I Wish~洋楽歌詞和訳&解説

80年代の洋楽ロック・ポップス&ビートルズを中心に、歌詞の和訳と解説+エッセイでお届けします

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「心のラヴ・ソング」ウイングス

2014.05.11

category : Beatles & Solo

Wings - Silly Love Songs1 Wings - Silly Love Songs2



Wings - Silly Love Songs (1976年)



~“タダイマー!”~

“マタ、アイマショウ♪”から6ヶ月足らずで、ポール・マッカートニーが再び日本に帰って来てくれるなんて!
今回の来日公演は、東京オリンピックに向けた新競技場の建設に伴い解体される国立競技場の最後をポールに飾って欲しいという日本側の達(たっ)ての要望に応えたもので、5月17・18日の国立競技場に加え24日の大阪・ヤンマースタジアム長居(長居陸上競技場)でのステージが予定されています。
(それにしても、時期がまた大相撲夏場所と重なるのは偶然?
また直近(10日)には、21日の日本武道館での公演が追加されたことも発表されました!!

今回の公演も昨年12月と同様『アウト・ゼアー ジャパン・ツアー 2014』と題されていますが“セットリストも演出も前回と変更した内容”となるそうで、現在続けられているワールド・ツアーのセットリストは参考にはなりません。
…となると、前回の『アウト・ゼアー~』では演奏されなかったこの曲が有力と予想し、特集することにいたしました…。

 日本のファンに向けたポールからのメッセージ



~概要~

「心のラヴ・ソング」はポールがビートルズ解散後に結成したバンド“ウイングス(時により、ポール・マッカートニー&ウイングス)”が1976年3月25日発表した5thアルバム『スピード・オブ・サウンド(Wings at the Speed of Sound)』の収録曲です。
1stシングルとしてアメリカでは4月1日・イギリスでは4月30日にリリースされ、それぞれ1位/2位を記録しました。
Billboard Hot 100に於いては、5月22日にNo.1に達するものの翌週にはダイアナ・ロスの「ラヴ・ハングオーバー」にその座を明け渡してしまいますが、その3週後にはトップに返り咲き4週それを維持するという驚異的な粘り腰で計5週No.1に君臨し、年間チャートでもNo.1に輝いたウイングス最大のヒット曲です。
また、「心のラヴ・ソング」は“Billboard Hot 100・50年の歴代に於いても31位のヒット曲”であり、ポールがこの曲で成し遂げた3度目の年間No.1獲得(過去;「抱きしめたい」・「ヘイ・ジュード」)は、未だ破られぬ前人未到の快挙でもあります!

ウイングスは1975年9月からワールド・ツアーを行っていましたが、ちょうど全米ツアーの時期と「心のラヴ・ソング」のリリースが重なったためアメリカでは相乗効果となって大旋風を巻き起こしました。
その大盛況の様子が後に3枚組(LP)ライヴ盤『ウイングス・オーヴァー・アメリカ(ウイングスU.S.A.ライヴ!!)』や映画『ロックショウ』として記録されています。
ウイングスにとって、“創作の頂点”が『バンド・オン・ザ・ラン』とすると、“人気の頂点”を象徴したのが「心のラヴ・ソング」でありこの時期(75~76年頃)だったといえるでしょう…。

今回の選曲理由として「心のラヴ・ソング」はポールのライブの定番であることに加え、5月の爽やかな風が吹く国立競技場でこの曲を聴いたら最高だろうなぁ…と想像したからです。
心地よいフィーリングに心を奪われがちですがサウンドは意表をつく展開で、ピンク・フロイドの「マネー」(過去ログ)にヒントを得たというイントロは工場の機械のようだし、ライブ演奏は別ですがオリジナル音源ではエレキ・ギターが使われていない(少なくとも、ほとんど聴こえない)というのも、とても大胆なアレンジだと思います。
また、この曲は1984年のポール主演による映画『ヤァ!ブロード・ストリート(GIVE MY REGARDS TO BROAD STREET)』でもセルフ・カバーされました。

 ライブ映像



~Lyrics~

You'd Think That
“くだらないラヴ・ソングなんて、みんな飽き飽きしてる”
People Would Have Had Enought Of Silly Love Songs.
…そう君は考えてるみたいだけど

Sillyとは“愚かな”といった意味合いの言葉ですが、「Silly Love Songs」を作るきっかけとなったのがある評論家による“ポールはバラードしか書けない”という批判でした。
ビートルズ時代からバラード・ヒットの多いポールは元々ロック系の評論家にウケが悪く、ビートルズ解散後は“別の感情”も重なり特に風当たりが強かったといえるでしょう。

ただ、私個人の考えですが、音楽評論家はもっと謙虚であるべきと思います。
プロ野球の評論家と違い、彼らのほとんどは音楽家またはプレイヤーとして一流の実績を残したわけではありません。
批評されるプレイヤーが批評する自分より遥かに高度な技能や創作能力を発揮しているにも拘らず、一部の評論家が何故か“上から目線”なのは、違和感を感じます。
私は批判そのものを否定しているわけではなく、評論家は批評対象への愛情と敬意が伴って初めて成立する稼業と思うのです…。


Some People Wanna Fill The World With Silly Love Songs.
そんなラヴ・ソングで、世界を満たしたい人間だっているのさ
And What's Wrong With That?
でも、それの何がいけないの?

音楽は、人を愛する悦びや切なさの表現と相性の良い文化です。
一方で、ロックは怒りや不満の感情表現と親和性が高い側面もあります。

世の中には“喜怒哀楽”いずれの音楽性も楽しめるタイプもいれば、単一の音楽性しか好まない人もいます。
でも“男社会”の中では、ポップスやバラードを聴く男よりロックを聴く男の方が“男らしい”、という価値観が根強いのも事実です。
まぁ、“音楽の趣味が男らしい事と、人間として男らしく立派であることは全く別物”と、私は考えますが…。


I Can't Explain The Feeling's Plain To Me;
この気持ち、理屈なんかじゃ説明できないさ
Now Can't You See?
君にはわからない?

もし“愛という感情”を知らない人が存在したとして、その人に愛を理解させるとしたらどう説明するだろう…。
私はふと、映画『ターミネーター2』を思い出しました。

有名な、エンディングの溶鉱炉のシーン…
敵を倒し全てが終わったにも関わらず、“危険なプロセッサが自分の体内に残っている”と、ジョン・コナーの制止命令にも従わず我が身を溶鉱炉に投じたターミネーターT-800(アーノルド・シュワルツェネッガー)。
彼の行為は単なるジョンを守るというプログラムに過ぎないのか、それとも自己犠牲という名の愛なのか…
何れにしても、愛って説明するものじゃありませんよね?



~Epilogue~

“クダラナイ曲”って、何だろう…
私にとって、通常それは“詞・曲ともに潤いのない作品”のことであり、実はポールの楽曲の中にもそれを感じる対象はあります。
しかし、それとは別格にクダラナイと感じるケースがあります。
それは“全く正当性のない理由で誰かを傷つけるための悪意が込められた歌”のことで、一時期ジョンとポールがやりあったコトもあったでしょ?
(この曲も、ジョンの批判に対するポールの反論という説もありますが…)


It Isn't Silly, No, It Isn't Silly,
“それ”は愚かなことじゃない
Love Isn't Silly At All.
人を愛することが、くだらないはずがないじゃないか

そして、これがこの論争に対するポールの結論です。
どんなクールであろうと争いや暴力、ドラッグの歌より“他愛ないラヴ・ソング”の方が遙かにマシと、思います。
“男らしさ”を誇りたいなら、相手は他愛ないラヴ・ソングなどではなく社会のもっと大きな理不尽に対して向けるべきであり、それこそがロックの真価であるはずです。
“生きる勇気を奮い立たせて”くれたり“誰かを幸せにしたい”という願いが込められた歌であるならば、
いつだって私は歓迎します…。



「心のラヴ・ソング」


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tags : 1976年 Rock/ファンク 優しい ウイングス 年間No.1ソング 歴史的名曲 

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