Alan Parsons Project - Don't Answer Me(1984年)Summaryアラン・パーソンズ・プロジェクトは、アビイ・ロード・スタジオのエンジニアとしてビートルズの『アビイ・ロード』やピンク・フロイドの」『原子心母』『狂気』などを手掛けたアラン・パーソンズの、“プロジェクト”です。
事の始まりは1974年、アランが後の相棒となるエリック・ウールフソンに“エドガー・アラン・ポーを題材にした作品を作らないか?”と、誘われたことがきっかけでした。
意気投合した二人は1976年に1stアルバム『怪奇と幻想の物語~エドガー・アラン・ポーの世界』をリリースし、グラミー賞にもノミネートされるなど高い評価を得ています。
冒頭にわざわざ“プロジェクト”と説明したのには理由があって、彼らが普通のロック・バンドではないからです。
ベースとなるメンバーはキーボードのアランとヴォーカルのエリックの2人だけで、他は必要に応じてその都度人選するスタイルを採っています(準レギュラー的なメンバーは存在する)。
花形のヴォーカルはメインとなるメンバーが務めるのが普通ですが彼らはそれに拘らず、外部からヴォーカリストも招いたりします。
アラン自身が技術屋出身のせいかライブはあまり行わず、スタジオで高度な技術を駆使して新たなサウンドを追及するタイプのミュージシャンです。
Data「ドント・アンサー・ミー」は1984年にリリースされた7thアルバム『アンモニア・アヴェニュー(Ammonia Avenue)』からの先行シングルで、 Billboardでは15位(AC;4位)を記録しました。
これは彼らにとって1982年の「アイ・イン・ザ・スカイ」に次ぐ大ヒットで、ミリオン・セラーに輝いています。
Soundアラン・パーソンズ・プロジェクトは緻密なサウンドを追求するプログレッシブ系のロック・バンドですが、ソフトで聴き易いAOR(Adult-Oriented Rock)的な要素もあります。
その魅力がたっぷり詰まった作品が「ドント・アンサー・ミー」であり、エリックのあったかいヴォーカルがとってもハートフルで、聴く者の心を瞬く間に惹きつけることでしょう。
また、オーバーダビングを何度も繰り返して練られた重厚な音はフィル・スペクターの“ウォール・オブ・サウンド”を想起させ、耳の肥えたプログレ・ファンにも聴き応え十分!
ただ、一風変わっているのはアランもエリックもキーボード系の奏者にも関わらず、ギター・サウンドが前面に出ていることでしょうか…。
Lyricsとてもやさしい曲調に反し、歌詞はちょっとせつないストーリーが展開しています。
“夢のような二人だけの世界”の終焉を予感した男が、いまだ(恋の)魔法の力を信じ続ける彼女への別れを切り出す内容です。
彼は彼女をまだ愛しているが故、このまま関係を続けても大切な人を不幸にするだけと悟った時、彼女に別れのメッセージを送ります。
自らの未練を断ち切る意味でも、彼女に対しこのメッセージに対し「Don't Answer Me」と伝えているのでしょう…。
この曲のミュージック・ビデオはアメリカン・コミック風のアニメーションになっていてノスタルジック気分たっぷりの名作ですが、映像のストーリーは歌の内容を反映してはおらず正反対のハッピー・エンディングとなっています。
ただ、「ドント・アンサー・ミー」での“男の痩せ我慢”には、アメリカン・コミック黄金時代であった1930年~1950年頃の“ハードボイルド”の精神が感じられます。
“カッコつけ過ぎ”な感はあるものの、守るべき人のために身を犠牲にするダンディズムは永遠の“男の美学”であり、憧れですネ。
でもこの、男の独善的とも取れる“自己陶酔な別れ”は、相手の女性にとってどう映っていたのでしょう…?
彼女の“Answer”も、聞いてみたい気がします…。
「ドント・アンサー・ミー」アラン・パーソンズ・プロジェクト
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