I Wish~洋楽歌詞和訳&解説

80年代の洋楽ロック・ポップス&ビートルズを中心に、歌詞の和訳と解説+エッセイでお届けします

STOP!
地球温暖化/気象災害激甚化
Lil Dicky - Earth
Lil Dicky - Earth1
Beatles & Solo
Please Please Me


With The Beatles


A Hard Day's Night


Beatles For Sale


Help!


Rubber Soul


Revolver


Sgt Pepper's


The Beatles


Yellow Submarine


Abbey Road


Let It Be


Magical Mystery Tour


Beatles(the other songs)


John Lennon


Paul McCartney


Wings


George Harrison


Ringo Starr


「偉大なる詐欺師」キング・クリムゾン

2023.10.04

category : King Crimson

King Crimson - The Great Deceiver (1974年)

動と静が起伏する即興演奏、それに交差する謎多き歌詞…秋の夜長は知的好奇心を楽しむ好機です ♪

《すべての記事を更新》いたしました。【続きはこちら>>】をクリックしてご閲覧ください。


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tags : 1974年 プログレ 難解  宗教  

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「天使のささやき」スリー・ディグリーズ

2016.06.10

category : 1970年代

Three Degrees - When Will I See You Again1 Three Degrees - When Will I See You Again2


The Three Degrees - When Will I See You Again (1974年)



~世界で最も長期間活動を続けている女性ヴォーカル・グループ~

6月21日から、“天使のささやき”スリー・ディグリーズの日本公演がスタートします。
スリー・ディグリーズは1963年に結成され、“世界で最も長期間活動を続けた女性ヴォーカル・グループ”としてギネス認定されている3人組です。
今回参加のメンバーはヘレン・スコット(1963-66,76-)、ヴァレリー・ホリデイ(1967-)、フレディ・プール(2011-)の3人で、近年ライブハウス・レストラン『KENTO'S』などを含め日本で最もパフォーマンスを披露している海外スターといってもよいのでしょう。

50年以上のキャリアを重ねた大ベテランであるだけでなくそのパワーも衰え知らずで、日本馴れしているせいか“モウイチド!”と観客の方がハッパをかけられていますよっ! 





~概要~

スリー・ディグリーズのデビューは1965年ですが、本格的に運が巡ってきたのはそれから8年が経った1973年、フィラデルフィア・インターナショナル・レコード(PIR)に移籍してからのことでした。
このレーベルはアメリカの作曲者ケニー・ギャンブルとレオン・ハフ(ギャンブル&ハフ)が1971年に創立した会社で、彼らの創り出す音楽はソウル・R&Bをストリングスなど導入してソフトで都会的な“フィラデルフィア・ソウル(フィリー・ソウル)”へと進化させ、1970年代前半に一世を風靡しました。


「天使のささやき」は、1973年に発表した3rdアルバム『The Three Degrees』の収録曲(PIR移籍後最初)で、この時のメンバーはシーラ・ファーガソン、フェイエット・ピンクニー、ヴァレリー・ホリデイ(2016来日メンバー)という顔ぶれでした。
翌年2月、ギャンブル&ハフはアメリカの音楽番組『ソウル・トレイン』のテーマTSOP (The Sound of Philadelphia)」を作曲しソウル・バンドMFSBに演奏させていますが、そのコーラス・パートにスリー・ディグリーズが起用され、これが4月にBillboard Hot 100でNo.1に輝いています。

その興奮冷めやらぬ同年6月、スリー・ディグリーズは『第3回東京音楽祭』に参加するため来日し「天使のささやき」を披露、“金賞”受賞によってラジオ各局でNo.1を獲得しシングルも11.3万枚を売り上げました。
(グランプリはルネ・シマールの「ミドリ色の屋根」

しかしこの日本での思わぬ大ヒットが欧米でその評価が見直されるきっかけとなり、9月にシングル「When Will I See You Again」がリリース、アメリカではHot 100で2位(1975年の年間75位)/Cash Box誌No.1を記録。
イギリスでは週間No.1に止まらず年間2位というこの年を代表する大ヒットとなり、1978年にはチャールズ皇太子の30歳の誕生日を祝う式典にスリー・ディグリーズが招かれこの曲をパフォーマンスしました。

もう一つ忘れてならないのはスリー・ディグリーズ自身が「天使のささやき」の日本語ver.をリリースしていることで(作詞;白井章生)、キャンディーズや桜田淳子小泉今日子らがこれをカバーしています。
また、オリジナルの英語ver.をザ・ピーナッツや弘田三枝子らがカバーしました。

 
 



~Lyrics~

When will we share precious moments?
二人で大切な瞬間を分かちあうのは、いつ?

ギャンブル&ハフがハロルド・メルヴィン&ザ・ブルー・ノーツに楽曲提供した「二人の絆(If You Don't Know Me By Now)」(過去ログ)は、互いを知り尽くしたパートナーが熟慮の末に別れを切り出すという“積年の重み”を感じさせる作品でしたが、「天使のささやき」はとてもシンプルで初々しさに溢れています。

そのせいかケニー・ギャンブルがピアノで「When Will I See You Again」を彼女らに紹介した時、この曲のリード・ヴォーカルを務めることとなるシーラ・ファーガソンは“こんな誰でも歌える簡単な曲なんて、歌わない!”と、憤慨したそうです。
しかし何百万という大ヒットを遂げ自分たちにとって大切な作品となった後、シーラは“彼の方が正しかった”と自らの過ちを認めています。


Will I have to wait forever?
…ずっとずっと待たされる?

このフレーズは最もこの女性のかわいらしさを伝えていると思うので、“そんな表現”にしてみました。

「When Will I See You Again」の特筆すべき一つは“全文疑問文”で構成されていることで、そのため訳し方によっては“いつまで待たされるの?”と相手を問い詰めているようなニュアンスを与えてしまい兼ねません。
でも曲の雰囲気からは、“そういう趣旨”が込められた歌ではないことがすぐに理解できるはずです。
…なので一つひとつは簡単に見えるこの疑問文の羅列が、詰問になってしまわぬよう日本語表現には案外苦心させられました。


Is this my beginning or is this the end?
私にとって、これは始まり? それとも…

二人は、出逢ってまだ日が浅いのでしょうか…
ふと、中村雅俊主演のドラマ『俺たちの旅』のエンディングに毎回流れる「ただお前がいい」(作詞;小椋佳)の、
“また会う約束などすることもなくそれじゃまたな と別れるときのお前がいい”のフレーズが思い浮かびました。

いちいち約束を交わさなくとも、“また必ず会える”とわかっている安心感…
そういう繋がりってごく当たり前のようでいて、大人になるほど貴重であるように思えます。



~Epilogue~

今回初めて知ったのですが、『天使の囁きの日』という記念日があることをご存知でした?
1978(昭和53)年[2月17日]、北海道幌加内町で氷点下41.2℃という日本最低気温(※非公式)が記録された“極寒の地”のイメージをプラスに変えようと、空気中の水蒸気が凍ってできる“ダイヤモンドダスト⇒天使の囁き”として1994年に同町の[天使の囁きを聴く会]によって制定されたそうです。


…さて、それにしても何で本作品の邦題は「天使のささやき」??
原題の「When Will I See You Again」をはじめ、Lyricsには[angel]も[whisper]もありません。
『The Three Degrees』のレコード・ライナ-を見てみると彼女らの売り文句には“フィラデルフィアのセクシー・エンジェル”と掲げられており、「When Will I See You Again」冒頭の彼女らの悩ましい【Oooooo, haaa...】がこれを象徴するでしょうか…。

でも、どんなに愛らしかろうとも彼女たちは決して[angel]ではありません!
なぜなら、グループの名前である【The Three Degrees】は
“Man, woman, and devil, are the three degrees of comparison.”
(男-女-悪魔は、比較の三段階変化)

…という英語のことわざに由来したものであるからです。
つまり悪魔を最上級の[worst]とすると、女性は比較級の[worse]、男性は原級の[bad]という順列であり、“女性は、男性より悪魔に近い存在”であることを意味しています。
このことから、彼女らが目指したのは純真無垢な“エンジェル”ではなく、セクシーな魅力で男性を虜にする“小悪魔”だったといえるでしょう。

…そういえばスリー・ディグリーズと同じ女性3人組の人気者キャンディーズが、1977年にそれまでの“天使系”から“小悪魔系”へイメージ・チェンジして話題となった「やさしい悪魔」という作品がありました。
ここでの“やさしい悪魔”は女性(自分)ではなくお相手の男性を指しているわけですが、彼については歌中で
【My sweet little Devil】とも言い替えています。

When will I see you again?
あぁ…今度あなたに会えるのは、いつ?

あなたがささやかれたいのは、、“天使”? …それとも、“小悪魔”? 



「天使のささやき」


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tags : 1974年 フィラデルフィア・ソウル 日本で人気 

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「美しすぎて」ジョー・コッカー

2014.12.26

category : 1970年代

Joe Cocker - You Are So Beautiful1 Joe Cocker - You Are So Beautiful2


Joe Cocker - You Are So Beautiful (1974年)



~ジョー・コッカー死去~

映画『愛と青春の旅だち』の主題歌で有名なイギリスの歌手ジョー・コッカーが12月22日、肺がんのため亡くなりました(病名は正式には未公表/享年70)。
古くからの友人であるポール・マッカートニーは“ジョーが亡くなったと聞き、本当に悲しい。彼は愛すべき北の男(出身はシェフィールド)で、多くの人々同様、僕は彼の歌が大好きだった”と偲び、ベット・ミドラーも“一つの時代のサウンドのひとかけらを失った”と悼みました。

今回はジョー・コッカーへの追悼を込めて、彼の美しい作品をお届けします…。



~概要~

ジョー・コッカーの“前職がガスの配管工”というのは有名なハナシですが、彼がビートルズに所縁の深い人物であることも、また然り。
何せ1964年のデビュー曲「I'll Cry Instead」から「With a Little Help from My Friends」(過去ログ)「Something」(過去ログ)、「She Came In Through the Bathroom Window」と、60年代にメンバー全員の持ち歌を制覇(カバー)している程ですから。
しかも、メンバーに直接“楽曲のおねだり”もできる間柄でした!

1974年には4thアルバム『I Can't Stand In The Rain』を発表、「美しすぎて」はその2ndシングルでBillboard Hot 100で5位(1975年の年間65位)を記録し、デュエット曲「愛と青春の旅だち」を除けばアメリカで最も成功した作品です。
また、ジョー・コッカーの「美しすぎて」は1993年にアル・パチーノの主演映画『カリートの道』の主題歌として起用され、日本ではジョーを含め複数のバージョンで数多くのCMパーラメント/TDK/ホンダ...etc.)”に使われたので、ご記憶の方もあるのではないでしょうか…。



作者は、これもジョージ・ハリスンの友人でありビートルズの「ゲット・バック」(過去ログ)のエレクトリックピアノの演奏でも有名なビリー・プレストン(&ブルース・フィッシャー)で、クレジットには表記されていませんがザ・ビーチ・ボーイズのデニス・ウィルソンが関与しており、彼自身もライブで何度も歌っています。

ジョー・コッカーの、ハスキーというより“ガラガラ声”と表現した方がぴったりくる武骨な声と、甘いバラードの組み合わせはまるでポテトチップにチョコレートをかけた“ロイズ”のギャップのようですが、“クセになる味わい”もまたそれと同様です。
そんな塩辛いジョーの歌声にかかっているのが、甘くやさしいピアノの調べ…。
演奏しているのはこれまたビートルズの「レボリューション」のセッションに参加したUKロック界当代一のキーボード・プレイヤー、ニッキー・ホプキンスです。
私はこのようなゆったりしたやさしいピアノの曲が大好きで、過去ログでいえばエア・サプライの「あなたのいない朝」バリー・マニロウの「夜のしじまに」あたりがオススメ♪



~Lyrics~

「美しすぎて」は作者の一人ビリー・プレストンが1974年のアルバム『The Kids & Me』に収録したのがオリジナル。
ビリーによると教会のオルガンから発想を得て、当初“作品のメッセージは神に向けられたもの”だったそうです。

オリジナルは5分弱の長い作品であるのに対しジョーのバージョンは2分40秒程とかなり短く、実質わずか4行の内容だけに焦点を当て2度繰り返して歌っているので、“You are so beautiful to me”のフレーズが歌詞全体の半分を占めています。
これをそのまま直訳して表記すると“君はとても美しい”だらけになってしまうため、今回の和訳では同じ英文は言葉を換えて表現したり創作になっていたりすることをご了承ください。


Such joy and happiness you bring
君が蒔いた、喜びと幸せの種
Such joy and happiness you bring
こんなにも、ときめきと満ち足りた人生をもたらしてくれた

ここは1974年のジョーのレコーディング盤には無い部分で、後にライブで歌われるようになりました。
【joy】は興味深い言葉で、“喜びの種”という意味もあることから“蒔(ま)く”という表現を用いています。
作者が知っててこの単語を使ったかは定かではありませんが、意味をさらに調べてみると【Joy】はギリシャ神話のゼウスの娘で、“美の女神”でもあるようです。

種は、とても小さな一粒に過ぎないけれど、中には無限の希望の欠片が秘められている。
大切なのは、育む労を怠らないこと…。



 
Billy Preston / Joe Cocker - Live


あるカップルの会話…

“私ってキレイ?”   “キレイだよ。”
“どんな所が?”     “どっ、どんな所って…!?

男性のみなさん、こんなやり取りで困ったコトはありませんか? 
ちなみにビリーのオリジナルではその模範解答もちゃんと出されていて、次のように歌っています…

Your legs, your legs, your legs, are beautiful baby
Your eyes, your eyes, they're beautiful baby
Your lips, your sweet lips baby...


う~ん…
このノリ、日本人に解ってもらえるかなぁ…。
詩的には、具体的に“言わぬが華”かも?(聞かぬが華?) 



~Epilogue~

You Are So Beautiful ~ある二人の男の物語~

男は、今夜もナッシュビルのライブハウスのステージに立つ。
満員の会場の大半は女性が埋め尽くし、女心をくすぐる彼のとろけるような歌に酔っている。
佳境に入り、男はファンの一人をステージへとエスコート、彼女を息が交わる距離まで引き寄せると、優しく見つめ歌い始める…。


You are so beautiful to me
綺麗だよ… 目映くて、眩むほどに

 Kenny Rogers


ガスの配管工として働く“愛すべき北の男”は、今夜も馴染みの酒場で仕事終わりの安酒を独り呷っている。
男には“美女と野獣”に喩えられた自慢の妻がいたが一年前に事故で彼女を亡くし、以来彼は毎晩ここで寝るまでの時間の大半を過ごす。
夜も更け、客も疎(まば)らな店内に流れる“哀しみの歌”が男の慕情を呼び覚まし、“心の中の人”を愛おしまずにはいられなるのだった…。


You are so beautiful to me
僕の、美しい人…


二つの物語は、私が創作したフィクションです。
二人の男が歌う「美しすぎて」はもちろん同じ楽曲で何れ劣らぬ美しい作品であることに変わりはありませんが、両者のテイストは随分異なって聴こえます。
音楽は“喜怒哀楽”あらゆる感情を代弁し、また、それに作用する文化です。
全ての人に異なる人生があるように、歌や音楽の感性や表現も人・時によって変わるもの。
やさしく包み込んでくれる歌と、哀しみを共に泣いてくれる歌

今夜、あなたの心はどちらの“色”を求めていますか?


今年1年間、ありがとうございました。
良いお年を…



「美しすぎて」


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tags : 1974年 バラード/ピアノ 優しい愛 映画90's CM曲 

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「バンド・オン・ザ・ラン」ポール・マッカートニー&ウイングス

2013.11.08

category : Beatles & Solo

Paul McCartney Wings - Band On The Run1 Paul McCartney Wings - Band On The Run2



Paul McCartney & Wings - Band On The Run(1974年)


~ポール・マッカートニー来日公演『アウト・ゼアー・ジャパン・ツアー』がいよいよスタート!~

いよいよ今月11日の大阪公演を皮切りに、ポール・マッカートニー来日公演『アウト・ゼアー・ジャパン・ツアー』がスタートいたします!
それを目前に控え、9・10日限定でウイングス時代のコンサート・フィルム『ロック・ショウ』が東京TOHOシネマズ&六本木ヒルズに於いて上映されるそうです。
また、同日ハードロックカフェ東京でも同様のイベントが催される予定です。

イベントに参加できない方にも朗報があって、11日にはビートルズ初期の貴重なスタジオ・ライブ音源第2弾『ライヴ・アット・ザ・BBC Vol.2』が発売されます。
あと、9日23:20からはNHK『SONGS』でポールの特集番組が放送されるので、お見逃しなく。
モチロン、当ブログでもビートルズのコンテンツをたくさん用意してあるので、ゆっくりお楽しみくださいネ♪


~概要~

「バンド・オン・ザ・ラン」はビートルズ解散後としては5作目、ウイングス名義では3作目となる1973年のアルバム『Band on the Run』のタイトル曲で2ndシングルとしてリリースされBillboard Hot 100で2週連続No.1(年間19位)に輝きました。
アルバム『Band on the Run』はBillboard 200で4週No.1を含む記録的ロング・セラーにより年間2位という商業的大成功を収めただけでなく、1975年にはグラミーで“最優秀ポップ・パフォーマンス賞”を授賞し、ポールの天敵(!?)ローリング・ストーン誌さえ“500 Greatest Albums Of All Time”の418位にランクさせる趣きのある作品です。

レコーディングはポールの思いつきにより、ナイジェリアのラゴスで始められましたが出発直前にヘンリー・マッカロク(g)とデニー・シーウェル(ds)が突然脱退してしまったためポールと妻のリンダ、デニー・レインの3人のみで執り行われました。
この曲の冒頭のふわふわしたムーグ・シンセサイザーはリンダで、ポールはベースに加えギター&ドラムスも担当し奮闘しています。
ポールのライブでは全時代を通して欠かせないナンバーの一つで、今回は第4期ウイングスのスタジオ・ライブの映像と、今年のツアーの映像の二つをご紹介しておきます。


~「Band On The Run」って?~

ところで、「Band On The Run(逃げるバンド)」って、どういうコトだと思います?
“バンドが逃げる”というとまず浮かぶのは、熱狂的なファンやしつこいマスコミから逃れるというイメージですが…。
ちょっと、アルバム・ジャケット(写真・右)を見てみてください
みんなが同じ黒の服を着て、暗闇の中でスポットを当てられ驚いているでしょ?
(“ドリフターズのコント”じゃありませんよ!?)

そう、この作品は囚人が牢獄から脱走するストーリーで、バンドは警察から逃げ回っているというワケです。
ポールはこのテの“おフザケ”が大好きで、1986年の「スパイズ・ライク・アス」のPVでもダン・エイクロイドらと“そんなコト”、やってマス!


~ポールは、自分の未来を“予言”していた!?~

でも、ロック・バンドが警察から逃げ回るというとよくある理由が“薬物所持”で、ポールもコレでイタい目に遭っています。
1980年1月16日、世界一のバンドとなったウイングスを率いてビートルズ以来14年ぶりとなる公演のため颯爽と日本に乗り込んできたポールでしたが、成田空港の入管で“大麻取締法違反”により現行犯逮捕されるという大事件!
そのまま10日間拘留されただけでなく公演は全てキャンセル、その損害分はポールの自腹で賄われたワケですが…

実は今回の選曲理由には、先月湯川れい子さんのインタビューにより明らかにされたこの時の“牢中のエピソード”が面白くて、みなさんにも紹介したかったからです。
普通、留置場に入れられると囚人という立場からも陰鬱な気持ちになりそうなものですが…
ポールは言葉もわからないにも関わらず近隣の囚人に語り掛け、“ホンダ!…カワサキ!”といった日本のブランド名を連呼して大笑いさせ、すぐに彼らと仲良くなったといいます。
(コンな時でも囚人同士仲良くなろうという発想が、彼らしいでしょ?
しかも“背中に大きな刺青を入れた人”にさえ、“いいタトゥーだね!”と気軽に話し掛けて“気が合った”そうです!

他のソースによると、ポールがよく発する“オッス”という挨拶はこの時囚人から“日本のクールな挨拶”として教わったもので、彼らのリクエストに応えて歌も歌ってあげていたらしいです。
いずれにしてもポールにとって囚人は初めての体験であり、「バンド・オン・ザ・ラン」を発表した時点では、まさか自分がその当事者になるとは夢にも思わなかったでしょうね!?


~Lyrics~

作品は三部構成になっていて、それぞれの歌詞に応じて曲も全く違ったものになっています。

Sent inside for ever
そこに永久に閉じ込められちゃ
Never seeing no one, nice again, Like you, mama…
大好きな人にも二度と会えないよ、君とかママみたいな人に…

第1部は“動機”を窺わせる部分になっていて、家族と会えない淋しさは囚人の宿命ともいえるでしょう。
オシドリ夫婦として知られたポールは、実際にも日本での拘留を含め二度ほどしか奥さんのリンダと離れたことがないそうで(回数は正確ではないかも?)、留置場での10日間は相当キツかったのではないでしょうか…。

If I ever get out of here
もしも、ここを出られるなら
Thought of giving it all away To a registered charity
持ってるもの全部、チャリティーにくれてやろう

第2部は“願望”を匂わせる部分になっていて、“If I ever get out of here”のフレーズはビートルズ時代にアップル・レコードの会議でメンバーのジョージ・ハリスンが発した言葉がそのまま用いられています。
囚人とすぐに打ち解けたポールも“クサいメシ”は合わなかったようで、その時出された味噌汁のトラウマからその後何年もそれを口にできなかったとか…(今は、好きらしい)。

Well the rain exploded with a mighty crash
やれやれ…お天道さまの下に出た途端
As we fell into the sun
叩き付けるような、激しい雨のお出迎え

Well…で始まる第3部は作品のメインであり、囚人(Band)が“逃亡”するさまを描いています。
個人的に好きなフレーズで、脱走した途端大雨に降られる“オチ”のような感覚がお気に入り。
ここからメロディーが明るく転調されていて、脱獄逃走という危険な行為もどこかほのぼのしているのは、どこまでも陽性なポールの性格といえるでしょうか?


~Epilogue~

現在71歳にしてなお世界ツアーを駆け巡り、何万という観衆を前にしたステージに立ち続けるポール。
上記紹介したインタビューで湯川れい子さんが、“十分に印税で暮らしていけるのに、何故これだけ苦しい思いをしてワールド・ツアーを?”という質問をしています。
(愚問ですよ、湯川さん…?)
そう思いながら読み進めると、ポールの答えは案の定…

“好きだからさ!”
“とにかく素晴らしいオーディエンスなんだ。一度でいいから、僕らのショウを観に来てごらん。なぜ僕がライブを続けているか分かるはずさ!”

人生を楽しむって、そういうことなのでしょうね…♪



「バンド・オン・ザ・ラン」


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tags : 1974年 プログレ ウイングス グラミー 偉大な曲 

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