I Wish~洋楽歌詞和訳&解説

80年代の洋楽ロック・ポップス&ビートルズを中心に、歌詞の和訳と解説+エッセイでお届けします

STOP!
地球温暖化/気象災害激甚化
Lil Dicky - Earth
Lil Dicky - Earth1
Beatles & Solo
Please Please Me


With The Beatles


A Hard Day's Night


Beatles For Sale


Help!


Rubber Soul


Revolver


Sgt Pepper's


The Beatles


Yellow Submarine


Abbey Road


Let It Be


Magical Mystery Tour


Beatles(the other songs)


John Lennon


Paul McCartney


Wings


George Harrison


Ringo Starr


「アイム・オンリー・スリーピング」ビートルズ

2022.11.05

category : Beatles & Solo

The Beatles - I'm Only Sleeping (1966年)

日々寒さが募る“霜月”になると、ジョンの言い分に共感する人が急増するのではないでしょうか?

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tags : 1966年 サイケデリック 悲鳴 リボルバー 

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「スピックス・アンド・スペックス」ビー・ジーズ

2021.05.10

category : Bee Gees

Bee Gees - Spicks and Specks (1966年)

バリーが20歳で書いた作品は、齢を重ねかけがえない人生の大切さを知る人にこそ響くでしょう

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tags : 1966年 ロック/ポップ 郷愁 映画70's 小さな恋のメロディ 

comment(4) 

「黒くぬれ!」ローリング・ストーンズ

2018.08.06

category : Rolling Stones

The Rolling Stones - Paint It Black1 The Rolling Stones - Paint It Black2


The Rolling Stones - Paint It Black (1966年)



~概要~

「黒くぬれ!」はローリング・ストーンズがイギリスで1966年5月13日にリリースしたシングルで、通算6曲目の全英No.1を達成した作品です。
アメリカは同年5月6日の発売で、Billboard Hot 100で通算3曲目のNo.1(2週/年間34位)を記録、翌6月発売のアルバム『アフターマス(Aftermath)』に収録されました(UK盤には未収録)。
ローリング・ストーン誌“The 500 Greatest Songs of All Time 174位”に数えられる名曲であり、同誌の読者による“The Rolling Stones 10 Greatest Songs 3位”にも選ばれた、半世紀以上の歴史を誇るストーンズの代表曲の一つです。

1966年2月、ストーンズのオーストラリア・ツアー中のミック・ジャガー&キース・リチャーズの創作が元となった作品で、ミックはトルコ人歌手 Erkin Koray 1962年の作品「Bir Eylül Akşamı」との関連を1995年のインタビューで言及しています。
シングルとしてリリースされた当初のタイトルは「Paint It, Black」でしたがこれはオリジナルの表記ではなく、コンマ(,)が入ったのは事務側のミスであり、そのままだと“黒人にペンキを塗れと命令”しているような差別的誤解を招くため、その後コンマの入らない「Paint It Black」に改められました。


1966年3月、この曲がスタジオに持ち込まれた時まだ“ラフ・スケッチ”の状態で、演奏パートはメンバーによるセッションの中で構築されました。
当初アニマルズが1964年にヒットさせた「朝日のあたる家(The House of the Rising Sun)」のようなアレンジが模索されましたが満足するものができず、その後ビル・ワイマンがストーンズの最初のマネージャー(元オルガン奏者だった)エリック・イーストンのモノマネでオルガンを弾いてベースのリフを発見、チャーリー・ワッツも【double-time(倍テン)】のドラム・パターンでテンポ・アップさせるなど、それぞれの創意が加えられゆきます。

そして本曲に決定的なサウンドを与えたのはギタリストのブライアン・ジョーンズによるインドの弦楽器【シタール】の導入で、キース・リチャーズは“シタールを使ったことで全く違った感じの曲になった”と証言しています。
こうした経緯から、「Paint It Black」の作者が【Jagger/Richards】とされていることについて、ビル・ワイマンは自伝で“あの曲は【Nanker Phelge】とクレジットされるべきだ”と言及しました。


その独特な作風のせいか、1997年のオカルト・スリラー映画『ディアボロス/悪魔の扉(The Devil's Advocate)』(キアヌ・リーヴス、アル・パチーノ、シャーリーズ・セロンらが出演)ほか、意味深で陰のある映画やドラマに多く起用されています。
また、「Paint It Black」自体は戦争を特定した作品ではありませんが、1988年の『フルメタル・ジャケット』など“ベトナム戦争”を題材とする映画やドキュメンタリーにも起用がみられます。
その同年には忌野清志郎率いるRCサクセションがアルバム『COVERS』で「黒くぬれ!」を日本語カバーしており、これがなかなかカッコイイです♪


 
 



~Lyrics~

「Paint It Black」の歌詞は“意味深”だらけで難解なので、オリジナルの並びではなくこちらが設定したテーマ毎にまとめてみました。

I see a red door and I want it painted black
赤い扉なんて、黒く塗ってしまったらいい
No more will my green sea go turn a deeper blue
これ以上、俺の緑の海が深い青に変わることはない

ここは、“彼の異常性”について…

【赤】というと火や太陽、情熱、あるいは時代背景から共産主義をイメージさせますが、【見たくない赤】であるなら“血”も当てはまります。
この詞で最も難解な一つは【my green sea】で、[sea]とは何か、[green]が[a deeper blue]に変わることは何を意味するのか、残念ながらそれを断定できる根拠は見当たりません。


With flowers and my love both never to come back
花々も、“my love”も、もう二度と戻ることはない
I could not foresee this thing happening to you
俺は、お前の身に起きることを予見できなかった

“彼がこんな風になってしまった原因”について…

【flowers】はいかにも比喩表現ですが、かつては“美しいもの”が“複数”あったことを窺わせます。
【my love】を日本語にしなかったのは、失ったものが“心”か“人”か特定したくなかったからで、“その両方”かもしれません。
更に、もし【my love=you】であるなら、彼は“自責”を背負っていることになり、その心の【black】は相当に深そうです。


I wanna see the sun blotted out from the sky
空から消し去られた太陽…そのさまが見たい
Maybe then I'll fade away and not have to face the facts
やがて俺は消え失せ、現実の直視から解き放たれよう

“彼が、本当に望んでいるもの”について…

それは、“太陽のない世界”。
太陽は光の源であり、光が“色の多様”をもたらし、それらがほとんどない世界こそ【black】です。

【black】で占められた世界のイメージ…
夜、権威、悪、死、防衛、武勇、汚濁、有罪、炭、富裕層 など(wiki)

事実を悉(ことごと)く【black】に塗り潰すことで、
“彼”は心の内に巣食う【black(真実)】と向き合ことから逃れられる…。




~真実を覆い隠せ、Paint It Black!~

“Paint It Black!”

【真実を覆い隠したい時】や【現実逃避したい時】、人はその衝動に駆られます。
そして、今年の『第196回国会』(1月22日-7月22日)は、まさに[隠ぺい]や[改ざん]、[捏造(ねつぞう)]、[虚偽答弁]、[ご飯論法](意図的にかみ合わない答弁)、「コメントする立場にはない」(当事者なのに)、「記憶にない」、[証言拒否]…のオンパレードでした。

しかしこうした【黒塗り対応】を駆使すればするほど、その内に秘めた【Black】を自ら晒してしまうもので、これらで塗り固められた「森友学園」や「加計学園」を巡る問題についての安倍首相の説明に、国民の77%が納得していない(納得は17%)という調査結果(7/23 読売)も自明の理です。


《政府による3つの再発防止策》

こうした中、政府は国会が閉会した7月20日の閣僚会議に於いて、公文書管理の適正を確保するための『3つの再発防止策』をとりまとめました(以下は要約編集)。

管理体制や研修の強化による意識改革
「免職」を含めた懲戒処分/内閣府の独立公文書管理監を局長級に格上げ/各府省に公文書監理官
効率的に管理するための電子的な仕組み
内閣府が主導して文書を一元的に管理/作成・保存・廃棄・移管を一貫して電子的に行う)
決裁文書の管理のあり方見直し
(決裁文書の事後修正は認めず、修正する場合は決裁を取り直す)

政府の再発防止策を拝見した感想を一言で表すなら、“非常に欺瞞的”です。
まず、本策の一番のポイントは【内閣府主導】ですが、「内閣府」は加計学園問題への関与に嫌疑のある組織であり、「内閣府の長」は数々の問題で嫌疑のある安倍首相です。
そのような部署に「公文書や官僚に対するチェック管理の権限を一元的に集約させる」というのですから、本当の目的は「安倍首相の名前を書く不埒者が二度と現れないよう内閣府が監視を強化」することにあると考えられます。

第二に、の「決裁文書の事後修正は認めず」は本来当たり前の話であり、後半は「決裁を取り直せば“改ざん可能”」と受け取れます。
本策のきっかけとなった財務省の決裁文書改ざんは「政治家または上司の指示による組織的な不正」が原因であり、こうした「組織的な不正」に対する再発防止策は全く示さず、むしろわざわざ“お墨付き”を与えている印象が否めません。


《公文書について官僚の常識》

元経産省官僚の古賀茂明氏によると、官僚の常識として
「公文書は非公開が原則」として作成され、
「公開が避けられない公文書は問題のない内容だけを記すか黒塗りで対処」、
「絶対に公開できない情報は個人的なメモ扱いとし、公文書としては存在しないことにする」
「公開する場合もなるべく時間をかけて出す
という基本原則があるそうです。

公文書は公的機関が「行政の意思決定した過程や結果の記録」である一方、「自らが犯したミスや不正の証拠」となり得るものです。
このため公権力を行使する者にとって、それは「いつ破裂(糾弾)するか知れない爆弾」であり、「危険な信管(不都合な証拠)は外しておきたい」心情下にあることは想像に難くありません。
さすがに決済後の改ざんは容易ではないため、“賢者”は「最初から信管は外しておく(記録に残さない)」でしょう。
つまり、森友事件の近畿財務局のように安倍首相や麻生財務相ら10人の国会議員と安倍昭恵・首相夫人ら政治家関与の痕跡を残した公文書こそが彼らの常識では“あり得ない”のであり、問題行為と認識されているはずです。


《“詳細すぎる決裁文書”は非常識?》

そもそも森友問題が発覚したのも、豊中市議の木村真氏が当該地の『国有財産有償貸付合意書』『売買契約書』の写しを請求した際、金額と一部の条件が全て黒塗りにされたものを渡され、過去の国有地売買の随意契約の案件を調べても非公開だったのは森友1件だけだったことから不正を直感し、追及を始めたのがきっかけでした。
そして「なぜ森友が異例の待遇を受けたのか」の核心を指し示してくれたのが、不本意な文書改ざんを強いられ事件発覚後亡くなった財務省近畿財務局職員が作成した安倍昭恵・首相夫人など政治家の名前まで記述した“詳細すぎる決裁文書”です。

通常、政治家の関与は公文書に残さないのが官僚の常識ですが、一般常識からすると間違っているのは官僚の常識の方に思えます。
一般常識に則って考察するなら、公文書は原資を出している国民の財産であり、同じ理由で国民の利益に資するのが公務員の責務です。
公文書の最も重要な目的は“(健全な民主主義の根幹を支える)国民への説明”なのですから、国民が真実を描ける“記録(ドキュメント)”でなければならないはずです。
自らに障りのない事実だけを並べ、政治家や官僚に不都合な事実を省いた“”物語(ストーリー)”を、国民は求めてはいません。



~Epilogue~

『公文書管理法』の理念

この国の『公文書管理法』は「公文書」について“健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源”と位置づけ、“現在及び将来の国民に説明する責務が全うされるようにすることを目的とする”としています。

公文書管理法の制定に取り組んだ、福田康夫元首相の言葉

“正しい情報を入手することができるのは、民主主義の原点。入手できないと、国民は正しい判断ができない。結果、悪い判断によって悪い政治家が誕生してしまうことがある。
憲法だって、「アメリカ人が作った憲法だ」「日本人が提案していたんだ」などいろんな話がある。もっと立法過程が明らかになっていれば、そんなつまらない議論をしなくても済む
真実を示す資料がなければ、声のでかいのに、だまされちゃう”

この話は、今国会での数々の空しい議論を思い出させます…。
例えば加計学園問題で、柳瀬秘書官(当時)が加計学園側と官邸で面会していたことを記録した愛媛県職員作成文書が出てきた際、柳瀬氏の「記憶の限り会っていない」が何故か通用してしまうことで、その根拠とされた一つが「入邸記録で面会が確認できなかった(つまり面会した証拠はない、と…)」というもの。
菅義偉官房長官が「入邸記録は業務終了後速やかに廃棄される取り扱い」(つまり1日で廃棄)と答弁し、私は本筋よりこっちの方が驚きました(自衛隊日報と同様、本当は廃棄していない。菅氏は虚偽答弁。1日で廃棄したら自分たちが仕事で困る!)。
記録が残っていればそれで終わる話なのに、“あるべき記録が無い”ため水掛け論に終始し、みんな真実は分かっているのに証拠不十分のまま時間切れ…という茶番を、何度見せられたことでしょう。

“健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源”…


公文書は、“支配者”から国民の主権と人権を守ってくれる大切な“楯”です。

監視カメラは直接悪人を捕まえるものではなくても、その行動を録画する機能によって彼らを自重させ、一定の犯罪抑止効果を果たします。
公文書もこれと同じで、公権力の行使を一部始終正しく記録することで彼らも自重し、権力の腐敗を抑止することができるのです。ただし…

I look inside myself and see my heart is black
この胸の内を覗き込むと、心までも黒

公文書はスター・ウォーズの「ジェダイ」と似ていて、行使者の「フォース」次第で「暗黒面(Dark side)」に陥り易いものです。
行使者をダークサイドに陥らせないためには、私たちが常に「光明面(Light side)」の目でその行使を見守り、ライトサイドの心で“ジェダイ(全体の奉仕者/代議士)”を選ぶ以外にありません。


善を行なうには努力を必要とする。
しかしながら、悪を抑制するにはいっそうの努力が必要だ
  レフ・トルストイ



「黒くぬれ!」


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tags : 1966年 偉大な曲 ラーガ  難解  

comment(6) 

「タックスマン」ビートルズ

2018.02.16

category : Beatles & Solo

Beatles - Taxman1 Beatles - Taxman2


The Beatles - Taxman (1966年)



~静かなるビートル、「Taxman」にもの申す~

【確定申告】の時節となりました(~3月15日)。

確定申告には収入金額や必要経費などを詳細に記した帳簿類に加え、それらを裏付ける膨大な納品書や領収書などの書類を添えて税務署に提出する必要がありますが、今年は森友事件の交渉記録に関係する内部文書を、国会で“売買契約締結をもって事案は終了 / 記録が残っていない / 事業終了で廃棄”と説明した佐川宣寿(のぶひさ)氏が国税庁長官を務めているため、初日から同庁が大勢の市民に包囲される異常事態となっています。
国税庁のHPでは、申告者に対し【帳簿書類は5~7年間保存する必要あり】としていますが…

でも税に対しては、ビートルズも一言言いたいことがあるようで…。



~概要~

「タックスマン」は1966年8月5日に発売されたビートルズ7作目のイギリス盤公式オリジナル・アルバム『リボルバー(Revolver)』に収録されている作品です。
作詞・作曲はジョージ・ハリスンで(通算6作目)リード・ヴォーカルもジョージ、ジョン・レノンとポール・マッカートニーがコーラスを務めています。
一方そのためかジョージはリズム・ギターを担当(ジョンはコーラスとカウベル)、ベースのポールがリード・ギターを掛け持ちししており、ここでのポールのギター・プレイをジョージも“インド風で満足している”と評しました。

ジョージは同年に始まったアメリカのドラマ『バットマン』の大ファンで、ニール・ヘフティ(Neal Hefti)の主題曲「Batman Theme」から着想を得て「Taxman」の創作を始めました(タイトルからして…モロ!)
目一杯働いて目一杯稼いだお金の殆んどを税金として持っていかれることにショックを覚えたジョージは「Taxman(収税吏)」をテーマとする構想を思いつきますが、一人では全うできずジョンに助けを仰いで完成させています。
その時の経緯について、ジョンは“ジョージに電話で助けを求められ、気の利いたアイデアをいくつか投げ入れてやった”と、1980年にプレイボーイ誌のインタビューで語っています。

「Taxman」のマスターはテイク12ですが【Aahh Mr. Wilson / Aahh Mr. Heath】の歌詞(コーラス部分)は、直前のテイク11で【Anybody got a bit of money?(誰か少しカネ持ってない?)】だったのが改められたものであり、これにエンディングのギター・ソロが追加され完成に至っていることを考えると、このちょっとした歌詞の変更が重要な意味を持っていると思われます。
また、本曲はビートルズのコンサートで演奏されることはなかったものの、1991年にジョージが日本だけでエリック・クラプトンとのジョイント・コンサートツアーを行った際に披露されており、ここではこの部分のコーラスに【Mr.Bush(当時のアメリカ大統領)】の名を紛れ込ませて歌っていました。


 
 



~Lyrics~

Let me tell you how it will be
これからの仕組みについて、ご説明いたしましょう
There's one for you, nineteen for me
あなたが1なら、私は19

当時イギリスでは通貨 1 ポンド = 20シリングであったため(1971年2月から10進法に移行)、20進法的な表現となっています。
つまりは【あなたが5%、私が95%】ということですが…
95%も税金で持っていかれるってコト!?

イギリスでは1964年から社会保障の充実に重点を置く労働党が政権に就いていたため、累進課税を布き富裕層に対して非常に高い税を課していました。
ビートルズは同年からアメリカでも大成功を収めトップクラスの高所得者となっており、[ふんだくられる側]になって初めてその恐ろしさに気づき、歌で不満を訴えたというワケです。


Don't ask me what I want it for (Aahh Mr. Wilson)
何のためお金を必要とするか、問わないことです
If you don't want to pay some more (Aahh Mr. Heath)
それ以上お支払いなされたくないなら

ビートルズの稼ぎを95%持っていったのが当時の労働党ハロルド・ウィルソン政権で、ジョンとポールが茶化すようにコーラスを入れている【Mr. Wilson】とは、この人です。
一方の【Mr. Heath】は、当時野党第一党であった保守党のエドワード・ヒース党首。
ビートルズは貧しい労働者階級出身なので恐らく元々は労働党支持層だったと思うのですが、お金持ちになると…?

それまで【Anybody got a bit of money?(誰か少しカネ持ってない?)】という収税吏への皮肉に過ぎなかったフレーズを、時の政治家の名前に変更することで背後に潜む【政治家こそがその主犯】であることを焙り出すようで面白みが増した気がします。


Now my advice for those who die
…それと、お亡くなりになられる方へのご忠告です
Declare the pennies on your eyes
目の上のペニーも、ご申告なさいますよう

戦国武将・真田幸村の家紋[六紋銭]は【三途の川の渡し賃(冥銭)】として有名ですが、これは死者と共に副葬品として金銭を納棺する風習に基づいています。
西洋にもギリシア神話に由来して硬貨を死者の口の中に含ませたり、瞼(まぶた)の上に置いて埋葬する冥銭の風習があるそうです([Penny]は英国ポンドの下位通貨)。

前項のとおり「Taxman」にはジョンの助力があるとされますが、それにしてもこのラインをはじめその他の言葉の端々に散りばめられた[ツッコミのキレとえげつなさ]は、ジョージというよりむしろジョンのそれを感じさせます。



~Epilogue~

私たち国民の、国など公共サービスへの義務的な公的負担は、[税金]以外にも[社会保障・保険料]があります。
この2つを合わせた国民所得に対する比率を【国民負担率】といい、日本は特に巨額の[財政赤字]によってサービスを維持しているのでこの3つを合わせた【潜在的国民負担率】を考慮する必要があり、その数値は平成29年度で49.4%です《写真;左》。
つまりビートルズのように95%とまではいかなくとも、私たち普通の国民でさえ税や保険料という名目で【所得の約半分を国や自治体に納めることを義務付けられている】…ということになります。
(※年金などは後で払い戻される)

Beatles - Taxman4
財務省HPより

こうした政府の会計のうち税金や国債を財源とする[一般会計]は国会の審議・議決を経て行使されますが、年金・医療などの公的保険や手数料などを財源とする[特別会計]は議員でさえその詳細を理解できておらず、国会の審議も不十分なまま各省庁と与党政治家の自由裁量で使い道が決められているとさえいわれます。
しかも2016年度の歳出《写真;右》をみてみると一般会計43.1兆円(純計)に対し特別会計は201.5兆円(純計)で、約4.7倍もの規模の違いがあり、こうした飽満財源に基づくムダ遣いの実情を塩川正十郎財務大臣が“母屋でおかゆをすすっている時に、離れですき焼きを食べている”と表現(2003年)したことをご記憶の方も多いでしょう。

まさにこうした不合理への民衆の怒りこそ民主党政権を生んだ原動力であり、当時はメディアでもグリーンピアなど全国に次々と建設される無駄なハコモノ施設や優雅な役人の天下り生活など特別会計の問題点を報道しました。
しかし第2次安倍政権発足以降こうした政府と官僚によるムダ遣いを問う姿勢は次第に消え失せ、最近では不正追及どころか国会中継や政治ニュースさえ大幅に縮小され、まるで国民の関心を政治以外に向けようとしているかのようです。

しかしたとえメディア統制し、私たちの耳目に情報が入らなくなったとしても、国民のお金の不適正支出が無くなったわけでは全くありません



“佐川国税庁官は、【適材適所】”

安倍首相の発言は、この政権の今後の方向性を示す重要な意味を内包しています。
言うまでもなく森友学園問題は安倍昭恵夫人がらみの案件であり、加計学園は腹心の友、女性ジャーナリスト準強姦もみ消し疑惑/スパコン事件は[安倍首相にもっとも近いジャーナリスト]と呼ばれる人物の関与が疑われる事案です。
しかし1年経ってもこれらの解明が一向に進まないのは、当事者である政治家と官僚が証拠を公表せず口をつぐみ、内部告発を[怪文書]で押し通し、警察・検察が首相に及ばない[忖度捜査]に徹しているからです。

国民の非難の矢面に立ち主君を守った佐川理財局長は安倍首相の恩人であり、彼をどう処遇するかで全官僚が首相に付くか国民に付くかが決まります。
安倍首相からの返答は【佐川国税庁官】という昇進であり、昨年夏の内閣改造に於いてこれまで政治家のポストだった【内閣人事局長(官僚人事を統括)を官僚出身の杉田和博官房副長官】に初めて与えることでした(但し、安倍人事が最優先であることは変わらないだろう)。
また、文科省の天下り規制違反摘発で懸念された官僚の天下り規制強化も、昨年12月の全省庁に亘る追跡調査で内閣府が天下り容認するメッセージを出したことは、彼らを安堵させたはずです。
(※実情は、今も毎年大量の官僚が天下りしているらしい)


安倍首相は官僚の秘密厳守の下、安心して次なるドリルで岩盤に穴を開けて利権を発掘し
官僚は政府の庇護の下、安心して企業と癒着し優良な天下り先を獲得
…これぞまさに[win-win]!

 まずは【残業代ゼロ法案】で、“労働者使い放題”♪
 そして来年は【消費増税10%】で、“税金使い放題”♬


彼らの“使い放題”のツケを払わされるのは、誰?


Cos I'm the taxman, yeah I'm the taxman
…何故って? 私こそTaxman、税を取り立てる側の人間
And you're working for no one but me
他の誰のためでもない、あなたは私のために働いているのだよ


Beatles - Taxman3


政府が築くべきは、若い芽が臆することなく真っすぐ初心を遂げられる社会です。



「タックスマン」


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tags : 1966年 ガレージ・ロック ギター プロテスト リボルバー  

comment(8) 

「エリナー・リグビー」ビートルズ

2017.09.01

category : Beatles & Solo

Beatles - Eleanor Rigby1 Beatles - Eleanor Rigby2


The Beatles - Eleanor Rigby (1966年)



~「エリナー・リグビー」のオリジナル・スコアがオークションに!~

ビートルズ屈指の美曲「エリナー・リグビー」のオリジナル・スコアが、9月11日のオークションに出品されることになりました。
競売はビートルズの出身地リヴァプール近郊のウォリントンで行われ、約280万円程の落札額が見込まれているそうです。

「エリナー・リグビー」の楽曲自体のクレジットはご存知【Lennon–McCartney】ですが、弦楽八重奏を起用しているため編曲はプロデューサーのジョージ・マーティンが担当し、鉛筆で手書きしたスコアにはマーティンとポールが署名を入れています。
今回の競売では他にも「エリナー・リグビー」にまつわる出品が予定されており、主催者は“世界中で激しい争奪戦になるはず”と息巻いているそうです。



~概要~

「エリナー・リグビー」は1966年8月5日にイギリスでリリースされたビートルズの13枚目のオリジナル・シングル(「Yellow Submarine」と両A面)で、同日発売の7thアルバム『リボルバー(Revolver)』に収録されました。
シングルとしてイギリスではNMEで4週/MMで3週No.1に輝き、アメリカではB面扱いとなったもののBillboard Hot 100で11位を記録、2004年にはローリング・ストーン誌【The 500 Greatest Songs of All Time 137位】にもランクされています。

作者はポールでお得意の“物語風”を展開させていますが、歌詞のアイデアが煮詰まって自己完結できず他のメンバーらにアイデアを出してもらって完成させたようです(詳細別項)。
リード・ヴォーカルはポールで、本曲の歌唱により1966年のグラミーで【Best Contemporary Pop Vocal Performance, Male】を受賞しました。
一方、コーラスにジョン・レノンとジョージ・ハリスンが参加した以外、演奏についてビートルズは一切関与しておらず、このためリンゴ・スターは全く出番がありませんでした。

本曲は「Yesterday」に続いて二度目の本格的ストリングス編成曲ですが、こうしたクラシック志向には当時の恋人であるジェーン・アッシャーの存在が大きく影響を与えています。
ジェーンのお母さんはロンドンの名門ギルドホール音楽演劇学校の教授で、ジョージ・マーティンにオーボエを指導した人であり、当時アッシャー宅に住み込んでいたポールも彼女からクラシック音楽やその知識を授かっていました。
「Eleanor Rigby」はそんなアッシャー宅の地下の音楽室にあるピアノから生まれた曲であり、ポールがジョージ・マーティンに編曲を依頼した際“(アントニオ)ヴィヴァルディ風の弦楽八重奏”と注文をつけた知識も、その産物だったのです。
こうした経緯から生まれたのがヴァイオリン4/ヴィオラ2/チェロ2本という、ビートルズ作品中でも極めて特徴的な音の響きでした。

しかし、「Eleanor Rigby」の特徴的な音の響きは弦楽八重奏だけではありません。
通常のステレオは、左右2つのスピーカーによって実際そばで演奏を聴いているような音に近づけるものですが、『リボルバー』に収録の(オリジナルの)「Eleanor Rigby」では基本的にポールのリード・ヴォーカルは右チャンネルに、コーラスは左チャンネルに、ストリングスは左右両方(中央から聴こえる)に分別され入っており、特にヘッドホンを使うとそれぞれの切り代わる独特な音の感覚を楽しむことができるでしょう。
ただし、後年リミックスが施された「Eleanor Rigby」メイン動画はこの音源)は音質がクリアになっている反面、全ての音が中央から聴こえる普通のステレオ形式に変更されているので、ファンとしては微妙な所です…。

ビートルズ時代を含め「Eleanor Rigby」は長年封印されていた作品でしたが1984年、ポールは自作映画『ヤァ!ブロード・ストリート(GIVE MY REGARDS TO BROAD STREET)』で本曲を初めて再演、その際「エリナーの夢(Eleanor's Dream)」というインストゥルメンタル曲を新たに創作しメドレーとしています。
また、ライブとして最初に披露されたのは1989年9月からのワールド・ツアーで、ビートルズ時代には不可能とされたストリングスの音をキーボードで再現し、ファンを歓喜させてくれました。

カバーはジョーン・バエズ、ヴァニラ・ファッジ、アレサ・フランクリンなどが有名ですが、私は何といってもレイ・チャールズ
彼は1968年に「Eleanor Rigby」をカバーしBillboard Hot 100で35位とヒットさせ、1990年にポールが“グラミー特別功労賞生涯業績賞”を受賞したステージで本曲をトリビュート演奏したことで、とりわけインパクトを残しました。


 
 



~Lyrics~

Ah look at all the lonely people
すべての孤独な人々について考える…

【孤独】という物語の展開に行き詰ったポールは他のメンバーや、ジョンの家に遊びに来ていた元クオリーメンのピート・ショットンに相談を持ちかけており、このラインはジョージ・ハリスンのアイデアだといわれます。
ジョンは1971年に“歌詞の半分以上は僕が書いた”、1980年には“最初のヴァース以外全部僕が書いた”と発言していますが、ポールは“ジョンにはいくつかの言葉を助けてもらったけど、8割は僕が書いた”、ピート・ショットンは“ジョンの貢献は0”と、認識に差異があるようです。

ジョンの“全部僕が書いた”やピート・ショットンの“ジョンの貢献は0”はそれぞれ余りに極端で、不自然さが感じられたため少し掘り下げてみたところ、話し合いの中で「Eleanor Rigby」の結末についてピート・ショットンが“最後はマッケンジー神父がエリナー・リグビーの葬儀を取り仕切る”と提案したのに対し、ジョンはそれを反対するなど意見を異にしており、結果的にポールはピートの意見を採用したため、ジョンはプライドを傷つけられたのではないでしょうか…?
ただ、【孤独】は明らかにジョンの得意とする分野であり、彼は少なからずこの作品に対し“思い入れ(執着)”があったと思うので、“ジョンの作詞による「Eleanor Rigby」”も味わってみたかった気もします。


Eleanor Rigby, picks up the rice
エリナー・リグビーは米を拾う
In the church where a wedding has been
結婚式後の教会

ポールは最初【Miss Daisy Hawkins】の名を思いついたものの満足できず、映画『Help!』で共演した女優【Eleanor Bron】から[Eleanor]を、1966年1月に舞台公演中のジェーン・アッシャーに会うため訪れたブリストルで見掛けた酒店【Rigby&Evens Ltd】から[Rigby]を取って【Eleanor Rigby】としました。

エリナー・リグビーの人物設定についてポールは“何もかも上手くいかないオールド・ミスの掃除婦”としているようで、ライス・シャワーを浴びて若いカップルが人生最良の日を謳歌した宴の後始末を、オールド・ミスが行うというのは何ともせつないものがあります…。


Father McKenzie, writing the words
マッケンジー神父は言葉を綴っている
Of a sermon that no one will hear
誰の耳に届くこともない説教を

一方こちらは最初【Father McCartneyとしたものの、ピート・ショットンに“ポールの実父と誤解されるので変えた方がいい”と指摘され、電話帳を調べて【McKenzie】に決めたそうです。
また、このラインと[靴下を繕う]というアイデアを出したのはリンゴ・スターともいわれます。
確かに、社会的地位も高いであろう年代の男性が独り靴下を繕う姿というのは、侘びしさをかき立てますが…。
(俗人はともかく、そのくらい物を大事にして安易に他力を頼まない高潔さこそ、聖職者の本来あるべき姿?)

ちなみに【Father McKenzie】には[ハザマケンジ]の空耳があり、[ミッキー・マッケンジー(Miki McKenzie)]は水谷豊の最初の奥さまです。 



~Epilogue~

…ところで、この作品には不思議なエピソードがあります。

【Eleanor Rigby】は1966年にポールが架空の人物として創作した名前ですが、ジョンとポールが初めて出会ったリヴァプールのセント・ピーターズ教会、そのウールトン共同墓地の中に【Eleanor Rigby】の名が刻まれた墓石《写真・左》が、1980年代になって発見されたというのです!
どんな名前も、世界を探せば大抵[同名異人]が見つかるものですが、ポールの出生地(ウールトン)、しかもジョンとの運命の出会いがあった場所でそれが見つかるという偶然…?
ちなみに、ポール本人は近年も基本的に“Eleanor Rigbyは架空の人物”という立場を通している一方、現実との奇妙な一致について“無意識のうちに影響を受けたかもしれない”とも言及しています。

Beatles - Eleanor Rigby3 Beatles - Eleanor Rigby4
 右は「Eleanor Rigby」をモチーフとして、1982年にスタンリー・ストリートに設置されたエリナー・リグビーの銅像。


では墓地に埋葬されたEleanor Rigbyさんとは、一体どんな生涯を送った人なのでしょうか?

墓石の記録によると彼女は独り身ではなく既婚者で、1939年に44歳で亡くなっています。
別の情報によると彼女はリヴァプールの病院で働いていた経歴があり、私は1956年に47歳で亡くなったポールのお母さん(ウールトン病院の元看護師)の生涯との類似を感じました。
ポールはこの時14歳、母を亡くした悲しみはもちろん、それまで涙を見せたこともなかった父が大泣きしている姿に衝撃を覚え、本当に大変なことが起きたのだと悲しみを深くしたそうです。
もしも母を亡くして間もないポールがこの墓と出あっていたなら、きっとその事を思い出さずにいられないでしょう。
ポールが【Eleanor Rigby】に込めた想い、そして当初なぜ【Father McCartney】を登場させようとしたのか、彼の心に少し近づけたような気がします。


All the lonely people
孤独なるすべての人々
Where do they all come from?
それは、何処からやって来るのか…

人は、誰もが孤独なものである。
そして、かけがえないものを失った時、その宿命を識る。
暗闇があるからこそ、光を求め彷徨(さまよ)う。
“生きる”とは、後戻りできないその闇を“時間切れ”まで前に進むこと…。



「エリナー・リグビー」


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tags : 1966年 偉大な曲 バロック 物語 美しい グラミー リボルバー 

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