「ロスト・イン・ラブ」は1980年の5thアルバム『Lost in Love』からの1stシングルで、Billboard Hot 100で4週連続3位(年間15位/ACチャート6週連続No.1)を記録したエア・サプライにとってアメリカでの初ヒット作品です。 (“'80ver.”の音源は、最後のLyrics動画でお楽しみになれます。)
普通エア・サプライが語られるのはこの曲のヒットからですが、実は彼らのデビューは1976年で、「Lost in Love」も元々は地元オーストラリアのレーベルによる1979年の4thアルバム『Life Support』に収録された曲でした。 このオリジナルver.はオーストラリアやニュージーランドで13位とそこそこヒットしており、この時PVも制作されているようです。
ヴォーカル、ギター、そして作者でもあるグラハム・ラッセルは「Lost in Love」をたった15分で書いたそうで、この点についてグラハム本人は“僕の歌はとてもシンプルで真っ直ぐなんだ。そして、よりシンプルなほど良い。”と補足しています。 また、日本のレコード会社による“海のイメージ戦略”の原点は本作品であり、日本盤《写真・右》の表紙にはエメラルド・グリーンの海とウィンドサーフィンがフィーチャーされていますがメンバーの誰ひとり写ってはいません! (しかし、オリジナルのジャケット《写真・左》も何か言いたげなのにドコか意味不明…?)
~Lyrics~
I realize the best part of love is the thinnest slice 恋は、おおよそ薄っぺらのスライスで And it don't count for much アツくなる価値なんてない…
「あなたのいない朝」は、エア・サプライの絶頂期といえる1981年の6thアルバム『シーサイド・ラブ(The One That You Love)』の収録曲です。 欧米でのシングル・カットはなく、日本では沢田研二・多岐川裕美主演のドラマ『いつか黄昏の街で』主題歌として起用され、独自のヒットを記録しました。
エア・サプライというと、日本ではレコード会社の方針によってジャケットを“海やヨット”に差し替えるなど独自のイメージ戦略が採られていました。 邦題も作品のテーマと関係なく“海”に関連したタイトルが付けられたりするなど、ある意味“何でもあり”の感があって(このアルバム・タイトルが象徴している)、今回のタイトル「I'll Never Get Enough Of You」とLyricsの何れにも“morning”の文字は出てきません。 でも、中には「さよならロンリー・ラブ」みたいな心をくすぐる邦題もあって、私が洋楽に興味を持ったのはこういうロマンティックなタイトルも少なからず寄与しました。
「さよならロンリー・ラブ」は1982年のアルバム『Now and Forever』からの先行シングルで、BillboardのAC(アダルト・コンテンポラリー)チャートで4週No.1、Hot 100でも5位を記録しました。 これにより、彼らはアメリカ・デビューから“7曲連続Top5入り”の記録を達成したことになります! 作者はJ.L.ウォーレス、ケニー・ベル、テリー・スキナーで、彼らはカーペンターズ最後のTop40ヒット(16位)「タッチ・ミー」の作者でもありました。
~Story~
エア・サプライというと、“センチメンタルな失恋”の歌をイメージしてしまいますが原題の「Even the nights are better」が示すように、今回は明るい兆しが見える作品となっています。 センチメンタルなピアノに導かれ案の定失恋を引きずっているようですが、こんな時の特効薬といえば… そう、“新たな恋”ですね! これを得ることにより彼の心模様はV字回復を果たし、それを比喩したのが「Even the nights are better」というワケです。