I Wish~洋楽歌詞和訳&解説

80年代の洋楽ロック・ポップス&ビートルズを中心に、歌詞の和訳と解説+エッセイでお届けします

STOP!
地球温暖化/気象災害激甚化
Lil Dicky - Earth
Lil Dicky - Earth1
Beatles & Solo
Please Please Me


With The Beatles


A Hard Day's Night


Beatles For Sale


Help!


Rubber Soul


Revolver


Sgt Pepper's


The Beatles


Yellow Submarine


Abbey Road


Let It Be


Magical Mystery Tour


Beatles(the other songs)


John Lennon


Paul McCartney


Wings


George Harrison


Ringo Starr


「ドント・ドリーム・イッツ・オーバー」クラウデッド・ハウス

2021.09.17

category : 1980年代

Crowded House - Don't Dream It's Over (1986年)

時代を超えて若者に愛され、齢を重ねた昔の若者はより広く、深く情景を投影する味わい深い作品

《すべての記事を更新》いたしました。【続きはこちら>>】をクリックしてご閲覧ください。


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tags : 1986年 ロック/ポップ 負けない心 新型コロナ 

comment(6) 

「サムホエア・アウト・ゼア」リンダ・ロンシュタット&ジェームス・イングラム

2018.01.19

category : Linda Ronstadt

Linda Ronstadt James Ingram - Somewhere Out There1 Linda Ronstadt James Ingram - Somewhere Out There2


Linda Ronstadt & James Ingram - Somewhere Out There (1986年)



~この世界のどこか向こうに~

Somewhere Out There...

故郷を離れ、異郷を目指す人はきっと誰もがそう思うのでしょう。
まさに、【移民の国】アメリカを象徴する言葉です。
そして、アメリカを目指してやって来る移民にとって新天地の象徴となってきたのが、ニューヨーク・リバティ島にある【自由の女神像】。

本曲をテーマとする『アメリカ物語』は、自由の女神像建設中の1885年のアメリカ・ニューヨークを舞台としていますが…
1/22現在、自由の女神像はトランプ政権と連邦議会との移民政策の対立によってつなぎ予算が失効、政府機関の一部が閉鎖される事態となっており、【自由の女神像も閉鎖】されているそうです。



~概要~

「サムホエア・アウト・ゼア」は1986年にリンダ・ロンシュタット&ジェームス・イングラムによって歌われたバラード曲で、Billboard Hot 100で2位(1987年の年間39位)を記録しました。
リンダ・ロンシュタットは日本でも洋楽誌でオリビア・ニュートン=ジョン、スティーヴィー・ニックスと並ぶ【三大美女】に数えられた1970年代を代表するアメリカの女性歌手の一人。
一方ジェームス・イングラムは1981年デビューのR&B男性歌手で[デュエット歌手]として定評があり、1985年にUSAフォー・アフリカの「We Are The World」でスティーヴィー・ワンダーやブルース・スプリングスティーンに肩を並べるほどのソロ・パートを任されています(プロデューサーのクインシー・ジョーンズの意向と言われる)。


「Somewhere Out There」は、スティーヴン・スピルバーグが初めてアニメーションの制作総指揮を務めた映画『アメリカ物語(An American Tail)』のために創作された楽曲です。
劇中では子ネズミ姉弟の声優を務めたBetsy CathcartとPhillip Glasser(※Betsy Cathcartは歌声のみ担当)が歌唱し、エンディングでリンダ&ジェームスver.が使われています。

「Somewhere Out There」の作詞はライチャス・ブラザーズ「ふられた気持(You've Lost That Lovin' Feelin')」で知られるバリー・マン&シンシア・ワイル夫妻(Barry Mann & Cynthia Weil)で、本作の成功により1989年のリンダ・ロンシュタット&アーロン・ネヴィルのデュエット「Don't Know Much」(過去ログ)にも起用され再度大成功を収めています。
作曲は『アメリカ物語』の音楽を担当したジェームズ・ホーナーで1980年以来数々の映画音楽を手掛けた作曲家ですが、代表作である『タイタニック』主題歌「My Heart Will Go On」(過去ログ)は誰もがご存知でしょう。

1988年の(第30回)グラミーでは3部門にノミネートされ、うち【最優秀楽曲賞 (Song of the Year)】と【最優秀楽曲賞 映画/テレビその他映像部門(Best Song Written Specifically for a Motion Picture or for Television)】の2冠を獲得しました。
一方アカデミー賞とゴールデングローブ賞では、『トップガン』の「Take My Breath Away」(過去ログ)に歌曲賞の座を譲っています。


 
 



~Lyrics~

Somewhere out there
この世界のどこか遠く
Someone's saying a prayer
祈りを捧げる人がいる

『アメリカ物語』はロシアのネズミ一家が[ネコがいないアメリカ]への移住を思い立ち、海を渡る物語…
ですが、アメリカにネコがいないはずはありませんよね?
もちろん現実に2014年のデータによるとアメリカの猫の飼育数は7360万で世界一、ロシアは2100万で4位です(日本は980万で6位)。

ネコ(イエネコ)は元々鼠害対策のため人間に飼育されるようになった益獣であり、現在では犬を上回る最大の個体数を誇る愛玩動物として世界に君臨しているので、この地上にネズミにとっての【Somewhere】は存在するのでしょうか…?
(ちなみに、人間は北極・南極にもネコを連れて行っているらしい)


That we'll find one another
この広い世界のどこかで
In that big somewhere out there
ふたりがめぐり逢うことを

ロシアを逃れたネズミ一家ですがアメリカに向かう航路の途中で幼い息子ファイベルが波にさらわれ、家族と逸(はぐ)れてしまいます。
劇中に於いて「Somewhere Out There」は離れ離れとなった家族を求めるテーマであり、再会を願うファイベルと姉ターニャによって歌われました。

リンダ&ジェームスver.はさすが圧巻の表現力で、成熟した男女によるデュエットは子ネズミ達のかわいい歌とは[別の愛]をイメージさせます。


And when the night wind
やがて夜の風が
starts to sing a lonesome lullaby
さみしい子守唄を歌い始めるころ

床に就いてから眠りに入るまでの時間は目を閉じて活動を停止するため、入眠できない状態が続くと聴覚や思考が逆に鋭敏に働いてしまうものです。
眠れない焦りと暗闇に一人取り残されたような時空は孤独の感覚を呼び覚まし、ますます眠れなくなる…
という経験は、きっと誰もがあることでしょう。

そんな事を考えている私の脳裏に突然甦った古いフレーズ…
♪眠れない夜 風が窓をたたき 手招きして誘い水をまく 眠れない夜

…覚えておいででしょうか? 
(※ヒント;アイスノンのCM曲でした)



~Epilogue~

Somewhere Out There...

夜空一面に広がる藍は
この胸の奥深くに秘めた“あい”と同じ色
どこまでも深く、果てない向こうへと誘う

夜空一面に広がる煌めきは
この胸の奥深くに秘めた“あい”と同じ色
どこまでも真直ぐ、果てない希望へと誘う

今夜、あなたに会いにゆこう
小さな胸を飛び出し
果てなく広がる藍を越えて

Somewhere out there
この世界のどこか遠く
Beneath the pale moonlight
ぼんやり霞んだ月明かりの下

あなたに、会いにゆこう…                               



「サムホエア・アウト・ゼア」


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tags : 1986年 バラード/Pop デュエット 負けない心 映画80's グラミー最優秀楽曲賞 ジェームズ・ホーナー バリー・マン/シンシア・ワイル 

comment(10) 

「ゲット・タフ」ビリー・オーシャン

2016.08.12

category : Billy Ocean

Billy Ocean - When the Going Gets Tough1 Billy Ocean - When the Going Gets Tough2


Billy Ocean - When the Going Gets Tough, the Tough Get Going (1985年)



~When the Going Gets Tough(オリンピックになると), the Tough Get Going(“お化け”たちが動き出す?)~

先日行われた体操・男子団体決勝の日本チームの演技はまさに圧巻でしたがメンバーの山室光史選手によると、この時の加藤凌平選手の活躍ぶりを内村航平選手が“化け物だな”と評していたといいます。
一方、後日熱戦を繰り広げた個人総合での内村選手の試合ぶりを見て、山室選手は“航平が一番の化け物だった”と改めて思ったそうです。

彼らの話を聞いていると、オリンピックはまるでお化け屋敷? 



~概要~

ビリー・オーシャンはカリブ海にある小さな島国トリニダード・トバゴ(イギリス連邦)に生まれ8歳で渡英、1971年にLes Charles名義(本名)で歌手デビューしました。
1976年に名をBilly Oceanと改め、同年「Love Really Hurts Without You」を全英2位に付けるなどヒットを飛ばしますが勢いは長くは続きませんでした。

1984年、5thアルバム『Suddenly』からアメリカでもTop5ヒットを3連発し、すっかり人気者になったビリーに舞い込んだ次の仕事はマイケル・ダグラス&キャスリーン・ターナー主演の大ヒット映画『ロマンシング・ストーン 秘宝の谷』の続編『ナイルの宝石(The Jewel of the Nile)』の主題歌でした。
映画の公開に先行し1985年11月にリリースされた「ゲット・タフ」は翌年にかけて大ヒット、Billboard Hot 100の2位(1986年の年間31位)を記録しています。
イギリスではビリーにとって初の全英No.1に輝いた記念すべき作品であり、1999年にはアイルランドの人気男性グループのボーイゾーン (Boyzone) によってカバーされ、再び全英No.1を獲得しました。

「ゲット・タフ」は映画の冒険活劇&ロマンティック・コメディの作風を反映した非常に楽しいラブ・ソングであり、そのPVには更に特別な“お楽しみ”が用意されています。
映画のプロモーションを兼ねたPVに映画のシーンが編集されるのは“お約束”といっていい手法ですが、それに加えここではキャストのマイケル・ダグラス&キャスリーン・ターナー、ダニー・デヴィートの3人が“別撮りのコーラス隊で出演”しているのです!
特に見モノは“ダンシング・マイケル(ダグラス)”で、『危険な情事』や『ウォール街』のようにクールなイメージの強い彼が振り付きのコーラスをしているさまは意外な反面、やっぱり二枚目は何をやってもカッコいい♪

 



~Lyrics~

I'm gonna put this dream in motion
この冒険で、僕は夢への第一歩を踏み出す
Never let nothing stand in my way
行く手を遮るものなど、何もない

【in motion】は“移動中”ですが、映画のストーリーを考慮して“冒険”としてみました。
映画では“宝石を取り戻す旅”であるのに対し、歌は“愛を獲得する旅”…
…さて、あなたはどちらの冒険に旅立ちますか? 


I'm gonna make you stand and deliver
君を立ち止まらせ、想いを告げよう
And give me love in the old-fashion way
そして君は、“古典的な方法”で僕に愛を授ける…

【stand and deliver】には、強盗の決まり文句“止まれ! あり金を全部置いて行け”のような使い方がありますが、ここはそんな場面じゃありませんよね?
【deliver】は2行上の【river】と韻を踏むため用いたと思われるものの解釈に困る言葉であり、ここでは“〔考えなどを〕口に出して言う”を適用しました。

…それというのもこの解釈は続くラインとの兼ね合いを考慮したためであり、こんな場面で女性が男性に授ける“古典的な愛”といったら、やっぱり“アレ”しかないでしょ? 


Ooh, can I touch you (can I touch you)
Ooh...君に触れてもいい?
And do the things that lovers do
恋人たちがするように

ここはPVで3人のハリウッド・スターがコーラスをサポートしているラインですが、実はこの“豪華なバック・コーラス隊”の出演によって、この映像はイギリスで“放送禁止”となってしまったのです!
もちろん、彼らがこの映像の中で放送禁止の一般的な理由に挙げられるような公序良俗に反する行為をしたわけではありません。
放送禁止となったその理由とは、彼らが“音楽家の団体に属していないこと”だそうで、つくづく権利関係とは一般人にとって複雑怪奇なものであるようです…。



~Epilogue~

原題に掲げられている「When the Going Gets Tough, the Tough Get Going」は一般に
“状況が厳しくなったとき、強者たちが動き出す”といった意味として英語圏でよく用いられることわざです。
ただし【tough】は“悪党・容赦がなく残忍な人”として用いられたりもするので、必ずしも良い意味ばかりで使われるとは限らないかもしれません。
フレーズの起源は、アメリカ第35代大統領ジョン・F・ケネディの父で投資家/政治家のジョセフ・P・ケネディの言葉とも、アメリカン・フットボールの名指導者クヌート・ロックニーの言葉ともいわれます。

私がオリンピック選手の【tough】といって真っ先に思い浮かべるのは“水の怪物”マイケル・フェルプスで、彼はオリンピック競泳で獲得した総メダル数28(うち金23)という世界記録の持ち主として有名ですが、私はそれ以前に“一大会で8種目に出場し予選-準決-決勝をレースできるタフさ(予選はかなり手を抜いているが)”がこれまでずっと不思議でなりませんでした(31歳を迎えた今大会も6種目に出場し、金5+銀1を獲得している)。
今回ちょっと調べてみると彼は1日に一般男性の6倍に当たる12000kcalを摂取しているそうで、このカロリーを消費するためには水泳(クロール)換算だと約9時間、ジョギングだと約20時間運動を行う必要がある計算になり、彼の超人的なタフさは毎日のこれだけの量のトレーニングに裏付けられているのだという結論に至りました。
(参考;消費カロリーの高い運動ランキング


さて…
オリンピックも折り返し地点を過ぎ、後半戦に突入いたしました。
日本の“お家芸”といえば柔道・体操・水泳、そして…
後半戦には、“レスリング”があります。

すでに銀メダルを獲得した男子グレコローマンスタイル59キロ級太田忍選手をはじめ、以後“203連勝中”吉田沙保里選手や“189連勝”伊調馨選手など頼もしい姉御たちが控えています。
特にこの二人はロンドン大会までオリンピック3連覇中であり、今大会では4連覇を達成できるかが注目です。
オリンピック4連覇はこれまでアル・オーター(陸上・円盤投)、カール・ルイス(陸上・走り幅跳び)、マイケル・フェルプス(競泳・200m メドレー)の3名しか達成しておらず、もし彼女らがこれを実現すると女子選手としては史上初の快挙となります。

When the going gets tough
厳しい状況にある時
The tough get going
タフなやつほど、一歩前へと踏み出す

4連覇はオリンピック史上最も困難な挑戦の一つですが、彼女たちならやってくれるでしょう…
何せ、“霊長類最強女子”ですから?  



「ゲット・タフ」


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tags : 1985年 ポップ/R&B 負けない心 映画80's 

comment(6) 

「ザ・モーメント・オブ・トゥルース」サバイバー

2016.08.05

category : Survivor

Survivor - The Moment Of Truth1 Survivor - The Moment Of Truth2


Survivor - The Moment Of Truth (1984年)



~The Moment Of Truth~

“オリンピックには魔物が棲む”といいますが、大会はまだ始まったばかりというのに波乱が相次いでいます。
ATP世界ランキング1位のN・ジョコビッチがテニスの男子シングルス1回戦で同141位の選手に敗れたのをはじめ、卓球女子シングルスで世界ランク6位の石川佳純選手、フェンシング男子個人フルーレで世界ランク2位の太田雄貴選手が、何れも格下を相手に初戦で敗退するという信じられない展開となりました。
特に太田選手は試合後早々に現役引退の意向を示しており、オリンピックという4年に一度の舞台は非情であると痛感させられる思いです。

それこそが、“The Moment Of Truth”という世界…。



~概要~

サバイバーは1979年にデビューしたアメリカのロック・バンドで、1982年にシルベスター・スタローン主演の映画『ロッキー3』の主題歌「Eye of the Tiger」を歌い、一躍世界でも有名バンドの仲間入りを果たしました。
しかしその後、続く1983年の『制覇への野望(Caught In The Game)』は82位と全く振るわず、その上ヴォーカルのデイヴ・ビックラーが喉を傷めてしまい、一転バンド存続の危機に陥ってしまいます。

その危機を救ったのが、新たなヴォーカリストとしてバンドに加わった元コブラのジミ・ジェイミソンでした。
そんな“新生サバイバー”の試金石となったのが1984年の映画『ベスト・キッド(The Karate Kid)』のサントラへの参加で、主題歌となった「ザ・モーメント・オブ・トゥルース」は本映画の音楽担当だったビル・コンティ(「ロッキーのテーマ」でお馴染み)らの手による楽曲です。
一般にこの人気映画シリーズは、空手をテーマとしていることから『The Karate Kid』(日本では『ベスト・キッド』)のタイトルで親しまれていますが、実は本作劇場公開時のタイトルこそ『The Moment of Truth』であり、名実ともに本楽曲はテーマ曲として創作されました。

残念ながらジミがサバイバーに加入して最初のシングルとなった「The Moment of Truth」はBillboard Hot 100で63位と、チャート成績としては振るいませんでしたが、サビでみせた彼のパワフルで伸びのあるハイトーン・ヴォイスは魅力十分で、続いて発表されたアルバム『バイタル・サインズ(Vital Signs)』(「The Moment of Truth」もボーナス・トラックとして収録)以降でヒットを連発し黄金期の立役者となります。

アメリカではヒットに至らなかったものの日本人好みといえるのか、浜田麻里が1985年に英語詞のままカバーしています。

 



~Lyrics~

When you're alone you ask yourself
“探しもの”は、何だろう…
What are you searching for
ただ一人、自らに問い掛けるとき

私が今回のオリンピックで特に注目した競技の一つが、“体操男子”。
前回2012年のロンドン大会で、当時世界選手権3連覇(現在6連覇継続中)の“絶対王者”内村航平選手が個人総合で自身初のオリンピック金メダルを獲得したものの、団体戦は自らのミスも響き“悔しい銀メダル”に終わったことが強く印象に残っているからです。

この内村選手の不調は、ライバル中国に対抗するため大会直前に演技構成の難度を急に上げたことが原因だったと分析されています。
その反省の下、今回は本来彼が目指すべき“技の完成度”を磨くことに重点を置いてトレーニングを実行、2004年アテネ大会を最後に果たせぬままの“団体金メダル”を獲得することを最大の目標に掲げてきました。


If you think you can find the passion
もし君が、情熱と出あい
And you're ready to take a chance
チャンスに懸ける準備が整って

…とはいえ、目指すべき目標が定まってもそれを実現するために十分な日々の積み重ねが不可欠であり、その根源となるエネルギーこそが、“情熱”。
ロンドンでの失敗を踏まえ今回、内村選手はリオ大会本番の1年前から演技構成を固め、インターバルの時間や失敗が許されない状況を含めて実際のリオの決勝を想定した“一本通し”という形式の練習を週2回継続させたそうです。
ロンドンで落下したあん馬の練習をするときは、“下が崖で、落ちたら死んじゃうぐらいのプレッシャーをかけている”そうで、そんな厳しい緊張感を伴ってでも練習を継続できるのは、“情熱”以外にないでしょう…。


It's a promise you make for love
だけど、それは大切な人と交わした誓い
For the people that keep believing
君を信じ続けてくれている多くの人

“ 約6000万人の日本国民がゴールを見届けた”といわれる、2000年シドニー五輪・女子マラソン高橋尚子選手の金メダル…
Qちゃんがゴール後、誰よりも小出義雄監督を探す微笑ましい姿も印象的でした。
(…なのに、監督はいつまで経っても愛弟子を迎えに来ない!

実はこの日、32km地点でも監督が待っている約束だったのにそこにも現れず、彼はそれをすっぽかして途中で“飲み”に出掛けてしまっていたそうです(本人談によると“ガンガン飲んでいた”らしい)。
これについて、小出監督は次のように弁明しています…
“22kmくらいでポーンと抜けだし、もう勝てるなと確信したね。
毎日一緒にやっているんだから、この先どういう展開になるのかくらい分かるのよ。”


…これも、“絶対的信頼”の賜物? 



~Epilogue~

テーマとなっている【the moment of truth】はスペイン語の[el momento de la verdad]を語源とし、闘牛士がとどめを刺すために立ち向かう瞬間を表すことから“決着の時・正念場”といった意味で広く用いられます。

映画『ベスト・キッド』は日本の『水戸黄門』のように善悪の立場がハッキリして非常に分かり易い(人相ですぐわかる)のですが、主人公の少年ダニエル(ラルフ・マッチオ)の空手の師匠である日系人ミヤギ(ノリユキ・パット・モリタ)は掴みどころのないフシギな人物です。
実は相当なお金持ちなのに普段の衣服や態度には全くそんな風がないし、空手の達人なのに身の危険でもない限り決してそれを用いようとはせず、空手の指導も目的を告げずワックスがけやペンキ塗りをさせてばかり…。
でもそんな表面の“変人”ぶりの裏では、礼儀正しく、和を尊び、謙虚で人に親切…といった“よき日本人”としての素養がたっぷり詰まっており、日本人の私たちにとって非常に共感がもてる人物像となっています。

異文化が交わる時、日本人にとって当たり前のことが実は奇特な行為であることを、外国人に教えてもらうことがあります。
2014年、サッカーW杯で日本が試合に敗れた後日本人サポーターが整然とスタンドのゴミ拾いをしているさまに対し世界中から賛辞が贈られたのも、このブラジル大会でした。


また、先日放送された日本体操チームの金メダルへ向けた取り組みに焦点を当てたNHKの番組を見て思ったのは、“日本らしさ”
内村選手ら日本体操陣が目指していたのは一つひとつの技を、着地や指先まで神経の行き届いた完成度の高い“美しい体操”(Eスコア)で、技を仕上げる過程を見ていると、まるで“職人”が一つの作品に何度も何度も丁寧に磨きを重ねているようにも思えました。
これに対しライバルである中国は、難度の高い技に野心的に挑みそれを数多く取り入れ得点を稼ぐという考え方(Dスコア)で、選手は8kgのおもりを腰に巻き付け技に負けないパワーを培おうとしており、これも“お国柄”がよく出ているような気がしました。

…さて、オリンピックが開幕し日本チームは団体・予選でミスを連発、それでも全体の4位で決勝に進出しました。
森泉コーチによると今回メンバーがしたようなミスは、何れもこの数週間の練習で見られなかったミスだそうで、オリンピックという舞台が如何に想像を越えた“魔物”であるかが窺えます。
しかし今回のような自滅的ミスをしていたのではライバルに勝つどころか、日本が誇りとしてきた“美しい体操”を世界に示すことさえできません。
練習ではミスしないのだから問題は技術ではなく、“心”にあります。
決勝は気持ちを入れ替え、“これぞ日本”という美しい体操を世界に見せつけて欲しいです! 

It's the moment of truth
さあ、決着の時がきた
You're giving it all
すべての力を、尽くすのだ



「ザ・モーメント・オブ・トゥルース」


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tags : 1984年 ロック/ポップ 負けない心 スポーツ/ドライブ 映画80's 

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「ライズ」ケイティ・ペリー

2016.07.29

category : Katy Perry

Katy Perry - Rise1 Katy Perry - Rise2


Katy Perry - Rise (2016年)



~リオ五輪・放送テーマ・ソング~

間もなく開幕するリオデジャネイロ・オリンピック。「Rise」はアメリカ“三大ネットワーク”TV局NBCの放送テーマ・ソングです♪
日本でもオリンピックとなると各放送局でテーマ・ソングを掲げ中継するスタイルが定着していますが、それはいつから始まったかご存知でしょうか…
NHKが最初にテーマ・ソングを掲げたのは1988年のソウル・オリンピック。
…では、誰の何という曲だったでしょう?(正解は、この曲

以来大黒摩季の「熱くなれ」、ゆず「栄光の架橋」、Mr.Children「GIFT」、いきものがかり「風が吹いている」など多くの名曲が生まれてきましたが、リオ大会でも各局は安室奈美恵や嵐、SMAP、EXILE、福山雅治、和楽器バンドなど何れ劣らぬビッグ・ネームを揃えています。
…まずは、当ブログお勧めの「Rise」のご紹介から♪



~概要~

ケイティ・ペリーは2016年7月1日現在、世界で最もTwitterでフォローされている(約9,008万人)アメリカの女性シンガー・ソングライターです。
2008年のメジャー・デビュー以来、マイケル・ジャクソンの『Bad』に並ぶ“1枚のアルバムから5曲連続No.1”を達成するなど現在のポップス界で際立った存在で、アメリカの経済誌『Forbes』によると2014年6月1日からの1年間で1億3,500万ドル(約164億5,400万円)を稼いで“この1年間で最も報酬を得た女性ミュージシャン”に認定されています(2位はテイラー・スウィフトの8,000万ドル)。

今回「ライズ」はNBCのオリンピック・テーマに起用されていますがこれは事前の依頼を受けて創作されたものではなく、この数年来ケイティの中で温め続けられてきたものが基になっている作品です。
シングルはこの7/14にiTunesなどを通しデジタル配信され、翌15日に[KatyPerryVEVO]がオリンピックとタイアップしたPVをYoutube上で公開しました(…が、日本では7/30から視聴できなくなっており、[Vevo USA]ver.が視聴可)。
一方、ケイティ出演による「Rise」オリジナルのMVも制作されているようですが、オリンピックのプロモを優先させるためか8/1時点では部分的に編集した映像だけが公開されています。
ちなみに“リオ五輪・公式テーマ・ソング”はブラジルらしいサンバにラップを取り入れたThiaguinho and Projotaの「Alma e Coração」で、“魂と心”をテーマとした元気ソングです♪

ケイティにとって「Rise」は2014年夏の「This Is How We Do」以来約2年ぶりのシングルであり、リリースされたばかりでチャートは途中経過になりますが8/6付でBillboard Hot 100 初登場11位を記録しています。
この数字は彼女にとって3番目に高い位置でのチャート・インであるそうなので、記念すべき10曲目のNo.1に輝くのも時間の問題でしょう。


これまでケイティというと女の子向けのラブ・ソングを歌うイメージがありましたが、「Rise」はそのスタイルに従わず荘厳な歌詞の世界観が織り込まれており、31歳となった彼女の内面の変化を窺わせる作品でもあります。
また、昨年秋ケイティは米大統領選への出馬を表明したヒラリー・クリントンへの全力支持を宣言しており、今年7/28の民主党全国大会にはヒラリーの応援に駆けつけ(この大会にはレディー・ガガも出演)、リリースしたばかりの「Rise」を生披露しました。

ケイティの両親は筋金入りの共和党員だそうで、それにも係わらず対立候補を応援するというのはどんな背景があったのでしょう? ケイティの言葉…
(私たちの社会は)すごく大きな変化が起きようとしています。これは、この10年でもっとも大切な選挙です。

この言葉こそ現在の彼女を動かしている理由があり、「Rise」に込められた想いでもあるのです…。


 
 



~Lyrics~

Can't write my story
誰も、私の筋書きを描けはしない
I'm beyond the archetype
アーキタイプを越えた彼方にこそ、私があるのだから

主人公は、【archetype(典型)】や【conform(〔規則・習俗に〕従う)】といった類いの価値観を明らかに否定しています。
私たちが一般社会で生きてゆくためにこれらの習得は必須ですが“人並み”に過ぎず、世界一を目指すアスリートにとってそれでは全く勝負にならないことでしょう。

スピード・スケートで世界記録を連発し長野オリンピックで金メダルも獲得した清水宏保選手は、身長162cmで喘息持ちだったため人からは“スポーツなんて無理”と言われ続けましたが、“非常識と言われたことでも、結果を出せば常識に変わる。自分で限界を作らなければ潜在能力はいくらでも開発できる”と、努力を重ねたそうです。
常識からは、奇跡は生まれない…。


Oh, ye of so little faith
己を信ずる心の揺らぎしものよ
Don't doubt it, don't doubt it
汝、疑う勿(なか)れ

何気なく使われている【ye】が、重要なヒントを教えてくれています。
【ye】は[you]の古語表現で、聖書や修辞的な文でよく見られる言葉です。
 何だかエラそうでニガテだな、こういう輩…?  …なんですって!? 

ケイティは牧師の娘であり、自身もキリスト教系の学校に通った経歴があるので、こうした感覚は身近なものでしょう。
2番の歌詞で[So I call on my angels. They say...]の後に続いていることから、これは“天使の言葉”なのかもしれません。(…エヘヘ♪ 


When you think the final nail is in
あなたの脳裏に“最後の爪の時”が過(よぎ)ろうと
Think again
すぐに、それを思い改めるであろう

日本で[ネイル]というと“おしゃれな爪”のイメージですが、ここでの【the final nail】は“とどめを刺す・命取り”といった意味でしょう。
何行か上に[ハゲワシ]が登場しているので、“ハゲワシが狙いを定めた獲物に鋭い爪を立てトドメを刺す”場面が自然に浮かんできました。

…でもスポーツは、“もう勝負は見えた”という状況を覆して逆転することって結構あるものです。
特に格闘技系は、それまで積み上げたポイントを無視して“一発KO”があるので、しばしば大逆転劇を生みます。



~Epilogue~

I will transform
ライダぁー変身!  著しい曲解が含まれます)

当たり前ですが、改造人間である[仮面ライダー]はオリンピックには参加できません! 
でも、誰にも知られず超人的な能力を手に入れられるとしたら、あなたはどうしますか?
金メダルを得ると別人のように人々から賞賛され、夢のような多額の金銭や仕事が舞い込んでくると想定できる状況下に於いて…。

世界最大のスポーツの祭典『Olympic Games』が人々に広く愛されている大きな理由の一つは、“公平”
世界各地から様々な国籍や人種・文化・宗教など異なる選手が集まるわけですから、それらによって差別されることがないのはもちろん、競技者らが心置きなく力と技を競うために不可欠な条件こそ、“公平”です。
近年、オリンピックの“見せ物(商品)”としての価値がどんなに高騰しようと、“ルールを逸脱した変身(ドーピング)”は観客・スポンサーの最も嫌う要素であり、彼らの信頼を失えば忽(たちま)ちにでも『Olympic Games』そのものの存在価値は根底から瓦解するものであることを、IOCは自覚するべきでしょう。


もう一つオリンピックの存在価値に不可欠な要素が、“平和”
…平和で、安全でなければスポーツ・イベントどころではありません。
実は、ケイティ・ペリーが「Rise」に込めた真の願いこそ“平和”であり、テロや銃乱射事件が世界で頻発している最中にオリンピックを迎えねばならない今だからこそ、この曲をリリースしたいと思ったそうです。
ケイティの言葉…

次のアルバムのために取っておくのではなく、いま完成すべきだと思いました。
何故ならこれまで以上に、世界は一つになる必要があるのだから。
私たちの心が一つになれば、国籍を越えて世界中が恐怖に打ち勝つことができる。
強さと勇気を兼ね備えたオリンピック選手たち以上に、その良いお手本はありません。
” (要約編集)

ケイティのようなタイプの歌手が積極的に政治活動に関与したり、それまでと全く異なる作風を創作するというのは、それだけ差し迫った“危機感”があったからと察せられます。
強者が弱者から全ての権益を奪い、その不公平が弱者の怒りと憎しみを生み、テロや暴発を育む。
両者の思想と行動はより敵対に傾き、差別と憎しみはさらに増幅、そして争いは果てしなく拡がっている現実

まさに国籍や人種・文化・宗教、貧富に発する対立です。

オリンピックは熾烈な【競争】を繰り広げる舞台でありながらそれを遺恨とはせず、“争いを平和裏に帰結させ、友好へと変える知恵”があります。”
…そんなオリンピックも1908年の第3回ロンドン大会中にイギリスとアメリカ選手団の間で諍いが生じ、米ペンシルベニア大主教がアメリカ選手団を戒めたことで鎮静し、その時の言葉がクーベルタン男爵を介してオリンピックの理念として掲げられるようになったのが有名な“オリンピックは参加することに意義がある”でした。
そして、言葉はこう続けられています…

人生において重要なことは、成功することではなく、努力することである。
根本的なことは、征服したかどうかにあるのではなく、よく戦ったかどうかにある。


世界一流の美技や各国のメダル争いは大きな楽しみではありますが、今だからこそ“その訓え”を心に刻みたいものです。



「ライズ」


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tags : 2016年 負けない心 オリンピック 

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