I Wish~洋楽歌詞和訳&解説

80年代の洋楽ロック・ポップス&ビートルズを中心に、歌詞の和訳と解説+エッセイでお届けします

STOP!
地球温暖化/気象災害激甚化
Lil Dicky - Earth
Lil Dicky - Earth1
Beatles & Solo
Please Please Me


With The Beatles


A Hard Day's Night


Beatles For Sale


Help!


Rubber Soul


Revolver


Sgt Pepper's


The Beatles


Yellow Submarine


Abbey Road


Let It Be


Magical Mystery Tour


Beatles(the other songs)


John Lennon


Paul McCartney


Wings


George Harrison


Ringo Starr


「レディオ・レディオ」エルヴィス・コステロ

2023.03.21

category : Elvis Costello

Elvis Costello & The Attractions - Radio, Radio (1978年)

それは“救世主”か、“愚かもの”か…愛は裏切られた時、その強さの力で逆方向に反発する?

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tags : 1978年 ニューウェイヴ ラジオ プロテスト 抑圧・統制  

comment(6) 

「しあわせの予感」ポール・マッカートニー&ウイングス

2022.05.27

category : Beatles & Solo

Paul McCartney & Wings - With A Little Luck (1978年)

あなたが欲しいのは“大きな葛籠(つづら)”、それとも“小さな葛籠”?ポールのオススメは…。


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tags : 1978年 ソフト・ロック 人生 メッセージ ウイングス 

comment(4) 

「想い出のサマー・ナイツ」ジョン・トラボルタ&オリビア・ニュートン=ジョン

2018.07.12

category : Olivia Newton-John

Olivia Newton - Summer Nights1 Olivia Newton - Summer Nights2


John Travolta & Olivia Newton - Summer Nights (1978年)



~概要~

「想い出のサマー・ナイツ」は1978年の北米興行収入No.1の大ヒットを記録したアメリカの学園ミュージカル映画『グリース(Grease)』 の挿入曲です。
同映画からはサウンドトラック・アルバムもBillboard 200のNo.1に輝いて2800万枚をセールスしており(『Saturday Night Fever』に次いで年間2位)、アルバムからも4曲のTop5ヒットが生まれていますが本曲もその一つで、Billboard Hot 100の5位(年間69位)を記録しました。
とりわけ『グリース』 のイギリスでの人気は高く、同アルバムからの「You're the One That I Want」に次ぐ7週No.1に輝いて年間3位、同年を代表するヒット曲となっています。

歌っているのは(=劇中で歌唱している)ジョン・トラボルタとオリビア・ニュートン=ジョン、そしてその他のキャストがコーラスとして参加しています。
同映画の主役である二人は劇中でデュエットも多く、本曲を含む3曲を共に歌唱しました。
劇中でキャストと一緒に歌うという特殊な条件であるため通常のコンサートではオリジナルの顔触れで再現することは至難な性質の作品ですが、2002年の『Grease DVD Party』ではトラボルタを含むオリジナルのメンバーが実現しています!
(ただし近年、一部のメンバーがオリビアのコンサートに参加することもある)

映画『グリース』 はミュージカル『Grease』を原作とし、「Summer Nights」もその作者であるジム・ジェイコブスとウォーレン・ケイシーによって作詞・作曲された作品ですが、シカゴでの初演時(1971年)には「Foster Beach」というタイトルだったようです。
「Summer Nights」は2004年に『AFI's 100 Years...100 Songs』の70位に選出された“アメリカ映画の歴史に残る名曲”であり、2010年にはBillboardの『Best Summer Songs of All Time』9位に選ばれる“長く愛され続けた夏歌”でもあります。

夏の定番曲だけあってカバーも多い楽曲ですが、名前もジャンルも近いことから取り上げ易かったのがミュージカル・ドラマ『glee/グリー』で、Season 3 第10話 「プロポーズ大作戦」(Yes/No)で使用されています。
主に歌っているのはサムとメルセデスの元カップルの二人で、残りのメンバーがそれぞれ男女に分かれて訊き役に回っている中…カート・ハメル(クリス・コルファー)は【the Pink Ladies】に属して歌っています。
このアイデアを出したのはカートの恋人ブレイン・アンダーソン役のダレン・クリスで、脚本を読んで“カートは男子といたってつまらないだろうから、女子とサンドイッチやチーズバーガーを食べながら、おしゃべりする方を選ぶはず”とプロデューサーに提言したものだったそうです。
ちなみにこの映像は映画『グリース』で「Summer Nights」が撮影された、実在のロサンゼルス・ヴェニス高校で撮影されており、ダレンが“映画とそっくり同じベンチで撮影したんだよ”と興奮して語ったとされるように、かなり当時を忠実に再現して編集されており、今回は映画とドラマのシーンを重ねた映像を発見したので、ファンの方はぜひ見比べてみて下さい。


 



~Lyrics~

Summer loving had me a blast
夏の恋は、一陣の風のように
Summer loving happened so fast
夏の恋は、あっという間に起こったわ

映画のプロローグの部分では、きれいな海辺でダニー(トラボルタ)とサンディ(オリビア)が仲睦まじく愛し合うシーンが編集されています。
これは本編に入る前の夏休みに避暑地で出逢い、恋に落ちた二人のエピソードを示唆するものであり、サンディはオーストラリアに帰る身の上であったため“ひと夏の恋”で終わらなければならなかった、という事情がありました。
二人は再会を信じつつ、泣く泣く別れることになりますが…。


Tell me more, tell me more, Did you get very far?
おい、もっと教えろよ…オマエ、行く所まで行ったんだろ?
Tell me more, tell me more, Like does he have a car?
ねぇ、もっと教えて…その人、クルマ持ってそう?

…ところが夏休みが終わり新学期が始まる早々、ダニーが通うアメリカの高校にサンディが転校してくる…という奇跡的な展開!
二人は“ひと夏の恋”について、それぞれ男子グループ【the T-Birds】《写真・左》と女子グループ【the Pink Ladies】《写真・右》に追及されることになりますが、その応答が「Summer Nights」のシーンになっています。

上が【the T-Birds】で下が【the Pink Ladies】のパートですが、質問の切り口が男女の違いそのもの!? 

Olivia Newton - Summer Nights3


I saved her life, she nearly drowned
危うく溺れる所、オレが命を助けてやったのさ
He showed off splashing around
あの人、子供のように水を跳ね上げ人目を引こうとしていたの

ここは上がダニー、下がサンディによる二人の馴れ初めについての言及ですが…
えっ! 互いに言っていることが全然違ってる?

このギャップは転校して二人が再会した際、ダニーが海で会った彼とは別人のような態度だったことに、サンディが受けたショックの原因にも重なります。
【夏の海】と違っていたのはダニーの人格そのものではなく“彼の背後にいる存在”であり、このシーンで再会した瞬間は【夏の海のダニー】だったのに、背後の存在を意識してからは【もう一人のオレ】に変身、この間うつろうトラボルタの演技が絶品です!

とかく男は【武勇伝】を語りたがる生き物であり、仲間の前で女性にデレデレした姿を晒すことは彼らに軽んじられる原因となりますが…
…にしてもダニー、今回はちょっと“盛り過ぎ”? 





~Epilogue~

『グリース』は高校3年の“少年・少女たち”が織りなす学園物語…
ですが撮影時トラボルタは23歳、オリビアに至っては29歳(!)という実年齢で、彼女の出演を要望したのはトラボルタだったといいます。

オリビアは当時既に多くのヒット曲を抱えたポピュラー音楽界のスターでしたが、ヘレン・レディのディナー・パーティーでプロデューサーのアラン・カーに映画『グリース』のヒロイン役のオファーを持ちかけられた際、二つ返事で受けられない事情がありました。
何故なら、オリビアは1970年にイギリスのミュージカル映画『Toomorrow』で主演し散々な目に遭ったトラウマがあったこと、サンディの役柄の一部がそれまでのオリビアのイメージを壊すリスクがあること、高校生を演じるにはあまりに実年齢と離れていたことに不安があったのです。
そこで事前にスクリーン・テストを受け、相手役のトラボルタと話しをしてみてようやく安心し、引き受けることにしたといいます。

…そんなオリビアの不安を緩和するためか(?)、その周りには彼女が少女に見える“大人びた高校生”がいっぱい!
リッゾことストッカード・チャニングは当時33歳、ソニーことマイケル・トゥッチ31歳、ジャンことジェイミー・ドネリー30歳…ほかも20代後半です。

 ちなみに、『8時だョ!全員集合』で「学校コント」のドリフターズはみんな30代以上
 …比べるなっ!


さて、多くの学校にとって【夏休み】が始まります。
今年は直前に西日本豪雨が発生し、多くの人が亡くなり、多くの町や家が土砂に流されました。
被災地の学生さんたちにとって、今年の夏休みは後片付けなどに追われ忙しかったり、今後への不安に苛まれる方も少なくないことでしょう。

筋肉トレーニングを行うと腕が太くなるのは広く知られることですが、これは非日常的で過大な負荷を受けて筋線維の一部が破断された後に起きる現象です。
この時あなたの体は“この筋肉の太さでは危ない”と危機感を覚え、秘めたる能力を発揮し筋線維を以前より少し太く修復(超回復)するため、筋肉量が増えて筋力もアップします。
精神や人生もこれと同じで、大きな苦労を乗り越えた時に人は強く、大きく成長できるのです。

Summer days drifting away
夏の日々は流れ去り
To, uh oh, those summer nights
夏の夜の思い出となった

この特別な夏に悩み、苦しみ、泣いたこと…
その稀なる厳しい経験が、あなたのこれからの長い人生を支える太い柱となってくれますように。



「想い出のサマー・ナイツ」


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tags : 1978年 楽しい愛 ミュージカル グリース 映画70's  歴史的名曲 

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「Y.M.C.A.」ヴィレッジ・ピープル

2018.05.25

category : 1970年代

Village People - YMCA1 Village People - YMCA2


Village People - Y.M.C.A. (1978年)
西城秀樹 - YOUNG MAN (Y.M.C.A.) (1979年)



~概要~

「Y.M.C.A.」は、アメリカのディスコ・グループ、ヴィレッジ・ピープル(Village People)1978年の3rdアルバム『Cruisin'』に収録されたダンス・ナンバーです。
US Billboard Hot 100の2位(1979年の年間8位)をはじめ各国でNo.1を記録、全世界では1000万枚を超える売り上げを記録しました。
アメリカのケーブルテレビ・チャンネル『VH1』は、2000年に本曲を【The 100 Greatest Dance Songs of the 20th Century】の7位に位置づけています。

メンバーのデイヴィッド・ホードー(David Hodo/建設作業員)によると、『Cruisin'』にあと1曲必要ということでプロデューサーのジャック・モラリ(Jacques Morali)が約20分でメロディーとコーラス、アウトラインを書いた曲を、ヴィクター・ウィリス(Victor Willis/警察官)に“残りを埋めてくれ”と渡し、それにヴィクターが【Y.M.C.A.】をテーマとしたストーリーを書き加え創作された作品です。
更にデイヴィッドはそれまでの自分たちの作品については少し懐疑的に思っていたものの、「Y.M.C.A.」には“何か特別なもの”があると感じたと言葉を添えています。


日本では翌1979年2月21日に西城秀樹が「YOUNG MAN (Y.M.C.A.)」として日本語カバーしオリコン5週連続No.1を記録、累計売上80.8万枚を売り上げました。
この波及効果によりヴィレッジ・ピープルの「Y.M.C.A.」もオリコン洋楽チャートで1979年1 月22日付から10週連続1位を獲得、30万枚を売り上げる大ヒットとなっています。

中でも「YOUNG MAN (Y.M.C.A.)」の伝説的なエピソードとして語られるのは、当時人気の歌番組『ザ・ベストテン』で史上ほかに為し得た者のない最高得点“9999点”を2度(4/5・4/12)獲得したことでしょう。
しかも同番組での歴代高得点の16位(9866点)以上を「YOUNG MAN (Y.M.C.A.)」が6回到達、通算でも歴代3位に当たる“9週連続1位”という圧倒的な記録を残しました。
ただし同番組の記録によると「YOUNG MAN (Y.M.C.A.)」は“年間7位”という意外な成績で、同年の年間1位は小林幸子「おもいで酒」(週間では最高5位だが20位以内に31週間ランク)となっています。


「Y.M.C.A.」は当時流行のディスコ・ナンバーですが今日まで世界的に長く愛され続け、特にスポーツの世界ではそれが顕著です。
トリノオリンピック開会式をはじめ、アメリカ・メジャーリーグ、ニューヨーク・ヤンキースのホーム・ゲーム(ヤンキー・スタジアム)では5回終了時に「Y.M.C.A.」が流され、グラウンドキーパーが【Y】【M】【C】【A】のパフォーマンスを行うことでも知られます。
また、日本ハムファイターズやJリーグ・川崎フロンターレの試合でも同様の観客サービスが行われており、それぞれ西城秀樹が参加してパフォーマンスを披露することもありました。


 
 



~Lyrics~

Young man, there's a place you can go.
Young man そこには、君の行く場所がある
I said, young man, when you're short on your dough.
Young man 少しぐらいおカネがなくたって

「Y.M.C.A.」は【Young Men's Christian Association(キリスト教青年会)】の略語であり、キリスト教主義に基づいた教育・スポーツ・福祉・文化などの分野で様々な事業を展開する世界最大規模の非営利団体で、1844年にイギリスで誕生し1880年(明治13年)には日本にも『東京YMCA』が組織されました(現在では全国主要都市にYMCAが置かれている)。

Y.M.C.A.の事業の一つに宿泊施設があって、非営利事業なので料金が比較的安価です。
ただし若者の教育や交流活動を目的の一つとしている施設のため、一般ホテルのような完全個室だけでなくバス・トイレが共同であったり、ドミトリー(相部屋)の部屋もあります。


They have everything for young men to enjoy,
若者を楽しませる全てが揃っていて
You can hang out with all the boys...
みんな仲良くなれるんだ

日本のYMCAでは“互いを認め合い、高め合う【ポジティブネット(Positive Net)】”をコンセプトに掲げ、“したい何かがみつかり、誰かとつながる。私がよくなる、かけがえのない場所。”を提供すべき価値としているそうで、そういう開かれたコミュニケーションを旨としているからこそ、広く異質と交わることも可能といえます。

一方で、外国人や異文化の人たちとじっくり語り合えるのはとてもよい人生経験ですが、見知らぬ人との相部屋はセキュリティ面で不安に思う人も少なくないでしょう。
とりわけ女性にとってそれは気軽に参加し辛い要素であり、そうなると必然、宿泊客の中心は【the boys】ということに…?(もちろん、女性限定施設もある)


It's fun to stay at the Y.M.C.A.
Y.M.C.A.にお泊りすると、楽しいよ

YMCAが“若い男性がいっぱい集まる宿”となればそれは一つの特徴であり、“それを目当てに集まる人”も…
すなわち“YMCAはゲイの人にとって貴重な出会いの場”であり、それが本作の隠れたテーマです。

ヴィレッジ・ピープル自体ゲイ・マーケットをターゲットに売り出されたグループであり、もう一つの代表曲「Go West」も“Go West(ゲイの聖地)”というメッセージが込められています。



~“ヒデキ”の情熱が結実させた「YOUNG MAN (Y.M.C.A.)」~

アイドルがこんな歌を歌えるわけ無いだろう!

それが、「Y.M.C.A.」のカバーとシングル化をレコード会社に直訴した際の担当者の反応でした。
西城秀樹と「Y.M.C.A.」の出あいは1978年、CM撮影のため訪れたロサンゼルスのホテルでラジオから流れる「Y.M.C.A.」を聴いて、そのノリのよさに“絶対歌いたい”と心を奪われたことでした。
彼はすぐさまこの曲のレコーディングを決意しますが、「Y.M.C.A.」はゲイ・ソングであったことから、レコード会社の猛反対を喰らったというワケです。

しかし彼は諦め切れず、コンサートのステージで歌うことを試みます。
まずマネージャーのあまがいりゅうじ(天下井隆二)に依頼して“健全な若者応援歌”を印象づけるようタイトルを「YOUNG MAN(Y.M.C.A.)」とし、ゲイ色を取り払った日本語歌詞(訳詞)とアレンジ(大谷和夫)に創り替えました。
また、振付師・一の宮はじめと相談して【Y】【M】【C】【A】の人文字を考案、スポーティーなイメージを強調させる振り付けを取り入れました。

こうして迎えた1979年1月4日からの大阪・厚生年金ホールでの新春コンサートで「YOUNG MAN (Y.M.C.A.)」が初披露されると、ファンから予想を上回る反響がありファン・クラブにも問い合わせが殺到、これにはレコード会社も方針を翻し急遽シングルの発売(同年2月21日)を決定せざるを得ませんでした。
ところが既に生産中のレコードを中止させ、新たなレコードを20日でプレスしなければならないという強行スケジュールであったため工場から無理とのクレームが入り、説得のため西城自らが工場を訪問し各所に頭を下げて回り「YOUNG MAN(Y.M.C.A.)」を実際に歌ってみせて工場側の協力を取り付けたそうです。



~Epilogue~

5月16日深夜、急性心不全のため63歳の若さで亡くなった歌手の西城秀樹さん。

ご存知のように西城さんはこれまで2003年と2011年、2度の脳梗塞発症により構音障害や運動障害が生じ入院・治療・リハビリの連続でした。
特に2度目の脳梗塞の時はその病気の恐ろしさを知っていた上、それまでの努力が水の泡で治療とリハビリをゼロからやり直さなければならないことが何十倍ものショックだったそうです。
しかし現実の再発の後遺症は1度目より遥かに厳しいもので、ボールを持ち上げるといった単純なことさえできなくなった自分と向き合わねばならないことや、“そんな西城秀樹”に対する周囲の突き刺さるような好奇の視線が何よりも辛かったといいます。

ヤングマン プライドを捨てて すぐに行こうぜ

“西城秀樹”であらねばならないと思うことが無駄に疲れる原因だと気づいた西城さんは、西城秀樹というキャラクターを脱ぎ捨てて一患者として“ありのままの自分”を見てもらおうと改心し、とても気持ちが楽になったそうです。
以前の自分は“100と言われて120やってきた”所があって、でも“コップの水は目一杯入れるより7~8割に入れた方が運びやすいし飲みやすい”ことに、病気をして初めて気づいたといいます。

“自分をさらけ出すのは恥ずかしいよ。でもさらけ出したから、みんなも涙してくれたんじゃないかな。
来年はもっとよくなったぼくの姿をみんなに見せたいな”
 西城秀樹



西城さんは後遺症が顕著になった2度目の脳梗塞以降もステージに立ち、さまざまな活動を続けてきました。
国民の憧れのスターが変わり果てた痛々しい姿をメディアに晒すことは、ある意味それまで築き上げた“輝かしい伝説”に自ら泥を塗り、ファンを失望させる恐れがあります。
しかし、それは“現実から逃げる生き方こそ西城秀樹を汚す”という彼一流の美学であり、自分を偽らず病と闘い抜く意思を示すことが、心から彼を応援してくれる家族やファンに応える最善だったと思うのです。

“病状も心情も、よくなったり悪くなったり、刻々と変化していくが、それをすべて受け入れよう。
現状を肯定するところからしか、前へは進めない。”
 西城秀樹

今まであまり考えたこともありませんでしたが、こうして西城さんの闘病を辿ってみると、「YOUNG MAN (Y.M.C.A.)」の歌詞“西城さんの生き方そのもの”だったように思えます。
オリジナルの「Y.M.C.A.」自体ゲイというマイノリティを勇気づけるものですが、逆境にある人にとって非常に強いメッセージ性があることに気づかされました。
また、誰しもが病気や老化といった苦況に置かれるものであることを考えると、これは全ての人に当てはまるテーマです。


4月25日、自宅で意識を失い“早ければ4日。もっても1週間”と告知され、それでも22日間頑張り続けた西城さん。
後遺症や全ての苦痛から解き放たれた昭和の大スター西城秀樹は、おもいっきり手足を伸ばして、天国から私たちに歌いかけていることでしょう…

ゆううつなど 吹き飛ばして
君も元気出せよ


 



「Y.M.C.A.」


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tags : 1978年 歴史的名曲 ダンス/Funk LGBT 日本で人気 追悼 

comment(12) 

「セプテンバー」アース・ウィンド&ファイアー

2016.09.12

category : Earth, Wind & Fire

Earth, Wind Fire - September1 Earth, Wind Fire - September2


Earth, Wind & Fire - September (1978年)



~9月21日、何かが起こる!?~

ディスコを象徴するファンク・バンドとして日本でも人気の高いアース・ウィンド&ファイアー(以下EW&F)が、現在来日中です(~9/22)。
リーダーのモーリス・ホワイトが2月に他界するなど今年はEW&Fにとって試練の年となりましたが、その長年の功績が認められ『第58回グラミー賞』では“特別功労賞生涯業績賞”が授与されました。
現在もバンドはフィリップ・ベイリー(vo/etc.)、ヴァーダイン・ホワイト(b;モーリスの弟)、ラルフ・ジョンソン(vo/perc)を中心に精力的にライブ活動を続けており、フィリップの“ジュニア(息子)”も参加しているそうです。

でも世界中で競争率が高いであろう“この時期”せっかく来日してくれたのに、プラチナ・チケット必至の“9月21日”に公演が行われないのはナゼだろう…?



~概要~

デビューから8年が経ちアルバムを出せばプラチナ・セールスの常連となっていたアース・ウィンド&ファイアーは1978年、それまでのキャリアの総決算として初めてのベスト盤『The Best of Earth, Wind & Fire Vol.1』をリリースしました。
このベスト盤には未発表の新曲も含まれており、そのうちの一つビートルズのカバー「Got to Get You Into My Life」を1stシングルに、そして今回特集する「September」は2ndシングルとしてカットされBillboard Hot 100の8位(1979年の年間78位)を記録しています。

「September」はまさに1970年代後半のディスコ・ブームを象徴するファンキーなダンス・ナンバーであり、彼らのキャリアに欠かすことのできない代表曲です。
作者はメンバーのモーリスとアル・マッケイに加え、作詞にはEW&Fが所属するコロンビア・レコードで広告やライナーノーツの仕事をしていたアリー・ウィリス《Epilogue》の項も参照)が初めて参加しています。
(彼女は後に「Boogie Wonderland」や「Sunday Morning」などにも貢献)
そのアリーの参加が決まる以前、彼女がスタジオのEW&Fに会いに行った際ちょうど彼らが作曲していたのが「September」で、そのイントロのギターを少し聴いただけで“この曲、間違いなく大ヒットする!あぁ神様、どうか彼らが私と仕事をしたいと思ってくれますように…”と願望したそうです。

「September」が特筆すべきは、ただ単にディスコ・ブームでヒットした流行歌ではなく、発表から40年近く経った今日も新しい世代に求め愛され続けていることにあるといえるでしょう。
数々のカバーやサンプリング、映画やドラマ(続・平成夫婦茶碗)のテーマ曲、CM、ゲーム、スポーツ選手のコール・ソング…など様々な形で起用されてきました。

その大きな理由は「September」のミュージック・ビデオで顕著に表れており、MTV未開局でMVがまだプロモーションとしての価値が開拓されていなかったこの時代から、加工技術を駆使し残像をフィーチャーした映像を制作するなど、こうした新しいもの・面白いものへの積極的な探求心が3年後「レッツ・グルーヴ」(過去ログ)に結実したといえるでしょう。
こうした姿勢はマイケル・ジャクソン(カテゴリ)のそれと共通するところであり、時代を越えて愛され続ける要因なのだと私は思います。

 



~Lyrics~

Our hearts were ringing
二つのハートは響きあい
In the key that our souls were singing.
二つのソウルは調子を合わせ歌う

英語で心臓の拍動音を調べてみると【thump-thump(θʌ́mp;サンプ)】【bang-bang】【pit-a-pat】といった例が挙げられていますが、どれもちょっと日本人にとってはピンとこないイメージです。
言葉の意味と音の響きから勝手に解釈し敢えて日本語表現に当てはめてみるとしたら、thumpは鈍くぶつかる音なので[ドクドク]、bangは叩く音で[バクバク]、pit-a-patはパタパタしてるので[トクトク]…という感じでしょうか?(※あくまでも個人のイメージです)

もしもこのフレーズのようにときめきを表すであろうring(ベル音)なら、【jingle(チリンチリン)】…?
でも拍動音っぽくないし、私にはやっぱり日本語の[ドキドキ]が一番しっくりきます♪ 


Ba de ya - dancing in September
9月にダンスしただろう?
Ba de ya - never was a cloudy day
雲ひとつない、あの夜のことさ

心を合わせるといえば、“共同作業”でしょう!
否が応でも、一つの目的を達成するために気持ちやタイミングを合わせないと上手くいきません。
ダンスは必ずしも共同作業ではありませんが、一人で踊るより誰かと呼吸を合わせ時々アドリブを入れたりなんかした方が圧倒的に楽しいものですよね?

しかも互いに体を密着させられるし!  まったくコイツは…。


Now December found the love we shared in September.
9月に響きあわせた恋は、12月に愛を実らせた
Only blue talk and love
甘いささやきと、愛を交わす

ファンク・ミュージックというと大抵どこかに“下ネタ”が含まれるものですが、この洗練されたファンクにも!?
訳では一応キレイにまとめてありますがここでの【blue】は[憂鬱]ではなく、スラング的に“エッチな意味合い”が含まれると考えられます。

この曲は「September」というタイトルですが、【Now December】とあるように現在の時制は12月です。
しかし、EW&Fには「December」という曲が存在することをご存知でしょうか?
これは2014年のホリデイ・シーズンにリリースしたアルバム『Holiday』の中に収録された作品で、“【September】の部分を【December】”にして“21日を25日”にした替え歌となっています。 





~Epilogue~

モーリス・ホワイトと共に作詞に当たったアリー・ウィリス《概要》の項を参照)は、モーリスの言葉の意図をよく理解できず何度も彼と問答を交わしたといいます。

 “コーラスの【Ba de ya】って、意味を持たないんじゃありません?”
 …“いや、それこそがいい所なんだ。きっと、みんなそこを思い浮かべる。”

 “どうして9月21日なのですか?”
 …“特別な意味はない。たとえそれが現実であろうとなかろうと、それは言えない。”

何だか『論語』のやりとりみたいですが、実際に作詞の共同作業の前にモーリスの考え方を理解するためアリーは東洋哲学の本を読まされ、それには数カ月を費やしたといいます。
そして全てを終えた彼女は、自分なりの“答え”を見つけることができました。

“たぶん9月21日は、歌い易かったからじゃないかな…?
モーリスとのレッスンで学んだ大切なことは、歌詞は音楽の【groove(楽しい部分)】を妨げてはならないということ。究極的に重要なのは【the feel(感じること・触れること)】ね。”



Do you remember
ねぇ覚えてる?
the 21st night of September?
9月21日の夜のことを

“その夜”を感じ、あなたもゆったりとした時間をお楽しみください♪ 



「セプテンバー」


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tags : 1978年 ダンス/Funk 名作MV CM曲 ドラマ 

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Author:Beat Wolf
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