デッド・オア・アライヴは1980年にゴシック・ロック・バンドとしてイギリスでシングル「I'm Falling/ Flowers」でデビューを果たしていますがそれを含め数年間はヒットを出せていませんでした。 転機となったのがKC&ザ・サンシャイン・バンドの有名なダンス・ナンバー「That's The Way [I Like It]」をカバーしたことで、これが1984年に全英22位まで上昇し初めてのヒット曲となります。
同年11月、ダンス・ユニットに転身した彼らは「You Spin Me Round (Like a Record)」をリリースすると、チャートを17週かけてじわじわ上昇し、翌年3月にとうとう全英No.1にまで到達しました。 この余波は国内に止まらず世界に波及、カナダやアイルランド、スイスでもNo.1を獲得する大ヒットとなり、8月にはアメリカBillboard Hot 100でも11位を記録しています。
「ユー・スピン・ミー・ラウンド」の特徴的な打ち込みビートを聴いて1980年代後半に世界的ブームとなったユーロ・ビートのサウンドを思い起こす方も多いと思いますが、それもそのはず、本曲はそのユーロ・ビートの仕掛け人であるストック・エイトキン・ウォーターマン(SAW)のプロデュース作品であり、SAWにとっても最初の全英No.1ヒットでした。 この大ヒットを駆って85年5月には本曲を収録した2ndアルバム『Youthquake』が発売され全英9位を記録、Billboard 200も31位まで上昇しています。 ちなみに【Youthquake】は1960-70年代に若者に広がった、体制に対する反抗と過激主義に基づいた“若者の反乱”のことで、彼らのバンド名【Dead Or Alive】といい、その思想背景が窺えます。
「ユー・スピン・ミー・ラウンド」にインスピレーションを与えた楽曲についてピート・バーンズはルーサー・ヴァンドロスの「I Wanted Your Love」を挙げており、ギターはワーグナーの「Ride Of The Valkyries」に基づいているともいわれます。 デッド・オア・アライヴとワーグナー… 何の接点もなさそうな2人ですが、いわれてみると意外な共通点!?
「ヴィーナス」はバナナラマ1986年の3rdアルバム『ヴィーナス(True Confessions)』の収録曲で、1stシングルとしてイギリスで8位、そして彼女らにとってアメリカBillboard Hot 100初のNo.1(年間38位)獲得作品であり、世界6カ国でNo.1を記録した彼女らの代表曲です。 作者はロビー・ファン・レーベン、プロデューサーには新たにストック/エイトキン/ウォーターマン(SAW)を迎え、洗練された明るいディスコ・サウンド“ユーロビート”を創り上げました。 また、SAW起用と共に作品の大ヒットに貢献したのがカレン/サラ/シヴォーンのセクシーさを存分にフィーチャーしたPVで、特徴的な手踊りと、女神やボッティチェッリの『ヴィーナスの誕生(La Nascita di Venere)』、小悪魔、吸血鬼に扮したメンバー3人の艶やかな映像はMTVでヘビー・ローテーションとなりました。