I Wish~洋楽歌詞和訳&解説

80年代の洋楽ロック・ポップス&ビートルズを中心に、歌詞の和訳と解説+エッセイでお届けします

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「ドント・ウォリー・ベイビー」ザ・ビーチ・ボーイズ

2018.07.23

category : Beach Boys

Beach Boys - Dont Worry Baby1 Beach Boys - Dont Worry Baby2


The Beach Boys - Don't Worry Baby (1964年)



~概要~

「ドント・ウォリー・ベイビー」は1964年3月2日にリリースされたビーチ・ボーイズの5thアルバム『シャット・ダウン・ヴォリューム2(Shut Down Volume 2)』に収録された作品です。
【-Volume 2】と題されていますがビーチ・ボーイズは過去にそのようなタイトルのアルバムを出してはおらず、「Shut Down」は1963年の4thアルバム『Little Deuce Coupe』の収録曲でした。
同年、キャピトル・レコードが同曲をはじめとする様々な歌手のホット・ロッド曲から成るコンピレーション・アルバム『Shut Down』を発売したことから、その続編的な意味合いを込めたネーミングともいわれます。

5月11日にシングル「I Get Around / Don't Worry Baby」としてシングル・カットされ、「Don't Worry Baby」はB面ながら単体でBillboard Hot 100の24位を記録しました。
チャート上、中ヒットに過ぎない本曲ですがビーチ・ボーイズの中でも名曲の誉れ高い作品の一つであり、『ロックの殿堂』“500 Songs that Shaped Rock and Roll”や『ローリング・ストーン誌』“500 Greatest Songs of All Time 178位”などにも選ばれています。
日本では「ドント・ウォリー・ベイビー」の表記が一般的と思いますが、当初は「気にしないで」という邦題が付けられていたようです。


ブライアン・ウィルソンと、友人でDJのRoger Christianの共作で、1963年にブライアンがラジオで聴いたロネッツ(The Ronettes)の「Be My Baby」(過去ログ)に感銘を受けて創作を始めたものです。
ブライアンによると「Be My Baby」のエッセンスを把握するために1000回以上聴いたそうで、素人が聴いてもそういうエッセンスを感じ取ることができると思うので、それを意識して聴き比べてみるのも面白いでしょう。

「Don't Worry Baby」のオリジナルのリード・ヴォーカルはブライアン・ウィルソンですが、ご存知のように彼はこのあたりからあまりツアーに同行しなくなったため、その後は弟のカール・ウィルソンらがヴォーカルを務め、近年はアル・ジャーディンの息子マット・ジャーディンがヴォーカルを務めています。
何とかブライアン本人のヴォーカルの映像はないかと探した所、唯一【1981年のライブ音源】を発見しました(ただし、ファルセットがかなり苦しそう…)!


カバーは「雨にぬれても」(過去ログ)のB. J. トーマスによる1977年のバージョンが、Hot 100の17位を記録しています。
ブライアンも歌われることを望んだというロネッツのロニー・スペクターは1999年、愛娘カーニー&ウェンディのグループ【ウィルソン・フィリップス】は2012年にそれを実現させました。
また、ブライアンの功績を讃えて催された2001年の『An All-Star Tribute to Brian Wilson』で「Don't Worry Baby」を歌ったのは、ビリー・ジョエルでした。
日本では、山下達郎デビュー前1972年の自主制作アルバム『ADD SOME MUSIC TO YOUR DAY』の一人多重録音ver.が何といっても秀逸です(ただし、さすがにコーラスは素人くさい)。


 
 



~Lyrics~

But I keep thinking
もうずっと考え続けているんだ
Something's bound to go wrong
何か‘間違い’が起こるんじゃないか、って

彼には、もうずっと胸に積み上げた【Something】があります。
それは【go wrong(間違った方向に進む)】ことが【bound to(運命にある)】ような感覚…
果たして、彼に“運命づけられた間違い”とは?


I guess I should've kept my mouth shut
僕ときたら、黙っていればいいのに
When I started to brag about my car
すぐに車自慢を始めてしまう

本作には【drive】や【race】など、【car】に関連する単語がいくつか登場します。
男性の自慢話というと過去の武勇伝にモテ自慢…それと、“愛車自慢”!
車を愛好する男性を恋人や夫とする女性にとっては、時間と労力、お金…あらゆる情熱を惜しみなく愛車に注ぐ彼の態度に対してつい、“私と車、どっちが大事!?”が出てしまうこともあるでしょう。

ビーチ・ボーイズというとサーフィンのイメージで有名ですが、もう一つの大きなテーマが【ホットロッド】
自動車大国アメリカではクラシック・カーをベースに改造を競う【Hot rod】の文化があり、1/4マイルの加速を競う[ドラッグレース(Drag race)]や形の奇抜さを競う[ファニーカー]などがあります。




And makes me realize
その言葉で、迷いを断ち切ってくれる
And she says "don't worry, baby"
“心配いらないわ”

主人公本人も【I can't back down(手を引けない)】と言及しているように、恐らく彼は止められないでしょう。
距離が短いとはいえカー・レースであり、改造車ですから安全は保障されません。
…となると最後は神頼みならぬ、“彼女頼み”!

でもまぁ…同様なテーマを扱った「Highway Star」(過去ログ)と違って、この曲のテンポで走っている限り事故には至らないで済むかもしれませんが? 



~Epilogue~

本作品のテーマは、ブライアンがロネッツに感銘を受けて「Be My Baby」のような歌を創ることを思案した際、一方でこれに見合う歌が自分に創れるか不安がっていた所、当時彼の恋人だったMarilyn(1964年12月に結婚;ウィルソン・フィリップスのCarnie & Wendyの母)が“Don't Worry Baby”と励ましてくれたことに由来するそうで、ブライアンはその時の気持ちをこの歌の主人公に重ねていたのでしょう。

Beach Boys - Dont Worry Baby3 Brian, Carnie, Wendy, and Marilyn Wilson

主人公は自動車レースに魅入られ、その結果起こり得る悪い結末に運命的な不安を抱き、恋人に“Don't Worry Baby”と言ってもらうことで安心を得ています。
確かに、信頼している人に“心配ない”と言ってもらうとネガティブな気分が後退し【安心】を得ることはできますが、実際に危険を防ぐ確たる対策を施さない限り【安全】は得られるものではありません(最大の安全は、レースを止めること)。
だからこそ彼女も、本心としては“大切な人を失いかねない危険な行為を一刻も早く止めて欲しい”と思っていることでしょう。

しかしレースを止めさせることも、車への対策を施す知識もない彼女が、大切な人の命を守るために何ができるというのか…
彼女は、一計を案じました。

And if you knew how much I loved you
私がどれほどあなたを想っているかを知れば
Baby, nothing could go wrong with you
あなたに‘間違い’を起こさせるものはないでしょう?

“安全運転だけでは、レースには勝てないでしょう。
でも安全運転を全うできなかった者に、決して勝利が微笑むことはない…”

【女神】とは、傍らにいて常にあなたを見守っている存在であり、[魔]に魅入られそうになったその瞬間、あなたを正しい道へと導くものをいうのかもしれません。



「ドント・ウォリー・ベイビー」


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tags : 1964年 偉大な曲 優しい愛 コーラス スポーツ/ドライブ 

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「カリフォルニア・ガールズ」ザ・ビーチ・ボーイズ

2016.03.18

category : Beach Boys

Beach Boys - California Girls1 Beach Boys - California Girls2


The Beach Boys - California Girls (1965年)



~一粒で二度おいしい…??~

3月23~26日に『50 Years of Good Vibrations』ツアーで来日公演を行うアメリカのロック・バンド、ザ・ビーチ・ボーイズ(マイク・ラヴ&ブルース・ジョンストン)。
一方4月12~15日には、ブライアン・ウィルソン&アル・ジャーディン(+ブロンディ・チャップリン)というお馴染みのビーチ・ボーイズ・メンバーが『ペット・サウンズ50周年アニバーサリー・ジャパン・ツアー』で来日予定です。
そして、その何れでも「California Girls」や「素敵じゃないか」(過去ログ)がセットリストに入っています。

これは“一粒で二度おいしい”と考えるべきか、それとも…?



~概要~

「カリフォルニア・ガールズ」はビーチ・ボーイズ1965年のアルバム『サマー・デイズ[Summer Days (and Summer Nights!!)]』の収録曲で、シングルとしてもBillboard Hot 100で3位(年間49位)を記録し、全世界で400~500万枚といわれる彼ら最大のセールスを挙げたヒット曲です。
時代を越えて愛され続けた作品で、『ロックの殿堂』は“500 Songs That Shaped Rock and Roll”に、『ローリングストーン誌』は“500 Greatest Songs of All Timeの71位”(2004年)と“Best Summer Songs of All Timeの4位”に、2010年には『グラミー殿堂賞(Grammy Hall Of Fame Award)』に選出されています。

作曲はブライアン・ウィルソンで、彼が初めて使用した麻薬による幻覚の経験が及ぼしたといわれています。
ブライアン自身“ビーチ・ボーイズの代表曲”と胸を張るほどの自信作であり、バッハの「Jesu, Joy of Man's Desiring(主よ、人の望みの喜びよ)」のリズムからインスピレーションを得ているそうで、特徴的な“シャッフル・ビート”(タンタ、タンタ…というリズム)もバッハから閃きを得たようです。

1960年代の“カリフォルニア・サウンドの象徴”とされるサウンドであり、ロネッツの「Be My Baby」(過去ログ)など“ウォール・オブ・サウンド”の生みの親であるフィル・スペクターを敬愛するブライアンのサウンドへの追及心は高まるばかりで、膨大な労力が費やされました。
カール・ウィルソンによる12弦ギターやブラス・セクション、オルガンなどで構成される美しいイントロはブライアンが満足するまで44テイクを要し、更にヴォーカル・トラックには2か月費やし何度もオーバー・ダブを積み重ねたそうです。

 



~ビーチ・ボーイズ以外の「California Girls」~

「California Girls」といえば、オリジナルのビーチ・ボーイズに劣らず有名なのが1984年12月にリリースされたデイヴィッド・リー・ロスver.でしょう♪
デイヴは言わずと知れたHR/HMバンド“Van Halen”(過去ログ)のヴォーカリストで、ソロ名義のEP『Crazy from the Heat』からのシングルとして発表し、Hot 100で3位を記録しました(直後にVHを脱退)。

このデイヴver.のバック・コーラスにはビーチ・ボーイズのカール・ウィルソンと、クリストファー・クロス(過去ログ)が参加したことでも話題を呼びましたが、それ以上に語られることが多いのが『MTV Video Music Awards』にもノミネートされたPVです。
何といってもデイヴ自身この歌を地でゆくようなキャラでハマっているし、“RothLosの観光案内をする”というダジャレをはじめ個性的な観光客やたくさんの水着ギャル、VH時代から定評のあるサービス精神旺盛(過剰?)な彼のパフォーマンスは本作の楽しさを増幅させてくれています♪

 

また、「California Gurls」といえば2010年にBillboardの年間4位(6週No.1)に輝き、近年若い世代の間でビーチ・ボーイズより有名になった作品があります。
それを成し遂げたのは自身が“リアル・カリフォルニア・ガール”であり、2015年11月現在“Twitter フォロワー数世界一”(約7,717万)という人気女性歌手ケイティ・ペリー

この曲はビーチ・ボーイズとは別の作品ですが、歌詞の最後の一節にビーチ・ボーイズでサビとして有名な[I wish they all could be California girls]が使われており実はこれが無断使用だったことが判明したものの、作詞者であるビーチ・ボーイズのマイク・ラヴは“光栄に思っている。彼女の曲は素晴らしいと思うよ。世界中で成功することを願っている”と、逆にエールを送ったそうです。



~Lyrics~

Well East coast girls are hip
東海岸の女の子って、カッコいいな
I really dig those styles they wear
ホント、洋服のスタイルには感心する

【East coast】はまさにアメリカ東海岸で、世界が憧れる街“ニューヨーク”があります。
【hip】は“進んでいる・格好の良い・利口な”といった意味があり、まさに“都会の女”のイメージにぴったりです。
男たるもの、才色兼備の女性にググっとくるのは当然として、同性にとっても憧れの存在であることでしょう。

“ファッションの都”NYでは、最近こんなファッションが流行っている!? 
でも最先端のオシャレって、みなさん意外と気づいてくれないもののようです…。




And the Southern girls with the way they talk
それと、南部の娘の話し方ときたら…
They knock me out when I'm down there
ボクはもう、ノック・アウトされちゃうよ

アトランタ・オリンピックを開催したジョージア州やメキシコと国境を接する“テキサス州”などがこれに該当する地域です。
南部アメリカ英語には“southern drawl”と形容される、母音を引き伸ばして発音する独特の訛りがあり(例えばMy name is...を“マ― ネ―ム イ―ズ...”)、ゆったりとやわらかい響きがあります。

方言というと、昔は“地方出身者のコンプレックス”として上京するとそれを封印する人が大半でしたが、近年は“方言(女子)はかわいい”と持て囃されることもあるようで、特に人気なのが“京都弁”と“博多弁”です。
でも、何となく日本もアメリカも好まれる話し方には共通点がありそう…? 


The West coast has the sunshine
西海岸は太陽燦々
And the girls all get so tanned
女の子たちは、こんがり小麦色

やっぱり、“カリフォルニア・ガール”といえばこのイメージ? 
陽気で、おおらかでフレンドリー…
きっと当地の人々は、日本人が抱く“良い意味でのアメリカ人像”に多大に貢献していますネっ♪

やっぱり明るい太陽と温暖な気候が、そこに暮らす人々の気質に影響を及ぼすのでしょうか…。
もちろんカリフォルニアはビーチ・ボーイズのメンバーの故郷であり、彼らの音楽や精神風土もこの地の文化に根差しています。



~Epilogue~

愛らしいカリフォルニア・ガールのナンシー、あなたは私たち全員にとってインスピレーションでした…。

ビーチ・ボーイズのマイク・ラヴは3月7日、今回のツアーのステージでカリフォルニアに所縁ある偉大な一人の女性を悼みました。
彼女はカリフォルニア州のファースト・レディを務め、後にアメリカ合衆国のファースト・レディに登り詰めたロナルド・レーガン大統領夫人だったナンシー・レーガン(享年94/※彼女の出身はニューヨーク)。
レーガン夫妻は予て(かね)よりビーチ・ボーイズのファンであり、彼らは1985年の大統領就任式後の舞踏会で夫妻のために歌った「Their Hearts Were Full of Spring」を、見事なコーラスと共にアカペラで彼女に捧げました。


I wish they all could be California
あぁ…どの娘もみんな
I wish they all could be California girls
カリフォルニア・ガールだったらいいのに


でも愛らしいのは、何もカリフォルニア・ガールだけじゃありませんよね?
日本にだって、“秋田美人”・“京美人”・“博多美人”(いわゆる日本三大美人)があります!
秋田美人は色白で手足が長くハーフのような顔立ち(佐々木希など)、京美人は品があっておっとりとした話し方(中村玉緒など)、博多美人はオシャレで明るく人懐っこい性格(浜崎あゆみなど)…という特徴があるそうです。
何れにも共通しているのは健康的な美しさと、人を癒し元気にさせる内面的魅力を兼ね備えているトコロでしょう…。
やっぱり日本人には、“大和撫子”が一番ですネっ!” 

“セクシー自慢のカリフォルニア・ガールが、キミを待っているよ~♪” 
(カリフォルニア出身の有名人;ベリンダ・カーライル、グウェン・ステファニー、アンジェリーナ・ジョリー、ミシェル・ファイファー、キャメロン・ディアス、マリリン・モンロー…)

うぅ~む… (コラっ、そこで悩むなっ!



「カリフォルニア・ガールズ」


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tags : 1965年 ロック/ポップ  コーラス 偉大な曲 

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「素敵じゃないか」ザ・ビーチ・ボーイズ

2013.10.11

category : Beach Boys

Beach Boys - Wouldnt It Be Nice1 Beach Boys - Wouldnt It Be Nice2


The Beach Boys - Wouldn't It Be Nice(1966年)


~10月12日公開の映画『陽だまりの彼女』テーマ・ソング!~

“嵐”松本潤&“のだめ”上野樹里主演・10月12日公開の映画『陽だまりの彼女』テーマ・ソングです。
累計発行部数100万部を超え、“女子が男子に読んでほしい恋愛小説No.1”を誇る原作に加え、上記二人の
主演とあっては大ヒット間違いなし!
中学の同級生で互いがファースト・キスの相手である二人は引っ越しで別れて以来疎遠となっていましたが、
ある日偶然の再会を果たし恋が甦ります。
やがて二人は結ばれますが、その後不思議な出来事が…。

「素敵じゃないか」は原作ストーリーにも及ぼす重要なキーとなっていて、真緒(上野樹里)がいつも口ずさんでいる歌です。
映画にはテーマ・ソングの他にも“主題歌”が設けられていて、こちらは山下達郎の新曲「光と君へのレクイエム」が充てられています。

また、2004年にもアダム・サンドラーとドリュー・バリモア主演のロマンティック・コメディ映画『50回目のファースト・キス』の挿入曲としても用いられたので、ご記憶の方もあるかもしれません。


~歴史的名盤『ペット・サウンズ』~

ビーチ・ボーイズは1960年代を代表するアメリカのロック・バンドで、名前の如く“海”をテーマとした作品が多く“サーフィンの象徴”といえる存在です。
イギリスを代表するバンド、ビートルズに対するアメリカのライバルとして比較されることが多く、60年代中頃に
なると作品創作にも互いの影響を及ぼすようにもなります。
この時期、ビートルズは次々と時代をリードする楽曲・サウンドを生み出すようになり、もはや“ステージで、ただロックを演奏するだけのバンド”とは呼べない存在にまでなっていました。
64年には、ビーチ・ボーイズの中心メンバー、ブライアン・ウィルソンが心の病を悪化させたためライブへの参加を止めてスタジオでの音楽作りに専念するようになり、両者の飽くなきサウンド追及が加速しそれぞれに“歴史的名盤”をもたらすこととなるのです。

スタジオ・ワークに専念するようになったブライアンは1965年、ビートルズの 『ラバー・ソウル』に衝撃を受けます。
これによりアルバムを単なる曲の寄せ集めではなく全体を一つのテーマとして成立させるアルバムの必要性を
感じ、それを具現化したのが1966年の『ペット・サウンズ(Pet Sounds)』でした。
しかしこれを聴いたビートルズのポール・マッカートニーやプロデューサーのジョージ・マーティンが逆に衝撃を
受け、負けじと『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』を生み出すこととなるのです。
この切磋琢磨により二枚のアルバムは歴史的名盤として評価されることとなり、ローリング・ストーン誌の“500 Greatest Albums of All Time”でも『サージェント・ペパーズ…』が歴代1位、『ペット・サウンズ』が歴代2位として今も君臨しています。

…とはいえ『ペット・サウンズ』はブライアンが曲を作り、外部ライターのトニー・アッシャーにストーリーの概要を伝え作詞させ、スタジオ・ミュージシャンに演奏させたため、ほかのメンバーはほとんどヴォーカルとコーラスしか関与しておらず、実質的には“ブライアン・ウィルソン feat.ビーチ・ボーイズ”といっていいアルバムでしょう。


~「素敵じゃないか」~

「素敵じゃないか」は上記の通りブライアンとトニー・アッシャーによる作品でブリッジの部分をマイク・ラヴが
書き、ヴォーカルはブライアンとマイクがリードを執っています。
ビーチ・ボーイズとしては風変わりな作品が多い『ペット・サウンズ』に於いて「素敵じゃないか」は“らしさ”が
感じられる曲で、3rdシングルとしてBillboard Hot 100でも8位を記録しました。
印象的なキラキラして可愛いイントロのギターは重ね録りされていて、ブライアンによると“このギターと
アコーディオンは、心のときめきを音で表現した”そうです。

一方で彼は先天性聴神経障害で右耳がほとんど聴こえないため、当時左右2つのスピーカーから発する
ステレオ音が信頼できずこの曲も当初、モノラル盤でした。
色々な事情でライブ活動が難しいブライアンですが、今回は1985年の“ライヴ・エイド”での元気なパフォーマンスをご覧ください♪


~Lyrics~

とても短い曲であり、歌詞もシンプルです。

Wouldn't it be nice if we were older
ふたり一緒に同じ齢を重ねられたら、素敵じゃない?

…そんな風に語り掛ける展開は、まさに“タイトルの如し”でしょ?
とても素直な“プロポーズ・ソング”といえる内容で、心の曇りや迷いのカケラも感じられません。
先にも述べた背景に流れるキラキラしたギターはこうした心境の表現であり、恋をすると何もしていないのに
ふと笑みがこぼれてしまうのは、胸の中にあるこの“キラキラ”が心をくすぐっているせい?


Wouldn't it be nice if we could wake up
ふたり一緒に目を覚ませたら、素敵じゃない?

“同じ釜の飯を食った仲”という表現がよくありますが…
新しい一日の始まりを共に迎え、一日の終わりを共に確かめ合えるというのは、それ以上に意義があること
のように思えます。
物理的に最も近くいられる空間であり、心理的に最も近づける時間であるからです。
そういう気持ちで夢の世界へと導かれるいうのは、人生の極楽の一つといってよいかもしれません…。

また、他にも“キュン”とするフレーズが歌詞には溢れているので、是非このハッピーで素敵な歌の世界観を
楽しんでくださいネ♪


「素敵じゃないか」ザ・ビーチ・ボーイズ

最後までお読みいただき、ありがとうございました♪

過去の“ハッピー・ソング”作品…
「トップ・オブ・ザ・ワールド」カーペンターズ
「グローリー・オブ・ラヴ」ピーター・セテラ


続きはこちら >>

tags : 1966年 希望の愛 コーラス 映画00's- 夏テイスト 

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Author:Beat Wolf
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