I Wish~洋楽歌詞和訳&解説

80年代の洋楽ロック・ポップス&ビートルズを中心に、歌詞の和訳と解説+エッセイでお届けします

STOP!
地球温暖化/気象災害激甚化
Lil Dicky - Earth
Lil Dicky - Earth1
Beatles & Solo
Please Please Me


With The Beatles


A Hard Day's Night


Beatles For Sale


Help!


Rubber Soul


Revolver


Sgt Pepper's


The Beatles


Yellow Submarine


Abbey Road


Let It Be


Magical Mystery Tour


Beatles(the other songs)


John Lennon


Paul McCartney


Wings


George Harrison


Ringo Starr


「クロス・マイ・ハート」エイス・ワンダー

2021.10.14

category : Eighth Wonder

Eighth Wonder - Cross My Heart (1988年)

「ステイ・ウィズ・ミー」から3年、パッツィの“熟成”を感じさせる艶っぽいダンス・ナンバー ♪

《解説記事を更新》いたしました。【続きはこちら>>】をクリックしてご閲覧ください。


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tags : 1988年 ダンス/Pop 情熱の愛 日本で人気 

comment(4) 

「ルック・アウェイ」シカゴ

2018.08.17

category : Chicago & Solo

Chicago - Look Away1 Chicago - Look Away2


Chicago - Look Away (1988年)



~概要~

「ルック・アウェイ」はアメリカのロック・バンド【シカゴ】1988年の19thアルバム『シカゴ19(Chicago 19)』の収録曲です。
同年9月に2ndシングルとしてカットされると12月にBillboard Hot 100で2週No.1を記録し「愛ある別れ」(1976)、「素直になれなくて」(1982)に次いで“6年毎のNo.1”を見事成立させました。

また、年間チャートではBillboardの集計ルール(12月最初の週から11月最後の週までで集計)により翌年度扱いとなり、バンド初の1989年の年間No.1ソングに輝いています。
ただし同年度には4週No.1の「Miss You Much」(年5位)、3週No.1に「Like a Prayer」(過去ログ/年25位)ほか6曲、2週No.1が7曲と、「ルック・アウェイ」と同等以上の候補が13曲あったことから、これは多くの人にとって意外な結果でした。
そんな中で「ルック・アウェイ」が年間No.1に輝いたのは、恐らくTop10内8週/Top40内16週という息の長いヒットによるもので、年間2位の「My Prerogative」もNo.1は1週だけでした。


「Look Away」は80年代のシカゴらしいバラード曲ですが、実は多くの点で“シカゴ的”でない作品でもあります。

まず“シカゴの声”といえば「素直になれなくて」など、多くの人が思い浮かべるピーター・セテラですが、本曲を歌っているのは1981年からシカゴに加入したビル・チャンプリン(vo/key/g)
ピーター在籍時はコーラスに回る事が多かったビルですが、彼の“しわがれた声”は本曲に独特な哀愁を与えています。
また、シカゴといえば“ブラス・ロック”であり、バラード曲にあってもこうした重厚さこそが“シカゴ・サウンド”の特徴でしたが、ここではブラス・セクションが用いられていません
さらに、1982年の『Chicago 16』以降“シカゴ復活の立役者”としてサウンド作りに貢献してきたプロデューサーのデイヴィッド・フォスターが外れ、サバイバーやキッス、ハート等を手掛けてきたロン・ネヴィソンが務めています。


 




~Lyrics~

When you called me up this mornin'
今朝、君からの電話
Told me 'bout the new love you found
新しい恋人を見つけたって
I said, "I'm happy for you, I'm really happy for you"
“良かった、本当に良かったね”…言葉を贈る

幕開けであり、終幕でもあるセンテンス。
別れた彼女が元彼に“新しい恋人を見つけた”と報告し、その彼が“良かったね”と祝福しているわけですが…
別れた恋人同士って、普通こんな電話のやり取りします?

でも、このセンテンスを幕開けで聴くのと終幕で聴くのでは、かなり意味合いが違って聴こえます。
特に、最後のライン…
その言葉の裏にこそ、主人公にとっての“真実”が込められている気がします。


So if it's gotta be this way
でもそれが運命であるというなら…
Don't worry baby, I can take the news, okay
心配しないで、僕はこの知らせを受け入れる

彼女に未練のある彼…
二人は、どんな別れ方をしたのでしょう。
彼女は、別れた彼のことを心から心配してる?
それとも、いつまでも未練な彼を諦めさせ縁切りするための電話?

女心とは、これ如何に…。


When we both agreed as lovers
互いが恋人と認め合っていた頃も
We were better off as friends
友人のようでいた方がうまくいった

“友達夫婦”という言葉がありますが、そんな感じの恋人でしょうか?
そう考えてみると付き合っていた頃もそれぞれ自由を求めたり、冒頭でも別れた元彼に新しい恋人の報告するなど、二人の関係性がそれに符合します。

“友達”は対等で独立性が許され、自分が縛られない分、相手も束縛できません。
お互いがそれで満足ならばそれでよいのですが、この二人の場合、双方の想いに“温度差”が感じられ、それこそが彼を終始悩ませる原因となっていたかもしれません。



~Epilogue~

「Look Away」は“男性の視点”から描かれた作品ですが、作者は女性作曲家のダイアン・ウォーレン(Diane Warren)です。
ダイアンによると、「Look Away」は同じビルで働いていた友人の実話にインスパイアされた作品だといいます。

その女性は婚姻者だったもののその後離婚、しかし元夫とは離婚後も“友人であることに同意”していました。
やがて彼女が他に好きな人ができて、結婚するとを知った時…

彼は、“荒れた”そうです! 

「Look Away」で主人公が彼女に執った態度は真逆ですが、大筋は“まんま”でしょう?
もしかしたら、主人公が彼女に対し“祝福の言葉を贈り、静かに全てを受け入れた”のは、作者のダイアンが“男たるもの、そうあって欲しい”という女性にとっての理想形を当てはめたのかもしれません。

ダイアンは楽曲提供の際、彼女自らが歌ったデモ・テープを渡していたようで、プロデューサーのロン・ネヴィソンは“彼女のデモはいつもとてもシンプルだけど、いつも素晴らしいヴォーカル・パフォーマンス”と、賞賛しています。
今回、そんな彼女が「Look Away」と「I Get Weak」(ベリンダ・カーライルへの提供曲)を歌う貴重な映像を発見しました。




But if you see me walkin' by
でも、もし何処かで僕を見掛けても
And the tears are in my eyes
この目に涙が溢れていても
Look away, baby, look away
顔を背け、僕を見ないでおくれ

上のように“荒れる”タイプの男性は、決してこんな風に思わないでしょう…
きっと主人公の彼だって彼女の電話での知らせに荒れ狂いたいほどのショックを受けたと思いますが、それを内心に留め、情けない自分を恥じています。

“よき男”は、好きな女にこそ自分の情けない姿を見せたくないものです。
(…まあ、人に依る?)
“ゴルゴの父”も、おっしゃっています。

“男の美学とは、我慢である”  さいとう・たかを



「ルック・アウェイ」


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tags : 1988年 AOR せつない愛 年間No.1ソング ダイアン・ウォーレン 

comment(10) 

「ラジオ・ロマンス」ティファニー

2018.03.09

category : Tiffany

Tiffany - Radio Romance1 Tiffany - Radio Romance2


Tiffany - Radio Romance (1988年)



~Radio Romance ラジオの上の恋~

3月22日は【放送記念日】。
1925年(大正14年)3月22日に、NHKラジオ第1放送がラジオの仮放送を開始したことを記念して1943年(昭和18年)に制定されました。

今回ご紹介する「Radio Romance」は、タイトルが示すとおりラジオがテーマとなっている作品。
私はラジオを通していろんな音楽を教えてもらいましたが、欠点は自分の聴きたい曲が掛かるかわからないこと。
そんなとき便利なのがリクエストを受け付けてくれる番組で、中には憧れのスターがハガキを読んでくれたり電話で会話できたりと、ラジオならではのお楽しみがあったりします。

ただし本曲の主人公は、それとは【別の目的】でリクエストを利用しているようで…。



~概要~

ティファニーは、1987年に15歳でデビューしたアメリカの女性歌手です。
直後からシングル2曲と1stアルバム『Tiffany』を全米No.1に付けるなど、一躍トップ・アイドルとして注目を集めました。
翌年11月、人気絶頂の中で発売されたのが2ndアルバム『Hold an Old Friend's Hand』で、バラード調の1stシングル「All This Time」は全米6位と、好調な滑り出しでした。

2ndシングルは前作で全米No.1に輝いた「ふたりの世界」と同じ路線の元気なカントリー・ポップ「Radio Romance」でしたが、同じ結果とはならずBillboard Hot 100で35位止まりに終わりました。
この頃アメリカの若者の間での興味が急速にヒップ・ホップへと移行していたことと、ティファニーの両親とマネージャーの間で係争が生じるなど支援体制が揺らいでいたことも影響したといわれます。
また、ブレイク直前のニュー・キッズ・オン・ザ・ブロックを前座に連れて回った全米ツアーでは、途中でニュー・キッズが大ブレイクして主役の座を奪われた挙げ句、ティファニーがニュー・キッズのジョナサン・ナイトと恋仲になってしまったこともイメージ・ダウンにつながりました。

一方PVはシュープリームスに扮する小悪魔ティファニーとかわいい天使をフィーチャーした楽しい映像で、中でも思わずツッコミを入れたくなる【ムキムキお兄さん】が私のツボです! 
また、ティファニーは1988年秋に来日を果たしており、「ときめきハート(Can't Stop A Heartbeat)」が明治マーブルチョコレートに、「ラジオ・ロマンス」が明治ラッキーのCM曲に起用され、本人も出演しています。

 
 



~Lyrics~

From who? Uh, just say from
…誰から? そうね…こう言づけしておいて
From the one who loves you, baby
“あなたを愛する誰かさんより…”って

イントロダクションのフレーズ。
ストーリーの後半で、DJが“君を愛する誰かさんより…”という言葉を添えてリクエスト曲を掛ける場面が登場しますが、これは冒頭のこの部分で主人公がリクエストの電話をした際、DJに“(リクエストは)誰からと言えばいい?”と問われ、このように応答しているからです。
つまりこの素敵な添え言葉はDJのセンスではなく、彼女自身が考えたもの。


So I make the same request now
だから同じ曲をリクエストしているの
Every single night
夜ごと、毎晩

冒頭の項で触れたように、ラジオの欠点はお目当ての曲が掛かるか分からないことですが、リスナーに選曲の機会が与えられるのが【リクエスト】です。
…とはいえ人気番組だとその競争率が高かったり、取り上げてもらえるかもわかりません。
そこで彼女が考えたのが、コレ!

 何事も、努力の積み重ねよネっ♪
 でも、あまりシツコイと逆に避けられるんじゃね?



To the words that keep me wishing
ずっと祈り続けた言葉
That one day I'll be kissing you
いつか、あなたとキスする日が訪れますように…

彼女が毎晩リクエストするのには、理由があります。
普通は自分の聴きたい曲をリクエストしますが、彼女の場合“ある人に聴いて欲しい曲”です。

…それにしても、かわいい願い事ですね? 



~Epilogue~

「Radio Romance」を訳しながら頭に浮かんだのは、2004年に放送されたドラマ『世界の中心で、愛をさけぶ』
私はドラマ版しか見たことがないのですが、物語の舞台が80年代で、当時の高校生にとって【ラジオ】と【ウォークマン(カセット)】が必須のアイテムであったことを思い出させたドラマでした。
とりわけ中学生・高校生にとってラジオは重要な情報源であり、背伸びしたい子どもにとって“大人社会の覗き窓”のようなものだったかもしれません。


♪私からあなたへ この歌を届けよう…

もう一つ浮かんだのは、チューリップの財津和夫が1978年に発表した「切手のないおくりもの」
人間は社会性豊かな動物であり、自分の見たこと、感じたこと、考えていることを他の人に伝え、その感情を誰かと分かち合いたいものです。
「Radio Romance」の主人公も、そんな想いを巡らせていたのでしょうか…。

One night you'll hear a song
…ある夜、あなたは歌を聴き
And then you'll know just who it's from
それが誰からの贈りものか、きっと気づいてくれる…

…その気持ち、ブログを愛好するあなたならわかるでしょう? 



「ラジオ・ロマンス」

Tiffany - Radio Romance from Nataliya Chernenko on Vimeo.



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tags : 1988年 ポップ ピュアな愛 ラジオ CM曲 

comment(8) 

「メイク・ミー・ルーズ・コントロール」エリック・カルメン

2017.07.21

category : Eric Carmen

Eric Carmen - Make Me Lose Control1 Eric Carmen - Make Me Lose Control2


Eric Carmen - Make Me Lose Control (1988年)



~「Make Me Lose Control」とかけて、“桜田淳子”と解く。その心は…? ~

 “ある狼”のつぶやき…

今回のテーマ曲「Make Me Lose Control」を1976年桜田淳子風に訳すと、“心の鍵を甘くさせて”…
でも彼女の歌ではそれじゃ“あぶない あぶない”と、女の子たちに“ご用心”って呼び掛けているよ。
しかも作詞家の阿久悠センセイときたらピンク・レディーにも“男は狼”なんて歌わせ、ボクら狼をレディーに対し手当たり次第ちょっかい出すケダモノみたいな言い方するんだ、失礼しちゃうよね!
 (※狼は基本、一夫一妻型で繁殖期は冬)

…さて、“なぞかけ”の答えはおわかりになりましたか(曲名です)? 


昭和歌謡を代表する作曲家、平尾昌晃先生のご冥福をお祈りいたします(私はこの曲が好き)。



~概要~

エリック・カルメンというとやっぱりスタンダード・ナンバーともいえる1975年の名曲「All by Myself」が有名ですが、これは彼にとって記念すべきソロ・デビュー曲が全米2位という、非常に恵まれたスタートでもありました。
しかし人生とは分からないもので、それを頂点として以降10年、徐々に下降線を辿ってゆくことになります。
ようやく運が巡って来たのは1987年に映画『ダーティ・ダンシング』のサウンドトラックに参加して「Hungry Eyes」を歌ったことで、これが「All by Myself」以来の大ヒットとなり劇的復活として脚光を浴びました。


「Hungry Eyes」にヒントを見出したエリックは友人ディーン・ピッチフォードと共にロックン・ロールへのオマージュを込めた「Long Live Rock And Roll」という曲の創作を始めます。
ちなみにディーン・ピッチフォードは1984年の映画『フットルース』の脚本家であり、エリックとは挿入曲「パラダイス~愛のテーマ」(歌ったのはアン・ウィルソン&マイク・レノ)の共作を通して友情を築き、同年エリックのアルバム『Eric Carmen』でも2曲共作をした仲でした。

しかし「Long Live Rock And Roll」は出来上がったものの満足に至らず、結局サビの歌詞を書き換えています。
原因は当初のフレーズが“あまりにノスタルジック過ぎた”ことで、話し合いによって“もっと[immediate(直接の、差し迫った、接近した)]が必要だ”という結論に至りました。
そして二人が知恵を絞った末エリックに浮かんだのが“How about Make Me Lose Control?”で、ディーンも“O.K.”と賛同し「Make Me Lose Control」のストーリーが仕上げられていったそうです。


「メイク・ミー・ルーズ・コントロール」は1988年5月にシングル・カットされBillboard Hot 100で3位(年間38位)、同アダルト・コンテンポラリー・チャートで3週No.1に輝きました。
この頃「Hungry Eyes」に加えてソウル・オリンピックの企画アルバムに「Reason to Try」を提供し、さらにここで「メイク・ミー・ルーズ・コントロール」を大ヒットさせるなどデビュー以来の活躍ぶりでしたがオリジナル・アルバム制作の動きは見せておらず、本曲は同年発売された『The Best of Eric Carmen』に収められています。


 



~Lyrics~

We go cruisin' so close,
心を寄せ合い、出掛けよう
The way they did long ago
昔の恋人たちがしていたみたいに…

若い二人は7月のある暑い日、父親の車を借りてデートに出掛けます。
デートのコンセプトがこのラインで示されており、ここでいう【they】とは歌詞に含まれる4曲の“1950~60年代のヒット曲に登場する恋人たち”なのでしょう。
例えば「Uptown」はロイ・オービソン1959年の歌、「Back in My Arms Again」はシュープリームス(スプリームス)1965年の全米No.1曲といった具合です。

 


Jennifer's singin' "Stand By Me,"
ジェニファーは"Stand By Me"を歌ってる
And she knows every single word by heart
アイツときたら、言葉の一つひとつ覚えている

「Stand By Me」はもちろんベン・E・キング1961年のヒット曲で、1986年公開の映画『スタンド・バイ・ミー』のテーマとしても有名です。
“20世紀にアメリカのラジオ・TV番組で最も多く放送された曲第4位”に認定されたといわれますが、まさに“二人っきり”の車の中で聴くにはぴったりのラブ・ソング。
作者であるベン・E・キングは「Stand By Me」について、“妻へのまっすぐな思いを歌った曲”と語っています。


"Be My Baby" comes on, and were movin' in time
"Be My Baby"がかかると、二人のダンス・タイム
And the heat from your touch makes me feel
その火照った肌が触れるだけで

「Be My Baby」は、女性ヴォーカル・グループ“ロネッツ”による1963年の大ヒット。
1987年に、60年代を舞台とした映画『ダーティ・ダンシング』に起用され、80年代の若者たちにも大いに共感を呼びました。
「Stand By Me」は“一途”なところが魅力ですが、「Be My Baby」は恋する女の子の健気さがとにかくかわいくて、誰もが彼女を応援したくなります♪



~Epilogue~

1949年生まれのエリック・カルメンにとって1950~60年代はまさに彼自身の青春時代と重なっており、「Make Me Lose Control」はこの年代の音楽に対するオマージュを込めた作品です。
PVの映像も“1962年の夏、あなたはどこにいましたか(Where were you in '62?)”のキャッチフレーズで1973年に大ヒットしたジョージ・ルーカス監督の青春映画『アメリカン・グラフィティ』をモチーフにしており、これはベトナム戦争に突入する前の“アメリカの楽しい時代の象徴”ともいえます。

「Make Me Lose Control」では1980年代の若者がオールディーズと共に恋人とドライブへと出掛けるストーリーですが、私もそれをイメージして選曲してみました♪

Jan & Dean - She's My Summer Girl
Jackie DeShannon. When You Walk In The Room
Ricky Nelson - Hello Mary Lou
The Supremes - You Can't Hurry Love
The Diamonds - Little Darlin'
Chordettes - Lollipop

Ritchie Valens - La Bamba
The Temptations - Get Ready
Chubby Checker - Let's Twist Again

Joanie Sommers - One Boy

…お楽しみいただけましたか?
曲は知らなくても、何となく“ほわっ”と心地よいでしょ♪
テクノロジーの発展は楽器や音響・録音機材の発展であり、1960年代中頃以降ミュージシャンの関心が新たな機材での“サウンド表現の追及”となっていったように思います。

しかしそれらがまだ不十分だった60年代前半頃まではその不足分を人の声や拍手、フィンガー・スナップ(指パッチン)など極めて原始的な“楽器”がサウンドの重要な役割を担っていました。
そのため1950~60年代前半までの音楽は“Oldies (懐メロ)”扱いされるようになってしまうわけですが、1980年代になってもエリック・カルメンをはじめビリー・ジョエル「Uptown Girl」やエルトン・ジョン「ブルースはお好き?」、ライオネル・リッチー「You Are」らがオールディーズ・テイストの作品をヒットさせているように、時代が移り変わってもそのファンが絶えることはありません。


“声は最高の楽器”

どんなに機材が進化しても、声ほど私たちの感情を表現し得る楽器はありません。
1950~60年代の音楽には、“ドゥーワップ (doo-wop)”など色彩豊かなコーラスによる“ぬくもり”が溢れています。
私たちが覚える“郷愁”とは、そうした感情をいうのかもしれませんね。

(Keep) keep this feelin' alive
ずっと、このフィーリングのまま
Make me lose control
いつまでも、この胸を熱くさせていておくれ

後半、アカペラ・コーラスがなぞるこのライン…
私の胸を熱くさせて止まないのは、こんなフィーリング♪



「メイク・ミー・ルーズ・コントロール」


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tags : 1988年 ソフト・ロック 優しい愛 映画80's ダーティ・ダンシング 

comment(10) 

「オリノコ・フロウ」エンヤ

2017.07.14

category : Enya

Enya - Orinoco Flow1 Enya - Orinoco Flow2


Enya - Orinoco Flow (1988年)



~まだ見ぬ世界の海へ、“Sail away”♪ ~

「オリノコ・フロウ」にはたくさん世界の地名が登場しますが、中にはその実在性が不確かなものも含まれています。
…そこで、クエスチョン!
次の3つうち、その実在性に疑いがあるものはどれでしょう?

アヴァロン(Avalon)
バビロン(Babylon)
オリノコ(Orinoco)

(※答えは本記事のどこかにありますので、適宜お確かめを…?



~概要~

エンヤ(Enya)はアイルランドの歌手であり、幾重にも重ねられ深いエコーの“天から祝福を授ける女神の歌声”は2000年前後の“ヒーリング・ミュージック・ブーム”の主役の一人で、現在でも安定した人気を維持しています。
「オリノコ・フロウ」は1988年の2ndアルバム『ウォーターマーク(Watermark)』の収録曲で、シングルとしても初めてイギリスでチャート・インを果たしただけでなく、3週No.1に輝きました。
その評判はゆっくりアメリカへと伝播、翌年4月にBillboard Hot 100でも24位を記録しています。

私は本曲を『ベストヒットUSA』で知りましたが、そこでエルトン・ジョンが賞賛していたことを覚えています。
1980年代末イギリスはユーロ・ビート、アメリカはヘヴィ・メタルといった“こってり”した音楽が流行だった時代、ふわふわ掴みどころのないエンヤのテイストは全く正反対でしたが、脂っこい物を食べたあと胃に優しいものが食べたくなるように、音楽トレンドもそうした転換期にあったのかもしれません…。

このエンヤの“何ともいえない不思議な味わい”を一言で言い表すのは難しいですが、敢えて表現するなら【ネクター(nectar) 】ではどうでしょう?(あくまで個人の主観です)
当時ネクターで有名な『不二家ネクター』が「オリノコ・フロウ」をCM曲に起用したことについて、これほど曲と商品のイメージが合致する例は珍しいと思いました。
ちなみに【ネクター】はギリシャ語の[ネクタル]を語源とし、“古代ギリシャの神々の不老不死の霊薬・飲みもの”とされたそうで、神々しい所もエンヤと似ているかもしれません。


PVは、アルバム『Watermark』から画中のエンヤがまるで抜け出たようなアート性を感じる映像で、第32回グラミー(1990年)で“Best Music Video”にノミネートされました(受賞はマイケルジャクソンの「Leave Me Alone」)。
オリジナルver.が余りに多重録音のためステージでの再現は不可能であり、エンヤは滅多にライブでのパフォーマンスはしませんが、2008年には「オリノコ・フロウ~ありふれた奇跡」で第59回NHK紅白歌合戦に特別出演しました。

こういった特殊な事情からカバーは手の出しづらい所ですが同じ“女神系”のCeltic Woman、“天使系”少年合唱団のLibera…に混じって“オヤジ系”Santanaがいたのは、私もビックリしましたっ!! 

 
 



~Lyrics~

不思議な感覚の曲・サウンドの「オリノコ・フロウ」ですが、歌詞も深い意味があるような無いようなで、輪をかけて不思議な内容となっています。
作詞はプロデューサー、ニッキー・ライアンの奥方ローマ・ライアンで、実は創作した当人にとっても何度も試みては挫折を繰り返して棚上げになっていた作品だったとか…?

作品のタイトルにもなっている【Orinoco】はカリブ族の言葉で[川]を意味し、コロンビア~ベネズエラには約2,060kmを流れる南米第三の[オリノコ川(Río Orinoco)]という大河が実在します(ちなみに日本一の信濃川は367km)。
一方、本曲をレコーディングしたスタジオも『Orinoco Studios』(現在はMiloco Studios)といい、ほかにも歌詞の中に[Rob Dickins]や[Ross](Ross Cullum;アルバムのプロデューサー)といった関係者が複数登場することから、こちらも意識させられる所です。


From Bissau to Palau - in the shade of Avalon
ビザウからパラオ~ぼんやり陰るアヴァロン
From Peru to Cebu hear the power of Babylon
ペルーからセブ~バビロン繁栄の力

「オリノコ・フロウ」には世界に実在、または伝説に登場する地名などが多く登場します。
【Avalon】はケルト語でリンゴを意味する[abal]に由来し、ブリテンにあるとされる“伝説の島”で、イエス・キリストがブリテン島を訪れた際の上陸地としたなど[恵みの島(Isle of the Blessed)][幸福の島]といったパラダイス的な概念で捉えられている地ですが、実在したかは諸説あるようです。

一方【Babylon】メソポタミア地方に“実在した古代都市”で、バグダードの南方約90kmの地点にユーフラテス川をまたいで繁栄していましたが、とりわけ残された伝説が【バベルの塔】(旧約聖書『創世記』)や【バビロンの空中庭園】(世界の七不思議の一つ)など、非常にユニークです。


From the deep sea of Clouds
果てない雲の海から
To the island of the moon
月の島

ここは何故か地名が示されていませんが、雲海というと近年タモリ&トミー・リー・ジョーンズ出演のサントリーBOSSのCMの舞台にもなった兵庫県朝来市の[竹田城跡]があり、雲上に浮かぶお城はまさに“ラピュタ”?



一方【the island of the moon】は[マダガスカル]、という説があります。
マダガスカル島は月の形をしてないし何故だろうと調べてみると、“古いアラブの地図にマダガスカルは[Gezirat Al-Komor(月の島の意味)]の名前がつけられていた”という記述がありました。


We can steer, we can near
きっと往ける、近づける
With Rob Dickins at the wheel
ロブ・ディケンズの舵取りと共に

突如出現するのは歴史上の人物…
…ではなく、エンヤが所属するワーナー・ミュージックUKの当時の社長です。

1986年、エンヤはBBCのドキュメンタリー番組『The Celts』(日本ではNHKで『幻の民ケルト』として放送)のサウンドトラックを担当しそのサントラ盤『Enya』(BBC/Atlantic)がアイルランドで大ヒットしましたが、これを最も高く評価したのがディケンズ社長でした。
音楽や芸術性は君の自由、制作方針も干渉しない、期限も求めないからウチに来ないか?

ディケンズは次のように語っています…
時にはお金のために契約することもあるし、音楽を創るために契約することもあるけれど、これは明らかに後者だった。僕自身がこの音楽に携わりたかったんだ

そうして制作されたのが、アルバム『Watermark』でした。
エンヤが本作にどんな気持ちを込めたか、窺い知れるでしょ? 



~Epilogue~

先日、南極大陸にある5800平方キロメートル(三重県とほぼ同じ面積)・重さ1兆トン超の氷塊が分離して史上最大級の氷山になったというニュースが報じられました。
また、先月インドでは47℃まで気温が上昇し360人以上が死亡、ヨーロッパでは記録的高温により森林火災が相次ぎ、カナダでも東京ドーム5000個分の森林が焼失するという、“地球温暖化”の影響と懸念される被害も相次ぎました。

日本でも、まだ梅雨なのに早くも全国各地から猛暑日の便りが続々と届けられ(※7月19日、関東甲信まで梅雨明け)、一方で記録的豪雨による甚大な土砂災害も生じました。
1990年頃から一部の専門家の間で指摘され始めた“地球温暖化”は、20年以上経った現在では私たち一般人にさえ実感として認識されるほど顕著な気候変動となってきましたが、気象庁が1876(明9)から記録し続けた東京の7月の月平均気温のデータを見ても、最初1876~1885年の10年間の平均値は24.6℃、最新2007~2016年の10年間の平均値は26.5℃で、140年で約2℃近く上昇していることがわかります(※年平均気温でも13.7⇒16.6℃と、約3℃近く上昇している)。


一方、地球温暖化の問題は猛暑だけではありません。
実は私たちが住む地球には優れた“自動空調装置”が備わっており、それがない太陽からほぼ等距離の月の1日の温度変化は昼110℃→夜-180℃(赤道付近)であることを考えると、どれほど地球の空調装置が私たちの生命を守ってくれているかがわかります。
その空調装置とは地球表面を覆っている“大気と海”で、これらが太陽光を和らげ急激な温度変化を防ぐ役割を果たしているのです。

地球表面の約71%を覆う海は、気温が上昇すると[水循環]によって水を蒸発させて気化熱を奪い、水蒸気が雨(雪)となって地表を冷やす…を繰り返し温度調節していますが、米航空宇宙局(NASA)は水循環の効果がなかったら地表の温度は67℃まで上昇すると予測しています。
しかしこの自動空調にはシステム上避けられない弱点があり、度の越えた温度の上昇には度の越えた海水の蒸発を発生させ、当然それに比例して降水量も増大させてしまうことで、今回の九州豪雨も東シナ海の水温上昇が原因であった可能性が指摘されています。

地球温暖化の厄介な点は“気温上昇”だけに止まらず、それによる極地の氷河融解で“海水面の上昇”を招き、そこへ“台風や暴風雨を頻発・強大化させる”ことにあるといえます…。


“奇跡の星”と称される地球は、この広い宇宙に稀なる“生命の楽園”を築き上げました。
しかしその楽園の防御システムだけでは対処し切れず、いま“嵐”が訪れようとしています。
嵐の原因は? …嵐を免れる手段は? …それを実行できるのは?
“生きものみんなの地球”のため、私たちみんなが利害を捨てて優先して手だてを講じねばならない段階に来ているように思います。

Let me sail, let me sail
航(わた)らせ給え
Sail away,sail away, sail away

私たちに、航(わた)る星など他にないのだから…。



「オリノコ・フロウ」


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tags : 1988年 ニューエイジ 名作MV CM曲 

comment(10) 

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Author:Beat Wolf
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