解説

80年代の洋楽ロック・ポップス&ビートルズを中心に、歌詞の和訳と解説+エッセイでお届けします

STOP!
地球温暖化/気象災害激甚化
Lil Dicky - Earth
Lil Dicky - Earth1
Beatles & Solo
Please Please Me


With The Beatles


A Hard Day's Night


Beatles For Sale


Help!


Rubber Soul


Revolver


Sgt Pepper's


The Beatles


Yellow Submarine


Abbey Road


Let It Be


Magical Mystery Tour


Beatles(the other songs)


John Lennon


Paul McCartney


Wings


George Harrison


Ringo Starr


「アイム・エヴリ・ウーマン」チャカ・カーン

2023.09.24

category : Chaka Khan

Chaka Khan - I'm Every Woman (1978年)

ホイットニー・ヒューストンもカバーしたディスコ・ナンバー。“持ってる女”を視覚化すると…

《解説記事は、後ほど》


続きはこちら >>

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tags : 偉大な曲 1978年 ダンス/Funk 情熱の愛 アリフ・マーディン 名作MV 映画90's  

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「ハロウィーン・タウンへようこそ」from ナイトメアー・ビフォア・クリスマス

2017.10.20

category : Disney/Animation

This Is Halloween from the Nightmare Before Christmas1 This Is Halloween from the Nightmare Before Christmas2


This Is Halloween from the Nightmare Before Christmas(1993年)



~The Nightmare Before Christmas~

西洋の慣習でありながら日本の文化として完全に定着し、国民に愛されているクリスマス…
赤と白を纏(まと)ったやさしげな笑顔のサンタクロースが子どもたちにプレゼントを渡すため空をかけ巡るイメージは、子どもだけでなくみんなを幸せな気持ちにさせてくれます。
一方、暗い闇夜に耳まで裂けたかぼちゃ頭のジャック・オー・ランタンが不気味な笑みを浮かべているイメージのハロウィン…

santa_convert_20131223150610.png This Is Halloween from the Nightmare Before Christmas3

全く正反対ですが、もしもこの二つのイメージを一つにしたらどうなると思います? 



~概要~

「ハロウィーン・タウンへようこそ」は、1993年公開のディズニー(Touchstone Pictures)映画『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス(The Nightmare Before Christmas)』のオリジナル・サウンドトラックであり、OP曲です。
制作は『バットマン』や『アリス・イン・ワンダーランド』など独特な世界観を映し出してきたティム・バートンで、彼がディズニーのアニメーター時代に書いた詩が原案となっています。

ディズニー(カテゴリ)というとミッキー・マウスなどの“かわいいキャラクター”や、シンデレラなどいわゆる“ディズニー・プリンセス”が社風を象徴していますが、『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』のホラー・テイストはこれと対極であり、アニメーションでありながら内容が不気味で子ども向けでないと判断されたためディズニー系列の大人向け実写映画会社タッチストーン・ピクチャーズの作品として公開されました。
しかし100名を越える一流のアニメーターが1コマ1コマ丹念に創造(1440コマ/分)し、完成まで3年を費やした(1分の映像を撮影するのに1週間かかったといわれる)という“ストップモーション・アニメーション”による人形の動きや表情が実に豊かであり、こうした手作り感のせいかホラー・テイストでありながら映像には何処か温かみを感じさせるものがあります。

映画の音楽は主役ジャック・スケリントンの歌声も演じたダニー・エルフマンが担当し、「This Is Halloween」を含めた作曲・作詞も彼が担いました。
本曲は映画の冒頭で物語の舞台となるハロウィン・タウンについてのイントロダクションの役割を果たしており、ハロウィン・タウンの住人(声優)によって歌唱されています。
こうしたオバケ・妖怪の世界の概念は私たち人間社会とはギャップがあり、日本でもそうしたダーク・ヒーローとして愛され続けたアニメ『ゲゲゲの鬼太郎』のOPテーマ曲でも、“お化けにゃ学校も試験もなんにもなーい!”と紹介されていました。

 



~Lyrics~

This is Halloween, everybody make a scene
今夜はハロウィン、みんなで騒げ
Trick or treat till the neighbors gonna die of fright
“トリック・オア・トリート!”お隣さんを震え上がらせるまで

【Trick or Treat】は、ハロウィンで子どもたちが仮装してご近所を回る際に発する言葉です。
[Trick]は“いたずら”[Treat]は“ごちそう”で、Treatをくれない場合は子どもたちがTrick(生卵を玄関に投げつけるなどいろいろ)しても許されるそうですが、日本人には教育的に差し障りがありそう?

ちなみに[Treat=お菓子]となったのは、カトリックの聖人らを弔う祝日『Allhallowtide(万聖節の時節;10/31-11/2)』に於いて子どもたちや貧しい人々が家々を回って歌を歌い、代わりに十字模様の入ったお菓子[Soul cake]を分け与えた慣習からきているようです。
1963年にこの歌をピーター・ポール&マリーが「A' Soalin」としてレコーディングし、2009年にはスティングもカバーするなど意外に侮れない美しさがあります。

 


Skelleton Jack might catch you in the back
スケルトン・ジャックに後ろから捕まると
And scream like a banshee
キミはバンシーみたいな悲鳴を上げ

物語の主人公ジャックは元々カボチャ頭の案山子(かかし)ですが、冒頭の「This Is Halloween」のシーンの中で全身を炎で焼いてしまい[skeleton(骸骨)]となってしまいました。
この非常にスマートなキャラクターのデザインについて、自らもディズニーのアニメーター出身であるヘンリー・セリック監督は“長い脚で華麗に動く蜘蛛が着想源”と語っています。

「This Is Halloween」には劇中のキャラクターが多く登場しますが[banshee]はこれに該当せず、アイルランドおよびスコットランドに伝わる家人の死を予告するという女の妖精で、彼女の泣き声が聞こえた家では近いうちに死者が出ると言われているそうです。


[CHILD CORPSE TRIO]
Tender lumplings everywhere
どこもかしこも、かよわいウスノロばかり
Life's no fun without a good scare
ステキな恐怖がなけりゃ、人生楽しくもない

私たちの世界では通常[scare(突然の恐怖)]は避けたいものですが、ハロウィン・タウンではその逆です。
[lumplings]は作詞者ダニー・エルフマンによる造語だそうで、私は[lump(のろま)]+[‐ling(…に属する人)]をイメージしました。
ちなみに彼は当時オインゴ・ボインゴ(Oingo Boingo)というロック・バンドのメンバーであり、1994年のアルバムで「Tender lumplings」という曲も発表しています。

…それにしてもオバケとはいえ、子どもが人生を語るとはちょっとナマイキ? 



~Epilogue~

本作の主人公であるジャック・スケリントン(Jack Skellington)はハロウィン・タウンの住民に“パンプキン・キング”と称されているように、ハロウィンを象徴するカボチャの提灯【ジャック・オー・ランタン(Jack-o'-Lantern)】《写真・左》を彷彿させます。

この提灯の由来については諸説ありますが、アイルランドの古い伝承によると[Jack the Smith]という飲んだくれで嘘つきな男にまつわる話が基になっているようです。
そのジャックがこの世の生を終えた時、生前の悪行から天国に行くことは叶わなかったものの、サタンを騙すことに成功して地獄行きも免れ、この時サタンから永遠に消えない地獄の炎を授かり、くり抜いたルタバガ(カブに似たアブラナ科の根菜)《写真・右》の中に灯してこの世の墓場を彷徨った…そして、そのランタンの灯火はundead(幽霊やゾンビなど)やvampire(吸血鬼)を遠ざけると一部の人々の間で信じられるようになってゆきました。
やがてこの伝承がアイルランド移民によってアメリカに伝えられ、ルタバガがカボチャに変わって広まった…とのことです。

This Is Halloween from the Nightmare Before Christmas3 This Is Halloween from the Nightmare Before Christmas4


Wouldn't you like to see something strange?
見知らぬものを見てみたいと思わない?

物語は主人公ジャック・スケリントンがハロウィンにマンネリを覚え、初めて目にしたクリスマスの華やかさに心を奪われることに始まります。
そこでジャックはハロウィン・タウンでもクリスマスを催そうとしたり、自分がサンタクロースとなってクリスマス・タウンの子どもたちにプレゼントを配ることを思いつくのですが、あくまで“ハロウィン的思考”でしかクリスマスを捉えられない彼やハロウィン・タウンの住人らのギャップが滑稽であり、一方でそれがタイトルにもなっている【The Nightmare(悪夢のような出来事) Before Christmas】を引き起こすことにもなるのですが…。

This is Halloween, this is Halloween
今夜はハロウィン、楽しいハロウィン
Pumpkins scream in the dead of night
カボチャは夜中に悲鳴を上げる

クリスマスとハロウィン…
影があるから光が輝いて見え、光があるからこそ影の黒さが際立つものです。

物語の最後にジャックがサンタクロースに“上手くいくと思ったのかね?”と説教されたように、対極的な概念にあるものをきちんと理解もせず安易にこれを一つにすることは失敗を招くだけでなく、白と黒というそれぞれの際立った特性さえ失わせてしまうことにもつながりかねません(灰色は別の使い道がありますが)。
幸いなことに、私たちには白は白、黒は黒の魅力をそれぞれ両方楽しむ機会が与えられています。
まずはスリリングでミステリアスなハロウィンを堪能することにいたしましょう♪

でもジャックがやった[ビックリ箱のプレゼント]は、意外とやってみたい人も多い? 



「ハロウィーン・タウンへようこそ」


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tags : 1993年 ミュージカル アニメ ディズニー 映画90's ハロウィン 

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「フリー・フォーリン」トム・ペティ

2017.10.13

category : Tom Petty

Tom Petty - Free Fallin1 Tom Petty - Free Fallin2


Tom Petty - Free Fallin' (1989年)



~Tom Petty 1950–2017 R.I.P.~

現地時間10月2日20時40分、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズのトム・ペティが亡くなりました(享年66)。
2日早朝に自宅で心肺停止に陥り病院へ搬送されたものの、その時点で既に脳の活動が見られず、夜に生命維持装置が外されたと伝わっています(11日の時点で死因は“保留”と報じられている)。

トムと同じく“アメリカの良心”を象徴するボブ・ディランやブルース・スプリングスティーン、イギリスを代表する元ビートルズのポール・マッカートニーとリンゴ・スターも哀悼の意をメッセージしました。
また、当代を代表する歌姫テイラー・スウィフトは“私にとってトム・ペティは自分が崇拝していたある種のソングライティングを代表する存在であり、彼がインスピレーションを与えてくれたお陰で「Free Fallin'」を弾けるようギターを手に取った”とその憧れの気持ちを告白しています。

以下、本記事をトム・ペティに捧げます…。



~概要~

アメリカのシンガー・ソングライターであるトム・ペティは1976年からトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ(Tom Petty and the Heartbreakers)として活動を続けてきましたが、1989年には自身初のソロ・アルバム『フル・ムーン・フィーヴァー(Full Moon Fever)』を発表しました。
本アルバムのプロデュース及び共作者には『Cloud Nine』でジョージ・ハリスンを復活に導いたイギリスのロック・バンド【ELO】 (Electric Light Orchestra)のジェフ・リンを迎えて制作されており、『Full Moon Fever』は“聴き所で満たされたアルバム”と評されBillboard 200の3位と、自身過去最大級のヒットを記録しています。

「フリー・フォーリン」はトム&ジェフが2日で完成させたとされる曲で、ギターにはハートブレイカーズのマイク・キャンベルが参加しています。
1989年9月に『MTV Video Music Awards』 でハートブレイカーズ及びGuns N' Rosesのアクセル・ローズとイジー・ストラドリンと共に「Free Fallin'」をパフォーマンスしており、その後10月にアルバムからの3rdシングルとしてリリースされBillboard Hot 100で7位(1990年の年間64位)を記録、これは彼の生涯で最も成功したシングルです。

スティーヴィー・ニックスやスパンダー・バレエのトニー・ハドリー、P!nk、Keshaほか性別や世代、ジャンルを問わず多くの歌手にカバーされていますが最も有名なのは2007年にライヴ・アルバムにも収録されたジョン・メイヤーでしょう。
翌2008年『第42回スーパーボウル』ではトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズとしてハーフタイムショーで「Free Fallin'」をパフォーマンスしました。
本曲の普遍的価値については、ローリング・ストーン誌も“500 Greatest Songs of All Time 179位”と評価しています。


トム・ペティについて、日本ではピンとこないかもしれませんが本作発表以降も長年アメリカで高い人気を維持し続けた希少なロック歌手であり、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ名義の最新アルバム『Hypnotic Eye』(2014年)も Billboard 200のNo.1に輝くなどセールスも好調で、今年はハートブレイカーズ40周年を記念した全米ツアーを行いました。
その最終公演であり、結果として彼自身生涯最期のコンサートとなってしまった2017年9月25日のハリウッド・ボウルでは「American Girl」を歌う前に“俺たちにはもうほとんど時間は残されていないけど、ここでこの曲をやる時間は残されている”という意味深な発言をしていますが、「Free Fallin'」の生涯最期のパフォーマンスがファンによって投稿されています。


  
 



~Lyrics~

She's a good girl, crazy 'bout Elvis
あいつはいい娘…エルヴィスにお熱を上げ
Loves horses and her boyfriend too
馬も、ボーイフレンドも愛してる

エルヴィス・プレスリーは、トムに音楽への興味を芽生えさせた人。
1961年の夏、当時10歳だったトム少年は特にエルヴィスのファンだったわけではありませんでしたが、彼の叔父がエルヴィスの映画のスタッフを務めており、近くで撮影(翌年公開の『夢の渚 Follow That Dream』)があるから見に来ないかと誘われたのがきっかけでした。

初めて見たエルヴィスの衝撃を、“エルヴィスは幻想のようだった。それまで僕が知っていた人間とは全然違うんだ。全身が光に包まれていて、神様みたいだった。”…トムはそう語っています。
この出来事で彼は一気にエルヴィスの虜となり翌日初めてレコード『G.I.ブルース』を購入、家族も心配するほどエルヴィスを聴き続けたそうです。


All the vampires walkin' through the valley
ヴァンパイアたちは皆、ザ・バレー(valley)を抜けてゆく
Move west down Ventura Blvd.
ベンチュラ大通りを西へと下り

トム・ペティはアメリカ東南部フロリダ州の出身ですが、バンド活動のため西海岸のカリフォルニア州ロサンゼルスに移住しており、歌詞には多くの地名が登場します。
【the valley】はロサンゼルス郡の一区[San Fernando Valley(サンフェルナンド・バレー)]を指しワーナー・ブラザーズ・スタジオやNBCスタジオなどメディア関係の会社が集中し、スターや業界人も多く住む華やかな地区です。

一方、当地はポルノ産業の要地でもあり、[女の子たちに群がるヴァンパイア(吸血鬼)]って“そういう男たち”のことを仄(ほの)めかしているのかもしれません。


I wanna glide down over Mulholland
マルホランドの空をグライドし下りたい
I wanna write her name in the sky
空に、あいつの名前を描きたい

マルホランドは正確には[Mulholland Drive]といい、ロサンゼルス北部の山を横断する曲がりくねった山道です。
ハリウッドを一望できる人気の“ドライブ・スポット”であり、夜景はまた格別でしょう。

「Free Fallin'」のPVにもそれらしき映像が組み込まれており、2001年のデヴィッド・リンチ監督の映画『マルホランド・ドライブ』の舞台となったのもこの地です。





~Epilogue~

「Free Fallin'」の魅力を端的に象徴しているのが、トム・クルーズが主演した1996年の映画『ザ・エージェント(Jerry Maguire)』
この映画は、スポーツ選手の代理となって契約交渉を行う【スポーツ・エージェント】(agentは[代理人])の物語で、以前は日本で耳慣れない職業でしたが、プロ野球の野茂英雄選手のメジャー移籍時にクローズアップされた団野村氏や松井秀喜選手のアーン・テレム氏といった名前に覚えがある方も多いでしょう。

トム・クルーズ演じるジェリー・マグワイアは一流事務所に所属するやり手のエージェントでしたが、自分たちが目先の金儲けばかりに囚われる余り本来あるべきエージェントの使命やあたりまえの人間性さえも失っていることに気づき、クライアントの数を減らし一人ひとりへのケアの充実を図る運営を提案すると、事務所側の返事は彼の解雇でした。
ジェリーはその信念に基づき独自の起業を決意するものの、彼の誘いに応じついて来てくれたのは事務員とクライアントそれぞれ1人だけでした。
そんな彼が初めてドラフトの目玉新人のクライアントを獲得できた帰りの道すがら…



このシーンが素敵です!
…いろいろあった彼の気持ちを想像しながら聞いてくださいね?

車のラジオからローリング・ストーンズの「Bitch」(下ネタ系の歌)が流れ、口ずさもうとしますが違和感からすぐチャンネルを変えてしまいます。
続くセンチメンタルなメリリー・ラッシュ「Angel of the Morning」、静かなグラム・パーソンズ「She」でもなく…
次のチャンネルから流れてきたのがこのフレーズ…

And I'm free, free fallin'
そうさ、自由…
Yeah I'm free, free fallin'
何に縛られることもなく、俺は墜ちてゆく

ジェリーの表情は一変し、運転しながら全身で喜びを溢れさせ絶唱しています! 
(ただしこの交渉は騙されていたことが後に判明する)


【free fall】は[自由落下]で、厳密には物体が空気抵抗などの影響を受けず重力の働きだけ(真空)で落下する現象です。
この概念から解釈すると、自由とは束縛からの解放であり、その瞬間から物体は重力に従い落下することになります。
それを人間の事情に置き換えるなら、“人は自由に任せると堕落する運命にあり”、[それを留まらせるためには何らか手段を自前で用意する必要がある]ということでしょうか…
これだけだと自由に何の得もないことになりますが、“自由の最大の魅力は希望”であり、束縛・固定されていないので[何処へでも行けるし努力次第でより高い次元へと浮揚することも可能]です。

確かに身体的成長の止まった大人の能力は訓練しないとただ衰える一方であり、だからこそ[free]でなく【Free Fallin'】として“落ちてしまわぬよう、もがき続ける必要がある”という応援のメッセージを込めたのではないでしょうか…。
何故なら、それこそが“生きるものが背負わねばならない宿命”だから。
時代が変わってもこの歌が新しい世代に歌い継がれるのには、そんな理由があるのかもしれません。

ただ、「Free Fallin'」の歌詞を見ていると何か不自然さがあって、スッキリしません。
その原因は3番の歌詞で、試しにこの部分を抜いて1・2・4番だけで構成するとストーリーがスッキリするのです。
1・2・4番では[a good girl]と[a bad boy]の物語で、3番だけ[the good girls]と[the bad boys]と複数形で表され全然別の話になっていることに気づきます。
これは個人的見解ですが、“「Free Fallin'」はトム・ペティの若かりし頃の淡い恋の歌で、照れ隠しに3番を入れたのでは?”…と。

そう考えてみると、あなた自身は全然解き放たれていなかったのでは…トム? 
(そういえばPVで[a good girl]が見つめる写真の男性って、たぶん若い頃のトム・ペティ?)



「フリー・フォーリン」


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tags : 1989年 偉大な曲 フォーク・ロック 映画90's 

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「ビューティー・アンド・ザ・ビースト~美女と野獣」セリーヌ・ディオン&ピーボ・ブライソン

2017.02.24

category : Disney/Animation

Céline Dion and Peabo Bryson - Beauty and the Beast1 Céline Dion and Peabo Bryson - Beauty and the Beast2


Céline Dion and Peabo Bryson - Beauty and the Beast (1991年)



~実写版『美女と野獣』公開~

3月3日は、“ひなまつり”。
女の子にとって、夢のある作品はないかなぁと模索していると…ありました!

2015年に、本ブログでディズニー・アニメの名作『シンデレラ』の実写版について特集しましたが(過去ログ「夢はひそかに」)、今春4月21日からはこれもディズニー屈指の人気作『美女と野獣』の実写版が公開予定です。
その最大の注目ポイントは何といっても“Beauty”と形容されるヒロイン(ベル)を誰が演じるかであり、そしてその大役を担うのがハリー・ポッター・シリーズの“ハーマイオニー”エマ・ワトソンということで、今からワクワクしておられる方も多いことでしょう。

まずは、その予告編からどうぞ♪





~概要~

「ビューティー・アンド・ザ・ビースト~美女と野獣」は、1991年のディズニー・アニメ映画『美女と野獣(Beauty and the Beast)』の表題曲です。
タイトルからして“Beauty”と“Beast”がデュエットしそうなイメージですが、この映画でヒロイン・ベルの声を演じたアメリカの女優ペイジ・オハラの歌唱は“あまりにブロードウェイ的”としてディズニーに却下されてしまいました。

これにより実際の劇中で歌っているのはBeastの召使い“ポット夫人”で、それを演じているのはトニー賞・ミュージカル主演女優賞の受賞歴もあるイギリスの女優アンジェラ・ランズベリー
彼女はテレビ・ドラマ『ジェシカおばさんの事件簿』でお馴染みの人ですが(私は個人的に『ナイル殺人事件』のミセス・サロメ・オッターボーン役が強烈な印象)、1991年時点で66歳となる彼女がこの歌を歌うことについて自身でも戸惑いがあったといわれます。
ただし、“息子の愛の成就をやさしく見守る母心”のような彼女の「Beauty and the Beast」はレコーディングに立ち会ったスタッフの涙を誘い、2004年のAFI『アメリカ映画主題歌ベスト100』で62位にランクインするなど高く評価されている歌唱です。

一方、ディズニーは映画の宣伝用に「Beauty and the Beast」をシングルとしてリリースすることを決め、カナダ人歌手セリーヌ・ディオンを雇いレコーディングを試みるものの彼女の知名度不足を心許なく思い(『Unison』がヒットする前?)、「愛のセレブレーション」(過去ログ)などデュエットで多くの実績のあるR&B歌手ピーボ・ブライソンと組ませることにしました。
このバージョンは映画のエンド・クレジットで使用されBillboard Hot 100で9位(1992年の年間64位)とヒットし、1992年のセリーヌのアルバム『Celine Dion』にも収録されています。

1992年3月、第64回アカデミー授賞式では劇中で歌ったアンジェラ・ランズベリーとシングルver.セリーヌ&ピーボの豪華メドレーが実現、「Beauty and the Beast」は“アカデミー歌曲賞”を受賞しました。
また、翌年2月の第35回グラミーではセリーヌ&ピーボver.が“最優秀ポップ・パフォーマンス賞デュオ/グループ”を受賞しています。


2017年、ディズニーの実写版『美女と野獣』のテーマ曲を歌っているのはアリアナ・グランデ&ジョン・レジェンド
アリアナ(Ariana Grande)は2013年のデビューからBillboard 200で2作連続No.1を達成した23歳のシンガー・ソングライターで、親日家としても知られます。
ジョン(John Legend)は今年の第89回アカデミー賞で最多の6部門を受賞したミュージカル映画『ラ・ラ・ランド』にも出演している人気のR&B歌手/ピアニストです。
ところで、この劇中では誰が「Beauty and the Beast」を歌っているのだろう…。


 
 



~Lyrics~

Tale as old as time
時の歩みほどに悠久の物語
True as it can be
それは、この上ない真実

時間と同じほど古い物語…
“Big Bang(138億年前)”まで遡るかはわかりませんが、せいぜい100年しか生きられない人間の一生からすると“絶対的真理”のようなものを感じます。
私たちが知る、そんな悠久の物語とは何だろう…。


Certain as the sun
東から昇る
Rising in the east
太陽ほどに、確かなもの…

…これなら、ずっと昔からの絶対的真理といえるでしょう!
でもそれについて“回っているのは地球の方”と一般的に理解されるようになったのは、ここ200-300年ほどのことのようです。

 西から昇ったお日様がぁ~♪
 …ったく、しょうもないんだから。
 でも、地球の反対側のオーストラリアなら西から昇るノダ!
 …えっ!? ぇえとぉ…。

(※西から昇りません!


Both a little scared
二つの心は、わずかな恐れに
Neither one prepared
想いを解き放てずにいた
Beauty and the beast
美しきものと、猛きもの…

…相手は恐ろしい野獣だし、そもそもベルは捕らわれた父の身代わりで彼の城にやって来たのですから、無理もありません。
でも彼女のその恐れの気持ちを解くきっかけとなったのが、森で狼に襲われたとき彼に助けられたことでした(ヒーローとヒロインが親密になるハリウッド映画の“お約束”! )。

荒れ果てた土にいきなり種を蒔いてもよい作物が育たないように、わだかまりのある相手との間に信頼を育むことは容易ではありません。
人と人の関わりも、心を拓(ひら)く過程が必要…。



~Epilogue~

この物語の妙味は【Beauty(美しいもの)】と【Beast(けだもの)】という、一般的に交わるはずのない両者が愛を育むことに尽きるといえます。
通常、良好な人間関係を築くためにはお互いの趣味や関心・価値観など“共通点”が多いほど有利といえますが、容姿も心ばせも美しい娘ベルと、わがままで狂暴な野獣(王子)…
似ても似つかぬ二人は、どうして心惹かれあう関係を育むことができたのでしょう?


Bittersweet and strange
ほろ苦さと面妖が出逢い
Finding you can change
自らの過ちを学び
Learning you were wrong
自らも、変わり得ることに気づく

猛々しく粗暴な野獣はベルの優しさに触れることで心の安らぎを覚え、彼女によって拓かれた心には思いやりと人を愛する感情を芽生えさせてゆきます。
その変わりゆく心と、それに出逢えた悦びこそが作品のテーマ曲「Beauty and the Beast」であり、二人はこの曲と共にダンスを踊り、互いの心に芽生えたぬくもりを確かめ合うのです。

“理解し合うためにはお互い似ていなくてはならない。
しかし愛し合うためには少しばかり違っていなくてはならない…”


フランスの詩人、ポール・ジェラルディ(Paul Géraldy)の言葉です。
人は、異なる性質が力を合わせてようやく“一個”となれるよう、神さまがお創りになられたのかもしれません。
【Beauty】だけでは身の安全を保てず、【Beast】だけも心の安らぎを得られない…

それこそが、古(いにしえ)から脈々と営み続けられた“BeautyとBeastの宿命”ではないでしょうか? 



「ビューティー・アンド・ザ・ビースト~美女と野獣」


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tags : 1991年 デュエット 映画90's ディズニー アカデミー歌曲賞 

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「チェンジ・ザ・ワールド」エリック・クラプトン

2016.04.08

category : Eric Clapton

Eric Clapton - Change The World1 Eric Clapton - Change The World2


Eric Clapton - Change The World (1996年)



~日本大好き!エリック・クラプトン、21度目の来日~

エリック・クラプトンが4/13日から、“ホーム・グラウンド(※)”日本武道館で5夜限定の来日公演を行います。
(※格闘技オタクの彼にとって、そういう意味でも聖地である)
現在来日中の74歳ボブ・ディラン(過去ログ)が“最後の来日”といわれるように、現在71歳のエリックも“今回が最後”らしい…
…とはいっても彼の場合、もう15年前から来日の度にそんなことが囁かれており(その後6回も来ている!)、その信ぴょう性は微妙…?

ただ、以前からエリックは“70歳になったらツアーをやめる”と公言しており、今回の来日がそうであるようにこれからも単発的なライブはあり得るのかもしれません。
(原宿・明治神宮前『福よし』“鳥かつを食べたくなったら日本に来る”? ケコ~オッ!!



~概要~

「チェンジ・ザ・ワールド」は、1996年7月に公開されたジョン・トラボルタ主演のファンタジー恋愛映画『フェノミナン(Phenomenon)』の挿入曲としてエリック・クラプトンが歌唱した作品です。
シングルとしてBillboard Hot 100の5位(年間19位)を記録し日本でもラジオ局J-WAVE(TOKIO HOT 100)で年間No.1に輝くなど、世界各国で大ヒットしました。
その後も日本ではカバー&CMなどで広く・長く愛され続け、2015年3月からはトミー・リー・ジョーンズ&タモリの不思議な空気感と共に“サントリー・コーヒー・プレミアムボス”のCM曲としてお馴染みでしょう♪

“ギター・レジェンド”のエリックが“当代随一の音楽プロデューサー”ベイビーフェイス (Babyface)とコンビを組んだことでも話題を呼んだ作品であり、ベイビーフェイスはPVにもギター・プレイヤーとして出演しました。
翌年のグラミーで「Change The World」は“最優秀レコード賞/最優秀楽曲賞/最優秀ポップ男性ヴォーカル賞”の三冠を獲得しており、その授賞式でもこの2人のギターの弾き語りによってパフォーマンスされています。
以来エリックのアコースティックの定番としてライブには欠かせないナンバーとなりましたが、一方のベイビーフェイスにとっても長年のレパートリーとなっているようです。


あまりにもこのイメージが強いせいか、彼またはベイビーフェイスの作曲と思われがちですが作者はこの何れでもなくトミー・シムズ(ブルース スプリングスティーンの「Streets of Philadelphia」をプロデュース)、ゴードン・ケネディ、ウェイン・カークパトリックによって1990年代前半に書かれたものです。
エリックがこの曲を聴いたとき車を運転しながらノンストップで200回聴き続けるほど気に入ったそうで、ヒットを確信したといわれます。

さらに、初めて「Change The World」を正式に発表したのはアメリカの女性カントリー歌手ワイノナ・ジャッド(Wynonna Judd)で、エリックver.の5カ月前の1996年2月にリリースしたアルバム『Revelations』に於いてでした。
エリックver.がグラミーで最高の評価を得たにもかかわらず、アカデミー歌曲賞の候補に挙がらなかったのはこのためと思われます。

 
 
Eric Clapton Change the World 投稿者 cloudy_boy



~Lyrics~

If I could reach the stars
もしもこの手が星に届くなら
Pull one down for you
ひとつ、君に取ってあげよう

“星に手が届くワケないじゃん!”
…なんて、ツッコミ入れているのは誰です?
折角のムードですから、そっとしておいてあげましょう♪

 星なんて持ってきたら、押し潰されるに決まってるし?
 ・・・・


If I could be king, even for a day
僕が一日、キングになれたなら
I'd take you as my queen
君をクイーンに迎えよう

覚えておいでですか?
“オリジナルは女性が歌っていた”ということを!
そのため、“エリックver.ではkingとqueenを入れ換えて”歌っています。

ちなみに[United Kingdom]ウィンザー朝の君主エリザベス2世の称号は【Queen】ですが、夫エディンバラ公の称号は【Prince】です。


But for now I find
今はまだ
It's only in my dreams
夢の中にある物語

…そう、これは何もかもまだ夢の物語。
道理で【stars】【world】【universe】など、ハナシが大きいわけですね♪

 う~む、“君という宇宙を照らす陽の光となろう”は使えそうだ…。
 また悪いコトに使うつもりじゃないでしょうね?



~Epilogue~

“Change The World”

…なんて、大業を目標に掲げた偉人が好んで言いそうなセリフ?
例えば2008年のアメリカ大統領選挙でバラク・オバマ氏が連呼した
Change, Yes, we can.変えよう、我々ならできる)”が浮かびます。

あるいは、アップル・コンピュータ創業者のスティーブ・ジョブズ氏の有名な殺し文句!
Do you want to sell sugared water for the rest of your life, or do you want to come with me and change the world?
このまま一生砂糖水を売り続けたいか、それとも私と一緒に世界を変えたいか?
[ペプシコーラの事業担当社長ジョン・スカリー氏(※)をアップルに引き抜いた際の言葉(※マイケル・ジャクソンをCMに起用するなど、ペプシをコーラ業界トップにした人)]

主人公は、“大業を成し遂げられたら君と幸せを築く”というのだろうか…
それとも、映画『フェノミナン』のように奇跡によって世界は変わる?


私は、大業とか奇跡ではない、ごく普通の人のストーリーを想像しました。
誰かに恋をして、ひとり胸を膨らませ、あるいは想いは共有しているものの【kingdom】を築くだけの条件がまだ揃っていない…
そんな、誰にでもあるような平凡な夢や悩みです。
それが叶おうと叶うまいと、きっと世の中の大勢に影響を及ぼすこともないささやかな人生…

You would think my love was really something good,
きっと心からこの愛を喜んでもらえる
Baby if I could change the world
僕が、世界を変えることができたなら…

たとえ自分という小さな世界であれ、人はままならないその現実に悩み、苦しむ。
そして、彼は明日という日に光を描かずには生きられない。

この詩は、そんな“あなたという宇宙を照らす陽の光”… 
 ハテ、何処かで聞いたような…



「チェンジ・ザ・ワールド」


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