I Wish~洋楽歌詞和訳&解説

80年代の洋楽ロック・ポップス&ビートルズを中心に、歌詞の和訳と解説+エッセイでお届けします

STOP!
地球温暖化/気象災害激甚化
Lil Dicky - Earth
Lil Dicky - Earth1
Beatles & Solo
Please Please Me


With The Beatles


A Hard Day's Night


Beatles For Sale


Help!


Rubber Soul


Revolver


Sgt Pepper's


The Beatles


Yellow Submarine


Abbey Road


Let It Be


Magical Mystery Tour


Beatles(the other songs)


John Lennon


Paul McCartney


Wings


George Harrison


Ringo Starr


「シンキング・アウト・ラウド」エド・シーラン

2016.02.19

category : 2000年~

Ed Sheeran - Thinking Out Loud1 Ed Sheeran - Thinking Out Loud2


Ed Sheeran - Thinking Out Loud (2014年)



~第58回グラミー賞~

2月15日(日本時間16日)に米ロサンゼルスで世界最高峰の音楽の祭典『第58回グラミー賞授賞式』が催され、注目の“主要4部門”は以下の結果となりました。

最優秀レコード賞 Record of the Year
「Uptown Funk」 マーク・ロンソン ft. ブルーノ・マーズ
最優秀アルバム賞 Album of the Year
『1989』 テイラー・スウィフト
最優秀楽曲賞 Song of the Year
「Thinking Out Loud」 エド・シーラン
最優秀新人賞 Best New Artist
メーガン・トレイナー

今回話題といえば、日本が誇る世界的指揮者・小澤征爾氏が8度目のノミネート&80歳で初受賞(最優秀オペラ・レコーディング賞)という快挙もありました!
また、このところたて続いた大物の逝去によって授賞式はレディー・ガガ(デヴィッド・ボウイ追悼)、イーグルス&ジャクソン・ブラウン(グレン・フライ追悼)、ペンタトニックス&スティーヴィー・ワンダー(モーリス・ホワイト追悼)、クリス・ステープルトンft.ゲイリー・クラーク・ジュニア/ボニー・レイット(B.B.キング追悼)、ハリウッド・ヴァンパイアーズ(ジョニー・デップ、アリス・クーパー、ジョー・ペリーらによるレミー・キルミスター追悼)など追悼パフォーマンスのラッシュとなりました。





~概要~

エド・シーランは2011年にデビューしたイギリスのシンガー・ソングライターで、現在25歳。
1stアルバム『+(プラス)』をイギリスで180万枚以上売り上げ一躍自身のスターの地位を築き上げましたが、同時にワン・ダイレクションへの楽曲提供者の一人としても名を挙げました(「Little Things」「Over Again」など)。

「シンキング・アウト・ラウド」は2014年の2ndアルバム『x(マルティプライ)』の収録曲で、同年9月3rdシングルとしてリリースされ全英シングル・チャート1位に輝いただけでなく、翌年6月に“UKで1年間トップ40にチャート・インし続けた初のシングル”という異例のロング・ヒットを達成しました(※ダウンロード開始は2014年6月)。
一方US Billboard Hot 100の最高位は2位、アメリカだけで500万枚以上を売り上げています。
また、ストリーミング配信サービス『Spotify』に於いてエド・シーランは“2014年に最もストリーミングされたアーティスト”に輝いていますが、シングル「Thinking Out Loud」は“ストリーミング数が5億回を突破した初めての曲”として歴史に名を刻みました。
PVでエドは社交ダンスを披露しており、気になるお相手の女性はダンス・コンテスト番組『So You Think You Can Dance(U.S. season 10)』の参加選手Brittany Cherryで、エドは減量とブリタニーとの1日5時間×3週間という厳しい特訓を経て撮影に臨んだそうです。

また、今回のグラミー“最優秀楽曲賞”“最優秀ポップ・パフォーマンス(ソロ)”の2部門を受賞した彼ですが、これまで2013年に1部門・2014年に2部門・2015年に3部門ノミネートされながら一度も受賞が叶わなかったことから、本人は“今年はノミネートされても授賞式には行かないつもりだった。でも、行かない年に限って受賞したりするかもしれないから出席した。もし受賞しなかったら、もう今後は行かない。”と覚悟を決めての参加だったといいます。
…とはいうものの、実は今回対象となっている「Thinking Out Loud」は昨年『第57回』の式典に於いてジョン・メイヤーとの協演によりパフォーマンス披露済みであり、今年同曲が歌われることはありませんでした。

ところで、今回の“最優秀楽曲賞”の選考でエドに敗れた悔しい立場であったにも拘らず、彼の受賞を誰よりも喜んでいたのがテイラー・スウィフト(彼女も今回3冠)でした。
エドとテイラーは数年来に亘る“親友”であり、グラミーが明けた2月17日のエドの誕生日を祝うメッセージと共に「シンキング・アウト・ラウド」について、次のようにエピソードを語っています。

2年前ロンドンで、私がバレエシューズを買っていた店にエドが入ってきたの。そしてこう言ったわ。「この新曲を聞いてよ。僕の最高傑作だと思うから!」って。そしていつものようにエドは電話を取り出して、私にヘッドフォンを渡してくれた。私は店のベンチに座ってその曲「Thinking Out Loud」を初めて聴いたの。小さな子どもたちがチュチュやレオタードを選んでいた隣でね。でもこの歌が世界中の結婚式でのファーストダンスの定番曲になり、エドの最大のヒット曲になり、2016年のグラミー賞で年間最優秀楽曲を獲得することになるなんて、あの時は思いもしなかったわ。”
“エドとはツアーで1年間ほぼ毎日一緒だったの。エドが私の楽屋に突入してきて新曲を聞かせてくれるのが楽しみだったわ。それがあまりにも頻繁だったから普通のことになってたんだけど、私に一番最初に聞かせたいと思ってくれたエドの気持ちがどれだけ嬉しかったか、エドはわかっていなかったと思う。常に新しいものを創り出そうとする彼のパワーと情熱がどれだけ私に刺激を与えたのかも、エドはわかっていなかったと思うわ。


う~む…
この二人の間には、“釈然としない何か”がある? 

 



~Lyrics~

When your legs don't work like they used to before
君の脚が、かつての健やかさを失い
And I can't sweep you off of your feet
僕も、その足元をさらって抱きかかえられなくなる頃

いきなりちょっとシリアスな話題ですが、この頃“それ”を意識させる出来事がエドの周辺で起きていました…。
「Thinking Out Loud」の作者はエドと、17歳以来の作曲パートナーAmy Wadge(エイミー・ワッジ)ですが、作品が生まれる前年の2013年にそれぞれ祖父と母を亡くしており、その経験が影響を与えたようです。
ある日エイミーが1階でギターのコードを弾いていると、2階でシャワーを浴びていたエドが急いで駆け降りてくるほど彼の気を引いたそうで、本格的に作業が始まると約20分でそれを完成させたそうです!

“老化は足から”と言われますが、あなたは自信がおあり…? 


When my hair's all but gone and my memory fades
この髪がすっかり抜け落ち、記憶もおぼつかなくなって
And the crowds don't remember my name
世間も僕の名を忘れ去り

エドのおじいちゃんは最後アルツハイマー病に苦しんでいたそうで、そのことを想起させます…。
齢を重ねるとともに少しずつ身体の機能が衰え、それまで当たり前にできていたことができなくなってゆくのが老化です。
普通の細胞は損なわれれる毎に再生しますが脳の神経細胞は再生されることはなく、損なわれる毎に減少してゆきます。
このため、認知機能を低下させる認知症の一種である“アルツハイマー病の最大の危険因子は年齢”であるとされ、認知症の発症率は85歳を越えると急激に上昇するそうです。

私たちは、先を生きる家族によって“人生の無常”を教わる…。 


And I'm thinking 'bout how people fall in love in mysterious ways
人は、どうして恋という不思議の迷路へ堕ちてゆくのだろう…
Maybe just the touch of a hand
たぶんそれは、手と手が触れたせい

恋をすることは苦しむことだ。 苦しみたくないなら、恋をしてはいけない。
でもそうすると、恋をしていないことでまた苦しむことになる。
by ウディ・アレン

 ナルホド…。

男が本当に好きなものは二つ。危険と遊びである。
そしてまた、男は女を愛するが、それは遊びのなかで最も危険なものであるからだ。
by ニーチェ


 …ドキっ!?



~Epilogue~

作品のタイトルとなっている【think out loud】は“考えを口に出す”ですが、使われ方がシャレています。
自分の気持ちを口で伝えるのではなく“鼓動に語らせる”なんて、何ともニクい演出です。
心拍は嘘発見器にも適用されるほど精神状態を物語る生理現象ですから、科学的にも道理に適うのでしょう…。
“ウソ”を見抜いちゃうほどネ?)

Place your head on my beating heart
そして、この胸に耳をあててごらん
I'm thinking out loud
鼓動が声をあげている…
Maybe we found love right where we are
“二人は、ここに愛を見つけたよ”

一方、“70歳になろうと、23歳と同じ気持ちで君を愛し続ける”という印象的なメッセージは本作品のもう一つのテーマであるといえ、これはエドがリアルタイムで交際していた恋人アシーナ・アンドレロスに捧げられたものです。
しかし“有言実行”とは難しいもので、2015年2~3月頃に二人は破局したといわれ、これには“エドの親友”テイラー・スウィフトの存在が影響しているとも憶測されています。


“think out loud”や“everlasting love(永遠の愛)”は目指すべき理想ではあるものの、加齢と共に容貌の美しさが褪せ、身体機能も心もとなくなった相手を23歳の頃のように“my beating heart(ときめき)”で見つめられるかといえば、厳しい現実が待ち受けていることは否めません。
でも、思い出してみてください…。
愛とは、表面的な美しさを指し表す概念ではなく、“心の内面にある精神的な美しさ”のことだったはずです。
そのことを十分に理解し心で育むだけの時間は、たった23年では足りな過ぎます。

魅力あるもの、キレイな花に心を惹かれるのは、誰でもできる。
だけど、色あせたものを捨てないのは努力がいる。色のあせるとき、本当の愛情が生まれる。
 遠藤周作


“ときめき”では越えられないその先にこそ、“永遠の愛”の領域はあるのですから…。


「シンキング・アウト・ラウド」


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tags : 2014年 AC 優しい愛 グラミー最優秀楽曲賞 

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「スレイヴ・トゥ・ザ・リズム」マイケル・ジャクソン

2014.05.27

category : Michael Jackson

Michael Jackson - Slave To The Rhythm1 Michael Jackson - Slave To The Rhythm2


Michael Jackson - Slave To The Rhythm (2014年)



~マイケル・ジャクソンの“新曲”映像~

5月18日、アメリカの3大音楽賞の1つ『the Billboard Music Awards』に於いて、マイケル・ジャクソンの新曲「スレイヴ・トゥ・ザ・リズム」が彼のホログラムによってパフォーマンスされ、世界をアッと言わせました!

これを見たマイケルの兄ジャッキーは…
“美しかったし、信じられないね。本当にマイケルがそこにいるのかと思ったよ。ちょっと涙ぐんじゃった。”と賞賛し
幼少からマイケルを近くで見てきたライオネル・リッチーは…
“あれは怖かったね。だってあれはマイケルだったんだから、驚いちゃったよ。”と、あまりのリアルさに戸惑ってしまったようです。

この映像は翌日YouTube上で公開され、既に1000万回以上も再生されていますよ!



~概要~

「スレイヴ・トゥ・ザ・リズム」はマイケル・ジャクソンが遺した未発表音源を素にリミックスされ、2014年5月13日(日本盤は5月21日)にリリースされたコンピレーション・アルバム第二弾『Xscape(エスケイプ)』の収録曲です。
今やエピック・レコード会長でCEOとなったL.A.リードと、1990年代に名プロデューサーとして馳せたベイビーフェイスらの手による作品で、1980年代後半『Bad』のセッションで初めてレコーディングが試みられました。
その後『Dangerous』を経て1998年にようやく“マイケル存命中の最終形”に至るも、このバージョンは2001の『Invincible』で発表されることはありませんでした。

マイケルが他界した翌年の2010年に「スレイヴ・トゥ・ザ・リズム」はネット上に流出して話題となりましたが、
2013年には『Xscape』に収録される可能性もあったジャスティン・ビーバーのヴォーカルをミックスしマイケルとコラボした「Slave 2 The Rhythm」までもが流出してしまい、結局今回のアルバムに収録されることなく幻となってしまいました(現に、『Xscape』のティンバランドがプロデュースしていた)。
また2014年2月、ソニーの新作スマートフォンXperia Z2のオンラインCMに起用され注目が集まりました。

話題となっている映像はシルク・ドゥ・ソレイユの公演『Michael Jackson THE IMMORTAL World Tour』のディレクターの元に持ち込まれ、『Dangerous』のアートワークをモデルに創作されました。
振り付けを担当した同公演のタラウエガ兄弟が“マイケルのダンスの動きについては、マイケルの世界に留めた”と語るようにマイケルの動きの忠実な再現に重点が置かれたようで、準備に5~6ヶ月を費やしたそうです。
何でもこうした映像による“ホログラムショー”の大規模ツアーも企画されているようで、コチラもいろんな意味で波紋を呼んでいるとか…!?



~Lyrics~

She dances in these sheets at night
女は踊る…夜、シーツの中で
She dances to his needs
女は踊る…男の求めるがままに

この歌の多くは、“She(dances)~”の形で綴られています。
家庭で、職場で男に抑圧された女が主人公という設定で、実際にもこの詞に共感する女性は多いことでしょう。

【dances】という言葉が繰り返されますが本来の意味をそのまま充てるのではなく、その場面に相応しい意味を想像してくださいね。
さて、この場合…
訳さないでおきましょう!


She danced the night that they fell out
女は踊った…その夜、二人は喧嘩し
She swore she'd dance no more
“もう二度と踊らない”と誓った

オリジナルやアルバムのバージョンには存在し、今回の映像のバージョンではカットされている部分です。
ただ、それまで女がずっと抱いていたであろう“情動”を実行する重要な転換点でもあるので、ストーリーとしては外せません。

“懸命を尽くしているのに、報われない…”
そんな思いに駆られたことはありませんか?
その時、女は“それ”を実行します…。


She let out a cry and swallowed her pride
やがて叫びを揚げ、湧き上がる情動を飲み込んだ
She knew she was needed back home, home
女には分かっていた…“帰らねばならない”ことを、home…

とうとう家を飛び出した女でしたが、彼女には自分のプライドよりも大事なものがあったことに気づきます。
もしここで自分が逃げ出したら、残された“それ”はどうなるのだろう?
たとえ今、この身が解放されたとしても失ったものの大きさに、きっと心は“それ”に囚われるに違いない…。
そう思いを至らせた瞬間、必要としてくれる人がいる場所こそ自分が身を置くべき“拠り所”なのだと再確認したのでしょう。
女性とは、母とは…。



~Epilogue~

Slave To The Rhythm
リズムの奴隷

…どういう意味?
マイケル自身のコトを歌っているなら“ナルホド!”って思えるのですが、主人公は“She”ですから…。

【rhythm】はギリシャ語の“流れ”を語源とし、大まかに言うと“規則的な間隔で繰り返される”といった意味合いがあります。
【slave】は一般的な“奴隷”以外にも、“献身する人”という意味もあります。
思えば、女性(お母さん)は定時に家族を起こし、ご飯を食べさせ、家族の日常を支えるために献身的に働き、彼らの規則的な生活のリズムを保つ役割も果たしていることを、誰もが心当たるでしょう。
それを毎日なんて…。

Slave To The Rhythm
家族の平穏な時間を守る人

私たちの平穏な日常は、彼女らの存在無しにはあり得ません。
忌まわしげなこの言葉が、このように解釈できる日が訪れますように…


「スレイヴ・トゥ・ザ・リズム」


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tags : 2014年 ダンス/R&B LA/ベイビーフェイス 

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