Led Zeppelin - Immigrant Song (1970年)~概要~ レッド・ツェッペリン(Led Zeppelin)は1969年にデビューしたイギリスのロック・バンドで、史上最も成功を収めたアーティストの一つです。
「移民の歌」は1970年10月5日発売の3rdアルバム
『レッド・ツェッペリン III(Led Zeppelin III)』 の収録曲で、アメリカでは同年11月5日にシングル・カットされ
Billboard Hot 100で16位 を記録しています。
「Immigrant Song」の
作者はジミー・ペイジとロバート・プラント で、1970年・年初からのツアー中に創作が始まったものの、この時は完成に至りませんでした。
その後2か月ほどの休暇を挟み、6月22日に再開したツアーで訪れた
【アイスランドの首都レイキャヴィーク(Reykjavík)での体験がインスピレーション】 を与え歌詞が完成(
詳細Lyrics項)、続く6月28日イングランド南西部の都市バース(City of Bath)のフェスティバルで初めて演奏が披露されました。
但し「Immigrant Song」には【曰く】もあって、ほぼ同時期に発表されたドイツのハード・ロック・バンド、ルシファーズ・フレンド(Lucifer's Friend)の楽曲
「Ride The Sky」と、「Immigrant Song」が酷似 しているというのです。
調べてみるとルシファーズ・フレンドは【1970年11月に録音した当該アルバムを同年発表】していますが、【ツェッペリンが「Immigrant Song」をリリースする前から「Ride The Sky」をライブ演奏していた】という説もあります。
実際に聴き比べてみると、確かに
偶然では説明がつかないほど【最も特徴的なフレーズが酷似】 しているという印象です。
本曲でのジミー・ペイジ&ジョン・ポール・ジョーンズのギター・リフ、ジョン・ボーナムのドラミング、ロバート・プラントのヴォーカルは何れも
Rock 'n' Rollの魅力がギッシリ詰まった“名演” で、当時ライバル視されていたディープ・パープルのロジャー・グローヴァーも“
最初に「Immigrant Song」を聴いた時の衝撃は、今でも覚えている ”と2017年に言及する程でした。
中でも、とりわけ強烈なインパクトはロバートによる
ターザンの雄叫びのような【Ahh! Ahh!】 のフレーズでしょう。
1932年に公開された
映画『類猿人ターザン』 によって世界で有名になったターザン(ジョニー・ワイズミュラー)の雄叫び…実はコレ、豹の鳴き声など十数種の音源を合成した特殊音声なのだそうです。
こうした強いインパクトをもった「Immigrant Song」は、これまでさまざまなメディアで用いられてきました。
近年も2011年の
映画『ドラゴン・タトゥーの女』 で【Karen O with Trent Reznor & Atticus Ross】がカバー、2017年の
『マイティ・ソー バトルロイヤル』 ではレッド・ツェッペリンver.がサウンドトラックに起用され、Billboard Hard Rock Digital Song Sales のNo. 1に輝いたことも話題を呼びました。
日本では人気プロレスラー 、
ブルーザー・ブロディの入場テーマ曲 だったことも有名で、これで「移民の歌」を知った方もおられることでしょう(それは、私です!)。
使われていたのはオリジナルではないインストゥルメンタルver.でしたが、ここでのサックスの咆哮が、198cm/140kgという巨体で【キングコング】とか【超獣】とも呼ばれたブロディのイメージをよく表していました。
VIDEO VIDEO VIDEO VIDEO ~Lyrics~ We come from the land of the ice and snow われら、氷雪の国よりの者 From the midnight sun where the hot springs blow 熱泉湧き出づる、白夜の地 このセンテンスについて、
作詞者ロバート・プラントは“俺たちは、まさに氷雪の国よりやって来たんだ ”と言及 しています。
つまり前項で示した1970年のレッド・ツェッペリンのツアー・スケジュールで、レイキャヴィーク(アイスランド 6/22)⇒バース(イングランド 6/28)の移動のさまを歌詞に反映させたというのです。
《
写真;青線》
北極圏に近い
【Iceland】はまさに[氷雪の国]で[白夜] が見られ、
【Reykjavík】は[煙たなびく湾]の意味で、有名な[温泉地] でもあります。
実はアイスランド公演は、アイスランド政府に招待された公的な催しとして予定されたものの、到着する前日に公務員がストライキを起こしてしまい公演が中止になりかけていたところ、現地の学生たちの働きかけで大学がコンサート・ホールを用意し、それによって公演が実現したそうです。
ロバートはその公演について、“
子どもたちの反響が驚くほどで、俺たちにとっても素晴らしい時間だった ”とふり返っています。
To fight the horde, and sing and cry 群れなす衆らと戦うべく…歌い、叫べ Valhalla, I am coming ヴァルハラよ、いま往かん 【Valhalla】は、北欧神話に登場する主神[オーディンの宮殿] 。
オーディンは[戦争と死の神]であり、ヴァルハラは戦死した勇者の魂(エインヘリャル)が最終戦争(ラグナロク)の兵士となるべく集められた死者の館でもあります。
西ヨーロッパ沿海部を侵略した北欧の武装船団(海賊)
[ヴァイキング]の間では、死後ヴァルハラに迎えられることこそ、戦士としての最高の栄誉とされていた そうです。
歌詞に【目指すは、西の海岸】とありますが、アイスランドから西は大西洋を越えてアメリカ大陸があります。
アメリカ大陸の発見というと、コロンブス! …と、学校で習いましたよね?
ところが
最初にアメリカ大陸を発見したのはレイフ・エリクソン(Leif Ericson)というアイスランド生まれのノルマン人航海者(ヴァイキング) であり《
写真;赤線》、しかもコロンブスより約500年も前(西暦997-1000年)に達成していたことが遺跡発掘によって証明されているそうです。
ちなみに、1970年のレッド・ツェッペリンのツアー・スケジュールによると、その後彼らもイングランド-西ドイツと回って8月には『North American Tour Summer 1970』へと行き着く予定でした。
~誰のため、何のための移民拡大?~ 「一定の専門性・技能を有し、即戦力となる外国人材を受け入れる。入国管理法を改正し、就労を目的とした新しい在留資格を設けます」 10月24日、安倍晋三首相による所信表明演説に幕を開けた第百九十七臨時国会。
労働力不足を補う外国人労働者の誘致拡大を目的とした
『出入国管理法改正案』 について、政府は今国会(12月10日)での成立と、
来年4月からの施行 を目指しています。
ところが、
自ら外国人労働者の誘致拡大路線に舵を切ると高らかに宣言 しておきながら、一方で不思議なのは、10月29日の衆院本会議で立憲民主党の枝野幸男代表の質問に対する安倍首相の答弁です。
「政府としては、いわゆる移民政策をとることは考えていない」 政府が、法律を変えてまで外国人労働者誘致促進することを移民政策と言わずして、何と言うのか…?
自民党HPを調べてみると、『自民党政務調査会・労働力確保に関する特命委員会/2016.5.24』の項に、
【自民党による移民の定義】 を窺わせる記述があります。
“「移民」とは、入国の時点でいわゆる永住権を有する者であり、就労目的の在留資格による受入れは「移民」には当たらない” つまり自民党の解釈では、社会的地位のない就労目的の
一般外国人労働者は移民ではない ということのようです。
一方、国際移住機関(IOM)など
【国際社会で最も引用されている移民の定義】 は
“通常の居住地以外の国に移動し、少なくとも12ヶ月間当該国に居住する人のこと(長期の移民)” という極めて常識的なもので、期間設定に個人差はあれ、万人が納得できるところでしょう。
【就業者数が過去最高なのに、労働者不足が起きている不思議】 安倍首相は口先では一貫して移民政策を否定 し続け、国会で【移民の定義】を問われても「移民政策は考えていない」「一概にお答えすることは困難」とはぐらかし続けてきましたが、安倍首相と自民党がどれほど詭弁を弄しようと、
実際は急加速的に外国人労働者数を増やし続けてきました 。
経済協力開発機構(OECD)の統計によると、2015年・1年間の日本への外国人移住者流入者は前年比5.5万人増の約39.1万人で、今や加盟35カ国中
世界4位の移民大国 です(1位.ドイツ/2.アメリカ/3.イギリス)。
また、厚生労働省の統計によると
2017年10月末現在の外国人労働者数は約127.9万人で、前年比19.5万人増(+18.0%)/2008年比2.6倍 に急増しています。
(『世界経済のネタ帳』より) 近年、労働者不足が叫ばれていますが、『日本の就業者数の推移(1980~2018年)』のデータをみると、実は
「就業者数(従業者+休業者)」 は、東日本大震災の復興が本格化した2012年以降増加に転じ、
2018年は過去最高の6628万人 に達する見通しです。
その立役者となっているのが「女性」+「高齢者」そして「外国人労働者」ですが、それでも労働力不足が生じているのは、
就業者の増加以上に【仕事量を増やし過ぎている】 ことが原因です。
東洋経済が2017年の求人倍率を元に算出した
『人手不足な職業ランキング』 によると、1位(9.62)をはじめTop10のうち5つが「建設・土木系」の職業であり、それに伴う「保安(警備員)」(6.89)も2位で、これらは
震災や自然災害からの復興と、オリンピックやリニア新幹線といった巨大事業を同時進行 させていることと無関係ではないでしょう。
また、
『2020年に訪日外国人旅行者数4000万人』 に関連する「調理」「接客」「自動車運転」も高くなっています。
つまり、現在起きている労働者不足は必ずしも人口減少に起因するものではなく、
人口減少の現実を省みない無理な経済政策がもたらす副作用の一つ であり、
外国人労働者を増やし続けなければアベノミクスは根底から瓦解する といえるでしょう。
ちなみに…
安倍首相のブレーンの一人として知られ、現在
安倍政権の内閣官房参与(成長戦略担当)も務める作家の堺屋太一氏 は2016年に一般社団法人
『外国人雇用協議会』を設立 して会長に就任、以降政府の諮問会議などを通して
外国人労働者の誘致拡大を提言 してきたとされます。
また、同協議会には安倍応援団としてお馴染みの元官僚・学者らが顧問に名を連ね、中でも注目すべきは
国家戦略特区諮問会議民間議員として加計学園の獣医学部新設を認可した竹中平蔵氏 で、彼は外国人労働者の誘致拡大で多大な利益が想定される
人材派遣業大手『パソナ』取締役会長 です。
~何も書かず、何も語らないことが、一番の近道~ 現在審議中の『出入国管理法改正案』。
最大の問題は、移民拡大という国民にとって重大な政策転換が、殆んど白紙委任で国会をすり抜けられようとしていること です。
安倍首相は「外国人材を誘致促進する」と宣言する一方で、「移民政策は考えていない」と論理矛盾を公言して憚(はばか)らず、法案はその本質を表さず、閣僚たちは議会の問いに答えようともしない…。
「(Q)宿泊業の相当程度の技能水準とはどの程度か - 現在
検討しているところかと (石井国交相11/5)」
「(Q)どの程度の規模で外国人労働者を受け入れるか -
精査中 。見込み数を近日中に示す(山下法相11/
5 )」
「(Q)受け入れ見込み数は - 具体的な数は現在
精査中 。見込み数を近日中に示す(安倍首相11/
13 )」
11/5に質問され「近日中に示す」と答えたにも拘らず、11/13の同じ質問にも「近日中に示す」と答弁…
恐らく、これからもこんな調子でできるだけ質問をはぐらかしながら審議を空費させ、時間が来たら強行採決、といういつものスケジュールだと思います。
何故なら、
『出入国管理法改正案』には [対象となる業種]や[相当程度の技能水準]の概念など、
制度の詳細が明記されておらず 、
法律の成立後、省令で通知 するというのですから、そもそも最初から話し合うつもりなどありません。
つまり、『移民法』という“器”だけ国会に一定期間展示して、肝心の
“中身”は内閣(担当大臣)が好きに書き加えるという、反民主主義的手法 です。
自民党・岸田文雄政調会長(11/5 FNN PRIME)
“間に合うように努力をしなければならないし、間に合わせなければいけない” 来年4月は『統一地方選』、7月には『参議院選挙』 が控えています…。
~Epilogue~ 移民は“国のかたち”や“国民の地域社会・生活”を大きく変革し得る重大な事案 であるにも拘らず、
国民に十分な説明も、理解と協力を得るための施策と労力も示さず、民意に問うこともしない移民政策は、必ず未来に禍根をもたらします。 2017年10月度末時点で
約26万人が日本に在留する外国人技能実習生 。
本来は「発展途上国の若者を一定期間日本国内で実習生として雇用し、学んだ技能・知識を帰国後母国の経済発展に役立ててもらう制度」ですが、なし崩し的に人手不足の穴埋め役として組み込まれ、長時間労働や賃金未払いといった
不当な労働環境を強いられているのが実情 です。
厚生労働省の2015年の調査によると、実施した
5966事業所のうち約7割以上で労働基準関係法令違反 が確認され、耐えかねた
実習生が2017年だけで7089人、今年も6月までで既に4279人失踪者 が出ているといいます。
(
技能実習生に勤め先や住まいを変える自由は認められておらず、何か問題が起きてもそれらの変更ができず、来日費用を払うため返済不能な多額の借金をしている人も多く、失踪するしかない)
こうした事態に、最多12万人の技能実習生を日本に送り出している
ベトナム日本大使館の現役書記官 までが
「ベトナムの若者の人生をメチャクチャにしている」 と遺憾の意を表明しました。
こうした問題の背景には雇用先との関係だけでなく、仲介する悪徳ブローカーや悪徳業者なども複雑に絡み合っており、同書記官は「
日本におけるベトナムのイメージ、そしてベトナムにおける日本のイメージが悪化することを懸念 しています。本問題は大使館にとって最重要課題です」と、警鐘を鳴らしています。
10月24日、安倍晋三首相・所信表明演説
「世界から尊敬される日本、世界中から優秀な人材が集まる日本を創り上げてまいります」 スイスのビジネススクールIMDの
『高度なスキルをもつ外国人材が魅力を感じる国・地域ランキング2017年版』 で、
日本は世界63ヶ国中51位/アジア11カ国中最下位 でした。
まずは日本の現状を認め、自らの過ちを反省し、粗雑な法案は取り下げ、現在日本で活躍している善良な留学生と外国人技能実習生に「日本大好き」と思ってもらえるような制度に改善することが国益だと思います。
「移民の歌」 VIDEO 続きはこちら >>
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