Whitney Houston - I Will Always Love You(1992年)~今ごろ、ホイットニーの墓が完成!?~昨年2月の急死以来、これまでニュージャージー州フェアビュー墓地にある父の墓の隣に墓石もなく埋葬されていたホイットニー・ヒューストン。
この墓地は一般人が気軽に出入りできる環境にあるため“その場所”は、盗掘を防ぐため24時間体制のガードマンに守られていたそうです。
それが、墓の周囲をコンクリートで固めることによって予防できるようになり、つい先日ようやく彼女の墓石が建てられました。
墓石は落ち着いたピンク色で、
“涙”を象(かたど)った本体の内側にはハ-トがデザインされており、彼女の名前と“THE VOICE”の称号が刻まれています。
その下には、彼女を象徴する
“ I will always love you”の言葉を添えて…。
(写真は、今回の動画の中に入れています)
~概要~「オールウェイズ・ラヴ・ユー」は、1992年11月から公開された
映画『ボディガード(The Bodyguard)』の主題歌です。
主演はホイットニー自身と、当時最も売れっ子だった俳優
ケビン・コスナーの共演というだけあって、それだけでも話題となりました。
この映画はホイットニー演じる人気歌手を、ケビン演じる元シークレット・サービスの男が守るという設定の話ですが、元々は1970年代にダイアナ・ロスとスティーブ・マックイーンを主人公に想定して書かれた脚本でした。
ダイアナは他にも、『ドリームガールズ』やホイットニーの遺作映画『スパークル』でもモデルとされていて、さすがの影響力といえます…。
一方、映画のサウンドトラックは記録ずくめで、シングル「オールウェイズ・ラヴ・ユー」は
Billboard14週連続No.1、ホイットニーが6曲歌った
アルバムは全世界で4200万枚・日本でも当時洋楽史上最高の280万枚を売り上げました!
グラミーでは
“最優秀レコード賞”と
“最優秀女性ポップ・ヴォーカル・パフォーマンス賞”の二冠を制し、MTVやアメリカン・ミュージック・アワードでも授賞しましたが、何故か“アカデミー歌曲賞”にはノミネートされていません。
(映画で歌った他の2曲「Run to You」と「I Have Nothing」はノミネートされた)
And I...
Will always love you(いつの時も、あなたを愛するでしょう)
…のフレーズを超人的な力強さで歌い上げるホイットニーの歌唱によって、つい“情熱的な恋の歌”と思いがちですが実は
“別れの歌”で、
“そばにいても何もしてあげられない私だから、(あなたのために)あなたの元を離れます。でも、 I will always love you…”という切ない物語であり、この曲が流れる映画のエンディングと重なるのでは…?
~歌姫にとってのバイブル~「I Will Always Love You」はホイットニーのオリジナルではなく作詞・作曲した
ドリー・パートンが1973年に自身のアルバムで発表したもので、74年と82年にBillboard カントリー・チャートで1位に輝いた作品です。
ドリーはこれを別れの淋しい気持ちを素朴に表現しましたが、
ホイットニーは“ I will always love you”のフレーズを強調することで、より切ないストーリーへと昇華させました。
彼女のカバー以降女性歌手にとってこの曲は憧れの作品で、ホイットニーが亡くなった直後のグラミーで追悼したジェニファー・ハドソンやビヨンセ、シャリース・ペンペンコ、リアン・ライムスら多数がカバーし、ドラマ『glee』でも取り上げられています。
~Produced by David Foster~この作品に於いてもう一つ忘れてならないのはプロデューサーの
デイヴィッド・フォスターの存在で、ホイットニーの見事な歌唱は勿論のことではありますが、彼女の歌を上手く引き立てたのも彼の功績といえるでしょう。
みなさんも、もう一度この曲に耳を澄ましてお聴きになってみてください…。
華やかなイメージのするこの作品も、ヴォーカル以外のサウンドが驚くほど抑えられていて、特に前半はほとんどホイットニーのアカペラといっていい程でしょう。
プロデューサーの仕事は“化粧”と似ていて、化粧を施すほど自分の色を演出できますが、一歩間違えれば“厚化粧”と受け取られてしまいます。
ホイットニーのヴォーカルを“絶世の美女”と信じるからこそ、その美しさをそのまま生かすことで、素晴らしい作品を遺そうという彼の信念が感じられる“職人”ならではの仕事ですね…。
~さようなら…でも、愛してる~最後に、この作品のテーマである
“大好きな人なのに、相手の幸せのために敢えて別れる”という選択を、みなさんはどう受け取られたでしょう?
その真意は歌の冒頭部分…
I would only be in your way…にありますが、直訳するとこれは
“私は、あなたのそばにいるだけ”というカンジですが、“最愛の人がそばにいてくれるだけで十分だよ!”とお考えの方も多いのではないでしょうか。
互いを想い合っているのに別れるなんて、ナンセンスだと…。
きっと…
彼女はとても愛情深い人なのでしょう。
“ずっとそばにいたい”という自らの望み以上に、“彼に幸せになってほしい”という願いが勝った故の決断だったと思います。
最愛の人だからこそ、自分が幸せに導いてあげたい…。人を愛する誰もが、そう思うはず。
でも、自分にはそれを叶えてあげられないと気づいた時、あなたならどうしますか?そんな、せつない状況を自分に置き換え、改めて作品の世界を辿ってみてくださいネ…。
「オールウェイズ・ラヴ・ユー」
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1992年 AC せつない愛 映画90's 年間No.1ソング グラミー最優秀レコード賞 デイヴィッド・フォスター