「サムホエア・アウト・ゼア」は1986年にリンダ・ロンシュタット&ジェームス・イングラムによって歌われたバラード曲で、Billboard Hot 100で2位(1987年の年間39位)を記録しました。 リンダ・ロンシュタットは日本でも洋楽誌でオリビア・ニュートン=ジョン、スティーヴィー・ニックスと並ぶ【三大美女】に数えられた1970年代を代表するアメリカの女性歌手の一人。 一方ジェームス・イングラムは1981年デビューのR&B男性歌手で[デュエット歌手]として定評があり、1985年にUSAフォー・アフリカの「We Are The World」でスティーヴィー・ワンダーやブルース・スプリングスティーンに肩を並べるほどのソロ・パートを任されています(プロデューサーのクインシー・ジョーンズの意向と言われる)。
「Somewhere Out There」は、スティーヴン・スピルバーグが初めてアニメーションの制作総指揮を務めた映画『アメリカ物語(An American Tail)』のために創作された楽曲です。 劇中では子ネズミ姉弟の声優を務めたBetsy CathcartとPhillip Glasser(※Betsy Cathcartは歌声のみ担当)が歌唱し、エンディングでリンダ&ジェームスver.が使われています。
「Somewhere Out There」の作詞はライチャス・ブラザーズ「ふられた気持(You've Lost That Lovin' Feelin')」で知られるバリー・マン&シンシア・ワイル夫妻(Barry Mann & Cynthia Weil)で、本作の成功により1989年のリンダ・ロンシュタット&アーロン・ネヴィルのデュエット「Don't Know Much」(過去ログ)にも起用され再度大成功を収めています。 作曲は『アメリカ物語』の音楽を担当したジェームズ・ホーナーで1980年以来数々の映画音楽を手掛けた作曲家ですが、代表作である『タイタニック』主題歌「My Heart Will Go On」(過去ログ)は誰もがご存知でしょう。
1988年の(第30回)グラミーでは3部門にノミネートされ、うち【最優秀楽曲賞 (Song of the Year)】と【最優秀楽曲賞 映画/テレビその他映像部門(Best Song Written Specifically for a Motion Picture or for Television)】の2冠を獲得しました。 一方アカデミー賞とゴールデングローブ賞では、『トップガン』の「Take My Breath Away」(過去ログ)に歌曲賞の座を譲っています。
~Lyrics~
Somewhere out there この世界のどこか遠く Someone's saying a prayer 祈りを捧げる人がいる
ビリー・オーシャンはカリブ海にある小さな島国トリニダード・トバゴ(イギリス連邦)に生まれ8歳で渡英、1971年にLes Charles名義(本名)で歌手デビューしました。 1976年に名をBilly Oceanと改め、同年「Love Really Hurts Without You」を全英2位に付けるなどヒットを飛ばしますが勢いは長くは続きませんでした。
1984年、5thアルバム『Suddenly』からアメリカでもTop5ヒットを3連発し、すっかり人気者になったビリーに舞い込んだ次の仕事はマイケル・ダグラス&キャスリーン・ターナー主演の大ヒット映画『ロマンシング・ストーン 秘宝の谷』の続編『ナイルの宝石(The Jewel of the Nile)』の主題歌でした。 映画の公開に先行し1985年11月にリリースされた「ゲット・タフ」は翌年にかけて大ヒット、Billboard Hot 100の2位(1986年の年間31位)を記録しています。 イギリスではビリーにとって初の全英No.1に輝いた記念すべき作品であり、1999年にはアイルランドの人気男性グループのボーイゾーン (Boyzone) によってカバーされ、再び全英No.1を獲得しました。
I'm gonna make you stand and deliver 君を立ち止まらせ、想いを告げよう And give me love in the old-fashion way そして君は、“古典的な方法”で僕に愛を授ける…
【stand and deliver】には、強盗の決まり文句“止まれ! あり金を全部置いて行け”のような使い方がありますが、ここはそんな場面じゃありませんよね? 【deliver】は2行上の【river】と韻を踏むため用いたと思われるものの解釈に困る言葉であり、ここでは“〔考えなどを〕口に出して言う”を適用しました。
原題に掲げられている「When the Going Gets Tough, the Tough Get Going」は一般に “状況が厳しくなったとき、強者たちが動き出す”といった意味として英語圏でよく用いられることわざです。 ただし【tough】は“悪党・容赦がなく残忍な人”として用いられたりもするので、必ずしも良い意味ばかりで使われるとは限らないかもしれません。 フレーズの起源は、アメリカ第35代大統領ジョン・F・ケネディの父で投資家/政治家のジョセフ・P・ケネディの言葉とも、アメリカン・フットボールの名指導者クヌート・ロックニーの言葉ともいわれます。
サバイバーは1979年にデビューしたアメリカのロック・バンドで、1982年にシルベスター・スタローン主演の映画『ロッキー3』の主題歌「Eye of the Tiger」を歌い、一躍世界でも有名バンドの仲間入りを果たしました。 しかしその後、続く1983年の『制覇への野望(Caught In The Game)』は82位と全く振るわず、その上ヴォーカルのデイヴ・ビックラーが喉を傷めてしまい、一転バンド存続の危機に陥ってしまいます。
その危機を救ったのが、新たなヴォーカリストとしてバンドに加わった元コブラのジミ・ジェイミソンでした。 そんな“新生サバイバー”の試金石となったのが1984年の映画『ベスト・キッド(The Karate Kid)』のサントラへの参加で、主題歌となった「ザ・モーメント・オブ・トゥルース」は本映画の音楽担当だったビル・コンティ(「ロッキーのテーマ」でお馴染み)らの手による楽曲です。 一般にこの人気映画シリーズは、空手をテーマとしていることから『The Karate Kid』(日本では『ベスト・キッド』)のタイトルで親しまれていますが、実は本作劇場公開時のタイトルこそ『The Moment of Truth』であり、名実ともに本楽曲はテーマ曲として創作されました。
残念ながらジミがサバイバーに加入して最初のシングルとなった「The Moment of Truth」はBillboard Hot 100で63位と、チャート成績としては振るいませんでしたが、サビでみせた彼のパワフルで伸びのあるハイトーン・ヴォイスは魅力十分で、続いて発表されたアルバム『バイタル・サインズ(Vital Signs)』(「The Moment of Truth」もボーナス・トラックとして収録)以降でヒットを連発し黄金期の立役者となります。
今回「ライズ」はNBCのオリンピック・テーマに起用されていますがこれは事前の依頼を受けて創作されたものではなく、この数年来ケイティの中で温め続けられてきたものが基になっている作品です。 シングルはこの7/14にiTunesなどを通しデジタル配信され、翌15日に[KatyPerryVEVO]がオリンピックとタイアップしたPVをYoutube上で公開しました(…が、日本では7/30から視聴できなくなっており、[Vevo USA]ver.が視聴可)。 一方、ケイティ出演による「Rise」オリジナルのMVも制作されているようですが、オリンピックのプロモを優先させるためか8/1時点では部分的に編集した映像だけが公開されています。 ちなみに“リオ五輪・公式テーマ・ソング”はブラジルらしいサンバにラップを取り入れたThiaguinho and Projotaの「Alma e Coração」で、“魂と心”をテーマとした元気ソングです♪
ケイティにとって「Rise」は2014年夏の「This Is How We Do」以来約2年ぶりのシングルであり、リリースされたばかりでチャートは途中経過になりますが8/6付でBillboard Hot 100 初登場11位を記録しています。 この数字は彼女にとって3番目に高い位置でのチャート・インであるそうなので、記念すべき10曲目のNo.1に輝くのも時間の問題でしょう。