I Wish~洋楽歌詞和訳&解説

80年代の洋楽ロック・ポップス&ビートルズを中心に、歌詞の和訳と解説+エッセイでお届けします

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「ホワット・イット・テイクス」エアロスミス

2017.03.31

category : Aerosmith

Aerosmith - What It Takes1 Aerosmith - What It Takes2


Aerosmith - What It Takes (1989年)



~スティーヴン・タイラー、初のソロ公演~

世界的なロック・バンド“Aerosmith”のヴォーカリスト、スティーヴン・タイラーがその長いキャリアで初となるソロでの単独公演を日本で行います(4/8、4/11)。
“現役3大ロック・スター”といっていいポール・マッカートニーやミック・ジャガー、エリック・クラプトンから比べると少し若いものの、それでも3月26日に69歳を迎えたスティーヴン。
昨年(7月)はエアロスミスの盟友ジョー・ペリーがジョニー・デップやアリス・クーパーらとのユニット“Hollywood Vampires”のコンサート中に倒れ、地元の病院に搬送されたというニュースが世界に衝撃を与えました(当初は心停止と伝えられたものの、脱水症と疲労が原因だった)。

いつまでも日本を忘れず現役で来日してくれるのはうれしいことですが、“このクラス”になるとまず無事に公演が遂げられることを何より願ってしまう…。
(2014年のポールの日本公演直前での緊急入院騒ぎもあるし)



~概要~

「ホワット・イット・テイクス」はエアロスミス1989年の10thアルバム『パンプ(PUMP)』の収録曲で、3rdシングルとしてBillboard Hot 100の9位(1990年の91位)まで上昇しました。
エアロスミスといえば1998年の映画『アルマゲドン』の主題歌「I Don't Want to Miss a Thing」が特に有名ですが本曲もそうした切ないテイストのバラードで、スティーヴン&ジョーに加えてバンド外のソングライター、デスモンド・チャイルドが共作者として参加しています。
デスモンド・チャイルドは前作『Permanent Vacation』で「Dude (Looks Like a Lady)」や「Angel」の作曲に携わった人であり、本作でも複数楽曲を提供するなどエアロスミス復活の立役者の一人です。
また、同じころ彼はアリス・クーパーの『Trush』のプロデュースを担当しており、その縁からかブラッド・ウィットフォード以外の4人のメンバーもそのアルバムのレコーディングに参加しています。

アコーディオンやビートルズの「A Day in the Life」風のピアノ、アコースティック・ギターなどをフィーチャーしたハード・ロック・バンドらしからぬソフト・サウンドであり、ライブではスティーヴンがアカペラで歌い始める演出もなされてきた作品です。
こうした情感たっぷりでありながらの爽やかテイストは“エアロスミス史上最高のバラード”とファンからの評価も高く、日本の人気ロック・ユニットB'zも1991年のアルバム『IN THE LIFE』で“アメリカのロック・バンドを意識した(稲葉)”というロック・バラード「憂いのGYPSY」を発表し話題を呼びましたが、その“影響力”の大きさを感じさせます。
しかしB'zほど明白ではないものの、Mr.Childrenの「終わりなき旅」や「Everything (It's you)」にも“同じ系譜”が垣間見えるように、エアロスミスが「What It Takes」で確立したスタイルが1990年代J-Rock全盛の雛型の一つであったと言っても過言ではないのでしょう。


ミュージックビデオは2種類あって、一つはテキサス州ダラスにあるカントリー・ダンス・ホール『Longhorn Ballroom』で撮影された映像で、これは今回のメイン動画に掲載いたしました。
もう一つはアルバム『パンプ』の制作過程を撮影したビデオ作品『The Making of Pump』に収録された映像で、こちらは本項に紹介いたします。

 



~Lyrics~

Girl, before I met you I was F.I.N.E. Fine
おまえに出逢うまで、こんなんじゃなかった
but your love made me a prisoner, yeah my heart's been doing time
おまえの愛が俺を虜にし、心は囚われたまま

実はここでの[F.I.N.E.]は本作『パンプ』収録の「F.I.N.E.」という曲に引っ掛けており、[heart's been doing time]も前作『パーマネント・ヴァケイション』の「Heart's Done Time」との関連によるものと考えられます。
また、この部分以外にも[leave your life to the toss of the dice]は『パンプ』の「Love in an Elevator」の歌詞に関連させています。

こういう“お遊び”を見つけるのも、ファンにとっては楽しいものです ♪


It was easy to keep all your lies in disguise
おまえにとって嘘を装うなど、いと容易いこと
'Cause you had me in deep with the devil in your eyes
だって、その瞳の中の悪魔に魅入られた男が相手なのだから

【催眠】は“意識レベルから批判能力を除外する潜在意識レベルに誘導すること”ともいわれるそうですが、この場合もそれと似ているのかもしれません。
つまり元々“特定の願望”を潜在意識に持っている人は常にその願望を叶えたいと思っているわけで、その気持ちが強いほどそれを実現させる(あるいはその可能性を信じられる)外的刺激に誘導され易いというわけです。

 …まぁオレたちの世界じゃ、常識だけどね?


You spent me up like money,
おまえは銭金のように俺を浪費し
then you hung me out to dry
干上がらせた

【money】の喩え…
…だからといって、干上がらせてはいけませんね!?
お金の使い方の表現に消費・投資・浪費がありますが、簡単に図式化すると[消費]は支払=効果、[投資]は支払<効果、[浪費]は支払>効果、といった概念でしょうか…。
でも、どんなお金持ちも浪費ばかりではいつか破産するように、愛情も浪費ばかりではやがて破綻を来します。

そんなふうに求めてばっかりじゃ…”って、JUDY AND MARYも言ってるし? 



~Epilogue~

「I Don't Want to Miss a Thing」と並び、
エアロスミスの最高傑作バラードの一つに数えられる「What It Takes」…

「I Don't Want to Miss a Thing」は、本来“目の前の君があまりに愛おしくて、一瞬たりとも目を離したくない”という微笑ましいラブ・ソングですが、どうしても映画『アルマゲドン』で娘の命を守るために自ら死地へと赴く父(ブルース・ウィリス)の心情と重なってしまうため、究極的な切なさを覚えてしまいます。


Tell me what it takes to let you go
おまえを忘れるために、どうすればいい?
Tell me how the pain's supposed to go
この胸の痛みを消し去るため、どうすれば…

一方、「What It Takes」は“別れた君があまりに愛おしくて、一瞬たりとも心から離れない”切なさでしょうか…。
その苦しさから逃れるため、【what it takes(何が必要?)】と問い掛けているわけです。

ある者は、“飲んで、飲んで、飲みつぶれて寝むるまで飲んで”
またある者は、“泣いて、泣いて、泣きつかれて寝むるまで泣いて”…(河島英五「酒と泪と男と女」

 …あなたは、どっち派? 

また、『好きだった人を忘れるために有効な手段』(NTTドコモ「みんなの声」)についてのアンケートによると1位は“次の恋をする”(10682票)、2位は“連絡先を削除”(3172票)、3位は“忙しくする”(2775票)という結果で、“思いっきり泣く”は4位でした(ただし“酒を飲む”は圏外で、有効な手段ではない?)。

この結果を大別すると凡そ相手との“物理的接触を断つ”こと、“思い出す機会を断つ”ことが有効なようで、
つまり本気で忘れたいならこの2つを断つことが必要と考えられますが…


Tell me that my lovin' didn't mean that much
俺の愛など、大した意味もなかったと
Tell me you ain't dyin' when you're cryin' for me
たとえ俺のために涙することがあろうと、死ぬほどの苦しみもないと言っておくれ…

ナンダカ、彼は一筋縄ではいかなそう…? 



「ホワット・イット・テイクス」


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tags : 1989年 バラード/Rock せつない愛 

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「ミス・ア・シング」エアロスミス

2013.08.05

category : Aerosmith

Aerosmith - I Dont Wanna Miss a Thing1 Aerosmith - I Dont Wanna Miss a Thing2


Aerosmith - I Don't Wanna Miss a Thing(1998年)


~エアロスミス来日記念♪~

間もなく、エアロスミスの10回目となる日本公演が行われます!
公演は8月11・14・16日の3回ですが、これに先行して8日には千葉・QVCマリンフィールドで“AEROSONIC”なるイベントが開催されるそうです。
このイベントではナント、J-Rockの頂点に君臨するB'zとの共演が予定されていて、どんな内容になるか…
これも楽しみなところですね♪


~概要~

さて、「ミス・ア・シング」は言うまでもなく1998年に大ヒットした映画『アルマゲドン』の主題歌です。
エアロスミスは1973年にデビューした、アメリカを代表するHR/HMバンドですが、意外にも25年目にしてこれが初の全米No.1シングル(4週間/2013年現在でも唯一)でした。
日本では80年代後半以降人気が高まり、98年のこの曲のヒットにより洋楽ロック・ファン以外にもエアロスミスの名が知られるようになりました…。

実は日本で人気が高まる直前の80年代前半は、彼らが有名になって以降で唯一の低迷期だったといえます。
1987年の『パーマネント・ヴァケイション』で劇的な復活を遂げることになりますが、その大きな要因の一つが“外部ソングライターの起用”にあったといえるでしょう。

「ミス・ア・シング」もそうした作品の一つで、作者はダイアン・ウォーレン
彼女はロマンティックな作品を書かせたら右に出る者のない作家で数々の名バラードを創作、このブログでも過去にセリーヌ・ディオンの「ビコーズ・ユー・ラヴド・ミー」を紹介しました。
ちなみに、ダイアンは本作品「ミス・ア・シング」でグラミー賞やアカデミー賞にもノミネートされています。


~二人の父と、一人の娘の物語~

映画でヒロインを演じたリヴ・タイラーはエアロスミスのヴォ-カリストであるスティーヴン・タイラーの娘というのは有名な話ですが、この父娘、実はちょっと“訳アリ”です。
…といっても、血縁関係に問題があるとかゴシップ紙が好きそうなネタではありません。

リヴはスティーヴンとモデルのベベ・ビュエルの間に生まれますが、この二人は婚姻関係にありませんでした。
当時薬物依存症だったスティーヴンに不安を抱いたベベは、リヴを身ごもった事を知らせず彼の元を去ってしまいます。
この時、彼女が頼ったのが元カレのトッド・ラングレン。
トッドは全ての事情を承知の上で、リヴを自分の子として受け入れました。

そんなある日、トッドのコンサートで幼いリヴとスティーヴンは“初対面”し仲良くなっています。
互いを親子と知らず…。
やがて、リヴはスティーヴンの娘ミア(つまり異母姉妹)と対面することになりますが、彼女があまりに自分と似ていたため母ベベを問い詰め、秘められた事実を知ることになります。
この時リヴは9歳…。

時が経ちスティーヴンも薬物依存を克服し、14歳となったリヴは正式に“タイラー”姓を名乗るようになりました。
しかし彼女を実の娘のように愛してくれたトッドへの感謝の気持ちから、リヴは“ラングレン”の名をミドル・ネームとして残しています。
その後キャリアを積んだリヴは、『アルマゲドン』のヒロインにまで登りつめるわけです…。


~娘の演技に父スティーヴンも一役!?~

こうして、「ミス・ア・シング」のPVでのリヴとスティーヴンの父娘共演は、当時話題となりました(正確には、対面しての共演ではない)。
しかし実はこの二人の共演はこれが初めてではなく、エアロスミス・1994年のシングル「クレイジー」のPVで既に共演済みでした(リヴ17歳/これも、対面しての共演ではない)。


映画『アルマゲドン』では、父・ハリー(ブルース・ウィリス)と娘・グレース(リヴ)がNASAのスクリーンを通して今生の別れを交わす名シーンがありますが、この撮影においてリヴのリアルな悲しさを引き出すために
実父・スティーヴンの“こんな写真”を…

Aerosmith - I Dont Wanna Miss a Thing3


…用いたワケではありませんが、「ミス・ア・シング」のPVの最後にあるような形でスティーヴンの姿をスクリーンに映し出して演技させたようです。

しかし…
実はこのPVを撮影時スティーヴンは膝を怪我していたそうで、そういえばやたら顔のアップばかりだしジョー・ペリーはシブい皮ジャケットなのに、スティーヴンは独り全身を覆う黒い衣装をまとい気味が悪いほど大人しくしていた(?)のは、そのせいでした。


~Epilogue~

歌の内容は“和訳&Lyrics”に込めたとおりですが、果たしてこの歌は誰から誰に宛てられたものなのでしょう?

普通に考えれば、彼から彼女への“熱烈なラブ・レター”なのでしょうが、やっぱりこの作品は『アルマゲドン』とは切り離せませんよね!
…なので今回は、映画で“娘の幸せのために自らが犠牲となる決断を下した父・ハリーが娘・グレースに宛てた手紙”というストーリーも考慮に入れて訳してみました。

“ラブ・レター”か“遺言”か…
お好きなストーリーを描きながらお楽しみくださいね。



「ミス・ア・シング」



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tags : 1998年 バラード/Rock 情熱の愛 映画90's ダイアン・ウォーレン 

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