デラ・セダカは1978年に歌手デビューしたアメリカの歌手で、【Sedaka】姓が物語るとおり1960年代に「悲しき慕情(Breaking Up Is Hard to Do)」や「恋の片道切符(One Way Ticket)」などヒットを量産したニール・セダカの娘です。 1980年に父ニールとのデュエット「面影は永遠に(Should've Never Let You Go)」が全米19位を記録しているので、そちらでご記憶の方もあるでしょう。
主題歌である「星空のエンジェル・クイーン」は作詞:MOKO NANRI(南里元子)/作曲:喜多郎によって創作されましたが、喜多郎はキーボード専門であるため歌手を別に用意する必要があり、音楽プロデューサーのデイヴィッド・フォスターにデラ・セダカを薦められたことから、彼女の起用が決まっています(作詞者・南里元子の夫・南里高世は喜多郎のプロデューサーであり、デイヴィッド・フォスターの初ソロ・アルバム『THE BEST OF ME』のプロデューサーの一人でもある)。
「星空のエンジェル・クイーン」は映画のEDクレジットで使用されていますが、サウンドトラック・アルバムには収録されておらず、デラ・セダカ1982年の1stアルバム『ガールフレンド(I'M YOUR GIRL FRIEND)』の収録曲です。 同アルバムのプロデューサーはデイヴィッド・フォスターで、大物プロデューサーだけあってゲストも豪華。 スティーヴ・ルカサー/スティーヴ・ポーカロ(TOTO)、マイケル・ランドウ、リチャード・ペイジ/スティーヴ・ジョージ(後のMr.ミスター)、ブライアン・アダムスほか一流どころがズラリと揃っています。
「ソー・マッチ・イン・ラヴ」は、元イーグルスのティモシー・シュミット(Timothy B. Schmit)が1982年に映画『初体験/リッジモント・ハイ(Fast Times At Ridgemont High)』へ提供した作品で、シングルとしてもBillboard Hot 100の59位まで上昇しています。 日本では1983年2月からPioneerのミニコンポ【Vibration】のCMにも使用され、話題を呼びました(別項参照)。 アルバムは1982年の『初体験/リッジモント・ハイ』サウンドトラック、84年の1stアルバム『Playin' It Cool』に収録されています。
「So Much in Love」は元々1963年にアメリカのソウル・ヴォーカル・グループであるザ・タイムス(The Tymes)のデビュー曲であり、Hot 100のNo.1(1週/年間11位)にも輝いた楽曲で、当時の邦題は「なぎさの誓い」とされていました。 ザ・タイムスは同年4月に地元フィラデルフィアのラジオ局『WDAS-FM』後援のオーディションを受けており、その頃はまだザ・ラティニアーズ (The Latineers) と名乗っていました。 見事オーディションに合格すると、彼らはCameo-Parkway Recordsと契約を結び、とんとん拍子でデビューの機会が与えられていますが、その決め手になったのが後に「So Much in Love」として世に知られることになる楽曲だったそうです(別項参照)。
「So Much in Love」は同年の1stアルバム『So Much In Love』《冒頭の写真・右》に収録され、1957年ジョニー・マティスのカバー曲「Wonderful! Wonderful!」もHot 100で7位に達するなど好調な滑り出しで、アルバムもBillboard 200の15位を記録する目覚ましい活躍を見せた一年となりました。
公式・非公式さまざまなカバーがなされている楽曲ですが、ほかに有名なのは1988年にサイモン&ガーファンクルのアート・ガーファンクルがアルバム『Lefty』でカバーしたバージョンで、ACチャートで11位を記録しました。 また「So Much in Love」はヒューイ・ルイス&ザ・ニュースが好んでライブに取り入れていることでもお馴染みの歌で、テレビ朝日系列の音楽番組『ベストヒットUSA』では小林克也が“(収録中)勝手に歌い出した”として番組で紹介したことをご記憶の方もあるでしょう。 オリジナル以外で最大のヒットに至ったのは1993年のR&Bヴォーカル・グループAll-4-Oneで、Hot 100の5位(1994年の年間28位)を記録しています。
~Lyrics~
As we stroll along together 君と寄り添う散歩 Holding hands, walking all alone 手を繋いで、二人きり
本曲はザ・ラティニアーズ(ザ・タイムス)のジョージ・ウィリアムズ(George Williams)によって創作された作品で、オーディション当時「As We Strolled Along」と呼ばれていました。 それをプロデューサーのビル・ジャクソンが気に入って彼らの合格の決め手となったと言われますが、リリース前にビルがタイトルを「So Much in Love」とするなど手直しをして、ロイ・ストレイジスのアレンジによってデビュー・シングルの完成に至っています。
As we stroll by the sea together 君と一緒に海辺の散歩 Under stars twinkling high above ずっと高くで星たちがきらきら見守っている
当時、ちょうど初めて本格的なオーディオを買うことを決め、どういうのを選ぶかあれこれ探求していた時期でした。 そんな最中にテレビに流れてきたのがPioneerのミニコンポ【Vibration】のCMであり、ティモシーの「So Much in Love」だったのです。 私はそれまで【バラコン(別単品でオーディオを構成)】を基本路線として雑誌やカタログで情報収集していましたが、このCMの影響で一時ミニコンポに心が傾きかけた思い出があります。
「So Much in Love」は間違いなく一瞬にして私の心を捉えた曲ですが、CMの映像もまるでアメリカの青春映画のワンシーンのようで、心を惹きました。 未知なる洋楽の世界に足を踏み入れようとしている少年の期待を膨らませるに十分過ぎるくらい…。
ティモシーの「So Much in Love」に刺激を受けたのは私だけではなかったようで、日本の歌手・山下達郎もその一人です。 元々彼のドゥーワップ好きは有名で、作品の多くにそうしたコーラスが取り入れられているだけでなく、1980年には日本では珍しい“ひとり多重録音”アカペラ・アルバム『ON THE STREET CORNER』まで発表するほどでした。 その後ティモシーの「So Much in Love」が発売、その日本盤レコードのライナーが“山下達郎も真っ青な多重録音によるコーラス”と解説していたことに触発され、遂に彼も「So Much in Love」をレコーディングすることを思い立ったとする説もあります(「So Much in Love」は'86年『ON THE STREET CORNER 2』に収録)。
So in love 恋しているんだ In a world of our own 二人だけの世界の中
もうすぐ“七夕”…
ティモシーの「So Much in Love」はこの時節にぴったりと思い、選曲してみました。 でも今年は統計開始(昭和26年)以来初めて6月中に梅雨が明けたはずなのに(関東甲信地方まで)、今週はずっと雨模様で7/7(土)も全国的に雨の予報です。 一般に天気予報は外れたら困りますが、7/7の夜だけは神さまの“粋な計らい”で満天の星空を、と期待しているのは…私だけでしょうケド?