本楽曲はビートルズ時代の1968年、インド滞在中に創作されたものがベースになっており、この時点からメロディーは「Jealous Guy」と同じであるものの、歌詞はヒンドゥー教に由来する超越瞑想の創立者マハリシ・マヘシ・ヨギの思想に影響されたものとなっており、タイトルも「Child of Nature」でした。 しかしすぐにジョンがマハリシに失望したためか、完成度に満足できなかったかは不明ですが同年発表の『ホワイトアルバム』のリストからは除外されています。 さらにこの曲は1969年1月の“Get Back Session”でも試みられたもののこれも『Let It Be』の選曲から漏れてており、結局その一部は2003年発売の『Let It Be... Naked』のボーナスCD『Fly on the Wall』に収録されました。
その後「Child of Nature」は、ソロとなったジョンが1971年にメロディーをそのまま生かし歌詞を書き換えて「Jealous Guy」としてようやく完成させました。 「Jealous Guy」は1988年にジョンの自伝的映画『Imagine』でも取り入れられており、その影響から本曲が再び世界的に脚光を浴びる結果につながって楽曲発表から17年経って初めてBillboard Hot 100で80位にチャート・インしています。 また、1998年にはジョンの未発表音源を集大成したCD4枚組ボックス・セット『John Lennon Anthology』の中にも本曲のアウトテイクが収められ、私はこのバージョンがオリジナルに劣らず好きです。
~Lyrics~
I was dreaming of the past 昔のことを夢で見ていたら and my heart was beating fast 胸の鼓動が乱れ打ち
ポールは“ジョンは僕に嫉妬”、ヨーコは“ジョンはヨーコの身の回りにいる全ての男に嫉妬”してると解釈しているようですが、私は少し違っています。 基本的にはヨーコ説と同意ですが、私には冒頭の[I was dreaming of the past(昔のことを夢で見ていたら)]が引っ掛かって仕方ありません。 ジョンが嫉妬深い男であることは周知の事実であるものの、問題は“彼が何故(病的ともいえるほど)そんなに嫉妬深くなってしまったのか”です。 そこには、彼の幼少からの生い立ちが深く関与しているのではないかと…。 (“I was dreaming of the past=昔ヨーコが男に抱かれた夢”じゃダメなのか?)