プログレ五大バンドのうち3つまでが参加という信じられない豪華な顔触れが実現したことから、当時ロック界では“衝撃”として受け止められました。 1982年3月、1stアルバム『詠時感~時へのロマン(原題:Asia)』がリリースされ、デビュー・シングルとなった「Heat of the Moment」がBillboard Hot 100で3週連続4位(年間40位)と人気を牽引すると、アルバムもBillboard 200で9週No.1(年間No.1)に輝くなど、全世界で1500万枚をセールスする大成功を収めました。
一方、本国イギリスではシングル/アルバムが46位/11位と、アメリカとは正反対の評価となりました。 そのイギリスでの「Heat of the Moment」のシングルB面曲はアルバム収録の「Time Again」だったのに対し、それ以外の国ではアルバム未収録の「Ride Easy」が選曲されており、これは作者ジョン・ウェットンにとってエイジアでのフェイバレット・ソングだそうです(私も好き♪)。 その後も「Ride Easy」はオリジナル・アルバムには収められることはなく、1986年に日本のみで発売されたEP『Aurora』や日本公演を記録したDVD『Fantasia - Live In Tokyo 2007』に収録されています。
また、「Heat of the Moment」が大ヒットした要因の一つには“斬新なPV”があります。 画面分割を巧みに用いた印象的なこの映像を制作したのは「I'm Not in Love」で有名なバンド“10cc”のメンバーでもあるゴドレイ&クレーム (Godley & Creme)で、この2人はハービー・ハンコックの「Rock It」やポリスの「Every Breath You Take」といった80年代を代表する数々の名作を生み出したクリエイターであり、覚えておいででしょうか…当ブログで過去に特集したジョージ・ハリスンの“長ぁ~い楽器のフシギな映像”「When We Was Fab」のPVも彼らによる創作なのです!
I never meant to be so bad to you 君を傷つけるつもりじゃなかった One thing I said that I would never do それだけは、決してしないと誓ったはずなのに
いきなり“後悔の念”を匂わせるフレーズですが、これはタイトルの「Heat Of The Moment」の具現でもあります。 【heat of the moment】は“その場の勢い・ものの弾み”と訳されるように、“後悔を招く浅はかな一瞬の熱情”といったニュアンスが含まれる言葉。
男性が女性に“決してしない”と誓うことというと…?
One thing lead to another, we were young 二人は若く、それが引き金となって And we would scream together songs unsung 歌にもならない悲鳴を上げる破目になったのさ
「Heat Of The Moment」の歌詞は作者であるジョン・ウェットンの実情を綴ったものであり、当時の彼の恋人ジルとの関係を基に創作されました。 ただし実際に別れたわけではなく、そうならないために“僕が間違ってました、ごめんなさい”をしたそうです! その甲斐あって(?)後に二人は結婚を果たし… … … (10年後に離婚)。
…なぁ~んだ、謝っても結局同じじゃん! う~ん(返す言葉がない)…。
You can concern yourself with bigger things 興味の対象は、より大きなもの… You catch a pearl and ride the dragon's wings 真珠を手にし、竜の翼に乗ること
“恋に恋する乙女”も、やがては“真珠に恋する女”へと変わるということか…
…でも“竜の翼に乗る”は、「The Neverending Story」(過去ログ)みたいでステキな夢ね? フッ…ガキにゃ解るまいけどオレたちの“小悪魔ちゃん”なんか、こんな風に言ってるぜ! “ルパンはあたしにとって、可愛い操り人形♪” by 峰不二子 …ドラゴンが操り人形!?
これは“純粋さを失ってしまった”のか、はたまた人として“学習・経験を積み重ねた成長”か…。
~Epilogue~
And now you find yourself in '82 …そして'82年、君は気づく The disco hot-spots hold no charm for you ディスコはもう心躍る場所ではなくなったと
2005年、「Heat Of The Moment」はアメリカのコメディ映画『40歳の童貞男(The 40 Year Old Virgin)』の劇中歌に使われていますが、この主人公(スティーヴ・カレル)は21世紀になっても1982年の『Asia』のポスターを後生大事に部屋に飾ってあるキャラクターとして描かれており、彼が女性から相手にされない一つの象徴としてエイジアがネタとなっています。 ただし、当のジョン・ウェットンはそういう作品の使われ方を許容しているばかりか、この映画の大ファンなのだそうですよ!
It was the heat of the moment それは一瞬の熱情 Telling me what my heart meant 心の奥が、訴えかける