「マテリアル・ガール」は1984年の2ndアルバム『ライク・ア・ヴァージン(Like a Virgin)』からの2ndシングルで、Billboard Hot 100では2週連続2位(1985年の年間58位)を記録した作品。 作者はマドンナではないものの彼女の趣旨や概念が歌詞に反映されており、本人も当時デモを聴いた第一印象から気に入っていたそうです。 ちなみに“Material Girl”はしばしばマドンナ自身を指して用いられる呼称でもありますが、【material】は[物質的な 物欲的な、世俗的な、肉体的な、官能的な…]といった意味を内包した言葉であり、見事なほどに世間が抱く彼女のイメージを形容しているでしょ?
「マテリアル・ガール」のPVは、1985年の『MTV Video Music Awards』で最優秀女性ビデオ賞をティナ・ターナーの「What's Love Got to Do with It」(過去ログ)に譲ったものの、アメリカのケーブルテレビ・チャンネル『VH1』の“100 Greatest Videos”で54位にランクされた名作です。 この映像でマドンナはピンクのドレスを身に着けタキシードの紳士たちにエスコートされながら歌とダンスを披露していますが、これは偉大な女優マリリン・モンローへのオマージュが込められています。 マドンナが演じたこのシーンは、1953年にアメリカで公開されたミュージカル・コメディ映画『紳士は金髪がお好き(Gentlemen Prefer Blondes)』の中でマリリンがパフォーマンスした「ダイアモンドは女の親友 (Diamonds Are a Girl's Best Friend)」を模したもので、このシーンについては「Material Girl」以外にも2001年の映画『ムーランルージュ』でのニコール・キッドマン、ライブでのカイリー・ミノーグ、ドラマ『glee』ほか多数の再現が試みられているハリウッド映画史上でも有名な場面の一つです。
'Cause we are living in a material world だって、モノとおカネが支配する世界に生きているんだもの And I am a material girl アタシにとって、それが一番大事
「Material Girl」はマリリン・モンローの「Diamonds Are a Girl's Best Friend」の影響を受けた作品であることは既に述べたとおりですが、その大意は“キスは素晴らしいけれど、家賃や食費にならない…女が年を取れば男たちは見限るけれど、ダイアモンドはずっとそばにいてくれる…ダイアモンドは女の親友よ”という内容の歌です。 一方、マドンナも1986 年にファッション誌『Company』で“私は、とてもキャリア志向が強いの。あなただって何事にも野心的でたくさんモノを持った男に惹かれるでしょう?家賃を支払い毛皮を買ってくれる人。それはセキュリティよ(That's the security.)。そして、恋愛よりずっと長く持続する。”と語っています。
“That's the security.” 私はこの言葉に、女性の【materia信仰】の核心を見たような気がするのですが…?
「ライク・ア・プレイヤー」は1989年・第4作目のオリジナル・アルバムのタイトル曲であり、1stシングルとしてBillboard Hot 100で3週連続No.1(年間25位)を記録しました。 ローリング・ストーン誌“500 greatest songs of all time”の300位にもランクされ、流行歌手的な位置付けされるることの多いマドンナにとっても、評論家ウケのよい名曲といえるでしょう。 作者はマドンナとパトリック・レナード、そしてプロデューサーのステファン・ブレイのチームは、当時彼女の活躍に欠くことのできない顔ぶれでした。
この作品以前からマドンナを知る人にとって「Like A ~」というタイトルを掲げられると、どうしても“Virgin!”…と浮かんでしまうことでしょう。 恐らくマドンナもそういうシャレを意識して名づけたと思いますが、内容はそれと正反対に重厚なものです。 カギを握る“Prayer”という言葉は“祈り(祈る人)”という意味があり、主人公がその声に導かれるようにして物語は展開します。
Life is a mystery, everyone must stand alone 人生は不思議…誰もが孤独を生きる宿命の中で I hear you call my name 私の名を呼ぶ、あなたの声は聴こえてくる And it feels like home “安らかなる場所”へと誘(いざな)うかのように…