I Wish~洋楽歌詞和訳&解説

80年代の洋楽ロック・ポップス&ビートルズを中心に、歌詞の和訳と解説+エッセイでお届けします

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「黒くぬれ!」ローリング・ストーンズ

2018.08.06

category : Rolling Stones

The Rolling Stones - Paint It Black1 The Rolling Stones - Paint It Black2


The Rolling Stones - Paint It Black (1966年)



~概要~

「黒くぬれ!」はローリング・ストーンズがイギリスで1966年5月13日にリリースしたシングルで、通算6曲目の全英No.1を達成した作品です。
アメリカは同年5月6日の発売で、Billboard Hot 100で通算3曲目のNo.1(2週/年間34位)を記録、翌6月発売のアルバム『アフターマス(Aftermath)』に収録されました(UK盤には未収録)。
ローリング・ストーン誌“The 500 Greatest Songs of All Time 174位”に数えられる名曲であり、同誌の読者による“The Rolling Stones 10 Greatest Songs 3位”にも選ばれた、半世紀以上の歴史を誇るストーンズの代表曲の一つです。

1966年2月、ストーンズのオーストラリア・ツアー中のミック・ジャガー&キース・リチャーズの創作が元となった作品で、ミックはトルコ人歌手 Erkin Koray 1962年の作品「Bir Eylül Akşamı」との関連を1995年のインタビューで言及しています。
シングルとしてリリースされた当初のタイトルは「Paint It, Black」でしたがこれはオリジナルの表記ではなく、コンマ(,)が入ったのは事務側のミスであり、そのままだと“黒人にペンキを塗れと命令”しているような差別的誤解を招くため、その後コンマの入らない「Paint It Black」に改められました。


1966年3月、この曲がスタジオに持ち込まれた時まだ“ラフ・スケッチ”の状態で、演奏パートはメンバーによるセッションの中で構築されました。
当初アニマルズが1964年にヒットさせた「朝日のあたる家(The House of the Rising Sun)」のようなアレンジが模索されましたが満足するものができず、その後ビル・ワイマンがストーンズの最初のマネージャー(元オルガン奏者だった)エリック・イーストンのモノマネでオルガンを弾いてベースのリフを発見、チャーリー・ワッツも【double-time(倍テン)】のドラム・パターンでテンポ・アップさせるなど、それぞれの創意が加えられゆきます。

そして本曲に決定的なサウンドを与えたのはギタリストのブライアン・ジョーンズによるインドの弦楽器【シタール】の導入で、キース・リチャーズは“シタールを使ったことで全く違った感じの曲になった”と証言しています。
こうした経緯から、「Paint It Black」の作者が【Jagger/Richards】とされていることについて、ビル・ワイマンは自伝で“あの曲は【Nanker Phelge】とクレジットされるべきだ”と言及しました。


その独特な作風のせいか、1997年のオカルト・スリラー映画『ディアボロス/悪魔の扉(The Devil's Advocate)』(キアヌ・リーヴス、アル・パチーノ、シャーリーズ・セロンらが出演)ほか、意味深で陰のある映画やドラマに多く起用されています。
また、「Paint It Black」自体は戦争を特定した作品ではありませんが、1988年の『フルメタル・ジャケット』など“ベトナム戦争”を題材とする映画やドキュメンタリーにも起用がみられます。
その同年には忌野清志郎率いるRCサクセションがアルバム『COVERS』で「黒くぬれ!」を日本語カバーしており、これがなかなかカッコイイです♪


 
 



~Lyrics~

「Paint It Black」の歌詞は“意味深”だらけで難解なので、オリジナルの並びではなくこちらが設定したテーマ毎にまとめてみました。

I see a red door and I want it painted black
赤い扉なんて、黒く塗ってしまったらいい
No more will my green sea go turn a deeper blue
これ以上、俺の緑の海が深い青に変わることはない

ここは、“彼の異常性”について…

【赤】というと火や太陽、情熱、あるいは時代背景から共産主義をイメージさせますが、【見たくない赤】であるなら“血”も当てはまります。
この詞で最も難解な一つは【my green sea】で、[sea]とは何か、[green]が[a deeper blue]に変わることは何を意味するのか、残念ながらそれを断定できる根拠は見当たりません。


With flowers and my love both never to come back
花々も、“my love”も、もう二度と戻ることはない
I could not foresee this thing happening to you
俺は、お前の身に起きることを予見できなかった

“彼がこんな風になってしまった原因”について…

【flowers】はいかにも比喩表現ですが、かつては“美しいもの”が“複数”あったことを窺わせます。
【my love】を日本語にしなかったのは、失ったものが“心”か“人”か特定したくなかったからで、“その両方”かもしれません。
更に、もし【my love=you】であるなら、彼は“自責”を背負っていることになり、その心の【black】は相当に深そうです。


I wanna see the sun blotted out from the sky
空から消し去られた太陽…そのさまが見たい
Maybe then I'll fade away and not have to face the facts
やがて俺は消え失せ、現実の直視から解き放たれよう

“彼が、本当に望んでいるもの”について…

それは、“太陽のない世界”。
太陽は光の源であり、光が“色の多様”をもたらし、それらがほとんどない世界こそ【black】です。

【black】で占められた世界のイメージ…
夜、権威、悪、死、防衛、武勇、汚濁、有罪、炭、富裕層 など(wiki)

事実を悉(ことごと)く【black】に塗り潰すことで、
“彼”は心の内に巣食う【black(真実)】と向き合ことから逃れられる…。




~真実を覆い隠せ、Paint It Black!~

“Paint It Black!”

【真実を覆い隠したい時】や【現実逃避したい時】、人はその衝動に駆られます。
そして、今年の『第196回国会』(1月22日-7月22日)は、まさに[隠ぺい]や[改ざん]、[捏造(ねつぞう)]、[虚偽答弁]、[ご飯論法](意図的にかみ合わない答弁)、「コメントする立場にはない」(当事者なのに)、「記憶にない」、[証言拒否]…のオンパレードでした。

しかしこうした【黒塗り対応】を駆使すればするほど、その内に秘めた【Black】を自ら晒してしまうもので、これらで塗り固められた「森友学園」や「加計学園」を巡る問題についての安倍首相の説明に、国民の77%が納得していない(納得は17%)という調査結果(7/23 読売)も自明の理です。


《政府による3つの再発防止策》

こうした中、政府は国会が閉会した7月20日の閣僚会議に於いて、公文書管理の適正を確保するための『3つの再発防止策』をとりまとめました(以下は要約編集)。

管理体制や研修の強化による意識改革
「免職」を含めた懲戒処分/内閣府の独立公文書管理監を局長級に格上げ/各府省に公文書監理官
効率的に管理するための電子的な仕組み
内閣府が主導して文書を一元的に管理/作成・保存・廃棄・移管を一貫して電子的に行う)
決裁文書の管理のあり方見直し
(決裁文書の事後修正は認めず、修正する場合は決裁を取り直す)

政府の再発防止策を拝見した感想を一言で表すなら、“非常に欺瞞的”です。
まず、本策の一番のポイントは【内閣府主導】ですが、「内閣府」は加計学園問題への関与に嫌疑のある組織であり、「内閣府の長」は数々の問題で嫌疑のある安倍首相です。
そのような部署に「公文書や官僚に対するチェック管理の権限を一元的に集約させる」というのですから、本当の目的は「安倍首相の名前を書く不埒者が二度と現れないよう内閣府が監視を強化」することにあると考えられます。

第二に、の「決裁文書の事後修正は認めず」は本来当たり前の話であり、後半は「決裁を取り直せば“改ざん可能”」と受け取れます。
本策のきっかけとなった財務省の決裁文書改ざんは「政治家または上司の指示による組織的な不正」が原因であり、こうした「組織的な不正」に対する再発防止策は全く示さず、むしろわざわざ“お墨付き”を与えている印象が否めません。


《公文書について官僚の常識》

元経産省官僚の古賀茂明氏によると、官僚の常識として
「公文書は非公開が原則」として作成され、
「公開が避けられない公文書は問題のない内容だけを記すか黒塗りで対処」、
「絶対に公開できない情報は個人的なメモ扱いとし、公文書としては存在しないことにする」
「公開する場合もなるべく時間をかけて出す
という基本原則があるそうです。

公文書は公的機関が「行政の意思決定した過程や結果の記録」である一方、「自らが犯したミスや不正の証拠」となり得るものです。
このため公権力を行使する者にとって、それは「いつ破裂(糾弾)するか知れない爆弾」であり、「危険な信管(不都合な証拠)は外しておきたい」心情下にあることは想像に難くありません。
さすがに決済後の改ざんは容易ではないため、“賢者”は「最初から信管は外しておく(記録に残さない)」でしょう。
つまり、森友事件の近畿財務局のように安倍首相や麻生財務相ら10人の国会議員と安倍昭恵・首相夫人ら政治家関与の痕跡を残した公文書こそが彼らの常識では“あり得ない”のであり、問題行為と認識されているはずです。


《“詳細すぎる決裁文書”は非常識?》

そもそも森友問題が発覚したのも、豊中市議の木村真氏が当該地の『国有財産有償貸付合意書』『売買契約書』の写しを請求した際、金額と一部の条件が全て黒塗りにされたものを渡され、過去の国有地売買の随意契約の案件を調べても非公開だったのは森友1件だけだったことから不正を直感し、追及を始めたのがきっかけでした。
そして「なぜ森友が異例の待遇を受けたのか」の核心を指し示してくれたのが、不本意な文書改ざんを強いられ事件発覚後亡くなった財務省近畿財務局職員が作成した安倍昭恵・首相夫人など政治家の名前まで記述した“詳細すぎる決裁文書”です。

通常、政治家の関与は公文書に残さないのが官僚の常識ですが、一般常識からすると間違っているのは官僚の常識の方に思えます。
一般常識に則って考察するなら、公文書は原資を出している国民の財産であり、同じ理由で国民の利益に資するのが公務員の責務です。
公文書の最も重要な目的は“(健全な民主主義の根幹を支える)国民への説明”なのですから、国民が真実を描ける“記録(ドキュメント)”でなければならないはずです。
自らに障りのない事実だけを並べ、政治家や官僚に不都合な事実を省いた“”物語(ストーリー)”を、国民は求めてはいません。



~Epilogue~

『公文書管理法』の理念

この国の『公文書管理法』は「公文書」について“健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源”と位置づけ、“現在及び将来の国民に説明する責務が全うされるようにすることを目的とする”としています。

公文書管理法の制定に取り組んだ、福田康夫元首相の言葉

“正しい情報を入手することができるのは、民主主義の原点。入手できないと、国民は正しい判断ができない。結果、悪い判断によって悪い政治家が誕生してしまうことがある。
憲法だって、「アメリカ人が作った憲法だ」「日本人が提案していたんだ」などいろんな話がある。もっと立法過程が明らかになっていれば、そんなつまらない議論をしなくても済む
真実を示す資料がなければ、声のでかいのに、だまされちゃう”

この話は、今国会での数々の空しい議論を思い出させます…。
例えば加計学園問題で、柳瀬秘書官(当時)が加計学園側と官邸で面会していたことを記録した愛媛県職員作成文書が出てきた際、柳瀬氏の「記憶の限り会っていない」が何故か通用してしまうことで、その根拠とされた一つが「入邸記録で面会が確認できなかった(つまり面会した証拠はない、と…)」というもの。
菅義偉官房長官が「入邸記録は業務終了後速やかに廃棄される取り扱い」(つまり1日で廃棄)と答弁し、私は本筋よりこっちの方が驚きました(自衛隊日報と同様、本当は廃棄していない。菅氏は虚偽答弁。1日で廃棄したら自分たちが仕事で困る!)。
記録が残っていればそれで終わる話なのに、“あるべき記録が無い”ため水掛け論に終始し、みんな真実は分かっているのに証拠不十分のまま時間切れ…という茶番を、何度見せられたことでしょう。

“健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源”…


公文書は、“支配者”から国民の主権と人権を守ってくれる大切な“楯”です。

監視カメラは直接悪人を捕まえるものではなくても、その行動を録画する機能によって彼らを自重させ、一定の犯罪抑止効果を果たします。
公文書もこれと同じで、公権力の行使を一部始終正しく記録することで彼らも自重し、権力の腐敗を抑止することができるのです。ただし…

I look inside myself and see my heart is black
この胸の内を覗き込むと、心までも黒

公文書はスター・ウォーズの「ジェダイ」と似ていて、行使者の「フォース」次第で「暗黒面(Dark side)」に陥り易いものです。
行使者をダークサイドに陥らせないためには、私たちが常に「光明面(Light side)」の目でその行使を見守り、ライトサイドの心で“ジェダイ(全体の奉仕者/代議士)”を選ぶ以外にありません。


善を行なうには努力を必要とする。
しかしながら、悪を抑制するにはいっそうの努力が必要だ
  レフ・トルストイ



「黒くぬれ!」


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tags : 1966年 偉大な曲 ラーガ  難解  

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