「ギヴィング・ユー・ザ・ベスト」は1988年のアルバム『Giving You the Best That I Got』のタイトル曲で、1stシングルとしてBillboard Hot 100で3位(1989年・年間10位)を記録しました。 アニタはこの曲により翌年のグラミーでは主要“最優秀レコード賞”と“最優秀楽曲賞”にもノミネートされ、結果“最優秀女性リズム・アンド・ブルース・ヴォーカル・パフォーマンス賞”と“最優秀リズム・アンド・ブルース楽曲賞”という2つの部門賞を獲得しています。 また、Billboard 200でNo.1に輝いたアルバムの発売がこの年度のグラミーの期限に間に合わなかったためその分の評価は翌年に繰り越され、これにより1990年にも2年続けて“最優秀女性リズム・アンド・ブルース・ヴォーカル・パフォーマンス賞”を授賞するという珍現象を演じました。
ゆったりとしたジャズ・テイストのピアノをメインとしたシンプルなアレンジと、濃厚なマロンを思わせるアニタの甘くマッタリした歌声は、まるでホテルのピアノ・バーにいる気分♪ 歌が抜群に上手いアニタは、ライブでもレコーディングされたものと遜色ないレベルで聴くことができます。 2010年、彼女の功績に敬意を表して『Soul Train Awards 2010』では“Tribute To Anita Baker”のステージが催され、アニタ本人を目の前にして多くのスターが彼女の曲を歌い、称えました。 もちろん「ギヴィング・ユー・ザ・ベスト」もそれに含まれ、2007年に『東京ガールズコレクション』にも出演したカナダのR&B歌手タミア(Tamia)がパフォーマンスしています。
Ain't there something I can give you あなたが与えてくれた全てに見合うだけ In exchange for everything you give to me 私がしてあげられることはない?
冒頭のフレーズであり、主人公が“Giving You The Best That I Got”の気持ちに至る根源です。 二人は彼女が苦しい頃にめぐり逢い、それを励まし支えてくれた彼に対する感謝をそのまま伝えています。 平穏を忘れていた彼女の心は彼の理解と優しさを“与えられる”ことで、今は逆に“与えたい”と思えるまでに心のゆとりが育まれたのです。 “優しさという贈りもの”は人から人への受け渡しによって育まれ、それを“巡らせる限り尽きることのない心のエネルギー”といえるのでしょう。
I stumbled my whole life long 躓いてばかりの、私の人生… Always on my own, now I'm home 自分だけが頼りのものだったけれど、今あなたのやさしさの中にある