I Wish~洋楽歌詞和訳&解説

80年代の洋楽ロック・ポップス&ビートルズを中心に、歌詞の和訳と解説+エッセイでお届けします

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「サムホエア・アウト・ゼア」リンダ・ロンシュタット&ジェームス・イングラム

2018.01.19

category : Linda Ronstadt

Linda Ronstadt James Ingram - Somewhere Out There1 Linda Ronstadt James Ingram - Somewhere Out There2


Linda Ronstadt & James Ingram - Somewhere Out There (1986年)



~この世界のどこか向こうに~

Somewhere Out There...

故郷を離れ、異郷を目指す人はきっと誰もがそう思うのでしょう。
まさに、【移民の国】アメリカを象徴する言葉です。
そして、アメリカを目指してやって来る移民にとって新天地の象徴となってきたのが、ニューヨーク・リバティ島にある【自由の女神像】。

本曲をテーマとする『アメリカ物語』は、自由の女神像建設中の1885年のアメリカ・ニューヨークを舞台としていますが…
1/22現在、自由の女神像はトランプ政権と連邦議会との移民政策の対立によってつなぎ予算が失効、政府機関の一部が閉鎖される事態となっており、【自由の女神像も閉鎖】されているそうです。



~概要~

「サムホエア・アウト・ゼア」は1986年にリンダ・ロンシュタット&ジェームス・イングラムによって歌われたバラード曲で、Billboard Hot 100で2位(1987年の年間39位)を記録しました。
リンダ・ロンシュタットは日本でも洋楽誌でオリビア・ニュートン=ジョン、スティーヴィー・ニックスと並ぶ【三大美女】に数えられた1970年代を代表するアメリカの女性歌手の一人。
一方ジェームス・イングラムは1981年デビューのR&B男性歌手で[デュエット歌手]として定評があり、1985年にUSAフォー・アフリカの「We Are The World」でスティーヴィー・ワンダーやブルース・スプリングスティーンに肩を並べるほどのソロ・パートを任されています(プロデューサーのクインシー・ジョーンズの意向と言われる)。


「Somewhere Out There」は、スティーヴン・スピルバーグが初めてアニメーションの制作総指揮を務めた映画『アメリカ物語(An American Tail)』のために創作された楽曲です。
劇中では子ネズミ姉弟の声優を務めたBetsy CathcartとPhillip Glasser(※Betsy Cathcartは歌声のみ担当)が歌唱し、エンディングでリンダ&ジェームスver.が使われています。

「Somewhere Out There」の作詞はライチャス・ブラザーズ「ふられた気持(You've Lost That Lovin' Feelin')」で知られるバリー・マン&シンシア・ワイル夫妻(Barry Mann & Cynthia Weil)で、本作の成功により1989年のリンダ・ロンシュタット&アーロン・ネヴィルのデュエット「Don't Know Much」(過去ログ)にも起用され再度大成功を収めています。
作曲は『アメリカ物語』の音楽を担当したジェームズ・ホーナーで1980年以来数々の映画音楽を手掛けた作曲家ですが、代表作である『タイタニック』主題歌「My Heart Will Go On」(過去ログ)は誰もがご存知でしょう。

1988年の(第30回)グラミーでは3部門にノミネートされ、うち【最優秀楽曲賞 (Song of the Year)】と【最優秀楽曲賞 映画/テレビその他映像部門(Best Song Written Specifically for a Motion Picture or for Television)】の2冠を獲得しました。
一方アカデミー賞とゴールデングローブ賞では、『トップガン』の「Take My Breath Away」(過去ログ)に歌曲賞の座を譲っています。


 
 



~Lyrics~

Somewhere out there
この世界のどこか遠く
Someone's saying a prayer
祈りを捧げる人がいる

『アメリカ物語』はロシアのネズミ一家が[ネコがいないアメリカ]への移住を思い立ち、海を渡る物語…
ですが、アメリカにネコがいないはずはありませんよね?
もちろん現実に2014年のデータによるとアメリカの猫の飼育数は7360万で世界一、ロシアは2100万で4位です(日本は980万で6位)。

ネコ(イエネコ)は元々鼠害対策のため人間に飼育されるようになった益獣であり、現在では犬を上回る最大の個体数を誇る愛玩動物として世界に君臨しているので、この地上にネズミにとっての【Somewhere】は存在するのでしょうか…?
(ちなみに、人間は北極・南極にもネコを連れて行っているらしい)


That we'll find one another
この広い世界のどこかで
In that big somewhere out there
ふたりがめぐり逢うことを

ロシアを逃れたネズミ一家ですがアメリカに向かう航路の途中で幼い息子ファイベルが波にさらわれ、家族と逸(はぐ)れてしまいます。
劇中に於いて「Somewhere Out There」は離れ離れとなった家族を求めるテーマであり、再会を願うファイベルと姉ターニャによって歌われました。

リンダ&ジェームスver.はさすが圧巻の表現力で、成熟した男女によるデュエットは子ネズミ達のかわいい歌とは[別の愛]をイメージさせます。


And when the night wind
やがて夜の風が
starts to sing a lonesome lullaby
さみしい子守唄を歌い始めるころ

床に就いてから眠りに入るまでの時間は目を閉じて活動を停止するため、入眠できない状態が続くと聴覚や思考が逆に鋭敏に働いてしまうものです。
眠れない焦りと暗闇に一人取り残されたような時空は孤独の感覚を呼び覚まし、ますます眠れなくなる…
という経験は、きっと誰もがあることでしょう。

そんな事を考えている私の脳裏に突然甦った古いフレーズ…
♪眠れない夜 風が窓をたたき 手招きして誘い水をまく 眠れない夜

…覚えておいででしょうか? 
(※ヒント;アイスノンのCM曲でした)



~Epilogue~

Somewhere Out There...

夜空一面に広がる藍は
この胸の奥深くに秘めた“あい”と同じ色
どこまでも深く、果てない向こうへと誘う

夜空一面に広がる煌めきは
この胸の奥深くに秘めた“あい”と同じ色
どこまでも真直ぐ、果てない希望へと誘う

今夜、あなたに会いにゆこう
小さな胸を飛び出し
果てなく広がる藍を越えて

Somewhere out there
この世界のどこか遠く
Beneath the pale moonlight
ぼんやり霞んだ月明かりの下

あなたに、会いにゆこう…                               



「サムホエア・アウト・ゼア」


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tags : 1986年 バラード/Pop デュエット 負けない心 映画80's グラミー最優秀楽曲賞 ジェームズ・ホーナー バリー・マン/シンシア・ワイル 

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「ドント・ノウ・マッチ」リンダ・ロンシュタット&アーロン・ネヴィル

2013.12.30

category : Linda Ronstadt

Linda Ronstadt ft Aaron Neville - Dont Know Much1 Linda Ronstadt ft Aaron Neville - Dont Know Much2


Linda Ronstadt ft. Aaron Neville - Don't Know Much(1989年)


~Prologue~

どうしてこんな素敵なデュエット・ソングが、日本では生まれないのだろう?
日本でデュエット曲というと、一杯飲んでほろ酔い気分のオジさんが宴会で(半ば強引に?)女性を誘ってカラオケで歌う(…ために作られた?)イメージが強く、私にとって音楽または歌詞に心を揺さぶられることの少ないジャンルとなっています(あくまで、個人的な主観です)。
せっかく男女が一緒に歌うなら、もっと違った“創造”もあるだろうに…?

たぶん邦楽と洋楽で最もギャップのあるジャンルの一つが、デュエット曲なのかもしれません。
2013年を締めくくりは、厳かでほっこりさせるデュエット・ソングをお届けいたします♪


~概要~

1970年代のアメリカを代表する歌姫、リンダ・ロンシュタット。
リンダにとって1980年代中頃は転機となった時期で、ジェームス・イングラムとのデュエット曲「Somewhere Out There」の大ヒットは彼女に新たな扉を開いています。
1989年、リンダはアルバム『Cry Like A Rainstorm, Howl Like The Wind』を発表しますが、このアルバムもアーロン・ネヴィルを招いてのデュエットが話題を呼び更なる成功へと導きました。

アーロンはR&Bバンド“ネヴィル・ブラザーズ”のメンバーで、泣く子も黙るコワモテと厳ついガタイからは想像もつかない、甘く優しいコトこの上ない魅惑のファルセットの持ち主!
彼はこのアルバムで4曲リンダと共に歌っていますが、1stシングル「Don't Know Much」のBillboard 2位(1990年間20位)だけでなく、11位を記録した2nd「All My Life」にも貢献しています。

成功は、チャートやセールスに止まりません。
1989年のグラミーでは「Don't Know Much」が“Best Pop Performance By A Duo Or Group With Vocal”と“Song of the Year”にノミネートされ、前者を授賞。
翌年、同賞を「All My Life」により2年連続で獲得しています。
89年のグラミーは私も見ましたがこの時の二人のパフォーマンスは、今も心を離れません…。

「Don't Know Much」というとリンダ&アーロンのバージョンが圧倒的に有名ですが、実はカバー作品です。
作者はライチャス・ブラザーズの作品でも知られるバリー・マン&シンシア・ワイル夫妻とトム・スノウで、1980年にバリー・マン自身のアルバムで発表されました。
その後81年にビル・メドレーがHot 100の88位、83年にベット・ミドラーが同77位とカバーしていますがヒットには至っていません。


~Lyrics~

今回「Don't Know Much」を、私は“男女が歌い分ける形で訳して”いますが、最初にバリー・マン自身がソロで歌っていることからすると、元々この詞はデュエットを前提として書かれたものではなく“一方から他方へのメッセージ”だったようです。
そう考えると、また別の趣きが生まれてくるかもしれません…。

Look at this life
見てごらん
I still don’t know where it’s goin’
未だ迷ってばかりのこの人生

顔にその“年輪”が刻まれる男が、未だ自分の人生を確かなものにできずにいます。
『論語』に“四十にして惑わず”とありますが、迷いのない人などいるのでしょうか…?


Look at these dreams
見て…
So beaten and so battered, hoo…ooh…
打ちのめされ、ボロボロになったこの夢を

女も、その人生に“いろいろ”あったようです。
経験を重ねるほど自分の弱さを思い知り、心の中の傷(痕)も増えてゆきます。
そうした年齢の人を愛するとは、“そうした背景も受容する”ということでもあるのでしょう…。


So many questions
多くの問いに
Still left unanswered
答えを見出せぬまま

人生とはきっと、“そういうもの”なのではないでしょうか?
たとえ天寿を全うしたとしても、見つからない答えはある…


~Epilogue~

PVに目を向けてみると、映像ではリンダ&アーロンが夫婦(?)を演じ、過去の二人を走馬灯のように巡らせています。
印象的なのは、出逢った頃の若い二人が“ひらめく真っ白なシーツ”と共に生気溢れるように見えるのに対し、歳月を重ねた現在の二人はそれが衰退し“がらんとして、くすんだ空間”が、どこか淋しげに映し出されていることです。

I don't know much But I know I love you
わからないことばかりだけれど、この愛は迷わない
And that may be All I need to know
きっとそれこそが、二人の知るべき全て…

経験は、いつも正しい方向に導いてくれるわけではありません。
豊富な知識が懐疑や迷いを生み、失敗や挫折が心の傷や恐れを育み、“何を為し、何を信ずれば良いか判らなくさせる”ことさえあります。
だからこそ“本当に大切なものは何か”、心を整理してみるべきなのでしょう。
一番大切なものという“骨組み”に、二番目三番目を“枝付け・肉付け”していくというような…。

そして、この二人にとって一番大切なものが、“パートナー”だったというわけです。
人生は、山もあれば谷もある…
わからないことばかりだからこそこそ、迷った時・苦しい時“そのこと”を思い出してみてくださいね♪



「ドント・ノウ・マッチ」


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tags : 1989年 バラード/ピアノ 希望の愛 ウェディング グラミー デュエット 美声 バリー・マン/シンシア・ワイル 

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